なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「必殺の用心棒」 Sugar Colt (1966)

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監督:フランコ・ジラルディ
製作:フランコ・チッタディーニ
   ステニオ・フィオレンティーニ
原案:サンドロ・コンティネンザ
   アウグスト・フィノッキ
   ジュゼッペ・マンジョーネ
脚本:フェルナンド・ディ・レオ
   フランコ・ジラルディ
   サンドロ・コンティネンザ
   アウグスト・フィノッキ
   ジュゼッペ・マンジョーネ
撮影:アレハンドロ・ウロア
編集:ルッジェロ・マストロヤンニ
音楽:ルイス・エンリケ・バカロフ
出演:ハント・パワーズ(ジャック・ベッツ)
   ソレダード・ミランダ
   ジュリアン・ラファーティ(ジュリアーノ・ラファエッリ)
   ジェニー・オーク(ジーナ・ロヴェーレ)
   ジェームズ・パーカー(エルノ・クリサ)
   ジョルジュ・リゴー
   ナザレーノ・ザンペルラ
イタリア・スペイン合作/106分/カラー作品





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<あらすじ>
1866年のニューメキシコ。南北戦争の終結が終了し、故郷へ帰る途中だった北軍第3旅団に所属する100人の兵士が、何者かによって襲撃される。およそ30人は拉致され、残りの者たちは殺害された。
それから1年後、女性のために護身用の拳銃使いを教えるトム・クーパー(ハント・パワーズ)のもとへ、探偵社を営む伯父ピンカートン(ジョルジュ・リゴー)が訪れる。伯父は行方不明になった兵士たちがまだ生きていると考えていた。というのも、そのうちの一人の父親である裕福な知人のもとに、身代金を要求する手紙が届いたからだ。
恐らく、他の親のもとにも同様の手紙が届いているだろう。調べたところ、第3旅団がたどった経路から外れた場所にあるマムシ谷という小さな町が怪しい。そこを調査するのに協力して欲しいというのだ。実は、もともとトムはコードネームをシュガー・コルトという有能な諜報員で拳銃の名手だった。しかし、スパイ稼業からは足を洗ったことから、彼は伯父の頼みを断る。
ところが、その直後に伯父は暗殺者によって殺されてしまった。復讐を誓ったトムは、しがない旅回りの医者としてマムシ谷を訪れ、鉄火肌の女主人ベス(ジーナ・ロヴェーレ)が経営する酒場で部屋を借りる。ベスの姪ジョセフィン(ソレダード・ミランダ)は、身元の知れぬトムのことを怪しみつつも惹かれるのだった。
町を牛耳るのはハールブルック少佐(ジュリアーノ・ラファエッリ)。一見すると物腰の柔らかい中年紳士の少佐だが、陰では部下のヤンガー(エルノ・クリサ)を使って住民を恐怖で支配していた。そして、北軍兵士たちを拉致した張本人も彼。裕福な家庭の子息だけを集めて監禁し、その家族から身代金をせしめようとしていたのだ。
呑気な医者のふりをして町の様子を探りつつ、兵士たちの監禁場所を探すトム。そんな彼のことを少佐一味も怪しむ。果たして、トムは囚われた若者たちを無事に解放することができるのか…?

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'60年代に世界的な大ブームを巻き起こしたイタリア産西部劇=マカロニ・ウエスタン。その立役者であるクリント・イーストウッドの大成功に誘発され、ハリウッドでくすぶっている多くの若手無名俳優がイタリアへ大挙して押し寄せ、次々にマカロニ・スターとして売り出されたわけだが、これはその中の一人ハント・パワーズ(本名ジャック・ベッツ)の主演作である。

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ノリとしては西部劇×スパイ・アクション。'60年代は「007」シリーズに代表されるスパイ映画がブームになった時代でもあったわけだが、本作は明らかにそれを意識している。といっても、スパイ映画風マカロニ・ウエスタンは本作以外にも数多い。その代表例といえば、なんといっても「サルタナがやって来る/虐殺の一匹狼」('71)を含む、アンソニー・アスコットことジュリアーノ・カルニメオ監督による一連のサルタナ・シリーズ。荒唐無稽なガジェットの数々、アクロバティックで軽妙洒脱なアクション、お色気たっぷりのセクシー美女など、まさにユーロ・スパイ・アクションの系譜に属する西部劇だった。

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で、本作はどうかというと、主人公トム・クーパーがアメリカ合衆国の元凄腕諜報員という設定のもと、かなりスパイ物要素を全面に押し出してはいるものの、いまひとつ開き直りが足りないように感じる。要するに、マカロニ・ウエスタンというフォーマットから抜けきれていないのだ。なので、トムが元スパイという設定がなければ、よくある平凡なイタリア式西部劇。まあ、強いて言うならば、大勢の兵士をまとめて拉致して身代金を要求するという敵方のやり口は珍しい。なので、悪党一味と兵士たちが入り乱れるクライマックスの銃撃戦は、他のマカロニ・ウエスタンとは一味違うスペクタクルが楽しめる。そこはまずまずの見どころだ。

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また、主人公トムのキャラクターが2枚目半の洒落者として設定されており、コミカルな要素が強いのも特徴といえば特徴かもしれない。ま、この頃にはコメディ調の軽妙なマカロニも少しづつ増えていたので、本作ならではのオリジナリティだとは決して言えないのだが。演じるハント・パワーズもひょろっとした優男で、どちらかというとコワモテの多いマカロニ俳優の中では異色の存在。マカロニ・ブーム終焉後もしばらくはイタリアで活動していたが、'80年代以降はハリウッドに戻って芸名も本名のジャック・ベッツに戻し、サム・ライミ版「スパイダーマン」('02)にも顔を出していた。

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注目なのはヒロイン役のスペイン女優ソレダード・ミランダ。後にジェス・フランコ監督作品のミューズとなるセクシー美女だが、本作ではまだ可憐な娘役時代の彼女を見ることができる。ただ、主人公トムとのロマンス的な絡みが殆どないのは残念。スパイアクション路線ということであれば、当然ながらボンド・ガール的な役回りを期待してしまうところだが、お色気の「お」の字もないのは片手落ちだろう。

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また、トムの伯父としてピンカートンを出してきたことも興味深い。ピンカートンといえば、アメリカで最古の探偵社「ピンカートン探偵社」の創立者でもある実在の探偵。もちろん、彼にトム・クーパーなる甥がいた事実はないし、悪人に殺されて死んだわけでもないのだけれど(笑)。なお、演じている俳優ジョルジュ・リゴーは南米アルゼンチンの出身で、'30年代にフランス映画の二枚目スターとして人気を博し、一時期はハリウッドでも活躍したことのある人物。戦後はスペインへと拠点を移し、イタリアでも数多くのマカロニ・ウエスタンやジャッロなどに出演した名優だ。

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そのほか、ジェニー・オークの名前で酒場の女主人ベスを演じているジーナ・ロヴェーレは、「ライフ・イズ・ビューティフル」('97)にも出ていた脇役女優。ハールブルック少佐の片腕ヤンガー役のエルノ・クリサ(クレジットではジェームズ・パーカー)は、フランス映画「チャタレイ夫人の恋人」('55)で大女優ダニエル・ダリューの相手役を演じていた往年の2枚目スターで、これが遺作となった。なお、記録によると本来の上映時間は106分らしいが、日本を含めて多くの国でリリースされているDVDは97分である。

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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:日本語/地域コード:2/時間:97分/発売元:オルスタックソフト(2015)
特典:なし


by nakachan1045 | 2016-08-24 00:16 | 映画 | Comments(0)

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