なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

「ミュータント・ハント」 Mutant Hunt (1987)

f0367483_12091732.jpg
監督:ティム・キンケイド
製作:シンシア・デポーラ
脚本:ティム・キンケイド
撮影:トーマス・マーフィー
特殊効果:マット・ヴォーゲル
特殊メイク:エド・フレンチ
出演:リック・ジャナーシ
   メアリー・フェイ
   タウニー・ブレノン
   ロン・レイナルディ
   ビル・ピーターソン
   ストーミー・スピル
アメリカ映画/73分/カラー作品





f0367483_13485765.jpg
<あらすじ>
舞台は近未来のニューヨーク。巨大企業インテルトラックスの秘密研究所で働く若き科学者ヘインズ博士(マーク・ユーミリー)は、デルタ7と呼ばれる作業用アンドロイドを開発していた。
しかし、その驚くべき技術を悪用しようと考えた極悪非道な経営者Z(ビル・ピーターソン)は、ユーフォロンと呼ばれるドラッグをアンドロイドたちに投与。その影響で、デルタ7は無差別に快楽殺人を重ねる殺人マシンとなってしまう。
その計画を阻止しようとしたヘインズ博士はZに捕まり、彼の助手である妹ダーラ(メアリー・フェイ)は秘密書類を持って命からがら脱出。兄が信頼を寄せている凄腕の傭兵マット・ライカー(リック・ジャナーシ)に助けを求める。
ダーラから事情を聞いたライカーは、すぐに旧知の女戦士エレイン(タウニー・ブレノン)とメカニック担当フェリックス(ロン・レイナルディ)に声をかけてチームを編成。街中で殺戮を重ねるアンドロイドたちを倒していく。
一方、Zの宿敵である悪女ドミーナ(ストーミー・スピル)は、自ら生み出した究極の殺人マシン、デルタ8を完成させるためにインテルトラックスが所有する大量のユーフォロンとヘインズ博士の技術を狙っていた。
やがて、エレインはインテルトラックスがアンドロイドを大量製造する秘密工場を発見。その知らせを受けたライカーたちは正気を取り戻したアンドロイドの手引きで工場へ向かうが、そこに解き放たれたデルタ8が現れる…。

f0367483_13452671.jpg
 スチュアート・ゴードン監督の「死霊のしたたり」('85)や「フロム・ビヨンド」('86)などの大ヒットで'80年代に一世を風靡した、チャールズ・バンド率いるB級映画会社エンパイア・ピクチャーズ。'86年には自社最高の収益を記録したものの、その翌年には早くも屋台骨が揺らいでしまう。その理由は、スタジオの買収を含む無茶な先行投資にあったと後にチャールズが回想しているが、要するに身の丈に合わないビジネスを展開して行き詰ってしまったわけだ。そこでエンパイアは当時急成長していたレンタル・ビデオ市場に着目し、低予算映画を劇場公開せずにビデオ発売する、つまりビデオ・ストレート作品のリリースを始める。その最初期のラインナップに含まれていた映画が、この「ミュータント・ハント」だ。

f0367483_13465760.jpg

「ブリーダーズ」('86)や「アンドロイド・バスターズ/残虐メカ帝国の逆襲」('87)など、ほぼ予算ゼロに近いようなZ級SFホラー映画を次々と撮り、'80年代を代表する最低映画監督との呼び声も高いティム・キンケイドの作品。実は経費節約のため「ブリーダーズ」と同時撮影されていたものの、こちらは劇場公開が決まらず半ば御蔵入りになっていた。なぜか?それもう、実際に本編を見れば一目瞭然だろう。とにかくひたすら安いのである。

f0367483_13462621.jpg

なるほど、「ブレードランナー」('82)と「ターミネーター」('85)をパクってみせたのはよく分かる。ただし、予算的にも技術的にも高校生の自主制作映画レベルで。ブルックリン辺りの繁華街や裏路地でゲリラ撮影しているらしく、赤や青の照明をキツめに当てることで、なんとなく「ブレードランナー」っぽさを出している。怪力のアンドロイド軍団は、刈り上げ頭にサングラスをかけた作業着姿のお兄さんたち。なんとか機械人間っぽい動作を工夫してはいるが、どこからどう見たって普通の人間だ。っていうか、下手っクソな素人のパントマイム集団にしか見えない(笑)。

f0367483_13455679.jpg

ストーリーにしたって、ほぼあってないも同然だ。30分もあれば片付いてしまうような話を長編映画にしようってのだから、とにかく時間稼ぎのための無駄で余計なシーンが多い。悪徳企業家Zと宿敵ドミーナが通信機でお互いに悪態をつきあったりとか、ミュータント・ハントそっちのけでライカーとエレインがセックスし始めちゃったりとかはまだマシ。アンドロイドを捜して街中をぶらつく様子を延々と見せられてもねえ…(笑)。一応ストリップ・シーンみたいなのもあるのだが、なんとオッパイすら見せやしない。これがイタリア映画だったらバンバン脱ぎまくっているぞ。

f0367483_13482645.jpg

ただ、ドラッグの副作用で顔面が腐敗してグチャグチャになった、アンドロイドのグロい特殊メイクだけはなかなか良くできている。まあ、これもジョージ・A・ロメロの「死霊のえじき」の冒頭に出てきた、顎が取れちゃったゾンビのパクりなんだろうけど。この特殊メイクを担当したのは、キンケイド監督の常連組エド・フレンチ。後に「ターミネーター2」('91)などの特殊メイクを手がけるようになり、「スター・トレックⅥ/未知の世界」('91)でアカデミー賞候補になったもなった人だ。

f0367483_13472688.jpg

笑えるという意味では、アンドロイドの手がビョーンと伸びたり、「アダムス・ファミリー」のハンドくんよろしくチョコマカ動き回ったりする、手作り感満載のSFXも見どころではある。ところどころで小洒落た(?)アメリカン・ジョークも飛び出す。恐らく面白いと思っているのは監督だけなんだろうけどね。

f0367483_13444154.jpg

そんなこんなで、お世辞にも褒められた出来の映画ではないものの、しかし限られた予算内で頑張って作っているという努力は見て取れる。ただ、その超低予算をカバーできるだけの、センスと技術が決定的に欠けているのだ。ティム・キンケイドが最低映画監督と呼ばれてしまう所以だろう。そもそも、アンドロイドとミュータントの違いもよく分かっていないようだし。こればっかりはどうしようもない。

ちなみに、もともとジョー・ゲイジという名前でゲイ・ポルノを撮っていたというキンケイド監督。近年は再びそちらの世界へ復帰し、数々の賞に輝くなど才能を発揮しているようだ。

f0367483_13475617.jpg
評価(5点満点):★☆☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Stereo/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:73分/発売元:Full Moon Features (2011)
特典:チャールズ・バンドによるイントロダクション(約8分)/グラインドハウス・プロモーション映像(約2分)/フルムーン予告編集


by nakachan1045 | 2016-08-10 19:52 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「A Study in Te..
at 2017-10-16 05:48
「七人の特命隊」 Ammaz..
at 2017-10-15 00:37
「サタンバグ」 The Sa..
at 2017-10-14 13:09
「猟奇!喰人鬼の島」 Ant..
at 2017-10-12 23:34
「手討」 Teuchi (..
at 2017-10-11 23:55

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター