なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「夜の訪問者」 De la part des copains (1970)

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監督:テレンス・ヤング
製作:ロベール・ドルフマン
原作:リチャード・マシソン
脚本:シモン・ウィンセルベルグ
   アルベール・シモナン
台詞:ジェラール・デヴリー
撮影:ジャン・ラビエ
スタント:レミ・ジュリアン
音楽:ミシェル・マーニュ
出演:チャールズ・ブロンソン
   リヴ・ウルマン
   ジェームズ・メイソン
   ジル・アイアランド
   ミシェル・コンスタンタン
   ルイジ・ピスティッリ
   ジャン・トパール
   ヤニック・ドリュール
   ポール・ボニファ
フランス・イタリア合作/94分/カラー作品




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<あらすじ>
フランスのコートダジュールに暮らす船乗りのアメリカ人ジョー(チャールズ・ブロンソン)。美しい妻ファビエンヌ(リヴ・ウルマン)と可愛い娘ミシェル(ヤニック・ドリュール)にも恵まれ、平凡だが幸せな生活を送る彼のもとに、ある晩不気味な脅迫電話がかかって来る。
ちょうど娘は学校のキャンプで外泊していた。すぐに実家へ戻るよう妻に指示するジョー。すると、家の中で不気味な物音がする。2階の寝室に隠れるよう言われたファビエンヌだったが、夫が何者かと争うような音が聞こえてきたことから、不安になって1階へ降りていく。すると、気を失った夫の傍にホワイティ(ミシェル・コンスタンタン)という怪しげな男が拳銃を持って立っていた。
意識を取り戻したジョーに昔の思い出話をするホワイティ。2人は旧知の仲のようだった。隙を見たジョーはホワイティから拳銃を奪い、格闘の末に相手の首の骨を折って殺してしまう。困惑するファビエンヌは、ホワイティなる男が一体何者なのかと問い詰める。
かつて朝鮮戦争に従軍していたジョーは、上官を殴った罪で2年間服役していたのだが、その時知り合ったのが密売で投獄された悪徳司令官ロス大尉(ジェームズ・メイソン)とその子分たち、ファウスト(ルイジ・ピスティッリ)とホワイティだった。運転が得意であることを彼らに見込まれたジョーは、フランス人傭兵カタンガ(ジャン・トパール)の手引きで脱獄計画に参加するものの、そのカタンガが見回りのドイツ人警官を殺害してしまう。これに強い憤りを覚えた彼は独りで逃走し、残された仲間たちは捕まってしまったのだ。ホワイティはその時の復讐のためにジョーを見つけ出したものと思われた。
妻の協力で死体を近くの海へ投げ捨てたジョーだったが、自宅へ戻るとロス大尉、ファウスト、カタンガの3人が待ち受けていた。彼らの狙いは復讐ではなく、借りを返してもらうこと。つまり、ジョーを自分たちの犯罪行為に協力させることだった。妻を人質に取られ、仕方なく協力を約束したジョー。トルコの密輸船から麻薬を受け取るため船を出すが、機を見計らって見張りのカタンガを倒して岸へ戻る。
その足で空港へと向かったジョー。ロス大尉の愛人モイラ(ジル・アイアランド)が到着する予定だった。待ち受けるファウストを気絶させ、出迎え役のふりをしてモイラを車に乗せたジョーは、そのまま彼女を人里離れた小屋へと連れて行って監禁する。
自宅へ戻るとロス大尉たちは娘ミシェルも人質に取っていた。モイラと妻子の人質交換を申し出るジョー。若い愛人のことが可愛いロス大尉は渋々ながらも応じる。ところが、小屋へと向かう途中で不測の事態が起きてしまい…。
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『荒野の七人』('60)や『大脱走』('63)でアクの強い脇役俳優として注目され、アラン・ドロンと共演したフランス映画『さらば友よ』('68)とマカロニ西部劇『ウエスタン』('68)で国際的なトップスターへと成長したハリウッド俳優チャールズ・ブロンソン。日本でも'70年に出演した男性化粧品「マンダム」のテレビCMで爆発的な人気を獲得し、当時はブロンソン主演作が次から次へと輸入され話題になったものだったが、その中の一本がこの『夜の訪問者』である。
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ちなみに、本国アメリカで本格的にブロンソン人気が高まるのはもうちょっと後のこと。なにしろ、世界的なブレイクのきっかけとなった『さらば友よ』ですら、アメリカでは一部のアート系シアターで限定公開されたのみで殆ど話題にならず、その後のヨーロッパでの主演作も大半が1~2年遅れでのアメリカ公開だったものだから、ブームが逆輸入されるまでに時間がかかったのだ。'70年製作の本作だって、全米公開されたのは4年後の'74年。ちょうど『狼よさらば』('74)の大ヒットで、アメリカでのブロンソン人気がようやく頂点に達した頃のことだ。そんな具合で、当時のブロンソン・ブームはヨーロッパと日本が完全に先行していたのである。
