なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

女子大生・恐怖のサイクリングバカンス And Soon The Darkness (1970)

f0367483_09275941.jpg
監督:ロバート・フュースト
製作:アルバート・フェンネル
   ブライアン・クレメンス
脚本:ブライアン・クレメンス
   テリー・ネイション
撮影:イアン・ウィルソン
音楽:ローリー・ジョンソン
出演:パメラ・フランクリン
   ミシェル・ドートリス
   サンダー・エリス
   ジョン・ネトルトン
   クレア・ケリー
   ハンナ・マリア・プラウダ
   ジャン・カルメ
イギリス映画/98分/カラー作品





<あらすじ>
夏のバカンス休暇を利用して、フランス各地をサイクリングで旅するイギリス人の看護婦ジェーン(パメラ・フランクリン)とキャシー(ミシェル・ドートリス)。どこまでも続く田舎道に退屈したキャシーがへそを曲げてしまったことから、草むらで日光浴をする彼女を置いてジェーンは一人で先へ進んでしまう。
とはいえ、フランス語はあまり得意ではないジェーン。一人ではなにかと心もとない。しかも、立ち寄った寂れたカフェの女店主(ハンナ・マリア・プラウダ)から、この付近が危険な場所だと警告を受けた彼女は不安を募らせ、キャシーと別れた場所へと戻る。
ところが、そこにキャシーの姿はなかった。何かあったに違いないと直感するジェーン。そこへ、スクーターに乗った若い英国人男性が現れる。以前に町のカフェで見かけてキャシーが色目を使っていた人物だ。ポール(サンダー・エリス)と名乗る彼は、得意のフランス語でキャシーの行方を一緒に探してくれるという。だが、ふとした場面でジェーンは、彼がなにかを隠すため意図的にフランス語を省略して通訳していることに気づく。
ジェーンをカフェに残して草むらへと戻ったポールは、そこで捨てられた車の下からキャシーの自転車を発見。一方、ジェーンは地元在住の英国人女教師(クレア・ケリー)から、1年前に旅行者の女性が近くでレイプされたうえに殺され、いまだ犯人が捕まっていないことを知らされる。
戻ってきたポールに疑惑の目を向けるジェーン。そんな彼女に、彼は自分が実は警察官で1年前の事件を洗い直していること、彼女を怖がらせたくなかったので真実を話さなかったと伝える。それでも不安をぬぐい去れないジェーンの疑心暗鬼は、あるものを発見したことで確信へと変わり、彼女は地元警察の駐在所へと駆け込む。
警察官(ジョン・ネトルトン)に事情を説明して助けを求めるジェーン。しかし、それこそがまさに落とし穴だとは知る由もなかった…。

f0367483_09280864.jpg
日本では劇場公開されずテレビ放送のみだったものの、コアな映画マニアの間では幻のトラウマ映画として長いこと語り継がれてきた名作。海外でもカルト的な人気が非常に高く、'10年にはアメリカ資本で「イン・ザ・ダークネス」としてリメイクもされている。全体的に地味な印象の作品ではあるものの、なんとも言えない後味の悪さと一種独特の禍々しいムードが強烈なインパクトを残す。いかにもB級感丸出しの邦題に騙されてはいけない優れた英国産ミステリーだ。

f0367483_09281732.jpg

そもそもヒロインたちは女子大生ではなく看護婦なので、邦題は完全にミスリードだ。まさしく看板に偽りあり(笑)。とはいえ、タイトルで観客の好奇心を煽ろうという意図は理解できるので、まあ、ギリギリ良しとしておこう。ストーリーは極めてシンプル。言葉も通じない異国の地で、旅行中に親友が忽然と姿を消すという不条理な状況に置かれたヒロインの不安と恐怖、そして善意の第三者であるはずの男性ポールに対する疑心暗鬼がジワジワと高まり、ある決定的な誤解と判断ミスによって彼女は絶体絶命の危機に陥ってしまう。

f0367483_09282935.jpg

奇をてらったショックシーンや残酷シーンなどは一切なし。人里離れた牧歌的な田舎の排他的な雰囲気や、誰を信用していいのか分からないジェーンの孤独と焦燥をじっくりと描く。余計なセリフなども極力排除されており、登場人物たちの微妙な表情や空気の変化などを丁寧にカメラが捉えることで、ただ事ではない何かが迫りつつある、もしくは既に起きているという緊張感を醸し出していく演出は見事。ここぞという絶妙なタイミングで明かされる真犯人の正体や、どーんよりとした気まずさの残るクライマックスのセンスもいい。確かに、一度見たら忘れられない映画である。

f0367483_09281367.jpg

監督は世紀の怪作「怪人ドクター・ファイブス」('71)シリーズや「魔鬼雨」('75)などのカルト・ホラーで有名なロバート・フュースト。アールデコ趣味全開の絢爛豪華&シュールな「怪人ドクター・ファイブス」とも、悪魔的かつ陰惨なオカルト映画「魔鬼雨」ともまるで異なる、あくまでもリアリズムを重視したシンプルな演出に、映画監督としての懐の深さと振り幅の広さを感じさせる。

f0367483_09283218.jpg

ちなみに、本作はイギリスの国民的スパイドラマ「おしゃれ(秘)探偵」('61~'69)と極めて縁が深い。というのも、製作を担当しているアルバート・フェンネルとブライアン・クレメンスの2人は同番組の生みの親。脚本を兼ねるクレメンスは、「おしゃれ(秘)探偵」でも脚本を手がけていた。しかも、監督のフューストは同番組のセット・デザイナー出身。共同脚本のテリー・ネイションは「ドクター・フー」シリーズの脚本家として有名だが、実は彼も「おしゃれ(秘)探偵」の脚本にたびたび参加したことがあるのだ。

f0367483_09281168.jpg

ジェーン役のパメラ・フランクリンは往年の名子役。ゴシック・ホラーの大傑作「回転」('61)や名作サスペンス「小さな逃亡者」('64)などで可憐な魅力を振りまき、本作同様にカルトな人気を誇るホラー映画「ヘルハウス」('73)にも主演している。この種のサスペンスやホラーには、やはり彼女のような清純派ヒロインが欠かせない。対して、自由奔放なヤンチャ娘キャシーには、主にテレビドラマで活躍したミシェル・ドートリス。ダンディで渋い名優エドワード・ウッドワードの奥さんだった人だ。

f0367483_09282410.jpg

また、ジェーンとたまたま知り合う英国人女教師には、「ジョージー・ガール」('66)の惨めなドリス役が印象的でったクレア・ケリー。「レ・ミゼラブル」('82)や「メルシー・ラ・ヴィ」('91)でセザール賞を獲得したフランスの名脇役ジャン・カルメが、カフェの気のいい店主役として顔を出している。

f0367483_09283537.jpg
評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(イギリス盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:2/時間:98分/発売元:Optium Releasing (2007)
特典:なし


by nakachan1045 | 2016-08-07 11:54 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター