なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

「デルタ・フォース・コマンド」 Delta Force Commando (1987)

f0367483_11394937.jpg
監督:フランク・ヴァレンティ(ピエルルイジ・チリアーチ)
製作総指揮:アルフレド・ニコライ
脚本:デヴィッド・パーカー・ジュニア(ダルダノ・サケッティ)
撮影:アル・バーソロミュー(アドルフォ・バルトーリ)
スタント監修:マリオ・ノヴェッリ
特殊効果:ジョヴァンニ・コリドーリ
音楽:エリオ・ポリッツィ
出演:ブレット・クラーク
   フレッド・ウィリアムソン
   マーク・グレゴリー
   ボー・スヴェンソン
   ディヴァナ・マリア・ブランダオ
   エミー・ヴァレンティノ
   アントニー・フリーマン(マリオ・ノヴェッリ)
   ジャン・ミシェル・ペリッザ
イタリア映画/90分/カラー作品




f0367483_15052894.jpg
<あらすじ>
プエルトリコの米軍基地。土曜日の深夜、酒に酔った軍曹が宿舎に娼婦マリア(ディヴァナ・マリア・ブランダオ)を連れ帰ったところ、彼女はテロリストの一味だった。軍曹を殺害したマリアは仲間を基地内へ引き入れ、倉庫に保管されている原子爆弾を奪う。
その頃、特殊部隊デルタフォースを除隊して身重の妻の世話をするトニー・ターナー中尉(ブレット・クラーク)は、妻に頼まれて夜食を買いに出かけようとドアを開けたところ、運悪くテロリスト一味と遭遇してしまう。部屋に乱入したテロリストのリーダー(マーク・グレゴリー)はトニーの妻を射殺。間一髪で命拾いをしたトニーは、一味を追いかけるものの逃がしてしまった。
事件は瞬く間にマスコミの知るところとなり、テレビや新聞の報道で世間は大騒ぎする。デルタフォースの指揮官カイテル大佐(ボー・スヴェンソン)は、犯人グループが南米ニカラグアの反政府勢力コントラの一味であることを突き止めるが、両国間の政治問題に発展することを恐れるホワイトハウス報道官の横やりで思うように動けない。
すると、復讐に燃えるトニーは凄腕パイロット、ベック大尉(フレッド・ウィリアムソン)の戦闘機をジャックし、一路ニカラグアへと向かうのだった。しかし、現地空軍の追撃に遭って戦闘機は墜落。脱出したトニーとベックは別々の地点に着地する。
政府軍に囚われたベックは秘密警察による拷問を受けるものの、そこへ武装したトニーが現われて彼を救出。国境付近のダムでテロリスト一味を発見した2人は、壮絶なバトルの末にリーダーを廃屋へ追い詰めるものの、敵は原子爆弾の自爆スイッチを起動させてしまう。その上、周辺をニカラグア政府軍に取り囲まれ、窮地に陥ったトニーとベック。そこへ、カイテル大佐率いるデルタフォースの一群が現われる…。
f0367483_15060968.jpg
筆者世代の映画マニアにとっては懐かしい、「ジョイパック・ベスト・アクション・シリーズ」の一環として劇場公開されたイタリア産B級戦争アクション映画。当時はスタローンやチャック・ノリスなどの主演によるタカ派系戦争アクションが大人気だったことから、ハリウッド映画のコピーを得意とするイタリア映画界でも、『ランボー』シリーズや『地獄のヒーロー』シリーズのチープなパクリ映画が粗製乱造されていた。これもその一つである。
f0367483_15063724.jpg
タイトルを読んで字のごとく、チャック・ノリスの『デルタ・フォース』('84)とシュワちゃんの『コマンド―』('85)を合体させてパクった本作。まあ、基本的なストーリーは『コマンド―』寄りだ。テロリスト集団に妻を殺された元特殊部隊隊員のリベンジ物。そこへ、たまたま巻き込まれた黒人パイロットが相棒として絡むことで、やはり当時大ヒットしていたテレビシリーズ『マイアミ・バイス』的な要素も加味されている。なんとも欲張りな映画だ(笑)。
f0367483_15070152.jpg
脚本を手掛けたのは、ダリオ・アルジェントやマリオ・バーヴァ、ランベルト・バーヴァ、ルチオ・フルチ、アントニオ・マルゲリティなど、イタリア産娯楽映画の巨匠・名匠たちから絶大な信頼を得ていた名脚本家ダルダノ・サケッティ。本作ではデヴィッド・パーカー・ジュニアというアングロサクソン名を使用しているのだが、これがサケッティの手による脚本とは思えないくらい穴だらけの代物だったりする。
f0367483_15070644.jpg
例えば、冒頭で娼婦に化けた女テロリストが米軍基地へ忍び込んで仲間を手引きするわけだが、脱出する際に実は門番の警備兵もグルだったことが判明。いやいや、だったらそいつでいいじゃん!別にわざわざ変装する必要ないじゃん!と誰もが突っ込みたくなることだろう。さらに、ニカラグア秘密警察の秘密アジトに囚われたベック大尉をトニーが救出するのだが、遠く離れた別々の地点に着陸したトニーがどうやってベックの居場所を見つけたのか一切の説明なし。突然武器を持って現れアジトを爆破する。ついでに言うと、「国境付近に逃げたらしい」という事前情報だけを頼りに、トニーとベックがテロリスト一味を見つけ出すというのも都合良過ぎ。だって、レーダーも無線も何もないんだよ。ニカラグアってのはそんなに狭いのか!と言いたくもなるもんだ。
f0367483_15073123.jpg
しかも、あのどんでん返し的な意外性を狙ったであろうクライマックスときたら…。テロリストもアメリカ政府も大して変わらん、いつだって最前線の兵士はいいように使われるだけ、という大いなる皮肉を込めたつもりなのだろうが、残念ながら完全に的を外している。正直、んなわけないだろ!って感じ。サケッティはマルゲリティと組んだ『戦場の謝肉祭』('81)やランベルト・バーヴァの『地獄の戦士ブラスト・ファイター』('83)など、良質なB級戦争アクション映画も少なからず残しているので、どうしてこんなんことになってしまったのかと首を傾げてしまう。
