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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「片腕ドラゴン」 獨臂拳王 One Armed Boxer (1971)

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監督:ジミー・ウォング
製作:レイモンド・チョウ
脚本:ジミー・ウォング
撮影:シェンクー・モウ
武術指導:チェン・シーウェイ
音楽:フーリン・ウォング
   ピン・ウォング
出演:ジミー・ウォング
   ティエン・イェー
   タン・シン
   ロン・フェイ
   マー・チ
   ツァイ・フン
   ワンユン・シェン
   サン・マオ
   ウータン・チャオ
香港映画/92分/カラー作品




<あらすじ>
正徳武館に鉄鈎門という2つの武道流派が対立する小さな町。人徳の厚いハン師匠(マー・チ)が率いる正徳武館は礼節を重んじる流派で、染色工場とレンガ工場を生業として堅実に運営されていた。しかし、勝つためなら手段を選ばない悪人ザオ師匠(ティエン・イェー)の率いる鉄鈎門は、麻薬や売春で荒稼ぎして悪事の限りを尽くしていた。
そんなある日、正徳武館の一番弟子ティエンロン(ジミー・ウォング)は、罪もない庶民に暴力を振るう鉄鈎門一味の狼藉ぶりを見るに見かね、一緒にいた仲間と共に彼らを一網打尽にしてしまう。メンツを潰されたザオ師匠は激怒。弟子たちを連れて正徳武館へ殴り込みをかけるものの、またもやコテンパンにやり込められてしまった。
腹の虫がおさまらないザオ師匠は、諸外国の武道家を用心棒として雇うことに。沖縄空手の師範・二谷太郎(ロン・フェイ)を筆頭に、その弟子である長谷川(ワンユン・シェン)と坂田(ツァイ・フン)、柔道家の高橋(ウータン・チャオ)、テコンドー師範キム(サン・マオ)、ムエタイ選手のナイとミーの兄弟、ヨガ師匠モナ、ラマ僧のズオロンにズオフーといった強豪が集められる。
用心棒たちを使って染色工場やレンガ工場を破壊し、正徳武館の門下生たちを殺害する鉄鈎門の一味。もはや黙っておれないとハン師匠が復讐を誓うと、そこへ用心棒たちを引き連れたザオ師匠が現われる。かくして、両者の全面対決の火ぶたが切って落とされた。
しかし、中国武術しか知らない正徳武館一門の面々は外国人にまるで歯が立たず、次々と殺されていく。中でも最強の敵は空手師範の二谷。ティエンロンは素手で片腕をもぎ取られ、ハン師匠はおろか仲間たち全員が皆殺しにされてしまう。
たった一人、瀕死の状態で倒れているところを医者親子に救われたティエンロン。医者の娘シャオユー(タン・シン)の手厚い看護で回復したものの、片腕を失った体では師匠や仲間たちの復讐もままならない。生きる気力を失いかけた彼にシャオユーが言う。古くから伝わる秘薬を使って神経を焼き切り、片腕拳法「残拳」を習得すれば戦うことが出来るはずだと。そこで彼は医者の指導のもと、血の滲むような訓練の日々を経て片腕拳法をマスターし、鉄鈎門一味と用心棒たちにたった一人で戦いを挑むこととなる…。

ショウ・ブラザーズから新興スタジオのゴールデン・ハーベストへ移籍したジミー・ウォングが、主演はもちろん監督と脚本まで手掛けた意欲作。とはいえ、ショウブラ時代の出世作『片腕必殺剣』('67)で確立した、「片腕アクション」という設定をちゃっかり頂いちゃっているのがご愛敬だ。映画の作風や路線自体も恩師チャン・チェ監督作品の二番煎じ的な印象は拭えず、お世辞にも完成度が高いとは言えないものの、全編にほとばしる猛烈なエネルギーと荒唐無稽なインパクトの強さだけは超一級。劇場公開時は香港のみならずアジア各国や欧州・アメリカでも大ヒットし、ジミー・ウォングにとって名刺代わりとも言うべき代表作となった。

大まかなあらすじは、『片腕必殺剣』と『続・片腕必殺剣』を足して2で割った感じ。正義の正徳武館と悪の鉄鈎門という2つの武術流派の対立を軸に、片腕を失った主人公がアジア各国から集められた7大武術のエキスパートたちを次々と攻略していく。何が凄いって、まずはその7大武術のエキスパートたちの強烈極まりないキャラであろう。なんというか、もうカリカチュアなんて生易しいもんじゃないんですわ(笑)。どいつもこいつもほぼケダモノ。中でも最強の沖縄空手師範・二谷太郎なんて、これみよがしに牙が生えちゃってるからね。もはやケダモノというよりバケモノ。テコンドーのキムって奴もなかなかの野獣ぶりだったけど、案外あっさりと倒されてしまうのが拍子抜けでございました。

で、もちろん次々と繰り出される格闘技もぶっ飛びまくり。まあ、これはある意味当時の香港アクション映画のお家芸みたいなもんだけど。もはや格闘技とは呼べない超人技がこれでもか!とてんこ盛りです。予告編では「ドキュメンタリー・タッチのリアリズム!」みたいなこと謳っているが、どう見たってリアリズムの片鱗などどこにもありしゃしません。そもそも、各国の格闘技を正確に描こうとすらしていないもんね。空手はほぼ忍術だし、だいたいヨガって格闘技か?それも2本指で逆立ちしながらピョンピョン跳ねるって、確かにスゲエなとは思うけど1ミリも強そうには見えないし(笑)。まあ、それに対抗して主人公がラストで披露する必殺技も噴飯物だけど。とにかく、この奇想天外かつ奇妙奇天烈な格闘バトルを受け入れられるか否かで、本作への評価が大きく変わることは間違いないだろう。

完全にノリ重視で突っ走るジミー・ウォング監督の演出は、良く言えば自由奔放でエネルギッシュ、悪く言えば乱暴で粗雑。血みどろバイオレンスにも一切躊躇しない姿勢は十分評価できるが、しかしないはずの主人公の右腕が見えちゃうなどディテール描写はかなりテキトーだし、編集もあちこちでブツ切り状態。細かいこと気にしないにもほどがあるだろ!と突っ込みたくなる。細かいこと気にしないと言えば、『黒いジャガー』('71)のサントラですな。いきなりオープニングで『黒いジャガー』のテーマ曲が鳴り響くのにはびっくり仰天しますよ。しかも、その後もここぞ!という見せ場になると『黒いジャガー』が(笑)。もちろん、どこにもクレジットがないので著作権無視の無断使用。いくらなんでも大胆不敵過ぎだろ。

さらに言うと、ジミー・ウォングのアクションもヤバい。どうヤバいのかと言うと、全然強そうじゃないんだよね(笑)。いや、ファンの方はゴメンなさい。それにしてもなぜだろう。『片腕必殺剣』のような武侠アクションだと無茶苦茶カッコいいのに、肉弾戦の格闘技で見せる現代劇アクションになると、どうしても小粒に見えてしまうというか、子供が必死に頑張って背伸びしているようにしか見えないのですよ。まあ、それが独特の味になっているというか、いい感じのB級感を漂わせることには繋がっていると思うのだけど。とにかく、ブルース・リーやジャッキー・チェンなどに比べて見劣りしてしまうことは否めない。

ということで、グラインドハウス臭のプンプンとする極上の低予算エンターテインメントとして、んなことあるかい!と突っ込みを入れながら楽しむべき一本。千葉真一の空手アクション映画なんかも、本作からの影響は結構受けているんじゃないかな。あと、日本盤ブルーレイは画質がイマイチ。レストア処理の施された様子はなく、全体的に経年劣化が目立つ。それほど悪くはないけど、決して良くもないといった印象だ。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio (北京語)・2.0ch リニアPCM (英語・日本語)/言語:北京語・英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:ALL/時間:92分/発売元:ツイン/パラマウントジャパン
特典:オリジナル予告編



by nakachan1045 | 2017-09-28 09:52 | 映画 | Comments(0)

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