なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「殺意の海」 Paranoia (1970)

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監督:ウンベルト・レンツィ
製作:ブルーノ・ボロネージ
原案:マルチェッロ・コスチア
   ラファエル・ロメロ・マルシェント
脚本:マルチェッロ・コスチア
   ブルーノ・ディ・ジェロニモ
   ラファエル・ロメロ・マルシェント
   マリー・クレール・ソレヴィル
撮影:グリエルモ・マンコリ
音楽:グレゴリオ・ガルシア・セグーラ
テーマ曲:ピエロ・ウミリアーニ
出演:キャロル・ベイカー
   ジャン・ソレル
   アンナ・プロクレメール
   ルイス・ダヴィラ
   マリーナ・コッファ
   リズ・ハルヴォルセン
   アルベルト・ダルベス
   ヒューゴ・ブランコ
イタリア・スペイン・フランス合作/94分/カラー作品





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<あらすじ>
有名な女性カーレーサーのヘレン(キャロル・ベイカー)は練習中に事故を起こして入院するものの、退院後に手術費などすべてが支払われていたことを知って驚く。さらに、まるで示し合わせたかのように前夫モーリス(ジャン・ソレル)から電報が届く。それはマヨルカ島の自宅への招待だった。モーリスに財産を食い潰された上に捨てられ、無一文からカーレーサーとしてのし上がった過去のあるヘレンは、今さらモーリスに会いたいとは思わなかったが、なぜか気になってマヨルカへと向かう。
彼女を呼び寄せたのは、実はモーリスではなく彼の現在の妻コンスタンス(アンナ・プロクレメール)だった。前夫との間にティーンの娘スーザン(マリーナ・コッファ)を持つコンスタンスは裕福な資産家。金目当てに結婚したことを隠そうともしないモーリスに愛憎入り混じる感情を抱く彼女は、同じく彼に傷つけられたヘレンに夫の殺害計画を持ちかける。
友人のドゥシャム判事(ルイス・ダヴィラ)夫妻やウェッブ医師(アルベルト・ダルベス)夫妻らと共に、ヨット遊びへ出かけたモーリスたち。ヘレンとコンスタンスは船上でモーリスを殺そうとするものの、もみ合いになった挙句にコンスタンスがモーリスに殺されてしまう。慌てたヘレンはモーリスから言われるがままに協力し、事故に見せかけてコンスタンスの遺体を海へ捨てる。
コンスタンスの死は事故として処理され、遺体は見つからないままとなった。しかし、母親の死因に納得の行かないスーザンは、ヘレンとモーリスに疑いの目を向け始める…。

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キャロル・ベイカー&ウンベルト・レンツィ監督のコンビによるジャッロ・シリーズ第3弾。本作の次に撮った「声なき殺人者」('72)が最後のコンビ作となるわけだが、この4本を並べてみると、作品を追うごとにクオリティが落ちてきているように感じる。さしずめ「狂った蜜蜂」と「甘く危険な女」は佳作、「殺意の海」は凡作、「声なき殺人者」は失敗作といったところか。いずれにせよ、本作は可もなく不可もなくの平凡なサスペンスという印象だ。

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財産目当ての横暴な男を2人の女性が殺そうとするという設定は明らかに「悪魔のような女」('55)、南欧の眩しい太陽の下のヨットで展開する殺人は「太陽がいっぱい」('60)を意識しているのだろう。結局、ハンサムなマスクと屈託のない笑顔と甘い言葉で女性を虜にする、正真正銘の女たらしモーリスにヘレンもコンスタンスも、そればかりかスーザンまでもがいいように振り回され、殺害計画はどんどん思わぬ方向へと転がっていく。その筋書き自体は悪くないのだが、スーザンとモーリスが結託してヘレンを陥れようとする辺りからの展開はさすがに無理がある。成り行き任せにもほどがあるだろうと。

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原案と脚本に携わったマルチェッロ・コスチアは「血ぬられた墓標」('60)や「悪魔の墓場」('74)などのホラー映画で知られる脚本家、スペイン出身のラファエル・ロメロ・マルシェントはマカロニ・ウエスタンの監督だが、心理描写や辻褄よりもどんでん返しの仕掛けを重視しすぎた嫌いがある。レンツィ監督の演出にも、前作までのようなパワーやエッジ感が欠けているように思える。

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一方で、舞台となるマヨルカ島の優雅で華やかなリゾート感、地中海を見渡せる断崖絶壁の上に立つ大豪邸のゴージャスな景観やインテリアなどは素晴らしい。いやあ、一生に一度でいいからこんな世界に足を踏み入れてみたいもんだと思わせられる。逆に言うと、そうしたロケーションやセットの美しさに頼りがちな点は否めないだろう。

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また、いつも以上にキャロル・ベイカーの脱ぎっぷりの良さも際立っている。全裸のシャワーシーンやベッド・シーンも盛りだくさん。共演のアンナ・プロクレメールやマリーナ・コッファの肌の露出度が極めて低い分、主演のベイカーが頑張っていますという感じだ。その点では、ファンなら大満足かもしれない。

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モーリス役にジャン・ソレルというのもナイスなキャスティング。ヴィスコンティの「熊座の淡き星影」('65)やブニュエルの「昼顔」('67)で有名なフランスの二枚目スターだが、そりゃこの顔で微笑まれたらどんな女もイチコロだろうね、と思わせるに十分なくらいのイケメン。ベイカーとは「デボラの甘い肉体」('67)に続いて2度目の共演ということもあってか、当時としては大胆なベッドシーンでも息のあった絡みを見せている。

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ヘレンに夫殺しの共謀を持ちかけるコンスタンス役のアンナ・プロクレメールは、日本ではあまり馴染みのない女優だが、イタリアでは舞台女優として大変有名だった人。映画出演は極めて少ないものの、ロベルト・ロッセリーニ監督の「イタリア旅行」('54)にも顔を出しており、晩年にはイタリア版ゴールデン・グローブ賞であるシルバー・リボン賞の名誉賞を授与されている。実に16年ぶりとなる映画出演になぜ本作を選んだのかは定かでないが、次から次へと豪華なドレスを身にまとうリッチな女性役を楽しんで演じているという印象だ。

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その娘スーザン役のマリーナ・コッファも映画出演の極めて少ない女優。というか、本作を含めてたった3本の映画しか残していない。しかも、本作の次に出演した元アメフト選手ジョン・ネイマス主演の西部劇「The Last Rebel」('71)でハリウッド進出しておきながら、それっきりプッツリとキャリアが途絶えているのだ。若い頃のマーゴット・キダーにソックリな人で、特に目力の強さが印象に残る。その後の消息が気になる人だ。

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評価(5点満点):★★★☆☆

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参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:2/時間:90分/発売元:ジェットリンク
特典:フォトギャラリー


by nakachan1045 | 2016-09-02 13:44 | 映画 | Comments(0)

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