なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「最後のサムライ/ザ・チャレンジ」 The Challenge (1982)

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監督:ジョン・フランケンハイマー
製作:ロバート・L・ローゼン
   ロン・ベックマン
脚本:リチャード・マクスウェル
   ジョン・セイルズ
撮影:岡崎宏三
殺陣指導:久世竜
武術指導:スティーブン・セガール
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:スコット・グレン
   三船敏郎
   ドナ・ケイ・ベンツ
   中村敦夫
   カルヴィン・ジュン
   サブ・シモノ
   クライド・クサツ
   深作健太
   島田正吾
   稲葉義男
   宮口精二
   中原早苗
アメリカ映画/110分/カラー作品




<あらすじ>
ロサンゼルスのボクシングジムに所属する売れないボクサー、ラルフ・マーフィー(スコット・グレン)は、ある日、日本人の男女から奇妙な仕事を依頼される。車椅子の男性はトシオ(サブ・シモノ)、女性は彼の妹アキコ(ドナ・ケイ・ベンツ)だ。仕事の内容というのは、とある貴重な日本刀を京都に住む持ち主のもとへ届けること。曰く、その日本刀を狙っている人物が他にもいるため、全く無関係のラルフに運んで欲しいというのだ。
訝しく思いながらも大金につられて仕事を引き受けるラルフ。しかし、関西空港に到着してタクシーに乗り込もうとしたところ、怪しげな男たちに拉致されてしまう。彼らはラルフの運ぶ日本刀を奪おうとするのだが、よく確認するとそれは全くの偽物だった。怒ったリーダーのアンドー(カルヴィン・ジュン)は部下にトシオとアキコの拉致も指示。アキコは間一髪で逃れるものの、車椅子のトシオはあえなく捕まってしまう。
本物の日本刀の在り処を問いただすアンドー。苛立つ彼は、決して口を割ろうとしないトシオを殺害し、ラルフをボスのヒデオ(中村敦夫)のもとへ連れていく。厳重に警備された要塞のような巨大ビルに住むヒデオは、日本でも指折りの大企業の社長だった。彼は問題の日本刀は自分のものであり、戦時中にアメリカ兵に奪われたのだという。身の危険を感じたラルフは、隙を見て逃走する。そして、間一髪のところをアキコに助けられた。
気が付くと、ラルフはアキコの父親ヨシダ(三船敏郎)の邸宅に匿われていた。実は、敵対するヒデオはヨシダの弟、つまりアキコとトシオの叔父だったのだ。500年以上に渡って先祖代々受け継がれてきた日本刀を巡り、ヨシダとヒデオは兄弟間で熾烈な争いを繰り広げていたのだ。本物の日本刀は、死んだトシオが車椅子の鉄パイプに隠して日本へ運び込んでいた。つまり、ラルフは敵の目を欺くためのおとりだったのだ。
約束の報酬を受け取ってアメリカへ戻ろうと考えるラルフだったが、そんな彼をヨシダが引き止める。道場で厳しい修行に励むこととなったラルフは、アメリカ人には理解しがたい日本の厳格な風習に戸惑いつつも、アキコや見習の少年ジロー(深作健太)と心を通わせ、誇り高い師匠ヨシダに心酔していく。だが、ヒデオの一味は日本刀を奪うべく虎視眈々と狙っていた…。


『影なき狙撃者』('62)や『グラン・プリ』('66)、『ブラック・サンデー』('77)など骨太の傑作アクション映画で鳴らした巨匠ジョン・フランケンハイマーが、当時頭角を現しつつあった名優スコット・グレン、そして日本が世界に誇る大スター三船敏郎を主演に迎え、日本でロケ撮影した武士道アクション。当時のアメリカでは三船出演のテレビ・ミニシリーズ『将軍』('80)が空前の大ブームを巻き起こしたことから、映画界でも同じく三船が出演した『武士道ブレード』('81)や怪談ホラー『ゴースト・イン・京都』('82)など、日本を舞台にした作品が立て続けに製作された。ただ、いずれも出来栄えはあまり芳しくなく、同時期にブームとなったB級ニンジャ映画と比べてもどっこいどっこい。本作もフランケンハイマー監督作として期待すると、少なからず肩透かしを食らうことだろう。

