なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「シャレード」 Charade (1963)

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監督:スタンリー・ドーネン
製作:スタンリー・ドーネン
原作:ピーター・ストーン
   マルク・ベーム
撮影:チャールズ・ラング
美術デザイン:ジャン・ドーボンヌ
衣装デザイン:ジヴァンシー
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ケイリー・グラント
   オードリー・ヘプバーン
   ウォルター・マッソー
   ジェームズ・コバーン
   ジョージ・ケネディ
   ネッド・グラス
アメリカ映画/114分/カラー作品




<あらすじ>
親友シルヴィーとその息子ジャン=ルイを伴ってスイスを休暇を過ごしていた人妻レジ―(オードリー・ヘプバーン)。夫との離婚を考えていた彼女は、ハンサムな年上の紳士ピーター(ケイリー・グラント)と知り合い、少なからず心ときめく。
ところが、パリへ戻ると自宅アパートはもぬけの殻。しかも、夫チャールズは国外逃亡を図った末、何者かによって殺されたようだった。警察で事情を聴かれたレジ―だが、よくよく考えると夫のことは何も知らない。渡された遺品には彼女に宛てた夫からの手紙も入っていたが、その文面は脈絡のないものだった。
夫チャールズの葬儀を執り行うレジ―だったが、現れたのは怪しげな男3人だけ。そんな彼女に、アメリカ大使館のバーソロミュー(ウォルター・マッソー)なる人物から呼び出しがある。バーソロミューはCIA高官だった。
彼によると、葬儀に現れた男たちの素性はテックス(ジェームズ・コバーン)、ハーモン(ジョージ・ケネディ)、ギデオン(ネッド・グラス)といい、いずれも夫チャールズの昔の仲間だという。彼らは戦時中に米軍諜報部OSSメンバーとして、フランスの地下組織へ対独軍資金25万ドルを届けるはずだったが、仲間同士で結託してその金を盗んだのだ。しかし、どうやらチャールズが裏切って25万ドルを独り占めしたことから、3人のうちの誰かに殺されたようだった。金の所在に心当たりはないかとバーソロミューに訊ねられるが、もちろんレジ―にとっては全てが寝耳に水だ。
事件を知って訪ねてきたピーターの取り計らいで、安全なホテルへと移ったレジ―だったが、そんな彼女の前に3人の男たちが代わる代わる現われ、25万ドルの在り処を吐くよう脅迫する。さらに、バーソロミューからピーターが彼らとグルだと知らされ驚くレジ―。問い詰める彼女に、ピーターは自分が男たちのかつての仲間で、25万ドルを盗んだ際にドイツ軍によって射殺されたカーソン・ダイルの弟アレクサンダーだと告白する。
カーソンを殺したのはドイツ軍ではなく3人のうちの誰かだと確信する彼は、その真相を突き止めるべく身分を偽っていたのだという。しかし、やがて3人の男たちが一人また一人と謎の死を遂げ、さらに思いがけない事実が次々と明らかとなる。果たして、一連の事件の黒幕は誰なのか、その原因となった25万ドルはどこに隠されているのか?


改めて説明する必要もないであろう、オードリー・ヘプバーンの代表作の一つである。日本で有名なクラシック映画女優というと、だいたい名前が挙がるのはオードリーかモンロー、あとはせいぜいグレース・ケリーかイングリッド・バーグマンといったところだろうか。同じヘプバーンでも女優として格上のキャサリンが言及されることは少ないし、ましてや本場アメリカで絶大な人気を誇るベティ・デイヴィスやジョーン・クロフォード、バーバラ・スタンウィックなどは、いわゆるクラシック映画ファンでない限り名前すら知らないかもしれない。ガルボやディートリッヒですら、恐らく今の日本では知る人ぞ知る的な位置づけになってしまうだろう。だいたい業界の人がそんな感じだもんなあ。思うに、一般映画ファンの方が古典には詳しい。なんでもかんでもオードリー、オードリーとバカの一つ覚えみたいに、いつまでも持てはやされるのもいかがなもんかと思いつつ、しかしそうは言ってもオードリー・ヘプバーンが素晴らしく魅力的で、なおかつ偉大な女優であることは認めざるを得ない。いや、むしろ筆者も大好きではある。あくまでも、オードリー一辺倒になりがちな偏った傾向に不満があるだけなのだ。

で、そんなオードリーのフィルモグラフィーの中でも、『シャレード』は特にお気に入りの一本。なんてったって極上にお洒落ですからね!しかもヒッチコックばりの本格サスペンスで、その上ユーモアもロマンスも盛りだくさん。こんな贅沢な映画もそうそうありますまい。だいたい、あの幾何学模様を駆使したカラフルでサイケデリックなオープニング・クレジットからしてテンション上がりまくりですよ。デザインは007シリーズでもお馴染みのモーリス・ビンダー。そう、あのジェームズ・ボンドと女性たちのシルエットを使った、超イカしまくりなタイトル・シークエンスを考案した人物。ヘンリー・マンシーニによるリズミカルなラテン系ラウンジ・サウンドも最高!否がおうにも映画の世界へと引き込まれていく素晴らしいオープニングだ。

