なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「甘く危険な女」 Cosi dolce...cosi perversa (1969)

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監督:ウンベルト・レンツィ
製作:ジャック=ポール・ベルトラン
   ミーノ・ロイ
   ルチアーノ・マルティーノ
製作総指揮:セルジョ・マルティーノ
原案:ルチアーノ・マルティーノ
脚本:エルネスト・ガスタルディ
   マッシモ・ダヴァック
撮影:グリエルモ・マンコリ
編集:ダニエレ・アラビソ
音楽:リズ・オルトラーニ
出演:キャロル・ベイカー
   ジャン=ルイ・トラティニャン
   エリカ・ブラン
   ホルスト・フランク
   ヘルガ・リーネ
   エルメリンダ・デ・フェリーチェ
   ジョヴァンニ・ディ・ベネデット
   ベリル・カニンガム
イタリア・フランス・西ドイツ合作/92分/カラー作品





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<あらすじ>
舞台はパリ。リッチでハンサムな実業家ジャン・レノ(ジャン=ルイ・トラティニャン)と美しい妻ダニエル(エリカ・ブラン)は、一見すると理想のカップル。しかし夫婦仲は冷え切っており、ジャンは友人ヴァルモンの妻エレーヌ(ヘルガ・リーネ)と不倫関係にあった。ダニエルも夫の浮気を半ば公認している。
ある日、彼らが暮らす高級マンションの上階に、ニコール(キャロル・ベイカー)というブロンドの美女が引っ越してくる。彼女を一目見て惹かれたジャンは、やがてニコールと深い仲になる。だが、彼女にはクラウス(ホルスト・フランク)という乱暴で嫉妬深い恋人がいた。
ほどなくして、ニコールは衝撃的な秘密を告白する。彼女がマンションに越してきたのは、最初からジャンを嵌めるための罠だったというのだ。クラウスはある人物から2万ドルでジャンの殺害を依頼され、彼の命令に逆らえないニコールは嫌々ながらおとりになったという。今やニコールを本気で愛するようになったジャンは、彼女を救うためにも雇い主を特定してクラウスの尻尾を掴もうとする。
怪しいのは友人ヴァルモン。彼には多額の資金を融資しているものの、ビジネスが上手く回っていないためか、返済が滞っているのだ。その上、ジャンは彼の妻を寝とっている。命を狙われてもおかしくはない。
そんなある晩、ニコールから助けを求める電話を受け取ったジャンは、彼女の部屋でクラウスと乱闘を繰り広げる。物音を聞いて駆けつけたダニエル。ジャンはあえなくクラウスに殺されてしまった。
事故死に見せかけてジャンの死体を始末したクラウス。実は、レズビアンの関係にあったニコールとダニエルが結託し、クラウスを雇ってジャンの殺害を計画していたのだ。ところが、彼女たちの周囲で奇妙な出来事が続き、罪悪感に苛まれるダニエルはジャンがまだ生きているのではないかと怯える…。

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キャロル・ベイカー主演、ウンベルト・レンツィ監督のコンビによるジャッロ・シリーズ第2弾。前作の「狂った蜜蜂」では罠にはめられる哀れな女を演じたキャロルだが、今度は一転して、男だろうと女だろうと関係なく妖艶な美貌で惹きつけ、巧みに手のひらの上で転がすセクシーなファム・ファタールに挑んでいる。

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中盤あたりでなんとなくオチは見えてしまうものの、それでもそこへたどり着くまでの描写は細部まで入念に計算されている。クラウスにジャン殺しを依頼したのは友人のヴァルモンなのか、それとも実はダニエルなのか。ニコールはクラウスに強要されているのか、それとも裏で手を組んでいるのか。殺されたはずのジャンは生きているのか、それとも本当に死んだのか。細かなディテールを散りばめながら、どちらとも解釈できるような描写を積み重ねることで、しっかりと観客の目を欺いていく。

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まあ、ニコールとダニエルが同性愛の関係にあったという展開は、ちょっとばかり唐突で強引な印象を受けるものの、夫ジャンとニコールの不倫関係に動揺を隠せなかったダニエルが、後になってみればどちらに対して嫉妬していたのだろうか…?と観客にあれこれと想像させ、三角関係のドラマに奥行を持たせる効果は十分にある。そういう意味では決して悪いアイディアではない。もちろん、当然ながら商業映画としてスキャンダラスな話題性を狙うという意図もあったはずではあるけれど。いずれにせよ、二点三転する複雑なストーリーを丁寧にまとめあげた脚本は、ジャッロ映画の立役者とも言うべき名脚本家エルネスト・ガスタルディの功績に依るところが大きいように思う。

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とはいえ、正面切っての同性愛シーンがあるわけではないし、エロティックな描写もそれほど露骨ではない。せいぜいキャロル・ベイカーの後ろ姿の全裸と、エリカ・ブランの僅かなトップレスくらい。当時としては大胆だったかもしれないが、今となってはだいぶ控えめなもの。イタリア映画の性描写が過激になるのは'70年代に入ってからのことだ。

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撮影監督は前作に引き続いてグリエルモ・マンコリ。赤と青の原色をキーカラーとして随所に使用し、時にサイケデリックなムードも漂わせたスタイリッシュな映像を堪能させる。巨匠リズ・オルトラーニによる甘く官能的な音楽スコアも、アダルトでゴージャスなムードを漂わせて魅力的。また、シャープで無駄のないリズミカルな編集は、セルジョ・レオーネ御用達だったダニエレ・アラビソの仕事だ。

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また、今回はキャロル・ベイカーの共演者としてジャン=ルイ・トラティニャンを起用したことも功を奏している。そのクールな佇まいが自ずと知性やドラマを醸し出すフランスのトップスター。当時はティント・ブラスの「危険な恋人」('68)やセルジョ・コルブッチの「殺しが静かにやってくる」('68)など、イタリア産娯楽映画にも数多く出ていたのだが、彼がスクリーンに姿を見せるだけで作品の格が1ランクも2ランクもアップする。ジョージ・ヒルトンやジャコモ・ロッシ・スチュアートでは、とてもこうはいかなかっただろう。

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さらに、イタリアの誇るカルト系セクシー女優エリカ・ブランも、もう一人のヒロインとして、キャロル・ベイカーの向こうを張る大熱演を見せてくれる。後に舞台を経て、'00年代以降は名脇役女優として不死鳥のごとく復活を遂げた彼女だが、この当時からずば抜けた演技力の持ち主だったことがよく分かる。初登場シーンからいきなりトップレスのヌードを披露しているが、その脱ぎっぷりの良さが足枷となって、当時は正当な評価を得ることができなかったのだ。個人的には、これまたカルトな人気を誇るスペインのグラマー女優ヘルガ・リーネの出演も嬉しい。

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なお、見るからに怪しげなDV男クラウス役のホルスト・フランクは、当時イタリアのスパイ映画やマカロニ・ウエスタンの悪役として引っ張りだこだったドイツ人俳優。「ドリアン・グレイ/美しき肖像」('70)など、当時のイタリア産B級映画で脱ぎ要員だった黒人女優ベリル・カニンガムが、本作でもパーティ・シーンでストリップを披露している。

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評価(5点満点):★★★☆☆

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参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:2/時間:89分/発売元:ジェットリンク
特典:フォトギャラリー


by nakachan1045 | 2016-08-30 00:56 | 映画 | Comments(0)

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