なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ジョーズ・リターンズ」 L'ultimo squalo (1981)

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監督:エンツォ・G・カステラーリ
製作:マウリツィオ・アマティ
   ウーゴ・トゥッチ
脚本:マーク・プリンチ
撮影:アルベルト・スパノーリ
ジョーズ制作:ジョルジオ・フェラーリ
編集:ジャンフランコ・アミクッチ
音楽:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
出演:ジェームズ・フランシスカス
   ヴィック・モロー
   ミッキー・ピニャテッリ (ミカエラ・ピニャテッリ)
   ジョシュア・シンクレア
   ティモシー・ブレント (ジャンカルロ・プレーテ)
   ステファニア・ジロラーミ
   ジャン・マルコ・ラーリ
   マックス・ヴァンダース (マッシモ・ヴァンニ)
   トーマス・ムーア (エンニオ・ジロラーミ)
   ロマーノ・プッポ
イタリア・アメリカ合作/88分/カラー作品





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<あらすじ>
アメリカのとある港町。地元で開催されるウィンドサーフィン大会を控え、練習に励んでいた若者マイクが行方不明となる。海岸で待っていたジェニー(ステファニア・ジロラーミ)やデイヴら仲間たちは心配となり、ジェニーの父親である海洋学者ベントン(ジェームズ・フランシスカス)に相談。ベテラン漁師ハマー(ヴィック・モロー)とベントンが調査を始めたところ、マイクのものと思われるサーフィンボードの一部が見つかり、そこにはサメに食いちぎられたような跡があった。さらに、港を漂流していたボートの破壊された船底から所有者らしき人間の片腕が発見され、彼らは人喰いザメの仕業であることを確信。長年サメを追ってきたハマーは、それが過去に例がないほどの巨大なホホジロザメだと断言する。
動かしがたい証拠を突きつけられ、仕方なくサメ対策として防御用の鉄網を張り巡らせる市長のウェルズ(ジョシュア・シンクレア)。しかし、地元観光の目玉であるウィンドサーフィン大会を是が非でも成功させたい彼は、客足に影響が出ないよう人喰いザメの事実を伏せることにする。ところが、大会の真っ最中に鉄網を破ったサメが出現。サーファーたちは大パニックに陥り、ウェルズ市長の部下が人々の目の前で食い殺されてしまう。
そこで、ベントンとハマーはダイナマイトを仕掛けた餌をサメに食わせて殺すべく海へ潜るものの、頭のいいサメは彼らを罠にかけて海中の洞穴へ閉じ込める。2人はダイナマイトを使って辛うじて脱出するのだった。一方、窮地に陥った父親を救おうと考えたウェルズの息子デイヴは、ジェニーら仲間と共に武器を揃え、父親のボートに乗り込んでサメ狩りに向かうものの、失敗してジェニーが片脚をサメに食われてしまった。
全ては自分に責任があると考えたウェルズは、ヘリコプターを使って単身サメ狩りに向かうものの、巨大なサメは驚異的な力でウェルズを食い殺し、ヘリコプターを海中へと引きずり込む。もはや一刻の猶予もないと考えたベントンとハマーは、再び漁船に乗ってサメとの最終対決へ臨むことに。ところが、特ダネ映像を狙うテレビカメラマンのマーティン(ティモシー・ブレント)が、サメを引き寄せようと桟橋に餌を仕掛けていたことから、事態の行方を心配して集まった市民が巻き込まれることに。その中にはベントンの妻グロリア(ミッキー・ピニャテッリ)の姿もあった…。

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ひとつの映画が大ヒットすれば、柳の下の泥鰌がゾロゾロと現れるってのは世の常だが、それを最も得意としていたのが'80年代までのイタリア映画界だった。「007」が当たればパチものスパイ映画、「エクソシスト」が当たればパチものオカルト映画、「スターウォーズ」が当たればパチものスペースオペラといった具合に、有名映画の低予算コピー作品を大量生産してきた商魂逞しきイタリア映画人たち。そんな彼らが、スティーブン・スピルバーグ監督の出世作「ジョーズ」('74)に目をつけたのも当然といえば当然の話だろう。

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ということで、マカロニ・ウエスタンや戦争アクションなどの男性向け娯楽映画で鳴らし、中でもタランティーノがリメイクした傑作「地獄のバスターズ」('76)で名高い武闘派監督エンツォ・G・カステラーリによる「ジョーズ」のパチもの映画がこれ。しかもちょっと意外なことに、いろいろと資料を知らべみたところ、イタリア産のなんちゃって「ジョーズ」映画というのは本作が最初だった模様である。

