なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「魔境のいけにえ」 Nudo e selvaggio (1985)

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監督:マイケル・E・レミック(ミケーレ・マッシモ・タランティーニ)
脚本:マイケル・E・レミック(ミケーレ・マッシモ・タランティーニ)
撮影:エドソン・バティスタ
編集:マイケル・E・レミック(ミケーレ・マッシモ・タランティーニ)
出演:マイケル・ソプキュー
   スザンヌ・カーヴァル(スザンヌ・カルヴァーリョ)
   ミルトン・モリス(ミルトン・ロドリゲス)
   マルタ・アンデルソン
   ジェフリー・ソアレス(ジョフレ・ソアレス)
   カルロス・インペリアル
   グロリア・クリスタル
   スージー・ハーン
   メアリー・レイス(マリア・レイス)
   アンディ・サイラス
   レオニド・ベイヤー(レオニダス・バイエル)
イタリア・ブラジル合作/88分/カラー作品




<あらすじ>
ブラジルの田舎町から一機の軽飛行機が飛び立つ。乗客は恐竜の骨を探し求める探検家ケヴィン(マイケル・ソプキュー)、大学教授のイバネス博士(レオニダス・バイエル)と娘エヴァ(スザンヌ・カルヴァーリョ)、ベトナム帰還兵ハインツ(ミルトン・ロドリゲス)とその妻ベティ(マルタ・アンデルソン)、雑誌カメラマン(アンディ・サイラス)にモデルのベリンダ(スージー・ハーン)とモニカ(マリア・レイス)。彼らの目的地は、恐竜の化石が眠るという「恐竜の谷」だ。
ところが、ジャングルの上空で飛行機が操縦不能に陥って墜落。パイロットとイバネス博士、モニカの3人が死亡する。無線も通じないため自力でジャングルから脱出するしかない。ハインツが先頭になってジャングルを分け入るものの、カメラマンがピラニアに足を食われてしまい、足手まといになるからとハインツが彼を殺害する。その横暴ぶりに業を煮やしたケヴィンとハインツは取っ組み合いの喧嘩を繰り広げ、ケヴィンは川の滝から落ちてしまう。
すると、突然現れた人喰い族に一行が襲われる。エヴァとベリンダが人質となり、ハインツは底なし沼に足を取られたベティを見捨てて逃げるも、追い詰められて殺される。人喰い族の生贄にされようとしたエヴァとベリンダだが、間一髪のところでケヴィンが救出。3人はボートに乗って命からがら逃げだす。
だが、ようやく岸にたどり着いたのも束の間。3人は悪徳採掘業者チノ(カルロス・インペリアル)に捕まり、奴隷にさせられてしまう…。

ウンベルト・レンツィ監督の『怪奇!魔境の裸族』('73)に始まり、ルッジェロ・デオダート監督の『食人族』('80)でブームの頂点を極めたイタリア産カンニバル映画。レンツィ監督による『人喰族』('81)の大ヒットを最後にブームは沈静化したが、その後も断続的に新作が作られた。そんなカンニバル映画ブーム末期に登場した作品の一つが、この『魔境のいけにえ』※である。※DVD発売タイトルは『食人族 最後の晩餐』

とはいえ、全体的にはカンニバル映画としての要素は少ない。どちらかというと、『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』('81)の系譜に属する秘境アドベンチャーだ。これは当時、『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』('84)が大ヒットしたばかりだったことも影響しているだろう。実際、終盤には秘宝ネタも出てくるしね。デオダート監督の『サバイバル・ショット/恐怖からの脱出』('85)はカンニバル映画×『地獄の黙示録』だったし、ブームに終止符を打った『アマゾン・アドベンチャー/グリーン・インフェルノ』('88)も社会派的な大自然アドベンチャーの様相を呈していた。もはや食人族だけでは客が集まらない。要は、みんなジャンルの出がらしに様々な味付けを施して売りさばこうとしていたわけだ。

注目すべきは、本作がブラジルとの合作という点である。当時のブラジルは20年続いた軍事独裁政権が終焉を迎えたばかり。本作の撮影当時は、まだその移行期間だった。それゆえ、貧困や治安の悪さ、人権侵害など、軍政時代の「悪しき負の遺産」とも呼ぶべき要素が、意図してか否かはともかくとして、随所で散見されるところは興味深いものがある。

まあ、そうはいっても所詮は超低予算のゲテモノ映画。エロにグロにアクションにと、いろんな要素を手あたり次第に詰め込んでいるのはいいのだが、とりあえず安上がりで適当に済ませようという志の低さは如何ともしがたい。監督はエドウィージュ・フェネッシュ主演の『エロチカ・ポリス』シリーズで知られるミケーレ・マッシモ・タランティーニ。セルジョ・マルティーノ監督の助監督出身なのだが、とにかく師匠から何を学んだのか?と首を捻りたくなるほど、この人の映画は大雑把で作りが粗い。本作もまた御多分に洩れずで、予算が少ないから仕方ないよね…では済まされないような手抜きがあちこちで目立つ。さすがにブルーノ・マッテイやアルフォンソ・ブレスチアほど酷くはないものの、限りなくゴミ映画に近いことは確かだ。

ちなみに、この頃から女囚アクション『ショッキング・ブルー/女囚アンジェラ』('84)や、ランボーもどきの戦争アクション『ソルジャー・ハンティング』('88)など、ブラジルとの合作が増えたタランティーニ監督。当時はなんでだろう?と不思議に思っていたのだが、どうやら'80年代半ばにブラジルへ移住していたらしい。なーるほど。

で、主演はセルジョ・マルティーノ監督の『サイボーグ・ハンター/ニューヨーク2019年』('83)や、ランベルト・バーヴァ監督の『地獄の戦士ブラストファイター』('84)でヒーローを演じたアメリカ人俳優マイケル・ソプキュー。当時はまだ、彼とかアンディ・J・フォレストとか、アメリカからの出稼ぎ俳優を受け入れるだけの余裕が、まだイタリア映画界にも辛うじてあったんだよね。スティーヴ・リーヴスとかクリント・イーストウッドみたいに。とはいえ、もはやイタリアの娯楽映画そのものが衰退まっしぐらだった当時、彼らにあてがわれる仕事もB級C級のエクスプロイテーション映画ばかり。このソプキューにしたって、ファッション・モデル出身の端正な顔立ちには十分な華があったので、もうちょっと時代が早ければジャッロとか犯罪アクションとかで活躍できたのだろうが、当時のイタリア映画界では使いこなせなかった。これを最後に俳優業を引退したのも仕方あるまい。さすがに懲りたんだろうな。

なお、イギリスで発売されたブルーレイはオリジナル・カメラネガからの2Kリマスター。ある意味、なんじゃこりゃ!?と言いたくなるくらいの高画質だ。しかも、英語バージョンとイタリア語バージョンの2種類を収録。単に音声トラックを変えただけかと思ったら、タイトル・クレジットが違っているので、ちゃんとテレシネから別々に行っているようだ。まあ、上映時間も微妙に違うからね。しかも、特典では未公開シーンまでたっぷりと収録。どれもカットされて当然の無駄なシーンだし、3分の1くらいは音声トラックすら存在しないが、こんな映画でもそういった素材が残されているんだねえ…と妙に感心してしまった。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(イギリス盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM Mono/言語:イタリア語・英語/字幕:英語/地域コード:B/時間:88分(英語バージョン)・86分(イタリア語バージョン)/発売元:88 Films (2017年)
特典:ジャンル系映画専門家ケイラム・ワデルのインタビュー(約21分)/未公開シーン集(11分)/オリジナル劇場予告編




by nakachan1045 | 2017-07-11 00:53 | 映画 | Comments(0)

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