なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「ニンジャⅡ:修羅ノ章」 Revenge of the Ninja (1983)

f0367483_00131026.jpg
監督:サム・ファーステンバーグ
製作:メナハム・ゴーラン
   ヨーラム・グローバス
脚本:ジェームズ・R・シルク
撮影:デヴィッド・ガーフィンケル
武術指導:ショー・コスギ
スタント監修:スティーヴ・ランバート
出演:ショー・コスギ
   キース・ヴァイタリ
   ヴァージル・フライ
   アーサー・ロバーツ
   マリオ・ガロ
   ケイン・コスギ
   グレース・オーシタ
   アシュリー・フェラーレ
アメリカ映画/90分/カラー作品




f0367483_09203185.jpg
<あらすじ>
先祖代々、ニンジャの伝統を受け継ぐ日本人男性チョー・オーサキ(ショー・コスギ)は、敵対するレッド・ニンジャ軍団に愛する妻や幼い長男など家族を虐殺されてしまう。終わりのない殺し合いに疲れ果てた彼は、生き残った母(グレース・オーシタ)と生まれたばかりの次男ケインを連れ、友人ブレイデン(アーサー・ロバーツ)の勧めでアメリカへ移住する。
それから6年後。アメリカで道場を開いたチョーは、幼い息子ケイン(ケイン・コスギ)に武道を教えつつも、暴力を厳しく戒めていた。折しも、輸入業を営むブレイデンの協力で日本の伝統美術品を取り扱うギャラリーのオープンを控えたチョー。ブレイデンの助手キャシー(アシュリー・フェラーレ)とはそれとなく惹かれあい、ケインも彼女に懐いていた。ところが、実はブレイデンは日本から仕入れた人形に麻薬を隠して密輸し。ギャラリーを麻薬ビジネスの隠れ蓑に利用しようとしていたのだ。
ブレイデンの取引相手はイタリアン・マフィアのボス、カイファノ(マリオ・ガロ)。しかし強欲なカイファノが支払いを渋ったことから交渉が決裂し、ブレイデンは報復に乗り出す。実はブレイデン、日本で伊賀流の忍術を学んだシルバーマスク・ニンジャだったのだ。カイファノ・ファミリーを次々と血祭りにあげていくブレイデン。その特異な殺人手口に、捜査の指揮を執るダイム警部(ヴァージル・フライ)は困惑する。そこで彼は、東洋の武術に精通した刑事デイヴ・ハッチャー(キース・ヴァイタリ)に協力を求める。
旧知の仲であるチョーとダイム警部を引き合わせるデイヴ。現場の遺留品や殺しの手口を見せられたチョーは、犯人がニンジャであると断言するものの、非暴力主義を貫くことから警察の捜査に関わることを拒否する。ところが、カイファノ一味によってギャラリーが襲撃され、さらにシルバーマスク・ニンジャによって母親が殺され、息子ケインも拉致されてしまう。
遂に怒りが頂点に達したチョーは、封印していたニンジャの黒装束と武器を手に取る。デイヴの協力でケインの行方を捜すチョー。キャシーからブレイデンの裏切りを知らされた彼は、復讐のため最期の戦いに挑むこととなる…。
f0367483_09150290.jpg
予想以上のヒットとなった『燃えよNINJA』('81)に続く、キャノン・フィルム製作ニンジャ映画シリーズの第2弾。前作で悪役を演じた日本人俳優ショー・コスギを主演に据えた本作は、彼をハリウッド史上初のニンジャ映画スターへと押し上げるわけだが、なるほどそれも納得。突っ込みどころ満載の荒唐無稽さこそ相変わらずだが、ハードなバイオレンスと軽快なアクションをふんだんに盛り込んだ面白さは前作を遥かに上回っている。恐らく、数多のアメリカ産B級ニンジャ映画の中でも、完成度の高さは群を抜いてると言っても良い。
f0367483_09173112.jpg
オープニングのレッド・ニンジャ軍団による虐殺シーンからノリは絶好調。いきなり金閣寺の映像に「TOKYO、JAPAN」のテロップが被るのはズッコケるが(笑)、幼い子供の脳天に手裏剣を食らわせて殺すなんていう、ハリウッド映画にあるまじき極悪非道ぶりに、本作がそんじょそこらのB級娯楽映画とはワケが違うことを思い知らされる。とにかく、バイオレンスとアクションに関しては文字通り何でもアリなのだ。特に、直接的なゴア描写の数々はなかなか刺激が強い。ただし、その多くが劇場公開時やビデオ時代には、成人指定を避けるために短くカットされており、DVD時代になってようやく完全な状態へと復元されている。
f0367483_09193144.jpg
最大の売りであるアクション・スタントも迫力満点。まあ、スケール的には低予算ゆえチープなことは否めないのだが、そんな弱点を補って余りあるユニークなアイディアが満載だ。次から次へと飛び出す奇想天外な格闘スタイルに思わずワクワク。縦横無尽に駆け回るショー・コスギのスタントなど実に痛快だ。しかも、相棒デイヴを演じるキース・ヴァイタリも全米空手チャンピオンで、後にジャッキー・チェンの『スパルタンX』('84)でもユン・ピョウと壮絶な格闘バトルを繰り広げる正真正銘の武道家。さらには、チャック・ノリスのスタントなどでも知られるスタントマン、スティーヴ・ランバートがシルバーマスク・ニンジャのボディ・ダブルなどを務めており、それぞれが細部まで緻密に計算された大胆なアクションを繰り広げる。
f0367483_09210049.jpg
監督はメナハム・ゴーランと同じくイスラエル出身(生まれはポーランド)のサム・ファーステンバーグ。当時まだデビューして数年の若手だった彼は、ゴーランから「アクション映画やってみる気ある?」と声をかけられ、仕事欲しさで「あります!」と即答したらしいのだが、実はアクション映画に関しては全くの素人だったという。それどころか、マーシャル・アーツの知識すら皆無に等しかったそうだ。そこで、監督は「餅は餅屋に任せる」ことにする。つまり、武術指導を兼ねるショー・コスギとスタント監修のスティーヴ・ランバート、この熟練した2人のエキスパートにアクション・シーンの演出を完全に委ねることにしたのだ。この柔軟さが結果的に功を奏したと言えよう。
f0367483_09163168.jpg
さらに幸いだったのは、ロケ地がロサンゼルスから遠く離れたユタ州のソルトレイク・シティだったこと。当初はロサンゼルスで撮影がスタートし、実際に冒頭の日本でのシーンや、その次の幼いケインがいじめっ子集団を撃退するシーンはロスで撮影されているのだが、折しも映画撮影隊の誘致に力を入れていたユタ州がキャノン・フィルムに営業売り込みをしたことから、ソルトレイク・シティへロケ隊を移すことに。おかげでスタジオの現場介入がなくなり、ファーステンバーグ監督もスタッフ一同も自由に仕事が出来るようになったのだ。なので、コスギもランバートも撮影の進行に合わせて次々と新しいアイディアを投入。2人はヴァイタリも加えて毎朝5時には起床し、ランニングや筋トレをしながらその日の撮影プランを相談しあった上で現場に臨んだという。監督も彼らからスタント・シーンの演出を貪欲に学び、さらにはアクション映画の経験も豊富な撮影監督のデヴィッド・ガーフィンケルや編集監修のマイケル・J・ダティに助言を求め、必要に応じて脚本を書き換えるなど、臨機応変に対応しながら撮影を進めていったのだそうだ。
f0367483_09183025.jpg
ちなみに、スタント監修のランバートはシルバーマスク・ニンジャのボディ・ダブルだけでなく、他にも幾つものスタントを担当している。例えば、逃走するマフィア一味のミニバンを主人公チョーが阻止しようとする壮絶なカーアクション・シーン。車の屋根に飛び乗ってしがみつく場面のクロースアップはショー・コスギ本人だが、それ以外は全てランバートが演じている。よく見ると髪の毛がカツラなので一目瞭然だ。また、冒頭に出てくるレッド・ニンジャ軍団でも、覆面で顔が見えないことを利用して、ランバートが複数のニンジャ役で入れ代わり立ち代わり登場する。さらには、中盤でヴィレッジ・ピープルみたいなストリート・ギャング集団が現われるのだが、その中でひと際ゲイゲイしいカウボーイ役を演じているのもランバート。このストリート・ギャング集団との乱闘シーンも、派手なスタントとコミカルなテイストのバランスが絶妙で、実に楽しい仕上がりだ。
f0367483_09190113.jpg
そうそう、脇に登場する個性豊かなキャラクターたちも本作の大きな魅力。ネームバリューのある有名人こそ出ていないものの、いずれも印象に残るユニークなキャストが揃っている。中でもインパクト強烈なのは、イタリアン・マフィアのボス、カイファノを演じているマリオ・ガロ。『ビッグ・ボス』('75)や『レイジング・ブル』('80)などニューヨークを舞台にした映画でチンピラ役やマフィア役を数多く演じたバイプレイヤーだが、ここではイタリア系マフィアのステレオタイプをカリカチュアしたような役柄を嬉々として演じている。ブレイデン役のアーサー・ロバーツが割と平均的な悪人キャラであるのとは対照的に、どこか憎めない悪漢ぶりが存在感抜群だ。
