なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「13日の金曜日PART3」 Friday The 13th Part Ⅲ (1982)

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監督:スティーヴ・マイナー
製作:フランク・マンキューソ・ジュニア
脚本:マーティン・キトロッサー
   キャロル・ワトソン
撮影:ジェラルド・フェイル
特殊メイク:ダグラス・J・ホワイト
      アラン・アポーン
      フランク・カリソッサ
3D監修:マーティン・J・サドフ
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:ダナ・キンメル
   ポール・クラッカ
   リチャード・ブルッカー
   トレイシー・サヴェージ
   ジェフリー・ロジャース
   キャサリン・パークス
   ラリー・ザーナー
   デヴィッド・ケイティムス
   レイチェル・ハワード
アメリカ映画/95分/カラー作品(3D)





<あらすじ>
クリスタル・レイクの監視員訓練キャンプで起きた惨劇。その直後に、付近の食料品店で経営者夫婦が残忍な方法で殺害される。ジェイソンはまだ生きていたのだ。
その頃、若い女性クリス(ダナ・キンメル)は、仲間たちを連れて週末を家族の別荘で過ごそうとしていた。場所はクリスタル・レイクのすぐ近く。親友で妊娠中のデビー(トレイシー・サヴェージ)にその恋人アンディ(ジェフリー・ロジャース)、アンディの親友で三枚目のおデブなシェリー(ラリー・ザーナー)、そのブラインド・デート相手の美女ヴェラ(キャサリン・パークス)、マリファナ三昧のカップル、チャック(デヴィッド・ケイティムス)とチリー(レイチェル・ハワード)、そしてクリスの彼氏リック(ポール・クラッカー)も一緒だ。
コンプレックスの強いシェリーは、趣味の悪いドッキリを仕掛けてみんなの気を引こうとするが、逆にドン引きされてしまう。呆れたヴェラは近隣のコンビニへ買出しに出かけ、なんとか彼女に気に入られたいシェリーもついていく。そこで彼らはタチの悪いバイカー3人組に絡まれるものの、シェリーの意外な機転でやり返す。
頭にきたバイカーたちは彼らの後を付け、クリスのミニバンからガソリンを抜いてしまう。だが、その直後に3人とも納屋でジェイソンに殺されてしまった。
情緒不安になりがちな理由をリックに問い詰められたクリスは、2年前にこの別荘で起きた事件について語り始める。両親と喧嘩して森をさまよった彼女は、正体不明の怪物のような男、つまりジェイソンに襲われたのだ。久しぶりに別荘を訪れたことで、そのトラウマがまざまざと蘇ってきたのだという。
やがて夜も更けた頃、別荘では一人また一人と若者たちがジェイソンに殺されていく。そうとは知らず戻ってきたクリスとリックだったが…。


今ではすっかり忘れられているかもしれないが、'80年代初頭はちょっとした3D映画ブームだった。もちろん、現在の3Dとはシステムが全く異なる。昔懐かしの、左右それぞれに赤と青のセロファンを貼ったメガネを通して見る、アナグリフ式と呼ばれるヤツだ。もともと、このタイプの3D映画は'50年代に人気を集め、ジョン・ウェイン主演の西部劇「ホンドー」('53)からヒッチコック監督のサスペンス「ダイヤルMを廻せ!」('54)まで、様々な3D映画がヒットしたのだが、中でも「大アマゾンの半魚人」('54)や「肉の蝋人形」('53)など、ホラー映画のギミックとして重宝された。

その後もカナダ産ホラー「骸骨面」('61)やポール・モリセイ監督の「悪魔のはらわた」('73)など、3D映画は一部で細々と制作されたが、'80年代に入ってイタリア産の3Dマカロニ・ウエスタン「荒野の復讐」('81)がアメリカで時ならぬ大ヒットを記録。これを契機に、「悪魔の寄生虫・パラサイト」('81)や「ジョーズ3」('83)、「悪魔の棲む家PART3」('83)、「スペースハンター」('83)、「メタルストーム」('83)などの3D映画がアメリカで作られ、「荒野の復讐」のスタッフ・キャストが再集結して「インディー・ジョーンズ」をパクった「秘宝の王冠」('83)も大々的に公開されたが、いずれも大成功とまではいかず、ブームは2年ほどの短期間で収束してしまう。その中で唯一の例外、全米興行収入3670万ドルのメガヒットを記録した3D映画が、この「13日の金曜日PART3」だったのである。

