なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「デルタ・フォース・コマンド/暁の奪還」Delta Force Commando Ⅱ: Priority Red One (1990)

監督:フランク・ヴァレンティ(ピエルルイジ・チリアーチ)
製作総指揮:アルフレド・ニコライ
原案:フランク・ヴァレンティ(ピエルルイジ・チリアーチ)
脚本:ルイス・コール
撮影:ラド・リコン
スタント監修:アンソニー・フリーマン(アレッサンドロ・ノヴェッリ)
音楽:エリオ・ポリッツィ
主題歌:ジャンニーナ・ファチオ
出演:リチャード・ハッチ
フレッド・ウィリアムソン
ヴァン・ジョンソン
ジャンニーナ・ファチオ
ボビー・ローズ
イタリア映画/94分/カラー作品

<あらすじ>
東西冷戦が終わりへと近づき、欧州統一も夢ではなくなった'90年代初頭。ベオグラードではドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、そしてロシアの首脳が集まるサミットが開催されるが、その陰でアメリカCIAの高官が謎の女スパイによって殺される。
その頃、欧州某国の米軍基地に正体不明の戦闘機が接近。空軍のバック大尉(フレッド・ウィリアムソン)はギリギリの判断で戦闘機を受け入れる。パイロットは米軍の大物マッカイランド将軍(ヴァン・ジョンソン)だった。彼によると、基地内部に裏切り者がいるとのこと。バック大尉は部下に極秘調査を命じる。
一方、元デルタ・フォース隊員ブレット・ハスケル(リチャード・ハッチ)は、CIA連絡係より二重スパイの暗殺を指示される。それはかつての同僚で恋人でもあったユーナ(ジャンニーナ・ファチオ)だった。ブレットは再会したユーナを連れて逃亡。デルタ・フォースの仲間ボブ(ボビー・ローズ)の協力で国境を越えた2人は、その道すがらでテロリストと戦うことになる。
部下たちの調査で、マッカイランド将軍こそが裏切り者であるとの結論に達したバック大尉。東西冷戦の終結が気に食わない将軍は、ミサイルを奪って米ソ間の武力衝突を狙っていたのだ…。

イタリア産B級戦争アクション『デルタ・フォース・コマンド』('87)の続編。前作がどれほどヒットしたのかは定かでないが、続編が作られるということはそれなりに受けたのだろう。監督にはフランク・ヴァレンティことピエルルイジ・チリアーチが再登板。主演はテレビ『宇宙空母ギャラクチカ』のアポロ大尉ことリチャード・ハッチに変更されたが、脇には'70年代ブラック・シネマの帝王フレッド・ウィリアムソンが前作に引き続いて顔を出している。

しかし…である。なんというか、ストーリーの大半がチンプンカンプンなんだよね(笑)。冒頭、どこにあるのかよく分からない米軍基地に偉そうな将軍マッカイランドが戦闘機に乗って登場。散々基地の防衛システムに文句をつけた挙句、内部に東側へ寝返ったスパイがいる、お前らがたるんでいるせいだとバック大尉を責める。内心では「このクソジジイめ!」と思いつつも、部下に秘密裏の調査を命じるバック大尉。なぜかそのまま基地に居座り続けるマッカイランド将軍は、あちこちウロウロしながらいかにも怪しい言動を繰り広げ、結局バック大尉の部下たちは彼こそが陰謀の首謀者であることを突き止めるのだが、そんなの最初からバレてるって(笑)。将軍が東西冷戦の終結を受け入れられないタカ派だというのは分かるのだけど、なぜそんな飛んで火にいる夏の虫みたいなことするのか。皆目見当つかないのである。

一方、この基地内のスパイ探しと並行して描かれるのが、元デルタ・フォース隊員ブレットとその元カノ、ユーナの逃避行。裏切り者スパイの暗殺を命じられたブレットだったが、その相手というのが戦友でもあったユーナであると知り、濡れ衣を着せられた彼女を連れて逃亡することにする。とりあえず、ユーナがマッカイランド将軍に騙されて破壊工作を行い、その挙句に始末されようとしているということは理解できるのだが、具体的にどう騙され利用されていたのかは全く不明。しかも、そのまま最後まで基地内のスパイ探し騒動とは一切絡むことなく終わってしまう。まさに放置プレイだ(笑)。

放置プレイと言えば、空港で旅客機に爆弾を仕掛けたテロリストをユーナが暗殺するのだが、その爆弾を仕掛けられた旅客機がその後どうなったのかも描かれないまま。そもそも、お互いに目くばせをして仲間同士みたいだったユーナがなぜテロリストを殺したのかも全く分からないし、テロリストの目的や正体もさっぱり。それ以外にも、説明不足&うやむやなシーンおよび設定が多く、脚本の手抜きぶりはハンパない。チリアーチ監督の原案を脚色したのはルイス・コールなる人物。この人、無名時代のマット・デイモンが出演したテレビ映画『Rising Son』('90)の原案にも参加しているようなのだが、その素性は全くもって不明。まあ、脚本を無視してズタズタに編集された可能性もあるので、必ずしも彼ばかりの責任とは言い切れないのだが、それにしてもお話がお粗末すぎる。

ただ、これは前作も同様ではあるが、戦闘シーンにおけるチリアーチ監督の演出はなかなか悪くない。今回は赤外線メガネを使った銃撃バトルも盛り込まれ、それなりに趣向が凝らされている。恐らくロケ地は旧ユーゴスラビアのどこかだと思われるが、美しい大自然を捉えた映像にもスケール感がある。これでストーリーの交通整理がちゃんとできていれば、少なくとも平均点レベルくらいのB級戦争アクションには仕上がっていただろう。

また、ヒロインのユーナを演じているジャンニーナ・ファチオも魅力的だ。どことなく憂いのある知的なラテン系美人。南米コスタリカの出身で、現在はリドリー・スコット監督の奥様である。『グラディエーター』('00)に『ハンニバル』('01)、『マッチスティック・メン』('03)、『キングダム・オブ・ヘブン』('05)、『プロメテウス』('12)と同監督作品には欠かせない常連女優となった。ただし、最近の写真を見ると相当顔のお手入れをしているらしく、これみよがしな整形美人マダムになってしまい、かつての面影は殆どなくなっている。

これみよがしと言えば、いかにも悪党然としたマッカイランド将軍を演じている往年の大スター、ヴァン・ジョンソンの顔面青筋メイクもなんだかなあ…といった感じ(笑)。『姉妹と水兵』('43)や『ブリガドーン』('54)、『雨の朝巴里に死す』('54)などの名作ハリウッド映画で活躍したロマンティックなオール・アメリカン・ボーイも、本作の当時はイタリア産低予算映画での出稼ぎ仕事がメイン。しかも、よりによってこんなワケの分らんメイクをさせられるとは。お気の毒としか申し上げようがございません。
評価(5点満点):★★☆☆☆
参考DVD情報(ドイツ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:ドイツ語・英語・イタリア語/字幕:なし/地域コード:2/時間:94分/発売元:Cinepolis
特典:なし
by nakachan1045
| 2017-10-06 00:05
| 映画
|
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