なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

The Terrornauts (1967)

f0367483_10345683.jpg
監督:モンゴメリー・タリー
製作:マックス・J・ローゼンバーグ
   ミルトン・サボツキー
原作:マレイ・ラインスター
脚本:ジョン・ブルナー
撮影:ジョフリー・フェイスフル
特撮:アーネスト・フレッチャー
音楽:エリザベス・ラッチェンス
出演:サイモン・オーツ
   ゼナ・マーシャル
   チャールズ・ホートレイ
   パトリシア・ヘイズ
   スタンリー・ミードウズ
   マックス・エイドリアン
イギリス映画/74分/カラー作品




f0367483_10445670.jpg
<あらすじ>
イギリスの某天文学研究所。天文学者バーク博士(サイモン・オーツ)は、幼い頃に夢の中で宇宙からの奇妙な電波信号を聞いて以来、地球外知的生命体の存在を立証することに人生を捧げてきた。彼は科学財団の資金援助を受けてスター・トークというプロジェクトを立ち上げ、最新鋭の電波望遠鏡を使って宇宙からのシグナルを傍受すべく日々電波を監視していたが、4年経っても全く成果は上がらない。そもそも、この種の調査には期限などあり得ないと考えるバーク博士だったが、研究所の所長ショア博士(マックス・エイドリアン)からは時間と経費の無駄だと責められ、財団からもあと3カ月で何の成果もなければ資金援助を絶つと通告されてしまう。
そんなある日、いつものように技術責任者ケラー(スタンリー・ミードウズ)や秘書サンディ(ゼナ・マーシャル)と共に電波の解析をしていると、明らかに何らかのメッセージだと思われる信号を傍受する。それは遥か彼方宇宙からのもので、どうもSOS信号のようなものと考えられた。しかし、計算された場所の小惑星は観測の結果、生命体の存在しないことが立証されている。そこで、バーク博士らは電波望遠鏡で信号を送り返すことにする。
すると、すぐさま巨大な宇宙船が地球に飛来し、スター・トーク・チームの研究棟を丸ごと運び去ってしまう。たまたま居合わせた財団の経理担当イエローリース氏(チャールズ・ホートレイ)とお茶汲み係の老女ジョーンズ夫人(パトリシア・ヘイズ)も一緒に巻き込まれる。気が付くと一行は小惑星の宇宙ステーションに到着していた。
しかし、宇宙ステーションで彼らを待っていたのは一体のロボットだけで、人影は全く見当たらない。実は、この宇宙ステーションは侵略エイリアンを食い止める最前線だったのだが、はるか昔に滅ぼされてしまったのだ。残された録音メッセージで侵略エイリアンの戦闘機群が迫っていること、彼らの次なるターゲットが地球であることを知ったバーク博士たちは、宇宙ステーションに備わった武器を使って決死の戦いを試みるのだが…。

f0367483_10450836.jpg
ブリティッシュ・ホラーの殿堂ハマー・フィルムの最大のライバルだったアミカス・プロによる珍しい本格SF映画である。ご存知のように、ハマーは『原子人間』('55)や『火星人大襲撃』('67)など大人向けの優れたSF映画を幾つも残しているが、その一方でアミカス製作のホラー映画はほんの僅かに過ぎないし、そもそも彼らがSF映画を作っていたことすらあまり知られていない。その理由は本作を見ても明らか。そりゃ酷いったらないんだから(笑)。
f0367483_10451465.jpg
ノリは完全にテレビのお子様向け特撮ドラマである。科学的な根拠やリアリズムが乏しいどころの話じゃない。あまりにも荒唐無稽かつバカバカし過ぎて、当時の子供たちならばいざ知らず、今だったら幼稚園生ですら鼻で笑うであろう仕上がりだ。脚本は穴だらけで論理的に破綻しているし、ピアノ線も丸見えのミニチュア特撮は安手のオモチャも同然だし。劇中に登場するモンスターのクリーチャー・スーツや、緑色をした蛮族エイリアンの特殊メイク(?)にしても小学校の学芸会レベルだ。
f0367483_10450388.jpg
ただ見方を変えれば、このどうしようもないほど安っぽいガラクタ感こそが本作の醍醐味でもある。とりあえずサービス精神だけは旺盛。『ドクター・フー』のダレクと『禁断の惑星』のトビーを合体させたようなロボットもご愛敬だ。当時ですら恐らく古臭く感じられたであろうキッチュなレトロ感。そう、本国で2本立て同時公開された『宇宙からの侵略者』('67)もそうなのだが、とても'60年代後半のSF映画とは思えない致命的な発想の貧困さが、アミカス製作SF映画の大きな特徴と言えるだろう。
f0367483_10445095.jpg
宇宙からのSOS信号、絶滅した惑星文明、地球に迫るエイリアンの侵略者。あらすじは『エイリアン』の元ネタとも言われるマリオ・バーヴァ監督の傑作SFホラー『バンパイアの惑星』('65)とSF映画の古典『禁断の惑星』('56)を合体させたような印象だが、実はアメリカの有名なSF作家マレイ・ラインスターの小説『宇宙からのSOS』が原作。脚本を手掛けたジョン・ブルナーも、数々の文学賞に輝くイギリスを代表するSF作家だ。なので、この顔ぶれでなぜこの脚本の出来栄え?という大きな疑問が残るわけだが、ブルナーが映画の脚本執筆に携わったのは後にも先にもこれ一本だけなので、もしかすると本人的には小説と勝手が違う映画の脚本は、決して得意な分野ではなかったのかもしれない。
f0367483_10444029.jpg
監督のモンゴメリー・タリーは主にB級犯罪サスペンスで知られる多作の職人監督。英国産SFホラーの金字塔『光る眼』('60)のカメラマン、ジョフリー・フェイスフルが撮影監督を担当している。また、音楽にはイギリスの有名な現代音楽作曲家エリザベス・ラッチェンスが参加。とりあえず、意外にもまともなスタッフが揃っているのだよね。見てくれのショボさに関わらず。
f0367483_10444407.jpg
主演のサイモン・オーツは'70年代の英国産SFテレビドラマ『Doomwatch』とその映画版('72)の科学者役でイギリスでは知られる俳優。ヒロイン役のゼナ・マーシャルは、『007/ドクター・ノオ』('62)でジェームズ・ボンドと通じている中国系美女を演じた元ボンドガールだ。黒髪にちょっとエキゾチックな顔立ちなので、よくアジア系の役柄にキャスティングされたらしいが、もちろんアジア人ではない。
f0367483_10444710.jpg
好奇心旺盛だけれど臆病者で口数の多い会計士イエローリース氏役には、イギリスの国民的コメディ映画『Carry On』シリーズで有名な喜劇俳優チャールズ・ホートリー。世話好きなお茶汲み係のオバサン、ジョーンズ夫人役には、『ネバーエンディング・ストーリー』('84)の小人の妖精ウーグル役が印象的だった脇役女優パトリシア・ヘイズが扮している。この2人がいわゆるお笑い担当として、随所でベタなボケをかましていくというわけだ。

f0367483_10450002.jpg
なお、本作は劇場公開時の上映時間は74分だったが、その後リバイバル公開された際には58分に短縮されている。主に宇宙ステーションでの探索ツアー、要するに奇妙でカラフルなエイリアンの食事を味見したり、ヘンテコなモンスターと遭遇したりするシーンが短縮版ではカットされているのだが、いや、そこは肝心の見どころだから省いちゃいかんでしょう!といった感じ。ただ、オリジナルネガは短縮版しか残っていないらしく、イギリス盤DVDではメインフューチャーとして画質の良好な短縮版を、ボーナス映像として傷だらけの上映用プリントからテレシネした劇場版を収録している。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(イギリス盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.66:1)/音声:Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:2/時間:58分/発売元:Network (2014年)
特典:劇場公開版(74分)/オリジナル劇場予告編/スチル・ギャラリー

by nakachan1045 | 2017-02-19 15:08 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター