なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「魔女の棲む村」 The Devonsville Terror (1983)

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監督:ウーリ・ロンメル
製作:ウーリ・ロンメル
脚本:ウーリ・ロンメル
   ジョージ・T・リンゼイ
   スザンナ・ラヴ
撮影:ウーリ・ロンメル
特殊効果:デヴィッド・ヒューイット
音楽:レイ・コルコード
出演:スザンナ・ラヴ
   ロバート・ウォーカー・ジュニア
   ドナルド・プレザンス
   ポール・ウィルソン
   メアリー・ウォルデン
   ディアナ・ハース
   ウォリー・フラハティ
   マイケル・アカード
   ビル・デクスター
アメリカ映画/82分/カラー作品




<あらすじ>
時は1683年。マサチューセッツ州の小さな町デヴォンズヴィルで、3人の女性が一方的に魔女の嫌疑をかけられ、凄まじい拷問の末に処刑される。最後に火あぶりとなった女性ジェシカは呪いの言葉を残して息絶えた。
それから300年後の現在。一見してのどかで平和な田舎町デヴォンズヴィルだが、今なお創設者たちの子孫に当たる男性らが町の権力を握っている。町で唯一の商店を営むギブス(ポール・ウィルソン)、農家を経営するアーロン(ビル・デクスター)、その甥っ子ラルフ(マイケル・アカード)、教会の神父(ウォリー・フラハティ)、そして町医者ワーリー(ドナルド・プレザンス)だ。
彼らは魔女の呪いを信じており、300年が経つ今年、何か災いが起きるのではと恐れていた。中でも祖先が魔女裁判の主導者だったワーリー医師は、呪いの研究に余念がなかった。彼の家系は代々、体が蛆虫に食われるという原因不明の奇病に侵されており、それが呪いによるものと考えられたからだ。彼自身も、その奇病を患っていた。
そんなある時、デヴォンズヴィルに3人の女性が移り住んで来る。小学校に赴任してきた女性教師ジェニー(スザンナ・ラヴ)、ローカルラジオ局の女性DJクリス(メアリー・ウォルデン)、川で水質調査を行う女性研究者モニカ(ディアナ・ハース)だ。中でもジェニーはとびきりの美人で、ギブスとラルフはすっかり夢中になってしまう。勝手に性的な妄想を膨らませ悶々とする彼らだが、いざジェニーに拒否されると今度は反対に憎悪の目を向けるようになる。また、ジェニーが学校で神様は必ずしも男性だとは限らない、宗教によっては女性を神と崇めていると子供たちに教えたところ、キリスト教原理主義者のアーロンや神父が憤慨する。
加えて、ラジオの視聴者相談コーナーでウーマンリブ的な発言を繰り返すクリスが、地元の女性たちに人気を集めていることも男たちは気に食わなかった。女性ながら研究者を名乗るモニカも、男たちにとっては生意気としか思えない存在だ。このままでは我々の町が汚されてしまう、手遅れになる前にあの”魔女”たちを片付けなければと考える男たち。
一方、ワーリー医師は3人が魔女裁判で殺された女性たちの生まれ変わりだと信じていた。ただ、彼が他の男たちと違ったのは、そこに呪いを解くカギ…つまり300年前に殺された女性たちの汚名を晴らすためのヒントが隠されている考えていたことだ。しかし、ギブスやアーロンたちの暴走は止まらない。ジェニーに好意を持つ男性マシュー(ロバート・ジョーカー・ジュニア)は、すぐに町を出て行くよう彼女に忠告するのだが…。


ウーリ・ロンメル監督によるオカルト・ホラー。昔はどこのビデオレンタル店でもホラー・コーナーに並んでいたもんだ。そういう意味で、恐らく日本では『死霊の鏡/ブギーマン』('80)と並んで最も知名度の高い(?)ウーリ・ロンメル作品と言えるかもしれない。まあ、最近じゃどちらも日本では入手困難になってしまったけれど。かくいう筆者も学生時代にビデオレンタルで見て、そこそこ面白かったような記憶があったのだが、このたび久しぶりに再見して思った。どんな思い出も美化されるものなんだなと(笑)。いや、それは冗談としても、なにしろ当時は特殊メイク全盛の時代。派手なゴア描写さえあれば、よっぽどのクズ映画でもない限りは、それなりに楽しめてしまった。その多くが、大人になって見ると「こんなもんだったっけ…?」なのだが、これもまたその類の一本である。