f0367483_09160293.jpg
また、主人公チョーに好意を寄せるブロンド美女キャシーを演じて、お色気シーンを一手に担う女優アシュリー・フェラーレもなかなか魅力的。ショー・コスギに現場で一から習ったという空手シーンも堂に入っている。もともとこの役には別の女優が割り当てられていたのだが、テレビシリーズに出演するため直前になってドタキャン。仕方なくロケ地のソルトレイク・シティで代役を探したところ、本作が映画初出演のアシュリーに白羽の矢が立てられたというわけだ。その後、『超高性能兵器サイクロン』('86)で悪女役にも挑戦した彼女だが、残念ながらそれっきり消息を絶ってしまった。
f0367483_09153160.jpg
さらに、ショー・コスギの息子ケインが主人公チョーの息子役として登場。以降もたびたび父親の映画で共演することになるわけだが、大人顔負けの格闘アクションを披露して実に凛々しい。そのお祖母ちゃん役を演じるグレース・オーシタなる日系人女優も印象的だ。素人臭さの否めない演技から察するに、恐らくプロの女優ではないのかもしれない。冒頭の虐殺シーンに出てくる日本人役にはコスギの道場に通う生徒たちを起用したそうなので、彼女もまたその一人だった可能性は高い。なんたって、ただのお祖母ちゃんじゃないからね。普段は控えめで優しい大和撫子ながら、いざとなれば忍具を手に戦い、雲隠れの術も使う勇敢なくノ一。意外過ぎる展開に思わず小躍りしてしまいましたよ。
f0367483_09170113.jpg
そのほか、『地獄のヒーロー2』('85)や『バトル・ランナー』('87)にも出ていた元人気プロレスラーのプロフェッサー・トオル・タナカが演じる相撲レスラー用心棒やら、トマホークを両手に持って暴れまくるインディアンの殺し屋チーフ(スタントマンのドン・シャンクス)、そして先述したヴィレッジ・ピープルもどきのストリート・ギャング集団など、とにかく人を食ったようなキャラがわんさか出てくる。こういう遊び心こそ、本作のようなB級娯楽映画には必要不可欠だ。
f0367483_09200123.jpg
なお、脚本を手掛けたのは『サハラ』('85)や『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』('85)など、キャノン・フィルム作品御用達の脚本家だったジェームズ・R・シルク。ファーステンバーグ監督とは、本作以降も『アメリカン忍者』('85)などで組んでいる。実は彼、サム・ペキンパー監督の美術・衣装スタッフを長年務めた人物だったらしい。ちなみに、当初のファーステンバーグ監督によるオリジナル・ディレクターズ・カットは2時間に及んだらしいのだが、当時のキャノン・フィルム作品は基本的に90分に収めることが鉄則だったため、やむなく再編集されたとのこと。まあ、さすがに2時間は長すぎでしょう(笑)。

評価(5点満点):★★★★☆
f0367483_19065452.jpg
参考ブルーレイ&DVD情報(イギリス盤)
ブルーレイ
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:英語/時間:90分
DVD
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:英語/時間:90分
発売元:Eureka Entertainment/MGM/Hollywood Classics (2015年)
特典:サム・ファーステンバーグ監督によるイントロダクション(約3分)/サム・ファーステンバーグ監督とスタント監修スティーヴ・ランバートによる音声解説/オリジナル劇場予告編

by nakachan1045 | 2017-06-19 19:12 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「デボラの甘い肉体」 Il ..
at 2017-12-14 00:03
「La morte risa..
at 2017-12-13 00:30
「ヴェラクルス」 Vera ..
at 2017-12-12 06:55
「黒の試走車(テストカー)」..
at 2017-12-11 03:11
「ジキルとハイド」 Edge..
at 2017-12-10 00:39

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター