なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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Point of Terror (1971)

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監督:アレックス・二コル
製作:ピーター・カーペンタ―
   クリス・マルコーニ
原案:ピーター・カーペンタ―
   クリス・マルコーニ
脚本:トニー・クレチェイルズ
   アーネスト・A・チャールズ
撮影:ロバート・マクスウェル
編集:ヴァーナ・フィールズ
歌唱:ピーター・カーペンタ―
出演:ピーター・カーペンタ―
   ダイアン・ソーン
   ローリ・ハンセン
   レスリー・シムズ
   ジョエル・マーストン
   ポーラ・ミッチェル
アメリカ映画/88分/カラー作品




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<あらすじ>
レストラン&バーのステージに立つ売れない歌手トニー(ピーター・カーペンタ―)は、プライベートビーチとは知らずに日光浴をしていた砂浜で、所有者の妻である美女アンドレア(ダイアン・ソーン)と知り合う。社交辞令で彼女を店に招待するトニー。実は、アンドレアの夫は誰もが知る大手レコード会社社長ヒリアード(ジョエル・マーストン)だった。しかも、夫が交通事故で下半身不随の今、実質的に会社の経営権を握っているのはアンドレアだったのだ。
アンドレアはトニーのステージを見て気に入り、すぐにレコーディング契約を結ぶ。そればかりか、2人は肉体的にも深い関係になっていった。これまでトニーを支えてきた恋人サリー(ポーラ・ミッチェル)は気が気でなかったが、トニーはそれも名声を得るために必要な手段だと割り切っている様子だ。
一方、妻とトニーの関係に気付いたヒリアードは憤慨し、トニーのキャリアを葬り去ってやると脅迫する。激しい夫婦喧嘩が繰り広げられるものの、夫に弱みを握られているアンドレアは強く言い返せない。実は、アンドレアはヒリアードと結託して彼の最初の妻を殺害していた。しかも、彼が車椅子生活を送るようになったのも彼女が起こした交通事故が原因だったのだ。
それでも、トニーの逞しい肉体に逆らえず溺れていくアンドレア。ある晩、激高した夫に暴力を振るわれた彼女は、彼を車椅子ごとプールへ突き落とし殺してしまう。これで厄介者はいなくなった。大っぴらにトニーとの情事を楽しめると思った矢先、ヒリアードと前妻の間の娘へレイン(ローリ・ハンセン)が父親の葬儀に出席するため帰省し、トニーは彼女に一目惚れしてしまう。己の肉体をエサにアンドレアを繋ぎとめておきつつ、へレインとも深い関係になっていくトニー。しかし、彼の裏切りに気付いたアンドレアが嫉妬に狂い…。