f0367483_15071124.jpg
ただ、当時のイタリア映画界において、特に低予算のB級娯楽映画の撮影現場にあっては、予算や日程などの都合で脚本がコロコロと変えられてしまうことなど日常茶飯事。「一度自分の手を離れた脚本は、他人に書き換えられたって仕方ない」と、ジャッロ映画でもお馴染みの名脚本家エルネスト・ガスタルディはインタビューで語っていたが、本作の場合もどこまでサケッティの脚本が原型をとどめているのか定かでない。ロジカルな部分が丸ごと省かれてしまったという可能性も否定できないだろう。
f0367483_15074291.jpg
その一方で、主な舞台をニカラグアに設定した点は興味深い。というのも、ちょうど当時はアメリカとニカラグアの関係が悪化していた時期だったからだ。'79年に起きた革命によってソモサ一族の親米独裁政権が倒され、左翼政党サンディニスタ民族解放戦線による新政権が樹立されたニカラグアだったが、アメリカのロナルド・レーガン大統領は社会主義寄りの革命政府を敵視。米政府はニカラグアの反政府勢力コントラに対し、資金や武器の提供といった支援を行っていたのだ。そうした両国間の政治関係を踏まえた上で本作を見ると、少なからず深読み出来そうな要素はあったりする。
f0367483_15074693.jpg
また、それなりに武器弾薬を投じたバトルアクション・シーンの仕上がりも悪くない。やたらとバズーカばかり撃つのは能がないけど、とりあえず派手なドンパチを惜しまない姿勢は評価したいところだ。監督はフランク・ヴァレンティことピエルルイジ・チリアーチ。どういう素性の人なのかはイマイチ定かでないものの、当時は低予算のイタリア産B級戦争アクションを次々と発表していた。少なくともアクション・シーンの演出はツボを押さえており、『地獄のファイター2/怒りの戦士』('88)や『アフガン・フォース/戦場の黙示録』('89)などは結構面白かったように記憶している。
f0367483_15072621.jpg
主演のブレット・クラークは、アメリカの昼メロ出身の筋肉俳優。いわゆる出稼ぎ組である。ルックスが似ていることもあって、イタリア映画版シュワルツェネッガーというべき立ち位置だったが、同じくシュワちゃん似の出稼ぎ筋肉俳優ダニエル・グリーンがそこそこ演技も出来たのに対し、こちらのブレットは呆れるくらいの大根役者。アメリカ本国では、低予算アクション映画でもまともな役を貰えなかったようだが、それも納得できるくらい芝居は下手っくそなのだが、まあ、本作の場合は大して問題ないか(笑)。
f0367483_15072283.jpg
その相棒役には'70年代ブラック・ムービーのスーパースター、フレッド・ウィリアムソン。彼もエンツォ・G・カステラーリ監督の傑作『地獄のバスターズ』('76)以降は、イタリアへの出稼ぎ仕事が多かった。カイテル大作役のボー・スヴェンソンもまた然り。当時のイタリア映画は、盛りを過ぎてハリウッドでの仕事が減った中年アクション俳優の受け皿になっていた。とはいえ、それも本作の数年後には終焉を迎えてしまうのだけれど。
f0367483_15071623.jpg
また、当時『ランボー』×マカロニ・ウエスタン的なイタリア産アクション映画『サンダー』シリーズで人気を博していたマーク・グレゴリーが、テロリスト集団の狂ったリーダー役として登場。彼は国外からの出稼ぎ組ではなく、本名をマルコ・ディ・グレゴリオというれっきとしたイタリア人だった。『サンダー』シリーズなどではロン毛に浅黒い肌のラテン的なバルクマッチョというイメージだったが、本作ではヘアスタイルをバッサリと短くし、体型もかなり絞っているので、ぱっと見の印象はだいぶ異なっている。悪役を演じるのも珍しいかもしれない。
f0367483_15073888.jpg
なお、撮影監督にはアメリカのエンパイア・ピクチャーズやフルムーン・エンターテインメントがローマで撮影した作品を数多く手がけたカメラマン、アドルフォ・バルトーリ。本作ではアル・バーソロミューという変名を使用している。ロケ地はブラジル。同国の海軍が撮影に協力している。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(ドイツ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語・ドイツ語/字幕:ドイツ語/地域コード:ALL/時間:90分/発売元:Marketing Film
特典:オリジナル予告編集(英語版・ドイツ語版)/出演者フィルモグラフィー集/スチル・ギャラリー



by nakachan1045 | 2017-09-11 00:43 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「La morte non ..
at 2017-11-21 01:11
「ボディ・ダブル」 Body..
at 2017-11-20 03:59
「ジーンズ・ブルース 明日な..
at 2017-11-18 14:34
「邪悪の女王」 Seizur..
at 2017-11-15 00:02
「賞金稼ぎ」 Shokin ..
at 2017-11-14 11:11

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター