なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

「ガンマン無頼」 Texas, Addio (1966)

f0367483_02061414.jpg
監督:フェルディナンド・バルディ
製作:マノロ・ボロニーニ
脚本:フランコ・ロセッティ
   フェルディナンド・バルディ
撮影:エンツォ・バルボーニ
風景撮影:ルイジ・スカッチャノーチェ
編集:セルジョ・モンタナ―リ
スタント監修:レモ・デ・アンジェリス
音楽:アントン・アブリル
出演:フランコ・ネロ
   コレ・キトッシュ(アルベルト・デッラクア)
   ホセ・スアレス
   エリサ・モンテス
   ホセ・グアルディオーラ
   リヴィオ・ロレンゾン
   ウーゴ・ブランコ
   ルイジ・ピスティッリ
イタリア・スペイン合作/92分/カラー映画




f0367483_03311036.jpg
<あらすじ>
テキサスの小さな町を治める保安官バート・サリバン(フランコ・ネロ)は卓越した拳銃技の名手で、無法者たちから町の安全を守ってきた。そんな彼が、ある時町を出てメキシコへ向かうことを決意する。幼い頃に父親を殺した犯罪者シスコ・デルガード(ホセ・スアレス)をテキサスへ連れ戻し、正当な裁きを受けさせるためだ。まだ若くて未熟な弟ジム(コレ・キトッシュ)を残し、一人で出発するバートだったが、一緒に行くと言ってきかない弟を連れて行かざるを得なくなる。
国境を越えてたどり着いたメキシコの町でシスコの居場所を尋ねて回る二人。しかし、誰もが固く口をつぐむ。そればかりか、酒場では無法者たちに嫌がらせを受け、飲んだくれの横暴な町長ミゲル(リヴィオ・ロレンゾン)からは町を出ていくよう警告される。革命家の弁護士エルナンデス(ルイジ・ピスティッリ)によると、強盗や略奪で財を成したシスコの恐怖政治によって町は支配されていたのだ。
酒場で働く若い娘からシスコの居場所を知るという老人の情報を掴んだ兄弟は、行く手を阻もうとする無法者たちを華麗な拳銃さばきで次々となぎ倒し、やがて老人の仲介でシスコの住む豪邸へとたどり着く。単身屋敷へと乗り込んでシスコと対峙するバート。そこで彼は衝撃的な事実を聞かされる。弟ジムはシスコが兄弟の母親をレイプして出来た息子だったのだ。
シスコは事情を説明しないままジムを手元に置き、ミゲルに命じてバートをテキサスへ強制的に帰させる。理由も分からぬまま軟禁状態に置かれたジムは、やがてシスコ本人の口から彼が実の父親だと聞いて激しいショックを受け、奴隷として連れて来られた女性(エリザ・モンテス)の手引きで脱走を図る。
その頃、エルナンデスの率いる革命軍に助けられたバートは、彼らに懇願されて革命軍の総決起に加わることに。シスコの一味を撃退したバートは、弟を救うため一路シスコの邸宅へと向かうのだったが…。

f0367483_03321105.jpg
マカロニ・ウエスタンが生んだ最初のスーパースターがクリント・イーストウッドだとすると、最大のスーパースターは間違いなくフランコ・ネロであろう。『続・荒野の用心棒』('66)で演じた孤高のヒーロー、ジャンゴ役で一躍スターダムにのし上がったネロは、その後も数々のマカロニ・ウエスタンに主演。さらには刑事アクションから社会派ドラマ、ブニュエルやファスビンダーといった巨匠の名作からハリウッド大作まで、実に幅広くも華々しい活躍を繰り広げたわけだが、特筆すべきは決してマカロニ・ウエスタンを見捨てなかったということだろう。自分に成功をもたらしたものに唾を吐くような真似をしてはいけない、という彼自身の言葉を裏付けるように、ブームが衰退した'70年代半ば以降もコンスタントにマカロニ・ウエスタンへの出演を続け、タランティーノがマカロニにオマージュを捧げた『ジャンゴ 繋がれざる者』('12)にも顔を出したフランコ・ネロ。まさしくマカロニ・ウエスタンの代名詞とも言うべき存在だ。

f0367483_03304125.jpg
そんな彼がジャンゴ役でブレイクした直後に主演した本作。ダークでペシミスティックで神話的ですらある『続・荒野の用心棒』やサディスティックなバイオレンスが炸裂する『真昼の用心棒』('66)、革命的アナーキズムに満ちた『豹/ジャガー』('68)に『ガンマン大連合』('70)と、当時のフランコ・ネロ主演による一連の傑作西部劇群と比べると凡庸な印象は免れまい。いい意味でも悪い意味でも典型的なマカロニ・ウエスタン。亡き父の仇を取るという王道のリベンジ・ドラマを軸にしつつ、その憎き宿敵こそが実は弟の父親だったというベタな愛憎劇を絡ませる。横暴な独裁者によって支配されたメキシコの町で孤立無援となる主人公たちというのも、極めてありがちなシチュエーションだ。

f0367483_03334155.jpg
また、悪役のキャラ設定がいまひとつブレがちなのも気になる点。歯向かう奴は容赦なくぶち殺す極悪非道なシスコだが、そうかと思えば自分のような犯罪者が父親だとジムには知られたくなかった、君なら息子を真面目で立派な人間に育ててくれると思った…なんてしんみりとした面持ちでバートに語っておきながら、いざ自分の手許に息子を置くと倉庫みたいなところに監禁したり荒くれ者の部下たちに暴行させたり。一枚岩ではない複雑なキャラというより、単にストーリー展開の都合に応じてコロコロと人格が変わっただけという感じ。整合性が取れていないのだ。それは飲んだくれの町長ミゲルも同様で、シスコの手下としてバンバン庶民を虐殺しておきながら、終盤でいきなり実は妻子をシスコに殺されて自暴自棄になった可哀そうな人だったことが明らかに。これまた、主人公バートが革命軍に加勢するという展開の必要上、無理矢理こじつけたとしか思えない。監督と脚本を兼ねるフェルディナンド・バルディはマカロニ西部劇やマフィア映画でお馴染みの中堅どころで、『皆殺しのジャンゴ/復讐の機関砲(ガトリングガン)』('68)や『盲目ガンマン』('71)など少なからず秀作を残している人だが、少なくとも本作の脚本に関しては精彩を欠くという印象だ。

f0367483_03324050.jpg

その一方で、スコープサイズのワイドスクリーンを余すところなく活用した、撮影監督エンツォ・バルボーニのダイナミックなカメラワークは見応えがある。ロケ地であるスペインはアルメリアの大自然の壮大な風景をスケール感たっぷりに捉えており、ある種の風格すら感じさせる。フランコ・ネロによる華麗なガン・アクションもなかなかのもの。日本での劇場公開当時、配給会社によって「荒野の墓堀殺法」だの「蜂の巣残虐殺法」だの「兄弟分身殺法」だのと誇張気味に命名されており、まあ、そこまでどえらい凄技なのかどうかは疑問の余地ありだが、その軽業的な立ち回りに血沸き肉躍ることは確かだ。

f0367483_03344157.jpg
また、ポール・ナッシー映画やブラインド・デッド・シリーズで知られるスペインの作曲家アントン・アブリルによる、哀愁たっぷりの音楽スコアも印象的。モリコーネの影響を多分に受けつつ、ラテンの血が煮えたぎるというか、高揚感溢れる歌謡曲的なメロディに鳥肌が立つ。ドン・パウエルによる男泣きの主題歌も秀逸。やはり音楽の魅力はマカロニ・ウエスタンを語るうえで外せないだろう。

f0367483_03351036.jpg
もちろん、そこに立っているだけで雄弁にドラマを語るフランコ・ネロの存在感も抜群にカッコいい。絵になる男とはまさに彼のことだ。弟ジムを演じているコレ・キトッシュは細面のブロンド美少年で、あまり印象に残るタイプの役者ではないものの、ナイーブで未熟な若者というキャラには適役。本名をアルベルト・デッラクアという生粋のイタリア人で、『禿鷹のえさ』('65)と『殴り込み兄弟』('67)では主人公マクレガー一家の末っ子を演じたり、'70年代にはロバート・ウィドマーク名義でサルタナ・シリーズに主演したりとマカロニ西部劇で売り出されたが、強面のタフガイ俳優が圧倒的多数のマカロニ業界では線が細すぎたのだろう、あまり成功したとは言えず、後にフルチの『サンゲリア』('80)ではゾンビ役を演じたりしていた。

f0367483_03331140.jpg
脇役で印象深いのは、なんといっても弁護士エルナンデス役のルイジ・ピスティッリだろう。ジャン・マリア・ヴォロンテの手下役を演じた『夕陽のガンマン』('65)、クリント・イーストウッドの兄貴を演じた『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』('66)でマカロニ・ファンにもお馴染みの名優。本作では珍しく善人役で、しかも理想に燃える革命家という役どころ。戦いに関しては全くの素人という設定だが、終盤ではフランコ・ネロと共に拳銃をバンバンぶっ放してくれる。町長ミゲル役のリヴィオ・ロレンゾンはスペクタクル史劇や海賊活劇などの将軍役や悪役で活躍した性格俳優で、マカロニでも『復讐のガンベルト』('65)や『荒野の三悪党』('68)などに出演している。

f0367483_03341190.jpg
宿敵シスコ役のホセ・スアレスはフランチェスコ・ロージ監督の『挑戦』('58)やルイジ・ザンパ監督の『女は選ぶ権利がある』('59)といった巨匠の作品に主演したスペインの名優で、本作でも特別ゲストという別格の扱いを受けているが、キャラ設定の弱さもあって悪役としてのインパクトは及第点。また、紅一点のスペイン女優エリサ・モンテスはハリウッド映画『続・荒野の七人』('66)にも出演した売れっ子だったが、なにしろマカロニ・ウエスタンの世界で女性は基本的に添え物。本作もまた御多分に漏れず、大した見せ場もないまま、あっという間に殺されてしまう。

f0367483_03314153.jpg
というわけで、フランコ・ネロ主演作としては決してベストな部類ではないし、脚本の弱点は如何ともしがたいものがあるものの、見どころには事欠かない良質なエンターテインメント作品。あくまでもマカロニ・ファン限定でおススメだ。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語・イタリア語/字幕:日本語/時間:92分/地域コード:2/発売元:株式会社エルディ
特典:オリジナル劇場予告編


by nakachan1045 | 2017-01-05 05:53 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター