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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「五毒拳」 五毒 aka Five Deadly Venoms (1978)

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監督:チャン・チェ
製作:モナ・フォン
製作総指揮:ルミー・ショウ
脚本:ニー・クァン
   チャン・チェ
撮影:カン・ムートー
   ツァオ・ホイチー
美術:ジョンソン・ツァオ
音楽:フランキー・チャン
出演:チャン・シェン
   サン・チェン
   フィリップ・コク
   ロー・マン
   ウェイ・パイ
   ルー・フェン
   ワン・ロンウェイ
特別出演:クー・フェン
香港映画/101分/カラー作品




<あらすじ>
過去に悪事を重ねたせいで、武術界から敵視されている邪道な流派「五毒門」。病気で余命幾ばくない師匠はそのことを悔い、最後の弟子ヤン(チャン・シェン)に遺言を託す。既に世へ出ている5人の弟子を探し出し、その中から行いの正しい者を一人だけ残し、その者と組んで他の4人を抹殺しろというのだ。
第1弟子はムカデ拳、第2弟子はヘビ拳、第3弟子はサソリ拳、第4弟子はヤモリ拳、第5弟子はガマ拳。それぞれ毒を持つ生き物に倣った武術を使う彼らは、修行中にはずっと仮面を被っていたこと、それぞれ弟子入りした時期がズレていること、世間では名前も素性も変えて生活していることから、本人たちですらお互いが分からない。それを探すのは至難の業だったが、一つだけ手掛かりがあった。
実は、師匠には同期の友人で堅気になった者がおり、その人物は「五毒門」の財宝を託されていた。恐らく、5人の弟子たちはその財宝を狙っているはずだ。なので、既に60歳ほどになっているその人物の居場所を探せば、おのずと弟子たちにたどり着けるだろうというのである。
街へ出たヤンは、呆気者のふりをして情報を集める。すると、賢者として人々から尊敬される学者ユエン先生(クー・フェン)が、一家もろとも殺されるという事件が起きた。犯人は乱暴者のタン(ルー・フェン)と裕福な資産家ホン(ウェイ・パイ)。実はユエン先生こそが師匠の元同僚で、タンが第1弟子のムカデ拳使い、ホンが第2弟子のヘビ拳使いだった。
事件を捜査するのは温厚で生真面目な役人マー(サン・チェン)と、人柄はいいが不真面目な役人ホー(フィリップ・コク)。ヤンの情報で目撃者を見つけ出したホーは、遊び人として暮らす友人リーの協力でタンを捕まえる。実はリーこそが第5弟子のガマ拳使いだった。
ところが、ホンに買収された悪徳代官ワン(ワン・ロンウェイ)の策略で、ホーの留守中にリーが真犯人に仕立て上げられてしまう。顔を見せない第3弟子によって、唯一の弱点を見破られたリーは、壮絶な拷問を受けた末に、自殺に見せかけて殺されてしまう。
友人の死を悲しみ打ちひしがれるホー。実は彼が第4弟子のヤモリ拳使いだった。ホーこそが正義の心を持った人物だと見抜いたヤンは、彼にすべてを打ち明けて協力し合うことに。事情を知ったマーの協力を得て、タンとホーに決闘を挑む2人だったが、そこでいよいよ謎の第3弟子が正体を現す…。

香港ショウ・ブラザーズを代表するカンフー映画の巨匠チャン・チェ監督が手掛け、アメリカの大手エンタメ情報誌「Entertainment Weekly」が発表した「カルト映画トップ50」にて、テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』やデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』、ラス・メイヤーの『ファスター・プッシーキャット・キル!キル!』などの錚々たる名作群を抑えて、堂々の11位にランクされた世界的なカルト映画。'74年に台湾へ渡ったチャン・チェ監督は、かの地で自らのプロダクションを立ち上げたわけだが、そこで発掘した優秀な若手スタントマンたちを'77年に香港へ連れ帰り、ショウ・ブラザーズの作品で使うようになった。そんな彼らをユニットとして本格的に売り出すべく製作されたのが、この『五毒拳』だったというわけだ。

なるほど、確かにストーリーは面白い。というか、かなり変わっている。時代設定はいつなのか分からないが、とりあえず現代でないことは確か。中国のどこかに「五毒門」という武術の流派があるわけだが、これがいわゆる邪道というか、要するに武術界で最も忌み嫌われている「悪の流派」なのだ。で、ストーリーの狂言回しとなるのが、その最後の弟子ヤン。といっても、まだ半人前の純粋な若者だ。過去の悪行三昧を悔いる師匠の遺言で、彼は世の中に出た5人の兄弟子たちと「五毒門の不義の財」なる財宝を探すことになる。その目的は、悪さをする兄弟子たちを皆殺しにして財宝を社会へ寄付し、「五毒門」の汚名を返上すること。

その5人の兄弟子たちというのが、それぞれムカデやヘビ、サソリなど毒を持つ生物を模した5つの拳法を習得しており、いずれ劣らぬ猛者ばかり。半人前のヤンでは到底歯が立たない。そこで、5人の中から正義感の強い者を1人だけ見定め、そいつと組んで他の悪い兄弟子たちを始末しようというのだ。まあ、よくよく考えると、いやいや、5人の全員が悪者って可能性はありゃしませんか?とか、もしくは全員正義感が強かったらどうするんすか?とか、突っ込み甲斐のある設定ではあるのだが、そういう無理矢理な強引さがまた香港カンフー映画の醍醐味でもあるので、まずは良しとしておこう(笑)。

しかしながら、その兄弟子たちを探し出すのは至難の業。というのも、「五毒門」では素顔を見せず仮面を付けて修行せねばならず、しかもそれぞれ入門した時期が違っている。その上、社会へ出れば「五毒門」を隠して生活しなければならないため、全員が名前も素性もまるっきり変えている。本人たちですら、いざ戦いの場になって相手の拳法を見なければ、誰が五毒門の兄弟弟子なのか基本的には分からないのだ。まあ、中にはお互いを知っている弟子もいるにはいるのだけれどね。いずれにせよ、そこで鍵になるのが「不義の財」。兄弟子たちも財宝を狙っているだろうから、その持ち主である師匠の友人を探し出せば、おのずとその周辺に兄弟子たちも隠れているはずだというのだ。ん~、これまた都合の良すぎる設定だけど、そうでもしなけりゃトントンと話が進まないので、同じくひとまず良しとしておきましょう。

で、案の定、兄弟子たちは財宝の在り処を探していたわけで、以降は持ち主である学者一家虐殺事件を巡る捜査と陰謀を通じて、徐々に兄弟子たちの身元が割れていき、お互いに騙し合い&殺し合いの壮絶な戦いが繰り広げられていくことになる。ってなわけで、少しばかり設定に無理があることは否めないものの、なかなか凝ったアイディアというか、独創性のあるストーリー展開には意外にすんなりと引き込まれる。次々出てくる登場人物の中で、誰が「五毒門」の兄弟子なのか?というミステリーの要素もあり。まあ、どれも最初からバレバレではあるんだけれどね。だって、登場時の見せ方が明らかに違うんだもん。こいつでーす!って宣言しているようなもんだから(笑)。

全体的にダークなトーンも悪くない。なにしろ、兄弟弟子同士が本気で殺し合うんだらかね。しかも、その大半は卑劣な悪人だし、だいたい街を司っている代官やら役人やらも狡猾で非道。無実の罪で陥れられた第5弟子リーに加えられる数々の拷問もかなり残酷だ。というか、まさに血みどろ。その上、第1弟子と第2弟子の極悪コンビは、自分たちの策略に加担した連中まで、口封じのために殺しまくる。それも、鉤爪の付いた長い針を鼻から突っ込んで脳みそを破壊したり、同じく長い針を喉の奥へ突っ込んで切り裂いたり。さすがにスプラッター映画ほどではないにせよ、ハードな血みどろ描写もそれなりに用意されている。まさに、グラインドハウス感満載。欧米で人気の高い理由もよく分かる。

そして、本作の最大の売りであり魅力なのが、5人+1人の五毒拳士を演じる役者たちである。とにかく身体能力がハンパじゃない。基本的にはカンフー映画ならではの雑技団的なアクションで、全体的に京劇みたいな振り付け感は否めないものの、生物を模したそれぞれの拳法のユニークな型と技、ワイヤーワークを駆使した縦横無尽なダイナミズムは見事なもの。さすがはスタントマン出身。切れ味の鋭いアクションで魅せてくれる。

ただ、それと同時に彼らは本作の最大の弱点でもある。どういうことかというと、いずれも役者としての個性が極めて希薄であるため、スクリーンにおける華も存在感も著しく欠けているのだ。とりあえず、第2弟子ホン役のウェイ・パイがちょっと男前なくらいで、あとは本当に地味顔。エキストラに混じると誰が誰だか分からなくなる。これもまた、スタントマン出身ゆえとも言えよう。本来は裏方を支える人たちだったわけだからね。演技力についても及第点。まあ、そこはさほど重要ではないのでいいだろう。とはいえ、やはり誰一人としてスターとしてのカリスマ性がないというのは惜しい。だからユニット売りしたのだろうけど。

そんなわけで、その後も随時メンバーの顔触れを変えながら、「五毒」なるユニット名で数多くのショウブラ映画に出演した彼ら。正義感の強い第4弟子ホーを演じたフィリップ・コクは、その後スタント監督として日本の『帝都大戦』('89)や007シリーズの『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』('97)などにも参加している。なお、本作の五毒拳士たちが、タランティーノ監督『キル・ビル』('03)に登場した殺し屋集団「毒蛇暗殺団」の元ネタになっているのは、ご存知の方も多いかもしれない。

評価(5点満点):★★★☆☆

ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:北京語/字幕:日本語/地域コード:ALL/時間:101分/発売元:ツイン/パラマウント ジャパン
特典:オリジナルトレーラー/ニュートレーラー




by nakachan1045 | 2017-07-12 11:39 | 映画 | Comments(0)

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