なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

「ハリケーン」 The Hurricane (1937)

f0367483_08504244.jpg
監督:ジョン・フォード
製作:サミュエル・ゴールドウィン
原作:チャールズ・ノードホフ
   ジェームズ・ノーマン・ホール
脚色:オリヴァー・H・P・ギャレット
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:バート・グレノン
特殊効果:ジェームズ・バセーヴィ
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ドロシー・ラムーア
   ジョン・ホール
   メアリー・アスター
   C・オーブリー・スミス
   トーマス・ミッチェル
   レイモンド・マッセイ
   ジョン・キャラダイン
   ジェローム・コーワン
アメリカ映画/110分/モノクロ作品





<あらすじ>
南太平洋の島々が欧州列強国の植民地だった頃。小さな島マナクーラでは、現地の若者テランギ(ジョン・ホール)と酋長の娘マラマ(ドロシー・ラムーア)の結婚式が執り行われた。
船乗りであるテランギは、ネイグル船長(ジェローム・コーワン)の船で次の航海に出るのだが、不吉な予感を覚えたマラマは彼を引きとめようとする。その予感は的中してしまった。寄港したタヒチの酒場で差別的な白人船員に絡まれたテランギは、相手を殴った罪で逮捕され6ヶ月の懲役刑を言い渡されてしまったのだ。
現地人の習慣や風習を理解し愛するケルサン医師(トーマス・ミッチェル)は、あまりにも厳し過ぎる判決だとして情状酌量を訴えるものの、フランスから派遣されてきて日の浅い行政官デ・ラージュ(レイモンド・マッセイ)は頑として聞き入れない。
自由気ままな現地人の暮らしぶりを野蛮だと見下す彼は、文明社会のルールを学ばせるためには厳しい措置が必要だと考えていた。地域の信頼が厚いポール牧師(C・オーブリー・スミス)や、デ・ラージュの妻ジャーメイン(メアリー・アスター)もテランギを弁護するが、周囲から反対されればされるほどデ・ラージュは意固地になる。
監獄でテランギを待ち構えていたのは、差別主義者の看守(ジョン・キャラダイン)による卑劣な体罰と過酷な肉体労働だった。その地獄に耐え兼ねたテランギは何度も脱走を試みるも失敗し、刑期は16年にまで加算されてしまった。
それから8年後。ようやく脱獄に成功したテランギだったが、その際に看守の一人を殴り殺してしまったことから、今度は殺人犯として追われる身となる。
ポール牧師の密かな助けで故郷へと戻り、愛する妻マラマと不在中に生まれた娘に会うテランギ。住民たちは一家を別の島へ逃がそうとするが、テランギの帰還を知ったデ・ラージュは追っ手を差し向ける。すると、そこへ前代未聞の巨大ハリケーンが襲い掛かり、マナクーラは阿鼻叫喚の大パニックへと陥るのだった…。

「男の敵」('35)でアカデミー監督賞に輝き、名実ともにハリウッドのトップ・ディレクターの仲間入りを果たしたジョン・フォード監督による海洋アドベンチャー。自由を愛する南国の青年とその妻の固い絆を描くロマンスを軸としつつ、近代的な欧米の価値観を良しとして一方的に押し付け、異文化の伝統や習慣を蔑む白人帝国主義の傲慢と偽善を糾弾していく。

彼自身のタフガイ的なイメージや、西部劇作品におけるネイティブ・アメリカンの描写も手伝ってか、時として差別主義者や白人至上主義者と誤解されることのあるジョン・フォードだが、しかし彼が基本的には激しい反権力姿勢の持ち主であり、白人優位の思想を嫌悪していたことは本作を見ても明らかだろう。

この前年に撮った、無実の罪で監獄島に送られた実在の医師を描く「虎鮫島脱獄」('35)にも同様の反権力精神が漲っていたし、そもそも本作とストーリー的にも共通する部分がある。だいたい、フォードの西部劇だってちゃんと見直せば、決してネイティブ・アメリカンを否定的に描いていたわけではないことが分かるはずだ。

とはいえ、今となっては話の流れが単純すぎて陳腐に思えることも否定はできない。キャラクターの掘り下げも今ひとつ十分とは言えないだろう。中でも、感受性が豊かで他者に対して寛大なデ・ラージュの妻ジャーメインが、悪人ではないにせよ弱者の痛みを理解出来ない石頭の役人である夫を、なぜそこまで深く愛しているのかが理解しづらい。

しかしながら、終盤の巨大ハリケーンによる凄まじいパニック描写は圧巻の一言に尽きる。荒れ狂う海、猛烈な勢いの嵐、次々と崩壊していく建物、片っ端からなぎ倒される木々、そして逃げ惑う大勢の人々。なんとか暴風雨に耐えようと大木によじり登った人々もろとも、次々と根っこから木々が飛ばされていくシーンなんかビックリさせられる。ミニチュアと実物大セットを併用したジェームズ・バセーヴィの特殊効果の完成度は見事。当時の技術力で、よくこれだけのスペクタクルを描くことができたものだと感心する。自然災害の想像を絶するパワーと恐怖をリアルに再現していると言えよう。これだけでも十分に一見の価値ありだ。

評価(5点満点):★★★★☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
モノクロ/スタンダードサイズ(1.33:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:110分/発売元:Kino Lorber/20th Ceutury Fox (2015年)
特典:映画史研究者ジョセフ・マクブライドによる音声解説/オリジナル劇場予告編




by nakachan1045 | 2016-07-14 00:31 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「A Study in Te..
at 2017-10-16 05:48
「七人の特命隊」 Ammaz..
at 2017-10-15 00:37
「サタンバグ」 The Sa..
at 2017-10-14 13:09
「猟奇!喰人鬼の島」 Ant..
at 2017-10-12 23:34
「手討」 Teuchi (..
at 2017-10-11 23:55

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター