なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「女賭博師」 The Woman Gambler (1967)

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監督:弓削太郎
企画:斎藤米二郎
原作:松浦健郎
脚本:松浦健郎
撮影:宗川信夫
音楽:池野成
出演:江波杏子
   本郷功次郎
   川口小枝
   内田良平
   山田吾一
   加藤嘉
   内田朝雄
   竜岡晋
   早川雄三
   水原浩一
日本映画/85分/カラー映画





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<あらすじ>
六本木でピアノバーを経営している裕福な女性実業家、絵守夏江(江波杏子)。だが、その本業は賭博師だった。幼い頃から胴師の父親・源造(加藤嘉)から腕を仕込まれ、今や裏社会では女だてらに一目置かれる存在だ。そんな彼女の傍には、寡黙だが忠実な部下の松吉(山田吾一)が、ボディガードとして常に控えている。
一方、表向きは大企業の社長を務めるヤクザの親分、磯部達雄(内田良平)は、夏江の美貌と腕前に惚れ込んで執拗に結婚を迫っているものの、彼女にはファッション・フォトグラファーの田上雄二(本郷功次郎)という恋人がいた。夏江はバーの2階にアトリエを与え、一流化粧品会社の重役と寝る代わりに専属カメラマンの契約を取ってくるほど、彼に惚れ込んでいたのだ。
ある日、彼女が仕切る賭場に素人の女子大生・浅川滝子(川口小枝)が紛れ込む。自分の手の内を見事に読む滝子に驚く夏江だったが、結局は滝子が負けて大金を失ってしまう。夏江にしてみれば、二度とこんな場所に足を踏み入れないようにという戒めのつもりだったが、実は滝子は公金横領事件で逃亡中の恋人を助けることが目的だった。失望した滝子が恋人と心中を図ったと知って、夏江は罪の意識で胸を痛める。
一人生き残った滝子は、磯辺を通して夏江の恋人・田上の存在を知り、復讐のために彼を誘惑する。賭け事を心底憎んでいる田上は、夏江の正体が賭博師だと知って激怒し、彼女を捨てて滝子のもとへと走るのだった。
さらに、全国の親分衆を集めて賭場を開張した磯辺は、わざと警察に密告してその罪を大阪の親分・菊田(内田朝雄)にかぶせる。己の勢力拡大を狙った策略だった。その席で胴師を務めた源造は自殺。夏江と松吉は菊田親分のもとを訪ね、黒幕が磯部であることを知る。なおも復讐心を燃やす滝子からの挑戦を受けつつ、夏江と松吉は磯部への復讐計画を練るのだったが…。


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江波杏子の主演による大映任侠映画『女賭博師』シリーズの第2弾である。ここで初めて“女賭博師”というタイトルが使用されるわけだが、中身は相変わらず任侠映画と呼ぶには都会的でモダンな印象。しかも、今回は昼メロを彷彿とさせるような、一人の男を巡る女同士の愛憎ドラマを中心にストーリーが繰り広げられる。監督は田宮二郎や宇津井健が主演したハードボイルド映画でお馴染みの弓削太郎。東映のヤクザ映画に慣れ親しんできた身としては、その洗練された演出は新鮮でもあり不思議でもあると言えよう。

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物語の主軸は大きく分けて2つ。まずは、前作同様に野心的な新興ヤクザの策略で父親を自殺に追い込まれたヒロインが、彼女のことを密かに慕う忠実な若衆を従えて復讐を遂げる。今度の仇は内田良平演じる現代ヤクザの磯部。表向きは一流企業の経営者、裏では暴力団の親分という設定こそ前作の渡辺文雄と似ているが、キャラクター的にはより単純明快な悪者だ。さらに、ヒロインの復讐方法も賭博とはまるで無関係の色仕掛け。いまひとつ捻りが足りないというか、陳腐で凡庸な印象は免れないだろう。

