なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「狂った蜜蜂」 Orgasmo (1968)

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監督:ウンベルト・レンツィ
製作:サルヴァトーレ・アラビソ
原案:ウンベルト・レンツィ
脚本:ウーゴ・モレッティ
   ウンベルト・レンツィ
   マリー・クレール・ソレヴィル
撮影:グリエルモ・マンコリ
美術:ジョルジョ・ベルトリーニ
編集:ダニエレ・アラビソ
音楽:ピエロ・ウミリアーニ
出演:キャロル・ベイカー
   ルー・カステル
   コレット・デコーム
   ティノ・カラーロ
   リラ・ブリニョーネ
   フランコ・ペスチェ
イタリア・フランス合作/93分/カラー映画





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<あらすじ>
大富豪の夫が亡くなったことで5億ドルとも言われる財産を相続した未亡人キャスリン(キャロル・ベイカー)は、マスコミや夫の親戚に追い掛け回されるニューヨークを逃れて、ローマ郊外の豪邸へとやって来る。管財人ブライアン(ティノ・カラーロ)が気をきかせ、メイドのテレサ(リラ・ブリニョーネ)に準備をさせていた。ここで彼女は、静かな生活を送るつもりだった。
そんなある日、車の故障で立ち往生したという若者ピーター(ルー・カステル)が屋敷を訪れる。若くて自信に満ちたピーターに惹かれたキャスリンは、たちまち彼の肉体の虜となってしまう。
あえてつれない態度を取ることで、プライドの高いキャスリンを翻弄するピーター。そんな彼に夢中になっていくキャスリン。やがて、広い屋敷にテレサと2人きりという寂しさや不安を抱いた彼女は、ピーターを自宅に住まわせることにする。
すると、それから数日後、ピーターの妹と名乗る若い娘エヴァ(コレット・デコーム)がやって来る。自由奔放な若い2人に囲まれ、まるで女王様のようにチヤホヤされ、自分もまた若返ったかのごとく有頂天となるキャスリン。しかし、実はピーターとエヴァは兄妹ではなく恋人同士だった。
言葉巧みにキャサリンを肉欲に溺れさせ、さらにはアルコールとドラッグ漬けにしていくピーターとエヴァ。メイドのテレサも庭師も解雇され、キャスリンは屋敷で監禁状態となってしまう。逃げようとすればムチで打たれ、次第に精神を病んでいくキャスリン。ピーターとエヴァは、そんな彼女から財産を奪おうと画策するのだが…。

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プロデューサーや映画会社とのいざこざからアメリカを脱出し、'67年からイタリアに拠点を移すことになった大物ハリウッド女優キャロル・ベイカー。イタリア産B級娯楽映画の巨匠ウンベルト・レンツィと組み、当時ブームになりつつあった猟奇ホラー映画=ジャッロに立て続けて主演するわけだが、その第一弾が本作「狂った蜜蜂」だった。

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厳密にはジャッロというよりもエロティック・サスペンス。お金と時間を持て余した寂しい年増の未亡人が、年甲斐もなく若い男にのめり込んでしまったことから、文字通り生き地獄のような悪夢を経験する羽目になるわけだ。

もともと気位が高くて、自分の容姿にも自信を持っている主人公キャスリン。そんな彼女の自尊心をくすぐる邪な若者ピーターとエヴァ。とりあえず、私なんてもうオバサンだし…などと謙遜してみせるキャスリンだが、いや、ぜーぜん若く見えますよ、あなたみたいに美しく生まれたかったわ、若い小娘なんかより大人の女性の方が素敵っすよ…などなど、これでもかと若い2人にチヤホヤされ、すっかりその気になってしまう。まだまだ私もイケてるわと。

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で、そこからが地獄巡りの始まりとなるわけだ。まるで勘違いしてのぼせ上がったオバサンを罰するかのごとく、若くて残酷な2人は、キャスリンの精神も肉体もプライドもズタボロになるまで虐め抜いていく。そのサディスティックで執拗なこと!情け容赦がないとはまさにこのことだ。なにしろ、彼らにしてみれば財産を横取りするためキャスリンを自殺に追い込まねばならない。泣き叫び怯えながら絶望の淵で狂っていくキャスリンも哀れだが、なによりも残酷なゲームを楽しむかのように彼女をいたぶるピーターとエヴァが恐ろしい。

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あらゆるジャンルの娯楽映画を手掛けたウンベルト・レンツィ監督は、中でもハードなバイオレンス・アクションやグロテスクな食人族映画で名高い。あえて観客の神経を逆なでするような題材や演出はお手のものだ。そのある種の意地の悪さは、本作でも遺憾なく発揮されている。恐らく、かなり不愉快に感じる向きも少なくなかろう。だが、それこそまさにレンツィ監督の思うツボである。しかも、ハッピーエンドとは程遠い後味の悪さ。主人公にも悪人にも逃げ道など用意しない。全員が破滅への道をまっしぐら。その潔さ(?)が逆に清々しい。

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フルヌードのベッドシーンから半狂乱の絶叫シーンまで、文字通り体当たりの大熱演を繰り広げるキャロル・ベイカー。さすがに終盤のげっそりメイクは不自然にもほどがあると思うが、それでもよくぞここまでやりましたという感じだ。これで吹替えも本人の声だったら良かったのだろうけど。やはり、昔のイタリア映画は粗雑なアフレコが難点であることが多い。

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さらに、マルコ・ベロッキオの傑作「ポケットの中の握り拳」('65)の家族を皆殺しにする鬱屈した若者役で絶賛され、当時のいわゆる反体制的な危うい若者像を象徴する存在だったルー・カステルが、サディスティックで残酷なピーターを演じているのも興味深いキャスティング。エヴァ役のコレット・デコームはフランスの女優だが、当時はジャッロやソフトポルノなどのイタリア産娯楽映画への出演が多かった。メイドのテレサ役を演じているのは、「激しい季節」('59)や「太陽はひとりぼっち」('62)が印象的だった名脇役女優リラ・ブリニョーネだ。

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また、映像的に洗練されているとは言い難い作品の多いウンベルト・レンツィ監督だが、本作ではミケーレ・ルーポ監督とのコンビで知られるカメラマン、グリエルモ・マンコリが撮影監督を担当している。マンコリとはその後も「殺意の海」('70)や「スパズモ」('74)などの名作ジャッロでもタッグを組んでおり、恐らく本作のビジュアル的な美しさは彼の功績が大きいのではないかとも思える。

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そして、サイケなガレージロック色の強いお洒落な音楽スコアを手がけたのは、あの名曲「マナマナ」でも有名なイタリア映画界の誇るファンキー帝王ピエロ・ウミリアーニ。同じテーマ曲が何度も何度も繰り返し流れるのは少々しつこいが、まあ、とりあえずカッコイイので許す(笑)。

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評価(5点満点):★★★★☆

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参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)※レターボックス収録/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:2/時間:93分/発売元:ジェットリンク
特典:フォトギャラリー



by nakachan1045 | 2016-08-28 01:53 | 映画 | Comments(0)

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