なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「13日の金曜日PART2」 Friday The 13th Part 2 (1981)

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監督:スティーヴ・マイナー
製作:スティーヴ・マイナー
脚本:ロン・カーズ
撮影:ピーター・ステイン
特殊メイク:カール・フラートン
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:エイミー・スティール
   ジョン・フューリー
   エイドリアン・キング
   ウォリントン・ジレット
   ウォルト・ゴーニー
   ステュー・チャーノ
   ビル・ランドルフ
   マータ・コバー
   トム・マクブライド
   ローレン=マリー・テイラー
   カーステン・ベイカー
   ラッセル・トッド
特別出演:ベッツィ・パーマー
アメリカ映画/87分/カラー作品





<あらすじ>
クリスタル・レイク・キャンプ場の惨劇から2ヶ月後。そのトラウマに悩まされる唯一の生存者アリス(エイドリアン・キング)は、自宅で何者かによってアイスピックで殺されてしまう。だが、死体が見つからなかったため、世間では行方不明になったものとされた。
それから5年後。クリスタル・レイク・キャンプ場のすぐ近くにある施設で、毎年恒例である監視員の訓練キャンプが開かれ、今年も大勢の訓練生たちが集まってきた。その中には、仲良しカップルのジェフ(ビル・ランドルフ)とサンドラ(マータ・コバー)、ジェフの親友で道化者のテッド(ステュー・チャーノ)、車椅子に乗った元アスリートのマーク(トム・マクブライド)、彼に想いを寄せるヴィッキー(ローレン・マリー・テイラー)、犬を連れたセクシー美女テリー(カーステン・ベイカー)、彼女に色目を使うプレイボーイのスコット(ラッセル・トッド)の姿もあった。
訓練キャンプを仕切るのはポール・ホルト(ジョン・フューリー)と、その恋人である助手ジニー(エイミー・スティール)。その晩、キャンプファイヤーを囲んだ若者たちにポールは、クリスタル・レイク・キャンプ場の惨劇とジェイソンの伝説を語って聞かせ、彼らにドッキリを仕掛ける。もはや事件は過去の出来事となっていた。訓練キャンプを偵察に来た老人ラルフ(ウォルト・ゴーニー)が殺されたことにも、誰一人として気付いてはいない。
その翌日、ジェフとサンドラは立ち入り禁止のクリスタル・レイク・キャンプ場へ足を踏み入れ、保安官に見つかってしまう。彼らを訓練キャンプへ送り届けた保安官は、森の中で不審な人物を発見。廃墟となった公衆トイレで異様な光景を目の当たりした彼は、その直後に何者かによって殺されてしまう。
夜になって、ポールとジニーは希望する若者たちを町の居酒屋へと連れて行くことにする。ジェフとサンドラ、マークとヴィッキー、テリーとスコットの6人は残ることにした。
酒に酔ったジニーは、都市伝説となっているジェイソンが本当に生きているのではないかと考えていた。そんな彼女をポールやテッドは一笑に付す。その頃、キャンプ場では若者たちが一人また一人と殺されていた。残っている訓練生たちの様子を見に戻ったポールとジニーは、そこでズタ袋をかぶった殺人鬼ジェイソン(ウォリントン・ジレット)と遭遇する…。


関係者の誰もが予想をしなかったほどの、記録的な大成功を収めた「13日の金曜日」。当然のことながら、配給元のパラマウントは続編を強く希望する。そのために、前作ではワーナーが獲得した国外配給権も押さえた。当初は設定も登場人物も全く異なる独立した続編を毎年リリースするというシリーズ企画案もあったらしいが、最終的に出資者らの意見を尊重して決まったのは、1作目では20年前に死んだものとされ、クライマックスのドリーム・シークエンスにも出てきたパメラ・ヴォーヒースの息子ジェイソンを登場させること。かくして、ハリウッド映画史に燦然と輝くホラー・アイコン、殺人鬼ジェイソンが誕生することとなったわけだ。

