なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「13日の金曜日・完結編」 Friday The 13th : The Final Chapter (1984)

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監督:ジョセフ・ジトー
製作:フランク・マンキューソ・ジュニア
原案:ブルース・ヒデミ・サコウ
脚本:バーニー・コーエン
撮影:ホアオ・フェルナンデス
特殊メイク:トム・サヴィーニ
      アレック・ギリス
      ケヴィン・イェガー
      ジョン・ヴリッチ
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:キンバリー・ベック
   エリック・アンダーソン
   コリー・フェルドマン
   ジョーン・フリーマン
   バーバラ・ハワード
   ピーター・バートン
   クリスピン・グローヴァー
   ジュディ・アロンソン
   ローレンス・モノソン
   アラン・ヘイズ
   カミーラ・モア
   キャリー・モア
   ブルース・マーラー
   リサ・フリーマン
アメリカ映画/91分/カラー作品





<あらすじ>
クリスタル・レイク近くの別荘に次々と駆けつけるパトカーやヘリコプター、そして救急車。連続殺人鬼ジェイソン(テッド・ホワイト)の死体が回収され、検視のため病院へと運び込まれた。ところが、蘇生したジェイソンは検視医アクセル(ブルース・マーラー)と当直の看護婦モーガン(リサ・フリーマン)を殺害して姿をくらます。
その翌日、若者グループがクリスタル・レイク方面へ向けて車を走らせていた。メンバーはモテ男のポール(アラン・ヘイズ)にその恋人のサマンサ(ジュディ・アロンソン)、清楚なサラ(バーバラ・ハワード)にイケメンの彼氏ダグ(ピーター・バートン)、そして変わり者のジミー(クリスピン・グローヴァー)と親友のイタズラ坊主テッド(ローレンス・モノソン)の6人だ。途中で彼らはヒッチハイカーの女性と遭遇するが、その直後に彼女はジェイソンによって殺される。
クリスタル・レイク付近の別荘に到着した若者たちは、近所に住む美女トリッシュ(キンバリー・ベック)とその弟トミー(コリー・フェルドマン)と知り合う。姉弟は明るくて優しい母親ジャーヴィス夫人(ジョーン・フリーマン)と三人暮らしだった。
翌朝、付近を散歩していた若者たちは、地元の双子美人姉妹ティナ(カミーラ・モア)とテリー(キャリー・モア)と知り合って意気投合。パーティに彼女たちを誘うことにする。一方、トリッシュとトミーは親切なヒッチハイカーのロブ(エリック・アンダーソン)と知り合い、こちらもまた仲良くなるのだった。
その晩、別荘では若者たちがパーティを開くが、一人また一人とジェイソンの餌食となっていく。さらに、隣家のジャーヴィス夫人も犠牲となった。家に戻ったトリッシュとトミーは、母親の不在に気づいて心配する。森へ探しに出かけたトリッシュは、キャンプ中のロブと再会。実は、ロブの妹はジェイソンに殺されており、彼は復讐のためにジェイソンの後を追っていたのだ。
ジェイソンはまだ生きていて、再びクリスタル・レイクへ戻ってきたに違いない。そう確信した2人は隣家を訪ねたところ、若者たちの無残な死体を発見する。そこへ現れたジェイソンによってロブも殺され、間一髪で自宅へ逃げ戻ったトリッシュは、弟トミーを守るためジェイソンに立ち向かうのだったが…。


日本ではマイケル・マン監督のカルトSFホラー「ザ・キープ」('83)との2本立てで劇場公開されたシリーズ4作目。結果的に“完結編”とはならず、その後もシリーズは継続することになるわけだが、少なくとも撮影の段階ではこれにてシリーズ打ち切りと正式決定していたという。プロデューサーのフランク・マンキューソ・ジュニアおよびパラマウントが気にかけていたのは己のイメージである。「13日の金曜日」しか代表作のないB級プロデューサーのレッテルを貼られたマンキューソ・ジュニア、同様に低俗なホラー映画で稼ぐ落ちぶれたスタジオとの陰口を囁かれたパラマウント。もう十分にボロ儲けしたわけだし、そろそろお祭り騒ぎも終わりにしていいのではないかと考えたわけだ。そのようにスタジオ側から打診されたジョセフ・ジトー監督以下スタッフは、ジェイソンに有終の美を飾らせるド派手な打ち上げ花火となるよう注力。それが功を奏してか、記念すべき1作目はともかくとして、以降の続編シリーズ中では最も完成度の高い作品に仕上がっている。

なんといっても、まず目を引くのは血みどろスプラッター描写の巧さだ。個々の殺し方そのものは極めてシンプルなのだが、アングルやタイミング、編集や色調補正を駆使した絶妙な見せ方が際立っている。特殊メイクの粗を晒しまくりだったパート3とは雲泥の差だ。「永遠に美しく」('92)でオスカーを受賞するアレック・ギリス、「チャイルド・プレイ」('88)でチャッキーを生み出したケヴィン・イェガー、そして1作目以来久々の登板となったトム・サヴィーニら特殊メイクチームの見事な職人技が光る。中でも、アニマトロニクスを駆使したクライマックスのショッキングなジェイソン惨殺シーンは、特殊メイクの神様たるサヴィーニの真骨頂だ。

