なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ダークナイト」 Dark Night of the Scarecrow (1981)

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監督:フランク・デ・フェリッタ
製作:ボビー・フランク
原案:J・D・フェイゲルソン
   バトラー・ハンドコック
脚本:J・D・フェイゲルソン
撮影:ヴィンセント・マルティネリ
美術:チャールズ・M・ザッカ・ジュニア
音楽:グレン・パクストン
出演:チャールズ・ダーニング
   ロバート・F・ライオンズ
   クロード・アール・ジョーンズ
   レーン・スミス
   トーニャ・クロウ
   ラリー・ドレイク
   ジョセリン・ブランド
アメリカ映画(テレビムービー)/96分/カラー作品





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<あらすじ>
アメリカ南部の田舎で年老いた母親(ジョセリン・ブランド)と2人で暮らす知的障害者ババ(ラリー・ドレイク)は、体格こそ大きいものの純粋で心優しい男性だったが、閉鎖的な村社会ではなにかと偏見の目に晒されていた。中でも、差別的で傲慢な郵便局員オーティス(チャールズ・ダーニング)は、ババのことを地域の厄介者として忌み嫌い、放っておけば必ず問題を起こすと考えていた。
そんなババの唯一の友達が、無垢な幼い少女メアリーリー(トーニャ・クロウ)。ところが、ある日2人がいつものように遊んでいると、近所の獰猛な飼い犬にメアリーリーが襲われ、人々はババが乱暴を働いたものと早合点してしまう。それ見たことかとばかりに、修理工スキーター(ロバート・F・ライオンズ)や農夫ハーリス(レーン・スミス)ら仲間を従え、自警団を組織してババの行方を追うオーティス。畑で案山子のふりをして隠れていたババを見つけた彼らは、有無を言わさず彼を銃殺してしまう。
ところが、ババに向けられた疑惑が全くの誤解で、逆に彼がメアリーリーを救ったこと、彼女の命に別状がなかったことが判明。慌てたオーティスらはババの死体に武器を持たせ、裁判では正当防衛を主張して無罪放免となってしまう。
いずれにしたって、あんな知恵遅れは死んだほうが本人のためにも村のためにも良かった。平然と普段通りの生活に戻るオーティスたちだったが、彼らの周辺で奇妙な案山子が目撃されるようになり、やがて一人また一人と不可解な死を遂げていく。
一方、元気になったメアリーリーはババの死を理解せず、それどころかまるでまだ彼が生きているかのように振舞う。それを知ったオーティスはババがまだ生きていて、彼と母親が結託して復讐を図っていると考え、まずは母親を殺害し、事故に見せかけて自宅に放火。さらにババの居場所を突き止めようと、幼いメアリーリーを付け狙う…。

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アメリカではハロウィン特番のテレビムービーとして、'81年に大手ネットワーク局CBSで放送され、高視聴率をマークしたホラー映画。中でも、当時まだ子供だった視聴者の間ではトラウマ映画として長いこと語り継がれ、いまだに根強いファンを持つカルト映画だ。また、ホラー映画の世界では悪霊の乗り移った案山子が人々を殺しまくるという、案山子系ホラーとも呼ぶべきサブジャンルがあり、「ヘルゴースト/悪魔のスケアクロウ」('88)や「ザ・スケアクロウ」('95)など数多くの作品が存在するのだが、その原点こそが本作だとされている。

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ただ、実は本作における案山子男の出番はそれほど多くないし、そもそも恐怖の対象ですらない。むしろ悪を罰して正義をなすヒーロー的な存在だ。この作品で本当に怖いのは、オーティスをはじめとする自警団たち。つまり、無知で無教養で乱暴で、己の偏見を偏見とも思わず、西部開拓時代のようなリンチを平然と行う、排他的で差別主義で野蛮なアメリカの田舎者こそが恐るべきモンスターなのだ。そう考えると、本作は案山子ホラーの原点であると同時に、「ウォーキング・トール」('73)や「悪魔のいけにえ」('74)、最近であればジェイソン・ステイサムの「バトルフロント」('14)など、'70年代以降数多く作られてきた“アメリカの田舎は怖い”映画の系譜に属する作品でもあるのだ。

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と同時に、脚本家のJ・D・フェイゲルソンも語っているように、これはババとメアリーリーという2つの無垢な魂の愛情が、最終的にはオーティスらの悪意に打ち勝つという物語でもある。メアリーリーが案山子に乗り移ったババの亡霊に導かれて復讐を手助けするなど、全体的にファンタジーやおとぎ話の要素も色濃い。

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もともとはインディペンデント映画として企画されていたものを、脚本のフェイゲルソンがエージェントを通して大手ネットワーク局CBSに売り込んだという本作。若い頃にはレイ・ブラッドベリやロッド・サーリングに師事したこともあるという彼は、どうやらホラーよりもSFやファンタジーに造形が深かったようだ。本作の寓話的なタッチも彼の個性によるものなのだろう。それに、当時のテレビは今以上に表現の規制が強く、いわゆる血みどろシーンを直接的に見せるわけにはいかなかったので、あえて方向性をファンタジー寄りにしたのかもしれない。その点では、いまひとつ不満の残るホラー映画ファンも少なくないだろう。ちなみに最初の脚本では、都会から田舎へ移り住んだ若い夫婦が案山子モンスターに襲われるというストレートなホラーだったのだそうだ。

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主演は「スティング」('73)や「トッツィー」('82)、「未来は今」('94)など数々の名作を残した巨漢の名バイプレイヤー、チャールズ・ダーニング。善人から悪人までなんでもござれの演技派だったが、なんたって悪役を演じる時の憎ったらしさは天下一品(?)だった。なので、悪意の塊みたいな男オーティス役にはピッタリ!主演としてクレジットされたのは本作が初めてだったのだそうだ。

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また、ババ役を演じているラリー・ドレイクも印象的。その独特の風貌から「ダークマン」('90)のギャング・ボスや「Dr.ギグルス」('91)の殺人鬼といった不気味な悪役が多かったが、ここでは正反対のピュアな知的障害者を演じている。その母親役をマーロン・ブランドの実姉ジョセリン・ブランドが演じているのも要注目。そのほか、ロバート・F・ライオンズやレーン・スミスなど、昔のB級アクションやB級ホラーでお馴染みの名脇役が顔を揃えている。

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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:5.1ch Surround・2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:英語(SDH)・スペイン語/地域コード:ALL/時間:96分/発売元:VCI Entertainment (2012年)
特典:監督と脚本家による音声解説/CBSネットワーク予告編/CBSネットワーク再放送予告編/撮影舞台裏フォト・ギャラリー/メイキング・ドキュメンタリー「Bubba Didin't Do It」(約34分)/キャスト&監督パネル・ディスカッション(約40分)


by nakachan1045 | 2016-09-22 14:24 | 映画 | Comments(0)

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