なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「恐竜・怪鳥の伝説」 The Legend of Dinosaurs and Monster Birds (1977)

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監督:倉田準二
企画:橋本慶一
脚本:伊上勝
   松本功
   大津一郎
撮影:塩見作治
造形・操演:大橋史典
音楽:八木正生
主題歌:宮長栄一/紫
出演:渡瀬恒彦
   沢野火子
   林彰太郎
   清島智子
   牧冬吉
   岩尾正隆
   名和広
   諸口あきら
日本映画/92分/カラー作品




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<あらすじ>
1977年の夏。富士山麓の樹海を彷徨っていた女性が地元の青年団に救助されるも、洞窟の中で巨大な卵を目撃したと言い残して息を引き取る。そのニュースをテレビで見たユニバーサル・ストーン社の地質学者・芹沢(渡瀬恒彦)は、急遽メキシコ行の出張を取りやめて富士五湖の一つ西湖へと向かう。
実は、芹沢の亡き父親は古生物学者だったのだが、富士山麓に恐竜が生息するとの説を唱えて学会を追放されていた。彼は女性が見たという巨大な卵こそ父親が信じていた恐竜の卵ではないかと考えたのだ。
西湖へ到着した芹沢は、父の知人だった研究者・椋正平(牧冬吉)と再会。さらには、たまたま仕事で現地を訪れていた元恋人の女性水中カメラマン、小佐野亜希子(沢野火子)とも再会する。その頃、西湖の近辺では水遊びを楽しんでいたカップルが行方不明になったり、ダイバーが水中で何らかの生物に襲われるなどの怪事件が続発し、にわかに恐竜の存在が騒がれ始める。
やがて地元の竜神祭りが開催され、湖畔には大勢の観光客が集まった。諸口あきら(本人)の水上コンサートが始まると、なにやら水辺で異変が…。恐竜が現れたと大パニックになるが、実は地元の若者グループによる面白半分のイタズラだった。
ところが、その直後に若者グループが恐竜に食い殺され、さらには水中撮影をする亜希子をボートで待っていた助手の淳子(清島智子)が恐竜に下半身を食いちぎられる。いよいよ恐竜の存在が真実味を増し、西湖は立ち入り禁止に。専門家の対策チームが組織され、富士山麓の温暖化によって恐竜プレシオサウルスが冬眠から目覚めたものと推測された。
一方、西湖と水中でつながった洞窟を発見した芹沢と亜希子は、そこで犠牲者の無残な死体と共に巨大な卵を幾つも見つける。それは凶暴な怪鳥ランフォリンクスのものだった。しかも、そのうちの1つは既に孵化している。
その頃、西湖の近辺ではプレシオサウルスを退治するための爆弾攻撃が行われていたが、突如として飛来したランフォリンクスが関係者や観衆を襲撃する。逃げ惑う人々は誤って爆弾の山にピストルを発砲してしまい、大爆発によって全員が死亡してしまう。
命からがら洞窟を脱出した芹沢と亜希子。すると、そこへプレシオサウルスとランフォリンクスが現れ、凄まじい死闘を繰り広げるのだった…。

