なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ジャンクウォーズ2035」 Crash and Burn (1990)

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監督:チャールズ・バンド
製作:デヴィッド・デコトー
   ジョン・シュワイラー
製作総指揮:チャールズ・バンド
      デブラ・ディオン
脚本:J・S・カーダン
撮影:マック・アールバーグ
特殊効果:デヴィッド・アレン
特殊メイク:グレッグ・キャノム
編集:テッド・ニコロー
音楽:リチャード・バンド
出演:ポール・ゲイナス
   ミーガン・ウォード
   ラルフ・ウェイト
   ビル・モーズリー
   エヴァ・ラルー
   ジャック・マクギー
   エリザベス・マクリーラン
   キャサリン・アームストロング
アメリカ映画/84分/カラー作品




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<あらすじ>
オゾン層が破壊され地球全体が灼熱地獄と化した2030年。経済の崩壊によって国家が消滅し、巨大な多国籍企業ユニコムが世界を実効支配していた。ユニコムは経済崩壊を招いた原因だとして民間のコンピューターとロボットの使用を禁止。さらには、自社に盾つく者は容赦なく逮捕するなどファシズム的な恐怖支配を敷いていた。
ある時、ユニコムの配送係タイソン(ポール・ゲイナス)は冷却装置用のフロンガスをテレビ局へ送り届ける。テレビ局のオーナー、レイサン(ラルフ・ウェイト)はユニコムに批判的なニュースを放送していたが、下世話なトーク番組の司会者で局幹部のウィンストン(ジャック・マクギー)がユニコム重役の親族であることから大目に見られていた。ユニコム社員であるタイソンを快く思わないレイサン。しかし、彼は単なる末端の社員に過ぎないし、自身も会社のやり方には少なからず疑問を抱いている。そんな彼のことをレイサンの孫娘アレン(ミーガン・ウォード)はすぐに気に入り、ある秘密を彼に打ち明ける。メカが大好きな彼女は、廃棄された工業用ロボットを秘かに修理していたのだ。
配送を終えて帰ろうとするタイソンだったが、熱波の嵐が近づいていることから、アレンの勧めでテレビ局に一泊することとなる。ウィンストンの番組に出演したゲストのポルノ女優サンドラ(エリザベス・マクリーラン)とクリスティ(キャサリン・アームストロング)も足止めを食らっていた。タイソンの人柄にますます惹かれていくアレンだったが、彼は児童教育番組を担当している才色兼備の美女パリス(エヴァ・ラルー)に夢中の様子。まだ16歳のアレンは恋愛対象外だった。
そして深夜、鳴り響くアラーム音に驚いて人々は目覚める。何事かと調べてみると、冷却装置の修理をしていたレイサンが死亡していた。一見すると事故のようだったが、アレンは祖父は殺されたのだという。実はレイサンとアレンはユニコムの打倒を目指す地下抵抗組織ILUのメンバーで、そのことに気付いたユニコムが監視のために人間そっくりのサイボーグをスパイとして送り込んでいた。本来サイボーグは人間に危害を加えないようプログラミングされているが、それをあえて解除するコンピューターウィルスCrash and Burnがユニコムから送信されていたというのだ。
誰がサイボーグなのかはアレンにも分からない。そこで、タイソン全員の血液を採取するのだが、それらしい人物の特定には至らなかった。だが、後になって放送技術担当クイン(ビル・モーズリー)の血液が偽物だと気付いたタイソンは、今まさにアレンに襲いかからんとしているクインと格闘を繰り広げる。タイソンを助けるためクインの頭部を破壊しようとするアレン。しかし、それによってクインは暴走し、ウィンストンやクリスティなどを次々と血祭りに挙げていく。不死身のクインを倒すため、修理中の工業用ロボットを起動させるアレンだったが…。

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エンパイア・ピクチャーズ創業以来最大の超大作として製作されながら、同社の資金難から倒産にかけてのゴタゴタに巻き込まれ、2年間のお蔵入りを余儀なくされたスチュアート・ゴードン監督のSFロボット映画『ロボ・ジョックス』('90)。日本のオモチャ、トランスフォーマーにインスパイアされたという同作は、『マジンガーZ』から『機動戦士ガンダム』に至るまでの日本製ロボットアニメの要素がてんこ盛りで、一部のSF映画マニアからは評判になったものの、興行的には惨敗を喫してしまう。で、当初はその『ロボ・ジョックス』の続編としてエンパイア総裁チャールズ・バンドの新会社フルムーンによって企画され、ヨーロッパでは実際に『Robot Jox2: Crash and Burn』として劇場公開されながらも、アメリカ本国では双方の公開時期が前後逆になったこともあって、全く関係のない独立したSF映画として発表されたのが、この『ジャンクウォーズ2035』である。

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実際、ストーリーも『ロボ・ジョックス』とは直接的な関係は一切ない。同型の巨大ロボットが登場することは確かだが、しかし出番はラストのほんの10分程度で大した活躍もせず。全体的にはSF映画というよりも、近未来を舞台にした密室型サスペンスだ。反体制組織の隠れ蓑であるテレビ局で、嵐に閉じ込められた人々の中に人間そっくりの殺人サイボーグが紛れ込み、一人また一人と犠牲になっていく。果たして誰がサイボーグなのか…?まあ、早々に犯人は割れてしまい、以降は不死身のサイボーグVS生存者の壮絶バトルが繰り広げられていくわけだが、変に勿体ぶることなくストーリーがテンポよく進んでいく点は好感が持てる。もともと85分と短い上映時間だが、終始観客を飽きさせない工夫が凝らされていることもあって、実際のところさらに短く感じられることだろう。