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これはずばり、ピーター・カーペンターなる無名俳優が自分自身を売り出すために製作・原案・主演を兼ねたセルフプロモーション映画である。ラスベガスのショー・ダンサーだった彼は、俳優へ転向してラス・メイヤー作品などに顔を出すも鳴かず飛ばず。そこで、友人から借金をして超ウルトラ低予算の自主製作ホラー『Blood Mania』('70)を発表したところ、これがドライブイン・シアターやグラインドハウス向けに低予算映画を提供するクラウン・インターナショナルの配給網に乗り、そこそこの客が入ってしまう。そこで、クラウン・インターナショナルからの主演映画第2弾として企画されたのが本作だったというわけだ。
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そういうわけなので、本編ではピーター・カーペンターが歌って踊って脱いで甘い愛を囁いてと大忙し。もちろん、これみよがしな大熱演シーンで演技力をアピールすることも忘れていない。自らを種馬セックス・シンボルに祀り上げようという魂胆が見え見えだ。ただね、どんなにマッチョなセクシーボディとモサモサの胸毛を見せつけても、あちこちで意味もなくモッコリ膨れ上がった股間を強調しても、そしてトム・ジョーンズもしくはエンゲルベルト・フンパーディンクばりのド派手なパフォーマンスを披露してみても、やっぱり貧相な安っぽさは隠しようがないわけですよ。全編に漂うのは何とも言えないこっぱずかしさ。逆にいうと、この臆面もないチープな自己陶酔=ナルシズムこそが、他では決して味わうことの出来ない本作の面白さだとも言えよう。これぞまさに”キャンプ”である。
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当時のいかにもサイコ・ホラー的なおどろおどろしいポスター・イメージや、”The outer limit of fear(ぎりぎり限界の恐怖)”なんていう宣伝文句とは裏腹に、ストーリーはほぼ2時間サスペンス風のドロドロ愛憎ドラマ。残念ながらホラーの要素は微塵もない。カーペンター自身を彷彿とさせる売れない歌手(実力はあるのに認められていないってとこがミソ)が、己の肉体を武器に権力者の人妻を夢中にさせてスターダムを駆け上がるものの、やがて彼女の義理の娘と真剣に愛し合うようになり、さらには殺人絡みのゴタゴタに巻き込まれていく。いやあ、見事なくらいに安っぽい(笑)。
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ただ、やり過ぎなくらい赤や青の原色カラー照明をフル稼働したケバケバしいビジュアルは、それこそダリオ・アルジェントの『サスペリア』('77)を先駆けたような感じで興味深いし、全編に散りばめられた'70年代初頭のサイケデリックなファッションやインテリアデザインも大いに目を引く。'70年代のカルチャー・トレンドに興味のある人は必見だろう。
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さらに、ヒロイン役があのダイアン・ソーンというのもカルト映画ファンにとっては見逃せない。そう、あの悪名高き怪作『ナチ女収容所/悪魔の生体実験』('74)を筆頭とする、罰当たり残酷映画イルサ・シリーズでお馴染みの怪女優である。さすがにイルサ役のインパクトには遠く及ばないものの、プールサイドの濃厚ラブシーンでは自慢の超絶爆乳をポロッと披露。男に飢えた欲求不満マダムを楽しげに演じている。馴染みのヘアスタイリストがピーター・カーペンターの友人だったことから、紹介を受けて出演することになったのだそうだ。
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監督のアレックス・二コルは『ララミーから来た男』('55)など数多くの西部劇に出演した脇役俳優で、監督としては『叫ぶ頭蓋骨』('59)というカルト・ホラーの名作を残している人。脚本に参加したトニー・クレイチェイズルも、後に『サイコ・シスターズ』('72)や『変質者テリー/殺人コレクターの甘いうずぎ』('73)などのカルト映画を何本も手掛けている。また、撮影監督のロバート・マクスウェルは、あのメルヴィン・ヴァン・ピープルズのエポックメイキングなブラック・シネマ『スウィート・スウィートバック』('71)のカメラマンとして有名だ。さらに、後に『アメリカン・グラフィティ』('73)や『ジョーズ』('75)を手掛けるヴァーナ・フィールズが編集を担当している。

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ピーター・カーペンターの演技コーチであり、本作でもアンドレアの親友フラン役で出ている女優レスリー・シモンズによると、当時のピーターは有名になりたい、注目されたいと必死だったという。しかし、残念ながらキャリアを賭けた本作は一部でカルト映画として愛されつつも興行的には全くの不発で、これを最後に彼の役者人生も絶たれてしまう。ネット上には本作の完成直後の71年に発作で亡くなったとの情報もあるが、シモンズの証言では'70年代の末から'81年頃の間に肺炎で急逝したとされており、その最期もハッキリとしたことは分かっていない。
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評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:88分/発売元:Scorpion Releasing/Mill Creek Entertainment
特典:女優レスリー・シモンズのインタビュー(約15分)/女優ダイアン・ソーンの電話インタビュー(約15分)/オリジナル劇場予告編

by nakachan1045 | 2017-02-16 07:56 | 映画 | Comments(0)

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