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『エクソシスト』や『オーメン』などのオカルト映画が流行れば『犬神の悪霊』('77)を、海の向こうで『スター・ウォーズ』が大ヒットしていると聞けば『宇宙からのメッセージ』('78)をと、商魂逞しき岡田茂社長のもとで洋画の即席パクリ映画を連発していた東映が、『ジョーズ』に始まる動物パニック映画ブームにちゃっかりと便乗したのが本作。しかも、出てくるのはそんじょそこらの動物じゃなくて恐竜。ノリとしては『ジョーズ』に日本のお家芸である怪獣映画を合体させた、一粒で二度美味しい特撮パニック映画といったところだろうか。とはいえ、いかにも思い付きで考えたような安っぽいタイトルのごとく、急ごしらえで撮影されたであろう中身も限りなくチープ。なにかと突っ込みどころの多いトンデモ映画に仕上がっている。
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荒唐無稽というよりも支離滅裂な脚本には、『仮面の忍者赤影』や『仮面ライダー』シリーズで有名な伊上勝も参加。富士山の麓で太古の2大怪獣が復活!しかも最後は富士山そのものが大噴火して未曽有のパニックに!という派手な見せ場へと無理矢理持っていくための強引なこじつけが目立つ。例えば、専門家でもない芹沢が命懸けで恐竜の行方を追うくだりでは、父親の汚名挽回だけじゃあ動機付けとして弱いもんだから、「私は同じ動物として彼らと向き合いたいんだ!」なんて頓珍漢なセリフを吐かせる始末(笑)。富士五湖の中で最も地味な西湖を舞台に選んでいるのだって、観光客で賑わう人気スポットの河口湖や山中湖に比べ、映画のロケ地として使い勝手が良かったからだろう。あくまでも恐竜を見せることが最重要課題であって、『ジョーズ』をパクった基本設定やストーリー展開は二の次、三の次。とりあえず辻褄さえ合っていればオッケーといった感じだ。
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しかし、である。その肝心の特撮が見事なまでにショボい。一応、プレシオサウルスはパペットだけでなく実物大の頭部も作られているのだが、なるべく粗を見せないようにとの配慮からか、本編ではカメラを揺らしたり素早く切り替えたりすることで、ハッキリとは映らないような工夫が凝らされている。とはいえ、それでもなおハリボテ感は誤魔化しきれていないのだが。ミニチュア特撮のパペットも同様で、基本的には細部の分からないロングショットのみ。カメラが寄る際には樹木や植物でボディを隠す。まあ、パペットを動かしているピアノ線はモロバレですけど(笑)。造形と操演を担当したのは、『ゴジラ』('54)やハリウッド映画『猿の惑星』('68)にも参加した大橋史典。特撮監督の第一人者をもってしてこの有様なのだから、よっぽど時間も予算も足りなかったのだろう。
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ただ、特筆すべきは随所に散りばめられた残酷スプラッター描写だ。さすがはキワモノ映画の殿堂だった'70年代の東映。恐竜に食い散らかされた人間のバラバラ死体や、首を食いちぎられて胴体だけになった馬の死体など、悪趣味なショック・シーンをちょいちょいブッ込んで来る。中でも、海中から女性をボートへ引き上げたら下半身がございませんでした!という強烈な絶叫シーンは出色。おかげで、初見当時まだ子供だった筆者にとって、本作は忘れられないトラウマ映画となったのである。
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また、全編を覆う東映作品らしい泥臭さというか、垢抜けないヤンキー色みたいなものも印象的。『宇宙からのメッセージ』がスペースオペラというよりも任侠映画×チャンバラ映画だったのと同様に、本作もコッテコテの東映カラーがこれでもかとダダ漏れだ。だいたい、出てくる地元の若者というのが揃いも揃ってヤクザ映画のチンピラもどきだしね(笑)。監督の倉田準二はもともと東映時代劇の出身で、テレビ『仮面の忍者赤影』の演出家としても有名な人だが、本作に限っては東映任侠映画のDNAが脈打っているという感じ。まあ、そういう時代だったので仕方ないのだろうなあ。
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ちなみに、筆者が初めて本作を見たのはソビエト時代のロシアでのこと。具体的な時期については記憶が定かでないものの、恐らく'80~'81年頃のことだったと思う。当時父親の仕事でモスクワに住んでいた筆者は、春休みだか秋休みだかの短い休暇シーズンを利用してモスクワ近郊の地方都市へ家族で観光旅行に行った。これまたどこだったのかはハッキリと覚えていないのだが、スズタリかヤロスラーブリのどちらかだろう。まだブレジネフ政権下の社会主義国家だった当時、ロシア国内で外国人が自由に行き来できる観光都市は限られていたから。で、宿泊するホテルのフロント係に「今夜ホテルの劇場で日本映画を上映しますよ」と聞かされて行ったところ、その上映作品というのがこの『恐竜・怪鳥の伝説』だったというわけだ。
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劇場とは言っても、パイプ椅子が50~60席くらい並べられただけの遊戯室みたいなところ。観客もうちの家族5人を含めて20~30人程度だった。当時のロシアにおける外国映画の上映方式は、原語サウンドトラックにナレーターのロシア語翻訳音声が被せられるだけ。要するに、一人のナレーターが男女を含めた全ての登場人物のセリフをロシア語で棒読みする、しかも元の音声(この場合は日本語)は消さずに残されたままという非常に乱暴なものだった。なので、ロシア語のナレーションをかき分けながら日本語のセリフを一所懸命に聞き取った記憶がある。当時のロシアでは残酷描写はおろか、いわゆる恐怖映画というジャンルそのものが存在しないに等しかったので、先述したようなスプラッター・シーンになると会場は大絶叫の嵐。そう、ソビエト当局の厳しい検閲があったにも関わらず、本作は残酷描写ノーカットで上映されたのである。
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なお、主演は当時東映のヤクザ映画でキレまくっていた頃の渡瀬恒彦。とはいえ、『仁義なき戦い』や『暴走パニック 大激突』なんかのギラギラ感はなく、終始そつなく演技をこなしているという印象。まあ、ろくでもないセリフを喋らせられるわけだから、気持ち的にあまり乗っていなかったのかもしれない。相手役は芸名を小泉洋子から変えたばかりの沢野火子。他ではあまり記憶にない女優さんだし、演技力に関してもいまひとつといった感じだが、なかなか都会的で洗練されたタイプの綺麗な人だ。また、芹沢の父親の友人・椋正平役として『仮面の忍者赤影』の白影こと牧冬吉が、ユニバーサルストーン社長役として東映名物のスケベ悪役俳優・名和広が顔を出している。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:Dolby Digital Mono/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:2/時間:92分/発売元:東映ビデオ株式会社 (2005)
特典:特報・予告編/ノンスーパー特報・ノンスーパー予告編

by nakachan1045 | 2017-03-11 17:35 | 映画 | Comments(0)

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