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また、密閉空間に閉じ込められた人々の中からサイボーグを探すために血液検査をするシーンは『遊星からの物体X』('82)、手足がもげても執拗に襲いかかって来るサイボーグは『ターミネーター』('84)といった具合に、様々なSF映画やアクション映画のパクリ…いえ、オマージュをふんだんに盛り込んでいるところも映画マニア的には楽しめるはず。とはいえ、巨大ロボットをフィーチャーした宣伝ポスターは、決して嘘ではないにしても結構な誇大広告だろう。巨大ロボットがバンバン暴れまくるアクション大作を期待したのに、蓋を開けてみたら小ぢんまりとしたB級SFサスペンスでガックシ…ってなことにもなりかねない。まあ、この手の羊頭狗肉は昔から低予算映画の常套手段ではあるのだけれど。

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演出はチャールズ・バンド御大自らが担当。脚本は『山猫は眠らない2』('02)や『8mmⅡ』('05)、『プロムナイト』('08)に『ステップファーザー 殺人鬼の棲む家』('09)など、ヒット作の続編やリメイクばかり作っているJ・S・カーダンだ。この人、本作の前にもフルムーンで『シャドー・ゾーン』('89)なるSFホラーを自らの監督兼脚本で撮っているのだが、基本的なストーリーの流れはソックリそのままだ。ただ、あちらはロボットやサイボーグではなく、”夢の向こう側”からやって来た未知の怪物によって密室空間に閉じ込められた人々が殺されていくという話だった。90分未満の短い尺のわりに長く感じられる退屈な映画だったが、こちらはチャールズ・バンドのサクサクとスピーディで無駄のない演出が功を奏している。よくよく考えると都合の良すぎる設定や展開が多いので、突っ込みどころはあちこち満載だが、とりあえずB級エンターテインメントとしてはまずまずの仕上がりだ。

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巨大ロボットの特撮シーンを手掛けているのは、『フレッシュ・ゴードン』('74)や『おかしなおかしな石器人』('80)、『ウィロー』('88)などで知られるストップモーション撮影の第一人者デヴィッド・アレン。チャールズ・バンドとはエンパイア時代から『SFレーザーブラスト』('78)や『異次元のパスポート』('80)、『ドールズ』('86)などでも組んでおり、『ロボ・ジョックス』でも巨大ロボットの特撮を担当していた。また、特殊メイクには4度のオスカーに輝くグレッグ・キャノムが参加しており、ゾンビのごとくボロボロに崩れていくサイボーグのグロテスクな特殊メイクをデザイン。彼もまた、『ビースト・キッス』('90)などでチャールズ・バンドと組んでいる。

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主演は当時『モノリス』('93)などのジャンル系低予算映画で2番手3番手の役どころを演じていたポール・ゲイナス。ハンサムだがあまり印象に残らないタイプの役者だ。なんといっても本作で魅力的なのは、ヒロインの少女アレン役を演じているミーガン・ウォード。撮影当時(1988年)19歳だった彼女は本作が映画デビューで、以降『トランサーズ2360』('91)や『バーチャゾーン』('93)などのフルムーン製作SF映画のヒロインを立て続けに演じ、ブレンダン・フレイザー主演の『原始のマン』('92)
でもヒロインに抜擢されるなど、当時はアイドル女優としてそこそこの活躍を見せていた。とにかく爽やかで親しみやすくてキュート。もっとブレイクしても良かったように思う。

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で、そんなミーガン演じるアレンの恋敵(?)として登場する大人の女性パリス役には、大ヒットドラマ『CSI:マイアミ』の女性刑事ナタリア役で親しまれた女優エヴァ・ラルー。当時は昼メロの長寿シリーズ『All My Children』のレギュラーとして活躍していた。筆者は『CSI:マイアミ」のセットビジットで何度か彼女にインタビューをしているが、それはもう惚れ惚れとするくらいの美人だった。また、アレンの祖父でテレビ局のオーナーには、'70年代アメリカの国民的ファミリードラマ『わが家は11人』('72~'81)のお父さん役で知られ、最近では『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』のリーダー、ギブスの父親役でもお馴染みだった名優ラルフ・ウェイト。さらには、トーク番組のホストで憎まれ役のウィンストンには、テレビ『レスキュー・ミー~NYの英雄たち』の消防署署長ライリー役や映画『ザ・ファイター』('10)のマーク・ウォルバーグの父親役で知られるジャック・マクギーが扮している。

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そして、実は殺人サイボーグだった放送技師クイン役を演じているのは、『悪魔のいけにえ2』('86)のチョップ・トップ役で有名なカルト俳優ビル・モーズリー。ロブ・ゾンビ監督の『マーダー・ライド・ショー』('03)および『デビルズ・リジェクト~マーダー・ライド・ショー2』('05)での怪演も強烈だった。当初は地味で目立たない存在のクインだったが、なにしろビル・モーズリーがやっているわけだし、ただの脇役キャラでは終わらないだろうなあ…と思っていたら、案の定その通りだった(笑)。後半のぶっちぎれたイカれっぷりはまさしく彼の独壇場。髪の毛が抜け落ちて頭部の中身の金属が露出した姿はまるっきりチョップ・トップだ。もちろん、あえて狙ったのだろう。さすがは商売人チャールズ・バンド。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(オーストラリア盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.66:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Stereo/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:84分/発売元:Kangaroo Video/Full Moon Features (2005年)
特典:メイキング・ドキュメンタリー(約7分)/NGシーン集(約6分)

by nakachan1045 | 2016-12-19 00:30 | 映画 | Comments(0)

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