そもそも、家宝の日本刀を巡ってあんな大袈裟な殺し合いをするもんかと。恐らく、日本人は伝統と名誉を重んじる民族だからってことなのだろうが、いくらなんでも時代錯誤に過ぎるだろう(笑)。命に代えてでも家宝を守るとか、いざとなったら果し合いだとか、本作における日本人のイメージは封建時代そのまんま。もしくは戦時中の神風特攻隊である。さらには、中村敦夫扮するヒデオの軍事基地みたいな本拠地施設。アメリカならばともかく、日本で一介の実業家があんな武装した警備員を何十人も雇ってたりしたら即刻お縄である。しかも京都のど真ん中で。まあ、日本人だから特に違和感を覚えるのかもしれないが、設定もシチュエーションも展開もあまりに非現実的なのだよね。

この脚本を書いたのが、どちらも間違いなく優れた脚本家であるジョン・セイルズとリチャード・マクスウェル。日本や日本文化へ対する憧憬とリスペクトが、あらぬ方向へと暴走してしまった結果なのか。一部情報によると、撮影現場に入ったスコット・グレンが事前に渡されたものとは違う内容の脚本を渡されてビックリしたという話も伝わっているのだが、それが事実だとするとスタジオ上層部やプロデューサーの横やりで直前に脚本が改変された可能性もある。いずれにせよ、なにがどうしてこうなってしまったのかという感じだ。

その一方で、日本人として嬉しくなるような見どころも少なくない。晩年の名作『RONIN』('98)を見ても分かるように、日本文化や日本映画に対して少なからず尊敬の念を抱いていたジョン・フランケンハイマー監督。本作では三船敏郎扮するヨシダの側近として、稲葉義男に宮口精二を起用している。そう、『七人の侍』('54)へのオマージュだ。クライマックスの果し合いでは三船の見せ場もたっぷり。敵の本拠地へ三船がたった一人で乗り込み、後から追いついたスコット・グレンが援護するわけだが、羽織袴に刀と弓矢だけの三船が、奇襲作戦を駆使しながら武装した警備員たちを次々となぎ倒していく姿のカッコ良さときたら!尊敬する三船敏郎に華を持たせようというフランケンハイマーの心意気が感じられる見事な展開である。

そして、銃弾を受けて負傷した師匠に代わって、弟子のスコット・グレンが敵方のボス中村敦夫と一騎打ち。ここはさすがに、アメリカ映画として主演俳優を立てねばならないわけだが、意外にも敵役・中村敦夫の圧倒的な強さが際立つわけですよ。果し合いというよりは文字通りの殺し合い。凄まじいバイオレンスの応酬が繰り広げられていく。ちなみに、殺陣指導には『隠し砦の三悪人』('58)や『用心棒』('61)、『椿三十郎』('62)などの黒澤映画で知られる第一人者・久世竜。武術指導は当時まだ日本在住だったスティーブン・セガールが担当している。これらのラストおよそ30分に渡る壮絶バトル・アクションだけでも見る価値は十分アリだ。

なお、ヒロインはハワイ出身の女優ドナ・ケイ・ベンツ。詳しいプロフィールはよく分からないものの、それなりに日本語も流暢であることから察するに、もしかすると日系人なのかもしれない。ショー・コスギ主演のニンジャ映画『ザ・ニンジャ/復讐の誓い』('85)ではコスギの奥さん役をやっていた。そのほか、クライド・クサツやサブ・シモノなど、当時のアメリカ映画でお馴染みだった日系人俳優も登場。また、主人公と心を通わせる日本人の少年ジローに幼き日の深作健太監督。その実母の女優・中原早苗がぼったくりバーの怪しげなオバサンとして顔を出し、ビックリするくらい流暢な英語のセリフ回しを披露している。ご本人が英語に堪能だったのか定かではないが、あれだけ存在感たっぷりにセリフを喋れるのであれば、結構ハリウッドでも性格女優としてやれたんじゃなかろうか。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語・日本語/字幕:なし/地域コード:A/時間:110分/発売元:Kino Lorber/CBS
特典:なし

by nakachan1045 | 2017-04-02 16:53 | 映画 | Comments(0)

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