なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「サイキック・ウォリアーズ/超時空大戦」 Doctor Mordrid (1992)

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監督:アルバート・バンド
   チャールズ・バンド
製作:チャールズ・バンド
原案:チャールズ・バンド
脚本:C・コートニー・ジョイナー
撮影:アドルフォ・バルト―リ
特殊視覚効果:デヴィッド・アレン
音楽:リチャード・バンド
出演:ジェフリー・コムズ
   ブライアン・トンプソン
   イヴェット・ナイパー
   ジェイ・アコヴォーン
   キース・クール―リス
   リッチ・ブリンクリー
アメリカ映画/74分/カラー作品




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<あらすじ>
ニューヨークの古い高級アパートの家主であり、オカルト犯罪の専門家でもある高名な研究者モードリッド博士(ジェフリー・コムズ)。秘密のヴェールに包まれた独身者である彼の正体は、ザ・モニター(監視者)と呼ばれる神のような存在によって異空間より地球へ遣わされた魔術師だった。彼の使命は邪悪な闇の力から人類を守ること。日夜危険の兆候を監視している彼は、不可解な現象によって大量のプルトニウムやダイヤモンドが次々と奪われるという事件に目を付ける。
実はモードリッド博士には、カバール(ブライアン・トンプソン)という幼少期よりの最大のライバルがいた。強大な魔力を持ちながらもダークサイドに魅かれたカバールは、魔術師を迫害してきた歴史を持つ野蛮な人類を嫌い、彼らを奴隷のように支配しようと考えていたのだ。モードリッド博士は150年前にカバールを捕えて封印していた。しかし、監視人たちを倒して脱走に成功したカバールは、人類を支配するため地獄の門を開けようと画策する。そのために必要な魔法の液体を作るべく、材料となる物質を奪っていたのだ。
カバールの行方を探そうとするモードリッド博士。そんな彼に興味を持ったのは、アパートの住人で警察のコンサルタントを務める犯罪心理学者サマンサ(イヴェット・ナイパー)だ。謎の多いモードリッド博士の私生活に好奇心を掻き立てられる彼女。全く悪気がないこともあり、博士は彼女を自宅へ招き入れて親しくなる。
やがて、カバールの儀式で生贄にされた女性の死体が発見される。その額に記された宗教的な刻印が、モードリッド博士の所有しているペンダントのものと同じだと気付いたサマンサは、博士の知恵を借りてはどうかと同僚の刑事トニー(ジェイ・アコヴォーン)に助言する。ところが、トニーはモードリッド博士こそ殺人犯だと決めつけて逮捕してしまった。
その頃、魔法の液体を完成させたカバールは、最終的な儀式に必要な賢者の石を手に入れるべく自然史博物館へと向かう。タイムリミットが近づいていることを察知したモードリッド博士はサマンサに事情を明かし、彼女の協力で警察署を脱走。カバールの儀式を阻止しようとするのだが…。

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日本でも1月27日に劇場公開が控えているマーベル映画最新作『ドクター・ストレンジ』。'70年代にテレビムービーとして実写化されたことがあるのはご存知の方も少なくないと思うが、実は'90年代にも実写映画化が企画されたことがある。しかも、低予算B級映画専門のプロデューサー、チャールズ・バンドのもとで。意外に思われるかもしれないが、しかしかつてのマーベルは自社コミックの映画化にあまり積極的ではなく、あの『キャプテン・アメリカ』の最初の劇場用映画化を手掛けたのだって、キャノン・フィルムをクビになったメナハム・ゴーランが社長に就任したB級スタジオ、21世紀フィルムだった。ディズニーやフォックス、ソニー・ピクチャーズなどのメジャー・スタジオが競うようにしてマーベルとコラボを組むという、現在のハリウッド業界の状況を考えるとウソみたいに敷居が低かったのである。

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そのチャールズ・バンドがいつ頃『ドクター・ストレンジ』の映画化権を獲得したのかは定かでないものの、実際に企画が動き出す前に権利の期限が切れてしまったらしい。再び買い直すにはお金がかかるし、かといって企画そのものを白紙に戻すのも勿体ない。そこで彼がひらめいたのは、ドクター・ストレンジをヒントにして全く別のキャラクターを創作すること。要するにパクリだ。そんないかにも商売人チャールズ・バンドらしい経緯から誕生したのが、ドクター・ストレンジならぬドクター・モードリッドを主人公にしたSFファンタジー映画『サイキック・ウォリアーズ/超時空大戦』だったというわけである。

