なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「フェリスはある朝突然に」 Ferris Bueller's Day Off (1986)

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監督:ジョン・ヒューズ
製作:ジョン・ヒューズ
   トム・ジェイコブソン
脚本:ジョン・ヒューズ
撮影:タク・フジモト
編集:ポール・ハーシュ
音楽:アイラ・ニューボーン
出演:マシュー・ブロデリック
   ミア・サーラ
   アラン・ラック
   ジェフリー・ジョーンズ
   ジェニファー・グレイ
   ライアン・ワード
   シンディ・ピケット
   イーディ・マックルーグ
   チャーリー・シーン
   クリスティ・スワンソン
アメリカ映画/103分/カラー作品





<あらすじ>
とある晴れたシカゴの朝。こんな天気のいい日に学校なんて行ってられない。学校一の人気者でサボリの常習犯フェリス・ビューラー(マシュー・ブロデリック)は、仮病を使ってズル休みすることにする。
両親(ライアン・ワード&シンディ・ピケット)が仕事に出かけ、妹ジニー(ジェニファー・グレイ)が学校へ向かったら作戦開始。親が学校に連絡すればこれまでの欠席日数がバレるので、学校のパソコンをハッキングして出席数をちゃっかり操作。騙されやすい後輩たちに電話をかけ、シンセサイザーのサンプリング音を使って重病ぶりをアピールし、フェリスの病気は相当酷いらしいと学校中に噂を広めていく。ズル休み計画に抜かりはない。
さらに、こちらは本当に病気で休んでいる親友で金持ちのボンボン、キャメロン(アラン・ラック)に連絡し、父親の高級車フェラーリで迎えにこさせる。休暇(?)を満喫するなら友達と車は必須だ。さらに、ガールフレンドのスローン(ミア・サーラ)のお祖母さんが亡くなったと嘘の連絡を学校に入れ、まんまと彼女を誘い出す。ご丁寧に、キャメロンが彼女の父親のふりをして断りの電話まで入れて。
かくして仲間は揃った。録音テープとステレオシステムを駆使した居留守装置で、万が一誰かが訪ねてきても安心。ということで、早速街へと繰り出したフェリスたちは、シカゴ美術館で芸術を堪能し、レストランで美食に舌鼓を打ち、大通りのジャーマン・パレードで群衆を盛り上げる。なんと素敵な一日!
一方その頃、フェリスのズル休み計画に気付いた学校のルーニー校長(ジェフリー・ジョーンズ)は、なんとかして尻尾を掴んでやろうと、あの手この手を使ってフェリスの行方を追いかける。さらに、不真面目なお調子者なのにみんなから愛されるフェリスに腹を立てている妹ジニーも、兄のズル休みの証拠を押さえようとするのだったが…?


「すてきな片想い」('84)に「ブレックファスト・クラブ」('85)、「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」('86)などなど、'80年代に青春映画の傑作を次々と生み出したジョン・ヒューズ監督。中でも個人的に最も愛おしくてたまらない作品が、この「フェリスはある朝突然に」である。

チャーミングで抜け目のない高校生フェリスが、果たして親にバレることなく、校長先生にも捕まることなく、ズル休みの一日を満喫することが出来るのか?というのがストーリーの肝。もちろん、まさかそんなことないでしょ!?ってくらいに運良く事は運んでいく。そればかりか、フェリスを懲らしめてやろうと息巻くヒステリックな校長先生は、次から次へと出し抜かれたうえ散々な目に遭うことになるし、フェリスの調子良さを腹に据え兼ねている妹も反省させられることになる。これをご都合主義と捉える向きもあるかもしれないし、そもそも“人生なんて短いんだから楽しまなくちゃ損でしょ?”というフェリスの主張に異を唱える人がいても当然だろう。そりゃそうだ、人生は楽しんでばかりなどいられないのだから。

しかし、そんなことは作り手であるジョン・ヒューズはもちろん、主人公フェリスだって百も承知だろう。だからこそ、フェリスはスクリーンの向こうから観客に話しかけ、画面上には要点を説明するテロップが表示され、常にこれはあくまでも映画ですよ!ということを主張し続ける。こんな素敵な一日が過ごせたら、こんなに万事が順調にいったらどんなにいいだろう。しかし、現実にそんなことはあり得ない。十分過ぎるくらいに分かっているからこそ、スクリーンの中のフェリスたちの大冒険が眩しいくらいにキラキラと輝くのだ。

日常に息苦しさを感じている全てのティーンエイジャーにとって、そればかりか多くの大人にとっても、恐らくフェリスはああなってみたい理想の象徴であろう。フェリスのように自由に振る舞えたら、フェリスのように大胆に行動できたら。誰の心にも多かれ少なかれフェリスは存在するはずだ。しかし、大半の人は実行になど移せない。妹ジニーが腹を立てる本当の理由もそこだ。

自分は真面目に学校に行っているのに、ズル休みをするなんて許せない。そのうえ、みんなから愛されるなんて不公平だ。だが、チャーリー・シーン扮する不良少年が指摘するように、それはフェリスではなく彼女自身の問題である。本当に自分が正しいと思うのなら、フェリスのやることなど気にならないはずだからだ。そうでないのは、自分の現状に違和感やストレスを感じている証拠。だったら自分を解放すればいい。迷わず楽になればいい。彼女がフェリスに対して抱く不満は、常識に縛られた自分自身に対する不満だ。それは、単なる嫉妬と羨望の裏返しに過ぎない。彼女が我慢して学校へ行くのは彼女の選択であり、フェリスのズル休みとは何ら関係がない。他人のモラルをいちいち批判する人が増えている昨今、これは胸に留めておかねばならない教訓だろう。

これは、いつの時代も人々が感じる自由への渇望を、お茶目で痛快な青春コメディとして仕立てたファンタジーだ。現実にはありえないからこそ愛おしい。キュートでお茶目なマシュー・ブロデリックも素敵だが、そんな彼に刺激されて自分の殻を破ろうとする真面目な坊ちゃんキャメロンを好演するアラン・ラックも魅力的だ。憎々しいけどちょっと可哀想な校長を演じるジェフリー・ジョーンズの怪演も出色だし、ボリュームアップした髪の毛の中に幾つもペンを隠し持った秘書グレイス役のイーディ・マックルーグも抱腹絶倒。ジニー役のジェニファー・グレイも絶妙なコメディエンヌぶりを披露してくれる。

評価(5点満点):★★★★★

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:5.1ch Dolby TruHD(英語)・2.0ch Dolby Surround(フランス語)・Dolby Mono(スペイン語)/言語:英語・フランス語(吹替)・スペイン語(吹替)/字幕:英語・英語(SDH)・フランス語・スペイン語・ポルトガル語/地域コード:ALL/時間:103分/発売元:Paramount (2011)
特典:キャスティング秘話「Getting the Class Together」(約28分)/メイキング・ドキュメンタリー(約15分)/フェリスって何者?(約9分)/ベン・スタインの世界(約11分)/未公開映像(Vintage Ferris Bueller: The Lost Tapes」(約10分)/フォトギャラリー「Class Album」


by nakachan1045 | 2016-08-11 15:47 | 映画 | Comments(0)

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