消えた25万ドルの行方を巡って繰り広げられる、殺人も絡んだ騙し合いのストーリー展開がまたよく練られている。絶妙なバランスで緩急をつけたテンポの良さ、二転三転するカラクリの面白さ。まあ、よくよく考えると強引な設定も少なからず目立つのだけれどね。だいたい、亡くなった夫のことを何一つ知らずに結婚していたヒロインってのもどうかと。あまりにも軽率すぎやしませんかといった感じだが、その後も素性がコロコロと変わるケイリー・グラントにそれでもゾッコンなところを見ると、まあ、やっぱりちょっと軽率な女性なんでしょう(笑)。命の危険が迫っているにも関わらずノホホンとしていられる、それはそれは見事なまでの鈍感力。いやいやあなた、男に猛アタックしているような場合じゃありませんよ!と突っ込みたくもなるわけだが、そこが愛くるしくてチャーミングに思えてしまうのは、浮世離れしたお姫様女優オードリーが演じるからこそ。ある意味、彼女でなければ成立しなかった役柄と言えるだろう。

まあ、オードリー扮するレジーがケイリー・グラントに猛アタックするのには、いろいろと大人の事情が絡んでいることはご存知の方も少なくないかもしれない。というのも、そうせざるを得ない状況があったわけだ。撮影当時のケイリーは59歳、オードリーは33歳。親子ほど年が離れている。さすがに、この年齢差でロマンスを演じるのは無理があるんじゃないかと考えたケイリーは、一度は出演オファーを断ったのだという。そこで脚本家ピーター・ストーンは一晩かけてシナリオを書き直し、ケイリーがオードリーを積極的に口説くようなセリフをごっそりと削除。オードリーがほとんど一方的に年上のケイリーに惚れ込むというシチュエーションを作ることで、後ろ向きなケイリーを説き伏せたのだと伝えられている。とはいえ、結果的にケイリーは自分が年老いたことを改めて自覚せざるを得なくなり、本作を最後に自ら二枚目役の看板を下ろすことに。その後、タイトルロールを演じた『がちょうのおやじ』('64)、若い男女の恋のキューピッドを演じた『歩け走るな!』('66)の2本を残して引退することとなる。

そのケイリー・グラントの軽妙洒脱な二枚目ぶりも魅力の一つ。「腐っても鯛」などと言えば失礼かもしれないが、やっぱりハンサムは年を取ってもハンサム。いや、みんながみんなそうとは限らないのだが、もはやケイリー・グラントは別格ですよ。どこまでもオシャレでダンディで優雅な男前。顔がいいだけじゃなくて人間的な味わいも滲み出る。月並みなイケメン俳優ではこうもいきますまい。そこが大スターの大スターたる所以。本作はなにかとヒッチコック作品と比較されることが多く、中には「ヒッチコックが監督していない最良のヒッチコック映画」なる評価まであるそうなのだが、それは巧妙にプロットの計算された脚本もさることながら、ヒッチコック映画の看板スターの一人だったケイリーの存在も影響していると見ていいだろう。

とはいえ、もし仮にヒッチコックが撮っていたとすれば、ここまでロマンティックで洗練された粋なサスペンス・コメディ映画として仕上がっていたかは大いに疑問。そこは、『雨に唄えば』('52)や『パリの恋人』('57)の巨匠スタンリー・ドーネンだからこその持ち味であろう。どことなくトボケタというか、茶目っ気のある遊び心もご愛敬。恐らく真面目に語ったら成立しない話であり、'02年のリメイク版が大失敗した理由もそこにあるだろう。この3年後にドーネンは、同じくタイトル・デザインにモーリス・ビンダー、音楽スコアにヘンリー・マンシーニで、グレゴリー・ペック&ソフィア・ローレン主演のお洒落サスペンス『アラベスク』('66)を撮っているものの、残念ながら『シャレード』のような化学反応は起きなかった。

なお、本作は脇役陣にウォルター・マッソー、ジェームズ・コバーン、ジョージ・ケネディという、いずれもオスカーを獲得することになる後の大スターを起用している点も特筆に値する。中でも、右腕に金属製の義手をはめた凶悪なハーモンを演じるジョージ・ケネディのインパクトは強烈だ。

評価(5点満点):★★★★★

参考ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:日本語・英語/地域コード:ALL/時間:113分/発売元:株式会社コムストック・グループ/パラマウント ジャパン株式会社
特典:オリジナル予告編

by nakachan1045 | 2017-05-20 08:41 | 映画 | Comments(0)

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