当時としては最新鋭のアライヴィジョンと呼ばれる3Dカメラで撮影された本作。アライヴィジョンは軽量かつ小型ゆえに自由な移動撮影が可能だったため、従来とは一味違うダイナミックな立体映像を表現できるというのが特徴だった。「ジョーズ3」も同カメラで撮影されている。本作でも、冒頭から食料品店の裏に並べられた洗濯物のシーツが風に大きく揺られ、その間を斜めからカメラがゆっくりと移動していくことで、複雑な立体感を効果的に強調。なかなか印象的なオープニングとなっている。まあ、全体的にはヨーヨーを真下から映したり、バットやらクロスボーやらがカメラに向かって飛び出してくるといった、極めてシンプルかつ分かりやすい3D演出ばかりなので、現在のハイテクな3D映像に比べるとだいぶ原始的ではあるのだけれど。色付きメガネの性質上、赤色と青色が特に強調されてしまうため、今の自然なフルカラー3Dと違って画面がチカチカして見づらいという弊害もある。ジェイソンに頭を潰された犠牲者の目玉が飛び出すシーンなんて、よく見ると眼球を支えている針金がモロに見えているのだが、それでも当時は斬新に思えたものだった。こうしたおばけ屋敷的なアトラクション性が、本作の大ヒットに繋がったであろうことは想像に難くない。

とはいえ…と言うべきなのか、だからと言うべきなのか、映画作品としては酷い出来栄えだ。ストーリーはアトラクションとしての機能性を重視したご都合主義一辺倒だし、登場人物たちのキャラクターも極めて薄っぺらい。ヒロインが過去に別荘でジェイソンに遭遇したことがあるという設定も、シリーズ作品としての関連性を印象づけるための苦肉の策でしかなく、ならばなぜそんな忌まわしい場所へやって来たのかというと、トラウマを克服するためというバカげた答えしか用意されていない。しかも、なぜその時にジェイソンが彼女を殺さなかったのかという理由も一切なし。殺人鬼ジェイソンのキャラがブレまくりである。唯一、コミュ障でコンプレックスの塊みたいなオタク青年シェリーが、観客の同情を集めるキャラとしてそれなりに光っているものの、結局は大して掘り下げることもなくアッサリと殺される。

ちなみに、ジェイソンのトレードマークであるホッケーマスクが初登場したのは本作。もともとシェリーがドッキリに使用する小道具として持っていたものを、ジェイソンが横取りして被ったというわけだ。これは3D監修を担当したマーティン・J・サドフが大のホッケー・ファンで、たまたま撮影現場にゴールキーパーマスクを持ってきており、それをスタッフがテスト撮影時にジェイソン役の俳優リチャード・ブルッカーに被らせたところ、スティーヴ・マイナー監督がいたく気に入ったことから、細かい修正やアレンジを施した上で採用されたのだという。そう考えると、前作から引き続いて登板したマイナー監督の功績というのは、殺人鬼ジェイソンを誕生させたこと、ジェイソンにホッケーマスクを被らせたこと、この2点に尽きるのかもしれない。

なお、無名の若手ばかりで固められた役者陣だが、主演のダナ・キンメルは「テキサスSWAT」('83)でチャック・ノリスの娘役を演じるなど、本作の後もそれなりに活躍。デビー役のトレイシー・サヴェージはテレビのニュースレポーターに転身し、シェリー役のラリー・ザーナーは弁護士になっている。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.4:1)/1080p/音声:5.1ch Dolby TruHD・1.0ch Dolby Digital/言語:英語・フランス語・スペイン語/字幕:英語・英語(SDH)・フランス語・スペイン語・ポルトガル語/地域コード:ALL/時間:95分/発売元:Paramount Pictures/Warner Home Video
特典:メイキングドキュメンタリー「Fresh Cuts: 3D Terror」(約13分)/メイキングドキュメンタリー「Legacy of the Mask」(約9分)/メイキングドキュメンタリー「Slashing Films: Going for the Jugular」(約7分)/短編シリーズ「Lost Tales from Camp Blood - PartⅢ」(約5分)/オリジナル劇場予告編
※2Dバージョンと3Dバージョンの選択可能。3Dメガネ付き(2本)。


by nakachan1045 | 2016-10-07 13:34 | 映画 | Comments(0)

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