なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「課外授業」 Lezioni private (1975)

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監督:ヴィットリオ・デ・システィ
製作:エンツォ・ドリア
脚本:ヴィットリオ・デ・システィ
   パオロ・ブリゲンティ
撮影:マリオ・マシーニ
音楽:フランコ・ミカリッツィ
出演:キャロル・ベイカー
   ロサリーノ・チェラマーレ
   レオノーラ・ファニ
   カルロ・ジュッフレ
   レオポルド・トリエステ
   レンツォ・モンタニャーニ
   フェミ・ベヌッシ
   エミリオ・ロクルチオ
イタリア映画/95分/カラー作品




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<あらすじ>
風光明媚なイタリアの田舎町に、一人のアメリカ人女性がやって来る。ピアノ教師のローラ・フロメンティ(キャロル・ベイカー)だ。ピアニストを目指して音楽学校に通うアレッサンドロ(ロサリーノ・チェラマーレ)は、美しく成熟した年上の彼女の一目ぼれしてしまう。だが、ローラはそんな彼に同年代の女の子に興味を向けるようアドバイスをするのだった。
親友ガブリエル(エミリオ・ロクルチオ)の妹エマヌエラ(レオノーラ・ファニ)と次第に接近していくアレッサンドロだったが、しかしローラへの想いは募るばかり。事情を知らない母親はレッスンに身の入らない息子を心配し、ローラに個人レッスンを依頼する。
一方、アレッサンドロの恋心を知ったガブリエルはローラを自宅まで尾行し、彼女の着替え姿や自慰行為などを盗撮。それを本人のもとへ持ち込んでローラを脅迫する。ガブリエルから言われるがまま、生徒たちの前で屈辱的な行為を強要されるローラ。実はガブリエルはアレッサンドロに恋をしており、ローラへの嫉妬から彼女を陥れたのだった…。


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ジャッロ映画の衰退した'70年代半ば。同ジャンルの女王だったキャロル・ベイカーが次に取り組んだのは、これまた当時のイタリア映画で定番ジャンルだった“童貞喪失物”。思春期の少年が年上の熟女に性の指南をしてもらい、大人への階段をのぼり始めるという青春映画ならぬ性春映画である。

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このジャンルのルーツはフランス映画「個人教授」('68)とされているが、ことイタリア映画においては、ラウラ・アントネッリ主演の「青い体験」('73)が原点だと言えよう。イタリアならではの大らかで大胆なセックス描写は、ロマンティックで叙情的な「個人教授」とは明らかに異質だった。カラっとしたユーモアに濃厚で赤裸々なお色気。今のようにアダルトビデオなど気軽に見ることのできない時代、それは青少年にとって最も手の届きやすいズリネタでもあったわけだ。それも万国共通の(笑)。アントネッリをスターダムに押し上げた「青い体験」は大ヒットしてシリーズ化され、さらにはエドウィージュ・フェネッシュ主演の「青い経験」('74)シリーズなどの類似作品も続々と登場。そんなにわかブームにキャロルも便乗したというわけだ。

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そうしたイタリア産性春映画群の中では後発組に入る本作。ストーリーは本当に他愛がないというか、いわゆる童貞喪失物の定番中の定番である“年上の色っぽい女教師にムラムラする男子生徒の悶々とした日々”を描く学園ドラマである。例によって例のごとく(?)、一見すると控えめな女教師は無自覚にセックスアピールを垂れ流し、純朴な童貞男子の性的妄想を刺激しまくる。ただ、本作のアレッサンドロ君が「青い体験」のニーノなんかと違うのは、けっこう真面目な優等生であるということ。だいたいこの手の映画に出てくる童貞男子といえば、日頃からHな妄想で頭がいっぱい、早くセックスがしたくてたまらない性欲の塊みたいなのが多いのだが、アレッサンドロ君は純粋にローラを崇拝して憧れている繊細な若者なのだ。演じるのはロサリーノ・チェラマーレ。イタリアではロンという芸名で有名なカンツォーネのシンガーソングライターだ。いかにもシャイで奥手な雰囲気がとてもいい。好感度の高い童貞男子だ。