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やはりメインとなるのは、ヒロインの夏江を逆恨みして一方的なライバル心を燃やす女子大生・滝子との、言うなれば女の意地とプライドを賭けた戦いだ。義理人情の世界に生きる古風でクールな佇まいの夏江に対し、自由奔放で無軌道でドライな現代娘の滝子。このまるで正反対が2人がカメラマンの田上を取り合うことで、昼メロ的なドロドロの愛憎ドラマを盛り上げつつ、若くて無鉄砲で思慮の浅い滝子に嫉妬や苛立ちを感じながらも、努めて大人の対応に徹する夏江の“いい女”っぷりを演出するというわけだ。ただ、実はこの滝子というキャラクターが、本作における最大の弱点でもある。

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というのも、滝子を演じる女優・川口小枝が明らかにミスキャストなのだ。映画監督・武智鉄二の愛娘であり、大島渚監督の問題作『白昼の暴行魔』('67)でデビューを飾ったばかりだった川口。心中を図った滝子だけが生き残るという設定からして、本作の制作陣が『白昼の暴行魔』を少なからず意識していたであろうこと、引いてはヒロインと対照的な若い世代を象徴する女性像として彼女を起用したのではないかとも想像される。しかしだ。この小太りで地味で平凡な顔立ちの女優に、天下のクールビューティ江波杏子から男を奪い取るだけの魅力があるとは到底思えない。まあ、確かに世の中たで食う虫も好き好きではあるけれど、それにしたって説得力がなさ過ぎだ。加賀まりことか大原麗子とか小川知子とかだったら分かるけどね。しかも、ほとんどセリフ棒読みの大根演技。カメラの前で全裸になってポーズを取るという、当時としては大胆なシーンに挑んでいるものの、脱ぎっぷりがいいというだけに過ぎない。これでは、かえって江波杏子が気の毒だ。

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その江波杏子だが、本作では凛とした和服姿のみならずエレガントな洋装姿、さらにはトップレスのヌード写真や濃厚なベッドシーンまで披露しており、それはそれは艶かしいことこの上なし。なんたって、オープニングからして入浴シーンだもんね。賭博シーンでのキリっとした立ち振る舞いもあっぱれ。それだけに、恋人の田上を滝子に取られて嫉妬心丸出しで暴れる下りは、ちょっとばかりキャラ設定的にブレているような気がしなくもないのだが、その後の対応はクールな大人の女という感じで一安心。やっぱり、彼女には何事にも動じない肝の据わった女性でいて欲しい。

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そんな夏江の恋人田上を演じているのは、大映の二枚目スター本郷功次郎。自分が夏江のヒモ状態だという自覚などゼロで、化粧品会社の仕事も自分の実力で取ったと勘違い。夏江に散々世話になっておきながら、彼女が実は賭博師だったと知った途端に嫌悪感むき出しにして滝子へ鞍替えするという、まるでいいところのない甘ちゃん坊やなのだよね。無邪気だけど鈍感で自己中。なので、滝子の誘惑にもコロッと騙される。冷静に考えると、なんでこんな男に惚れた?って感じなのだが、本郷功次郎のキラキラとした男前ぶりを見れば納得。そりゃ母性本能をくすぐられるだろうよ。

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一方、田上とは対照的に恩人のお嬢さんである夏江を陰ながら傍で見守り、秘かに想いを寄せつつも黙って支えている昔気質の不器用なヤクザ者・松吉を、誰もが名前は知らずとも顔は知っている名脇役、山田吾一が演じている。前作で川津祐介が演じた政吉とほぼ同じ役回りだ。さらに、夏江の父親・源造役には名優・加藤嘉。大勢の警官に囲まれた中での、大見得を切った自殺シーンはなかなかの気迫だ。そのほか、先述したように内田良平が悪役の磯部を、さらに内田朝雄が公明正大で温厚な関西の菊田親分を演じていい味を出している。

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評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:1.0ch Dolby Digital/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:2/時間:85分/発売元:オフィスワイケー(2011年)
特典:なし


by nakachan1045 | 2016-11-04 23:00 | 映画 | Comments(0)

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