元ネタはお察しの通り「セイラムの魔女裁判」。1692年にアメリカはマサチューセッツ州のセイラム村で大勢の住民が魔女として逮捕され、その内の5人が火あぶりの刑に処された集団ヒステリー事件だ。本作ではその史実を架空の設定に置き換え、先祖と同じ罪を犯す子孫たちに降りかかるのろいの恐怖を描く。注目すべきは、魔女狩りの元凶を強権的な男性社会およびキリスト教社会における女性蔑視として捉え、今なお脈々と続く男尊女卑の問題を浮かび上がらせているところ。言わばフェミニズム的ホラーだ。曰く、男の言いなりや都合通りにならない女たち、男のプライドや地位を脅かす女たち、教会の教えを守らない女たちへの制裁が魔女裁判の本質なのだと。着眼点はとてもいい。さすがはファスビンダーの愛弟子ロンメルである。ただ、問題はその仕上がりだ。

『ダーク・エンジェル/殺しの抱擁』の解説でも指摘した通り、ロンメル監督の最大の弱点はドラマツルギーにある。つまり、ちゃんとプロットの構成を計算した上でストーリーを語ることが下手っくそなのだ。実験映画で培った即興的な演出は得意であるものの、娯楽映画に代表される職人的な仕事には全く向いていない。画面の構図も非常に不安定。なんでその角度から撮る!?と首を傾げるようなシーンも少なくない。本作でも、そうしたロンメル監督の短所が如実に表れており、せっかくのユニークなコンセプトが台無しとなっている。

また、先述したように本作は特殊メイクが大きな見どころの一つ。恐らく、ロンメル監督のホラー作品としては最もスプラッター描写に手間暇をかけた作品と言えるだろう。『スキャナーズ』ばりに人間の頭部が吹っ飛んだり、『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』ばりに顔がドロドロと溶けたり。しかし、である。ただ漠然と残酷シーンをカメラに収め、それをそのまま編集でつなげているだけなのは頂けない。いかにしておどろおどろしく見せるか、観客に恐怖を与えるのかという趣向が一切凝らされていないのだ。ほら、残酷シーン、凄いでしょ?こういうの見たいんでしょ?これで満足?ってな感じ。これはもう、ホラー映画への愛情がないんじゃないのかと言われても仕方なかろう。そう、一連のウーリ・ロンメル監督によるホラー作品を見ていて最も強く感じるのは、ホラーというジャンルに対する思い入れや愛着の不在だ。

妻であり金づる(?)でもあったスザンナ・ラヴを筆頭に、ロンメル作品の常連が顔を揃えたキャストだが、今回は名優ドナルド・プレザンスがドクター役で登場。とはいえ、ひたすら診察室でああでもないこうでもないとやっているだけで、劇中では大した活躍を見せることもない。恐らく、ギャラが高いせいで撮影のための拘束時間を長く取れなかったのだろう。まあ、当時の彼はこの手の顔見せ的な仕事も沢山やっていたからね。とりあえず、ドナルド・プレザンスの名前があればホラー映画として売れる。それもこれも、『ハロウィン』のおかげであることは間違いないだろう。

これまた『ダーク・エンジェル/殺しの抱擁』の解説で述べたが、本作は『ダーク・エンジェル~』が大コケしてしまった煽りを受け、もともと'83年の秋に予定されていた劇場公開がキャンセルされ、翌'84年にビデオストレート作品としてリリースされた。ま、それで十分だったでしょう。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(イギリス盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:1.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:82分/発売元:88 Films (2016年)
特典:ウーリ・ロンメル監督インタビュー(約7分)/88 Films予告編集

by nakachan1045 | 2017-03-26 21:17 | 映画 | Comments(0)

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