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そもそも、「シャークアタック」シリーズとか「シャークネード」シリーズのような、「ジョーズ」のB級パクリ映画が大量生産されるようになったのは、巨大なサメをCGで描くことが可能になった'00年代以降のこと。リアルタイムではメキシコのルネ・カルドナ・ジュニア監督が「タイガーシャーク」('77)と「大竜巻/サメの海へ突っ込んだ旅客機」('78)を立て続けに撮っているものの、それ以外にはあまり作られていない。恐らく、一番の見せ物であるサメの実物大モデル制作に金が掛かるからなのだろう。イタリア産「ジョーズ」映画というのも、本作を筆頭にランベルト・バーヴァ監督の「死神ジョーズ・戦慄の血しぶき」('84)、トニーノ・リッチ監督の「死海からの脱出」('87)、そしてジョー・ダマート監督の「ディープ・ブラッド/復讐のシャーク」('88)など、実は片手で数えられる程度しか存在しないのだ。

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そんなイタリア初の人喰いサメ映画。あらすじは殆ど「ジョーズ」そのまんまである。アメリカ公開当時、ユニバーサル映画が著作権侵害で上映の差し止めを訴えたらしいが、それも確かに納得。まあ、登場人物の役柄設定をちょっと変えたり、ストーリー展開に若干の捻りは加えているものの、基本プロットは完全に「ジョーズ」の焼き直し。ほとんどリメイクである。そのため、実際にアメリカではユニバーサルの言い分が通って劇場上映は中止されてしまったらしいのだが、それでも全米公開後1ヶ月で1800万ドルの興行収入を稼ぎ出したというのだから、低予算のB級イタリア映画としては立派な大成功と言えよう。

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「ジョーズ」の主人公・ブロディ署長は人喰いザメの危険を立証するのにやたらと時間がかかったが、本作ではものの20分程度で市長を含む関係者の全員が納得。その後の展開もサクサクと早いので、フラストレーションがたまらないという意味で非常に見やすい。群衆パニックや海洋アクションの見どころも満遍なく散りばめられており、観客を飽きさせない工夫が徹底しているのはさすが職人肌のカステラーリ監督だ。「エイリアン」をパクったルイジ・コッツィ監督の「エイリアンドローム」('81)でクリーチャー制作を担当した、ジョルジオ・フェラーリによるサメの実物大メカモデルもまずまずの出来栄え。まあ、本物のサメの記録映像を混ぜ込んでいるのはモロバレだし、ミニチュアを使用したシーンのチャチさは如何ともし難いのだけれど。そのため、本来はスペクタクルな見せ場になるはずのクライマックスも、残念ながら見栄え的にかなりお粗末なものとなってしまったことは否めない。

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主演はアルジェントの「わたしは目撃者」('71)以降イタリアに拠点を移したジェームズ・フランシスカスと、テレビ「コンバット!」のサンダース軍曹役で親しまれたヴィック・モロー。このハリウッド俳優コンビを囲むのは、カステラーリ監督作品の常連でもあるイタリア産B級映画の名物俳優たちだ。実質的なヒロインに当たるベントンの娘ジェニーを演じているステファニア・ジロラーミはカステラーリ監督の娘で、「ニューヨーク1997」をパクった「ブロンクスからの脱出」('82)でもヒロイン役を務めている。そのほか、実は意外にいい奴だった市長役のジョシュア・シンクレア、特ダネ映像のためなら人が死んでも一向に構いませんというゲス極まりないカメラマン役のティモシー・ブレントことジャンカルロ・プレーテ、監督の実の父親であるトーマス・ムーアことエンニオ・ジロラーミなど、脇役の多くが「ブロンクスの脱出」にも再登板している。また、マカロニ時代からカステラーリ作品の常連であるロマーノ・プッポが、登場してものの5分くらいでサメに食い殺されるは少々気の毒だったかも(苦笑)。

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とまあ、カステラーリ監督作品としては必ずしも出来が良い部類には入らないものの、多くを期待しなければ十分に楽しめる良質なB級娯楽映画。かつては地上波テレビの深夜放送などでワリと頻繁に見ることができた作品だが、今では殆どお目にかかる機会がなくなったのは少々寂しい。

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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(ドイツ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:英語・ドイツ語/字幕:ドイツ語/地域コード:2/時間:88分/発売元:Paragon Movies (2015)
特典:ドイツ劇場公開バージョン(78分)



by nakachan1045 | 2016-10-01 22:33 | 映画 | Comments(0)

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