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で、そんな彼に秘かに恋している…つまりクローゼット・ゲイの親友ガブリエルが、嫉妬のあまりアレッサンドロの恋路を邪魔しようとする。これはちょっと新鮮な展開ではあるが、しかしこれを例えば同級生の女の子に置き換えると、まあ、ありがちと言えばありがちな設定かもしれない。工夫は凝らしていると思うけれどね。確かに、恥ずかしい盗撮写真を使ってローラを脅迫し、公衆の面前で恥辱的な行為をさせることで、彼女に恋焦がれるアレッサンドロを幻滅させようという作戦は、男であるガブリエルだからこそ実行に移すことが出来るのだろうし。演じているエミリオ・ロクルチオは「サハラ・クロス」('78)でテロリスト役をやっていたが、他ではあまり見たことのない役者だ。

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ただ、そんなわりと凡庸なストーリーを補っているのが、全編を包み込む叙情的で美しいビジュアルと個性的な脇役キャラの面白さだ。ロケ地は観光地としても有名なイタリア中部の古都オルヴィエート。中世の建築物が並ぶ緑溢れる街並みはなんともロマンティックだ。そんなロケーションの魅力を存分に活かした流麗なカメラワークも魅力。これは当時タヴィアーニ兄弟もご贔屓だったカメラマン、マリオ・マシーニの功績だろう。

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さらに、町のあちこちに出没しては女性や子供にコートの下の裸を見せて回る露出狂の男(レオポルド・トリエステ)、繊細な息子を下ネタで困らせる少々無神経だけど気のいいアレッサンドロの父親(カルロ・ジュッフレ)、美女と美食をこよなく愛するアレッサンドロの叔父さん(レンツォ・モンタニャーニ)、その叔父さんのメイドで自由奔放なお色気美女ロジータ(フェミ・ベヌッシ)など、ストーリーの本筋とは殆ど関係のないキャラクターが続々と登場し、しかも彼らがことごとく面白かったりする。「イタリア式離婚狂想曲」('61)から「ニューシネマ・パラダイス」('89)まで、イタリアの名作・傑作には欠かせない名脇役レオポルド・トリエステ、ロベルト・ベニーニの「ピノッキオ」('02)のジュゼッペじいさん役でも知られるカルロ・ジュッフレ、'60~'70年代のイタリア産B級娯楽映画でお馴染みのお色気要員フェミ・ベヌッシなど、賑やかなキャスト陣も見どころだ。

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そして、相変わらず豊満な肉体を惜しげもなく披露しまくるキャロル・ベイカー。見たところお堅いオールドミスのピアノ教師ローラだが、教育ママのもと音楽の道へ進むために青春を捧げたため、今でも時々どうしても肉欲の虫が疼いてしまうというムッツリスケベなオバサマだ(笑)。電車の中でついつい男の視線を意識して胸を揉んじゃったり、自宅では夢中でマスターベーションに耽っちゃったり。しかもガブリエルに強要され、ノーブラのままシースルーのブラウスで生徒たちの前に立たされたり、教壇の上でスカートのまま大股開きしたり、挙句の果てにはアレッサンドロとガブリエルに腋毛を剃られた上に全裸で晒し者にされたりと、ちょっとフェチの入った陵辱的エロシーンにもチャレンジしている。また、フェミ・ベヌッシも一瞬ではあるがヌードシーンを披露している。

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さらに、'70年代のユーロエロス好きにとって見逃せないのは、ガブリエルの妹でアレッサンドロと恋仲になる美少女エマヌエラを演じているレオノーラ・ファニ。日本では増村保造がイタリアで撮ったソフト・ポルノ「エデンの園」('80)のヒロイン役で有名だろう。童顔の可愛らしい顔と脱ぎっぷりの良さのギャップが魅力で、ジャン=ルイ・トラティニャン&カトリーヌ・ドヌーヴの大物コンビと共演したフランス映画「ヘルバスター」('75)や超過激なスプラッターシーンで悪名高い「Giallo a Venezia」('69)などで当時売れっ子だったが、残念ながら日本公開された作品は非常に少ない。

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なお、監督のヴィットリオ・デ・システィは主にハレンチ系モンド・ドキュメンタリーやソフトポルノを手がけたB級職人監督。そのフィルモグラフィーの大半が日本未公開だ。アゴスティナ・ベッリ主演の「Quando l'amore Sensualita」('73)は家庭内レイプや近親相姦にグループセックスなど、現代社会のモラルの退廃を過剰気味に描いたセンセーショナルな問題作だった。イタリア映画界の永遠の反逆児マルコ・ベロッキオの助監督だったらしいが、なんとなく分かる気はする。ま、本作に限ってはその片鱗は殆どないのだけれどね。

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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(イギリス盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード:2/時間:88分/発売元:Cornerstone Media (2011)
特典:なし


by nakachan1045 | 2016-09-10 23:59 | 映画 | Comments(0)

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