また、今時の軽薄な若者がバンバン殺されるというシリーズ定番のプロットを踏襲しつつも、それぞれのキャラクターに個性を持たせ、観客に感情移入をさせることでスリルを盛り上げるというジョセフ・ジトー監督の演出も安定感がある。「13日の金曜日」の影響下で作られたスラッシャー映画の隠れた名作「ローズマリー」('81)での実績を買われての起用だったわけだが、限られた予算や素材を最大限に有効活用するというB級映画のツボをきっちりと押さえた職人技はさすがだ。中でも、人間ドラマを膨らませるという意味でジャーヴィス一家を登場させたのは効果的だったといえよう。愛情溢れる優しい母親と聡明でしっかり者の娘、そしてやんちゃ盛りの元気な息子。両親が別居中という問題を抱えながらも、仲睦まじく暮らすアメリカの平均的な家族を中心に据えることで、必然的に観客は登場人物たちの行く末を気にかけざるを得なくなる。しかも、ラストでは九死に一生を得た少年トミーの心に深く刻まれたトラウマを強調することで、“新たなジェイソン”の誕生を予感させるという絶妙な仕掛けも。実際、続く「新・13日の金曜日」('85)と「13日の金曜日PART6 ジェイソンは生きていた!」('86)ではトミーがジェイソンに取って代わることとなる。

加えて、本作以降チャック・ノリス主演の「地獄のヒーロー」('84)や「地獄のコマンド」('85)、ドルフ・ラングレン主演の「レッド・スコルピオン」('88)など、ハードな戦争アクションを続々と撮ることになるジョセフ・ジトー監督は、本作でも随所に本格的なスタント・シーンを散りばめている。アップテンポで無駄のない演出もアクション映画的だ。本作の現場では役者を肉体的にも精神的にも徹底的に追い詰めたらしく、そのせいで少なからず憎まれたこともあったようだが、なるほどやっぱり!といった感じだ。本質的にアクション向きの監督なのだろう。

その役者陣に関しても、本作はシリーズ中で最も充実した顔ぶれが揃っている。主人公トリッシュ役のキンバリー・ベックは元人気子役スターで、ヒッチコックの「マーニー」('64)やルシール・ボールの娘役を演じた「合併結婚」('64)などにも出演し、当時既に豊富なキャリアのあるベテラン女優だった。その母親役のジョーン・フリーマンは、「青春カーニバル」('64)でプレスリーの相手役を演じた元アイドル女優。トミー役のコリー・フェルドマンは、本作に続いて「グレムリン」('84)で注目され、「グーニーズ」('85)や「スタンド・バイ・ミー」('86)でトップスターとなった。若者グループの中で一番のイケメン、ダグ役を演じたピーター・バートンは、スラッシャー映画「ヘルナイト」('81)でリンダ・ブレアの恋人役を演じ、'90年代には往年の人気ドラマ「バークにまかせろ」のリバイバル版シリーズで主演を務めている。また、テッド役のローレンス・モンソンは、アメリカでカルト的人気の高い「グローイング・アップ/ラスト・バージン」('81)で主人公の童貞君を演じるなど、当時の青春映画でお馴染みの若手俳優だった。そのほかにも、「アメリカン忍者」('85)などのB級アクションのヒロインとして活躍するジュディ・アロンソン、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('84)でブレイクするクリスピン・グローヴァー、「ポリス・アカデミー」シリーズのファックラー役で有名なブルース・マーラーなど、その後売れっ子となった役者が圧倒的に多い。そういえば、看護婦役のリサ・フリーマンは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマーティの母親ロレインの親友バブス役を演じていた。こうした演技のちゃんとできる“真っ当な”役者を集めた点も、本作の勝因かもしれない。

ちなみに、本編中でジェイソンの犠牲となったとされるジャーヴィス夫人だが、具体的に彼女が殺されるシーンはなく、結局のところどうなったのか?と疑問を抱くファンも多かった。だが、アメリカ盤DVDおよびブルーレイに特典映像として収録されている別エンディングでは、あくまでもドリーム・シークエンスではあるものの、トリッシュがバスタブの中に沈められた母親の死体を発見して号泣するというシーンが含まれており、ジェイソンの餌食になってしまったことを示唆している。やはり“理想のお母さん”が殺されるシーンを直接描くことは、制作サイドとしてもためらわれたようだ。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio・2.0ch Dolby Digital/言語:英語・フランス語・スペイン語/字幕:英語(SDH)・フランス語・スペイン語/地域コード:ALL/時間:91分/発売元:Paramount Pictures/Warner Home Video
特典:ジョセフ・ジトー監督、脚本家バーニー・コーエン、編集者ジョエル・グッドマンによる音声解説/ファンのアダム・グリーン、ジョー・リンチによる音声解説/メイキングドキュメンタリー「Friday The 13th Chronicles PartⅣ」(約13分)/メイキングドキュメンタリー「Secrets Galore Behind The Gore - Tom Savini on PartⅣ」(約14分)/短編シリーズ「Lost Tales from Camp Blood - PartⅣ」(約6分)/未公開シーン集(約15分)/メイキングドキュメンタリー「Jason's Unlucky Day: 25 Years After Friday The 13th - The Final Chapter」(約11分)/The Lost Ending(約3分)/フェイクドキュメンタリー「The Crystal Lake Massacres Revisited PartⅠ」(約18分)/未公開シーン「Jimmy's Dead Dance Moves」(約2分)/オリジナル劇場予告編


by nakachan1045 | 2016-10-08 16:44 | 映画 | Comments(0)

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