なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ジャイアント・スパイダー/大襲来」 The Giant Spider Invasion (1975)

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監督:ビル・レバーン
製作:ビル・レバーン
   リチャード・L・ハフ
原案:リチャード・L・ハフ
脚本:リチャード・L・ハフ
   ロバート・イーストン
撮影:ジャック・ウィロビー
出演:スティーヴ・ブロディ
   バーバラ・ヘイル
   アラン・ヘイル・ジュニア
   ロバート・イーストン
   クリスティアナ・シュミットマー
   ダイアン・リー・ハント
特別出演:レスリー・パリッシュ
アメリカ映画/80分/カラー作品





<あらすじ>
ウィスコンシン州の田舎町ホートンに、宇宙から飛来した正体不明の物体が墜落する。場所はダン・ケスター(ロバート・イーストン)が所有する農場のすぐ近所だった。翌朝、アル中の妻イーヴ(レスリー・パリッシュ)を伴って様子を見に出かけたケスターは、そこらじゅうに散らばっている石を発見して家に持ち帰る。石を割ってみると、中からダイヤモンドが出てきた。宝石商に売れば大金になると色めきだつ夫婦だったが、その同じ石の中から飛び出した蜘蛛の存在には気付いていなかった。
その頃、農場の近隣に位置する天文学研究所では、ジェニー・ランガー博士(バーバラ・ヘイル)は大量の放射能を検知していた。ランガー博士からの問い合わせを受けたNASAは、ヴァンス博士(スティーヴ・ブロディ)を現地へ派遣する。地元の保安官ジョーンズ(アラン・ヘイル・ジュニア)や若者デイヴ(ケヴィン・ブロディ)に協力を得て、2人は調査を開始するのだった。
やがて町の周辺では謎の失踪事件が相次ぎ、留守番をしていたイーヴが無数の蜘蛛に襲われる。さらに、突如として出現した巨大な蜘蛛にケスターが食い殺され、イーヴの妹テリー(ダイアン・リー・ハント)は間一髪で恋人のデイヴに救われる。
やがて巨大な蜘蛛は町へと侵入し、住民たちは大パニックに陥ってしまう。ヴァンス博士とランガー博士は、物体の衝突で出来たブラックホールを通って宇宙蜘蛛が現れたと考え、その場所を探そうとするのだが…。


'70年代の動物パニック映画ブームに乗って登場した巨大モンスター映画。ちょうど同じ年には『ジョーズ』や『燃える昆虫軍団』なども劇場公開されており、まさしくブーム最盛期を華々しく彩った作品の一つと言えるかもれない。

とはいえ、クオリティ的にはC級以下。超低予算のポンコツ映画だ。大襲来と銘打っておきながら実際に出てくるジャイアント・スパイダーは一匹だけだし、大半の蜘蛛は普通サイズかせいぜい犬猫サイズだし、舞台だってポスターのイラストみたいな大都会じゃなくてド田舎だし。なので、“一瞬にして大都会は地獄と化した!”なんて日本公開時のキャッチコピーも完全に大嘘(笑)。今だったらクレーム殺到の大炎上必至だが、当時は逆にそれくらいの煽りは当たり前だった。映画興行というのは観客を集めてナンボの商売。多少の大風呂敷も大目に見てもらえる長閑な時代だったとも言えよう。少なくとも、巨大蜘蛛が出てくることだけは確かだしね。

で、その肝心のジャイアント・スパイダーも見るからにハリボテの作り物。ビートルことフォルクスワーゲン・タイプ1の骨組みに加工を施し、絨毯のようなフェイクファーで全体を覆った上で、中に隠れた7人のスタッフが脚を操作しつつ、後ろ向きに運転して移動している。光る目はテールランプだ。手作り感満載のチープな仕上がりではあるものの、それが妙な味になっていることも確か。少なくとも、小さな動物を合成で大きく見せるような味気ない特撮よりは遥かに楽しい。

ノリとしては'50年代のモンスター映画。中でも『放射能X』('54)や『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』('55)といった巨大蜘蛛映画を意識したであろうことは間違いないだろう。ポスターのイラスト・デザインもモロにそんな感じ出しね。'70年代当時にあっても、相当レトロな印象だったはずだ。

監督のビル・レバーンは根っからのSF映画好き。長編処女作が撮影半ばで頓挫し、フィルムを買い取ったハーシェル・ルイス・ゴードンが追加撮影して『Monster A Go-Go』として仕上げるという大きな挫折を経験するも、紆余曲折を経てコマーシャルや産業映画でコツコツと稼ぎながら、ウィスコンシン州に購入した古い農場を手作りで映画スタジオへと改築し、自主制作でB級SF映画を作り続けたというガッツの持ち主だ。なので、本作への姿勢も至って大真面目。ボロは着ていても心は錦。少ない予算で最大限に面白い映画を作ろうという意気込みだけは伝わる。そこがまた、この作品の憎めない点だったりするのだ。

主要キャストは、いずれも当時落ち目だった元人気スター。スティーヴ・ブロディはB級西部劇やB級ギャング映画のタフガイ俳優で、バーバラ・ヘイルは人気ドラマ『弁護士ペリー・メイソン』の秘書デラ・ストリート役でお馴染み。ウィリアム・カットの母親でもある。夫から粗末な扱いを受けた上に悲惨な最期を遂げるイーヴ役のレスリー・パリッシュは、『影なき狙撃者』('62)で主人公と結婚する政治家の娘役が印象的だった美人女優。保安官には『ギリガン君SOS』の船長役で有名なアラン・ヘイル・ジュニア、ウェイトレスのヘルガ役を演じるクリスティアナ・シュミットマーは'60年代に数多くの映画で色添え役として活躍したドイツ出身のセクシー女優だ。レスリー・パリッシュ以外は全てエージェントを通さずに直接契約したため、ギャラは破格の安さだったのだとか。

そんなこんなで、制作費たったの30万ドルで完成した本作だが、蓋を開ければ'75年の年間興収ランキングでも50位内に入る大ヒットとなり、なんと最終的に2300万ドルも稼いでしまった。『吸血原子蜘蛛』('58)で知られる巨大モンスター映画の巨匠バート・I・ゴードンが、この直後に『巨大生物の島』('76)と『巨大蟻の帝国』('77)を立て続けに発表し、長いことご無沙汰だった巨大モンスター映画のジャンルに復帰したのも、本作の成功の影響が少なからずあったはずだ。そういう意味でも侮れない作品である。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤ブルーレイ&DVD&CD3枚組セット)
<本編ブルーレイ>
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:80分/発売元:VCI Entertainment/Blair & Associates (2015)
特典:メイキング・ドキュメンタリー「Size Does Matter!」(約15分)/再編集版スーパー8バージョン(約30分)/撮影舞台裏フォト・ギャラリー/オリジナル劇場予告編&TVスポット集
<特典DVD>
ビル・レバーン監督アーカイブ・インタビュー集(133分)/ロバート・イーストン アーカイブ・インタビュー集(約17分)/オリジナル版スーパー8バージョン(約29分)/ニュース映像(約8分)
<特典CD>
ロックミュージカル版「ジャイアント・スパイダー/大襲来」サウンドトラック(14曲収録)


by nakachan1045 | 2016-11-20 15:32 | 映画 | Comments(0)

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