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スピルバーグ監督の『激突!』('71)や恋愛映画の傑作『ある日どこかで』('79)などの原作者としても知られる、アメリカのベストセラー作家リチャード・マシスンの同名小説をフランスにて映画化(厳密にはイタリアとの合作)した本作。それ以前にテレビ『ヒッチコック劇場』の1エピソードとして映像化されたこともあるようだが、なるほど、確かにテレビの1時間枠で収めようと思えば収められるくらい、ストーリーの設定は極めてシンプルだ。暗い過去を隠しながら家族と仲睦まじく暮らす男のもとへ、ある日突然かつての悪い仲間たちが現われ、妻子を人質にとって悪事へ加担させようとする。既に敵の手先を一人殺してしまっているため、警察に助けを求めることも出来ない。多勢に無勢の悪条件のもと、いかにして主人公一人で敵を倒して愛する妻と娘を救い出すのか?が焦点となる。
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見どころは何と言っても、チャールズ・ブロンソン演じる戦うお父さん、ジョーの渋いカッコ良さに尽きるだろう。体脂肪低めの鍛え抜かれた肉体は、撮影当時49歳とは思えないほど若々しいし、Tシャツの半そでから覗く筋骨隆々の腕なんか見るからに強そう。いや、実際むちゃくちゃ強いしね(笑)。結局、拳銃がなければ敵の誰一人としてブロンソンには戦闘能力で敵わない。まさに最強パパ。それでいて、全身から漂うのは程よく枯れた大人の男の色気だ。シチュエーション的に『96時間』('09)シリーズを彷彿とさせるものがあるけれど、さすがのリーアム・ニーソンもブロンソンのカリスマ性には及ばないだろう。しかも、こちらは奥さんがまた旦那に負けず劣らずタフで賢いのですよ。演じるのはスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン作品でもお馴染みの知性派女優リヴ・ウルマン。そりゃしっかりしてますわな。後半では母一人で娘を追手から守る決死の逃走シーンも用意されており、ヒロインが単なる色添えではない点もポイントが高い。
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また、プロットは単純だが話の筋道には知恵を絞っているところもいい。深夜に突然現れた男ホワイティ。殴り倒されたジョーがそのまま拉致されてしまうのかと思いきや、あっという間に形勢逆転で相手の首をへし折ってしまう。その後も先読みを裏切る展開が続き、荒野のど真ん中を舞台にした一触即発の心理的攻防戦へとなだれ込み、さらには時間との闘いのカーチェイス&追跡劇が同時進行していくことになる。さすがにカーチェイスは今見ると迫力不足が否めないものの、程よい緊張感をキープしたタイトな演出は、初期007シリーズを手掛けてスパイ映画ブームの口火を切った名匠テレンス・ヤング監督の面目躍如たるところだろう。基本的に出来不出来のバラツキが激しい人だが、本作は非常に手堅い仕上がりだ。ちなみに、カースタントを担当しているのはレミー・ジュリアン。007シリーズで有名な世界的カースタントマンだ。
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どこか人間味があって憎めない敵のボス、ロス大尉を演じているのは英国演劇界の重鎮にして往年のマチネー・スター、ジェームズ・メイソン。子分のホワイティにはジョゼ・ジョヴァンニ監督作品の常連ミシェル・コンスタンタン、ファウスト役には『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』('66)でイーストウッドの兄貴役を演じていたイタリアの悪役俳優ルイジ・ピスティッリ。しかし、悪役陣で最も異彩を放つのは、小児性愛者を匂わせるサイコな元傭兵カタンガを演じるジャン・トパールだろう。主にアニメの声優や外国映画の吹替で活躍した人らしいのだが、一見して普通っぽく見えるけど実は狂犬のようにヤバい中年男を演じて見事だ。また、ロス大尉の若い愛人モイラ役には、ブロンソン夫人としてお馴染みのジル・アイアランド。自由気ままでクレイジーなヒッピー娘を気取った、金持ちの我がままお嬢様という役どころだ。人殺しなんか朝飯前みたいなこと言っておきながら、いざ危険な目に遭うとビビッて大騒ぎするのが面白い。なお、名作『シャレード』('63)で切手鑑定士の老人を演じていたポール・ボニファが医者役で顔を出している。
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ちなみに、当時のヨーロッパ産B級娯楽映画の多くがそうであるように、何らかの理由によってアメリカではパブリック・ドメイン扱いされている本作。テレビ放送時のビデオマスターを流用したような粗悪画質の海賊盤DVDも多数出回っており、日本でも同様の映像ソースによるDVDが安価で流通していたが、現在はアイ・ヴィ・シーよりリマスター画質の正規版DVDがリリースされている。

評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:Dolby Digital Mono/言語:英語・日本語/字幕:日本語(英語用・吹替用)/地域コード:2/時間:94分/発売元:株式会社アイ・ヴィ・シー
特典:オリジナル予告編(2種類)/メイキング・ドキュメンタリー「『夜の訪問者』の斬新さを語る」(約13分)

by nakachan1045 | 2017-06-08 17:50 | 映画 | Comments(0)

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