だが、それゆえに1作目のショーン・S・カニンガム監督、脚本家ヴィクター・ミラー、特殊メイクのトム・サヴィーニの3人が降板することとなった。なぜなら、パメラは息子ジェイソンが死んだことで頭がおかしくなり、前段階の様々な事件を起こした末に、クリスタル・レイク・キャンプ場の大量殺戮へと至ったわけであって、ジェイソンが実は生きていたというのは完全に辻褄が合わないからだ。しかも、キャンプ場で若者たちが次々殺されるという1作目のストーリーを踏襲するという。同じことを繰り返すなんてバカげている。そう考えたカニンガムは一切手を引くことを決め、ミラーとサヴィーニの2人も別の仕事を理由に企画から降りた。後にサヴィーニは4作目の「完結編」で再登板しているが、カニンガムは以降の続編シリーズ全てに対して否定的だ。

代わりに演出を手がけることになったのは、長年に渡ってカニンガムのアシスタントを務め、前作にも助監督・共同製作・ユニット・マネージャーの3役で関わったスティーヴ・マイナー。彼にとってはこれが監督デビュー作に当たる。スタッフの大半も前作からの続投組。ただし、予算は125万ドルと前作の2倍以上に跳ね上がった。

で、完成した作品はというと、確かに監督が交代したことは目に見えて明らかだ。特に若者たちの描き方は前作と決定的に違う。カニンガム監督は若手俳優それぞれの個性を活かし、青春映画さながらの人間模様を丁寧に描くことで、犠牲者となる彼らに観客の同情が集まるよう配慮をしていた。これはティーン向け青春コメディを何本も撮っているカニンガム監督ならではの作家性とも言えるだろう。一方、本作では若者たちの人物像や人間関係にはあまり踏み込まず、ほとんど殺され要員同然の扱いがなされている。そういう意味では、純然たるボディ・カウント映画になったと言えるかもしれない。殺害方法も前作以上に残酷で無慈悲だ。それはそれで、絶叫アトラクションとしての機能性を重視しているという点では正解なのかもしれないが、しかし一方で映画作品として味気ないものになったという印象も否めない。

ちなみに、その残酷描写で興味深いのは、スラッシャー映画の原点と考えられるマリオ・バーヴァ監督の「血みどろの入江」('71)と酷似している…というか、ほぼソックリ同じと言えるようなシーンが2つも含まれていることだ。一つはマークの顔面に鉈がザックリと食い込むシーン。まあ、前作でも同様のシーンはあったのだが。で、もう一つがセックスをしているジェフとサンドラが、折り重なったまま杜で串刺しにされるシーンだ。これこそ判で押したかのようにソックリ。上に乗った男性の背中に杜が突き刺さる様子まで見せていた「血みどろの入江」に対して、本作では見せていないのが違う点かもしれないが、しかし実は本作でも同様の描写は撮影されていたものの、編集の段階で残酷過ぎるという理由からカットされていたようだ。いずれにせよ、確かに前作でも類似する要素は幾つかあったものの、「血みどろの入江」が「13日の金曜日」に影響を与えたと言われるようになった最大の理由は、この2作目の残酷描写にあるのではないかと思う。

また、ジェイソンといえばホッケーマスクがトレードマークだが、本作では片目の部分に穴の空いたズタ袋を頭からかぶっただけという、まるで案山子のようないでたち。不死身の超人的なパワーもまだ備わっておらず、母親の復讐という犯行動機も含めて、いかにも人間臭い連続殺人鬼といった感じだ。殺すこと自体が究極の目的となった、その後の殺人マシーンとしてのジェイソンとはだいぶ異なる。そこに関しては、シリーズ中で本作が最も好感を持てる。

そんなわけで、殺人鬼ジェイソンを初めて登場させたという点で重要な位置を占める作品ではあるが、ホラー映画としてはだいぶ雑な作りであることは否めないだろう。1作目をパクったその他大勢のスラッシャー映画とあまり変わらないといった印象。意味不明のクライマックスも、まあ、最終段階でカットを余儀なくされた結果とはいえ、もうちょっとなんとかならなかったものかとは思う。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:5.1ch TruHD・2.0ch Dolby Digital/言語:英語・フランス語・スペイン語/字幕:英語・英語(SDH)・フランス語・スペイン語/地域コード:ALL/時間:87分/発売元:Paramount Pictures/Warner Home Entertainment
特典:ドキュメンタリー「Inside Crystal Lake Memories」(約11分)/ドキュメンタリー「Friday's Legacy: Horror Conventions」(約7分)/短編シリーズ「Lost Tales from Camp Blood - PartⅡ」(約9分)/ドキュメンタリー「Jason Forever」(約29分)/オリジナル劇場予告編


by nakachan1045 | 2016-10-05 03:28 | 映画 | Comments(0)

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