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 ドクター・ストレンジと同様に魔力を持つ魔術師のモードリッド博士。ただし、あちらがチベットで修行を積んだ末に魔術師となった人間であるのに対し、こちらは異次元の魔術界からやって来た不老不死の超人。数万年に渡って生きているらしいので、どちらかというとドクター・ストレンジの師匠エンシェント・ワンに近い存在と言えるかもしれない。ただし不死身というわけではなく、中世の暗黒時代には大勢の仲間が人間によって殺されてきた。それが原因で人間に敵意を抱くようになったのが、強大な魔力を悪用する永年のライバル、カバール。宇宙に浮かぶ巨大な目=ザ・モニターの命によって地球を守るモードリッド博士は、そんなカバールの邪悪な計画を阻止するために戦うことになるのだ。

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一応、設定自体はそれなりにスケールが大きいものの、なにしろビデオ・スルーの超低予算映画なので、実際のストーリー展開は実に小ぢんまりとしたもの。だいたい、常日頃から世界中で怪しい動きがないか監視しているという、モードリッド博士の情報収集ツールがたった12台のテレビモニターってのがショボい(笑)。ってことは、ニュース番組で取り上げられない情報は入ってこないってわけだ。使用する魔術も全体的に地味。せいぜい時空を飛び越えたり、幽体離脱をしたり、物体に生命を吹き込んで自在に操ったりする程度の魔法しか披露されない。もちろん、理由は予算の都合であろう。

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最大の見せ場は、自然史博物館で繰り広げられるクライマックスのモードリッド博士VSカバールの魔術バトル。それぞれトリケラトプスとティラノサウルスの化石を魔術で操って戦うことになる。さらに、カバールは賢者の石の力で家来の鬼たちを蘇らせようとするわけだが、これらの特撮をストップモーション技術を用いて制作したのがデヴィッド・アレン。『フレッシュ・ゴードン』('74)や『ヤング・シャーロック』('85)などで有名なストップモーション・アニメの第一人者で、チャールズ・バンドとは『SFレーザーブラスト』('78)以来のコラボレーターだ。カバールの家来として登場する小さな鬼たちは、恐らく日本未公開の傑作ヴァンパイア映画『Subspecies』('91)シリーズに出てくるモンスターのフィギュアモデルを流用したのだろう。デザインから動きまでほぼソックリ同じだ。

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監督にはチャールズ・バンドと父親アルバート・バンドの2人がクレジットされているものの、現場の演出は息子チャールズに主導権が任され、父アルバートはほぼ監修に近い役割を担っただけのようだ。音楽スコアを担当するのはチャールズの弟リチャード、自然史博物館で恐竜の化石を見学する少年役で顔を出すのはチャールズの息子アレックスと、バンド一族三世代が関わっている点も要注目だ。で、そのチャールズの原案を脚本にしたのは『プリズン』('87)や『クラス・オブ・1999』('90)の脚本家で、『トランサーズ2360』('91)以降はフルムーン映画専属の監督兼脚本家として活躍したC・コートニー・ジョイナー。シンプルなストーリーを無駄なくサクサクと進行させ、上映時間たったの74分に収めてしまったことは評価できる。こういう映画は、尺を延ばせば延ばすほど低予算の粗が目立つことになるわけだしね。

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モードリッド博士役には『死霊のしたたり』('85)以来、エンパイアおよびフルムーンの看板スターとなったジェフリー・コムズ。こういう謎めいた変人キャラはうってつけだ。その宿敵カバールには、『ターミネーター』('84)や『地獄の女囚コマンド』('90)などでお馴染みの強面マッチョ俳優ブライアン・トンプソン。そのほか、テレビ版『ロボコップ THE SERIES』('94)の女性警官役に抜擢された女優イヴェット・ナイパー、テレビ版『美女と野獣』('87~'90)の地方検事マックスウェル役で知られるジェイ・アコヴォーンが共演している。

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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(オーストラリア盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Stereo/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:74分/発売元:Kangaroo Video/Full Moon Features (2005)
特典:メイキング・ドキュメンタリー(約9分)




by nakachan1045 | 2017-01-02 23:56 | 映画 | Comments(0)

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