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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「メテオ」 Meteor (1979)

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監督:ロナルド・ニーム
製作:アーノルド・オルゴリーニ
   セオドア・パーヴィン
原案:エドマンド・H・ノース
脚本:スタンリー・マン
   エドマンド・H・ノース
撮影:ポール・ローマン
視覚効果監修:マーゴ・アンダーソン
音楽:ローレンス・ローゼンタール
出演:ショーン・コネリー
   ナタリー・ウッド
   カール・マルデン
   ブライアン・キース
   ヘンリー・フォンダ
   マーティン・ランドー
   トレヴァー・ハワード
   リチャード・ダイサート
   ジョセフ・キャンパネラ
   ビビ・ベッシュ
   シビル・ダニング
   クライド・クサツ
アメリカ・香港合作/108分/カラー作品




<あらすじ>
友人とヨット・レースに参加していた元NASAの科学者ブラッドリー博士(ショーン・コネリー)は、NASA長官シャーウッド(カール・マルデン)に急きょ呼び出される。実は、新たに誕生した彗星が小惑星群に激突し、その様子を観測していたスペースシャトルが大破。小惑星群の破片が大量の隕石となって地球へ向かっていた。最大級の隕石が地球に衝突すれば、大勢の死傷者を出すばかりか地球が氷河期に戻ってしまいかねない。そこで、シャーウッド長官はブラッドリー博士が開発した人工衛星ハーキュリーズを地球防衛のために使おうというのだ。
そもそも、ブラッドリー博士は今回のような事態を想定してハーキュリーズを開発したのだが、アメリカ政府の政治的な思惑によって、ソ連に狙いを定めた核兵器搭載の軍事衛星へと転用されていた。ブラッドリー博士が5年前にNASAを辞めた理由は、そのことに腹を立てたからだ。対ソ国防戦略を重視するアドロン将軍(マーティン・ランドー)ら軍部はハーキュリーズの使用に猛反発。しかし、イギリスのテレビ局による報道で隕石の来襲が米国市民にも知らされ、大衆の間に不安が広まると軍部も首を縦に振らざるを得なくなる。
ところが、ハーキュリーズに搭載された核兵器だけでは巨大隕石の軌道を変えるには不十分であることが判明。ブラッドリー博士は、同じような軍事衛星を保有するソ連の協力が必要だと国防長官(リチャード・ダイサート)に訴える。それを聞いた大統領(ヘンリー・フォンダ)は、テレビの記者会見を通じてソ連指導部に協力を訴えた。すると、ソ連は宇宙物理学者デュボフ博士(ブライアン・キース)と通訳タチアナ(ナタリー・ウッド)をアメリカへ派遣する。とはいえ、それは対外的に協力姿勢を示すだけであって、ソ連としては軍事衛星の存在を認めるつもりなど一切なかった。
そうこうしているうちに、世界各地に隕石が飛来する。シベリアでは隕石の墜落で大規模な地震が発生したが、しかしイタリアでは無数の小さな隕石が大空で燃えつきただけで終わる。地球の危機などデタラメだと科学者を侮辱するアドロン将軍。その言葉に腹を立てたデュボフ博士の強い要請で、ようやくソ連当局も軍事衛星ピョートル大帝の存在を認め、アメリカとの全面的な協力を約束する。
やがて、スイスのアルプスに隕石が衝突し、雪崩によって大勢の死傷者が出てしまう。また、太平洋に落下した隕石の影響で発生した大津波が香港を襲った。もはや一刻の猶予もない。ニューヨークの地下にある指令本部からミサイル発射の準備を進めるブラッドリー博士ら。すると、イギリスの科学者ヒューズ卿(トレヴァー・ハワード)から、巨大な隕石がニューヨークへ向かっているとの連絡が入る…。

かつて地上波の洋画番組でもよく放送されていた作品。言ってみれば、『アルマゲドン』('98)や『ディープ・インパクト』('98)のご先祖様みたいなSFパニック映画だ。'70年代当時のハリウッド映画界のトレンドと言えば、『ポセイドン・アドベンチャー』('72)に代表されるオールスターキャストのディザスター映画、そして『スター・ウォーズ』('77)に端を発するSF映画。その両方をいいとこ取りしちゃえ!みたいな手堅い企画であったろう事は想像に難くないが、そんな製作陣の胸算用とは裏腹に興行成績は散々たるものだった。

そもそも、巨大天体の急接近で地球が存亡の危機に直面するというシチュエーションは、'50年代SF映画ブームの真っ只中に生み出された名作『地球最後の日』('51)がルーツ。地球を救うための対応を巡って世界各国の思惑が交錯するという筋立ても似ている。同作にインスパイアされた日本の特撮映画『妖星ゴラス』('62)なんてのもあった。要するに、ストーリー的には当時でも別に目新しい映画ではなかったはずだ。

やはり、最大の売りは当時日進月歩の速さで進化しつつあったSFX技術を駆使した特撮シーンと、ネームバリューの高い役者を揃えたオールスターキャストであろう。まあ、確かに今見るとミニチュア合成もオプチカル効果も原始的で安っぽく感じられることは否めないが、当時の基準からすればまずまずといったところ。特に彗星が小惑星群と衝突するシーンの描写は、それなりにリアルで見応えがある。ただ、アルプス山麓の町を襲う雪崩や、香港の繁華街を呑み込む大津波、隕石の墜落で破壊されるニューヨークなどの災害シーンは物足りなさが残る。ぶっちゃけ、質よりも量で勝負といった感じ。あまりお金をかけられなかったせいか、それぞれのパニック描写は中途半端な手抜き仕事という印象だ。その代わり数を揃えてみましたってとこだが、結局一つ一つが小粒なのでお腹いっぱいには全くならない。

特殊視覚効果の担当としてクレジットされているのは、『世界が燃えつきる日』('77)のマーゴ・アンダーソンとウィリアム・クルーズ。そもそもアンダーソンはそれ以外にフィルモグラフィー上で視覚効果の実績がないし、クルーズの本業は美術デザインやセット・デザインである。なぜこの2人に白羽の矢が立てられたのかは定かでないが、もうちょっと特撮の分野で経験のあるエキスパートに任せれていば、災害シーンの消化不良も解消されたのではないかと思うのだが。

さらに、もう一つの売りであるオールスターキャストも微妙なところ。主演のショーン・コネリーは全盛期を過ぎてスランプ気味だったし、これが4年ぶりの映画出演だったナタリー・ウッドも過去の人になりつつあった。イタリア映画の出稼ぎ仕事も多かったヘンリー・フォンダ、ゲスト出演的な仕事が増えていたトレヴァー・ハワードも、確かにビッグネームだが当時は完全に過去の人。ほかにもカール・マルデンやブライアン・キース、マーティン・ランドーなど、映画ファンにお馴染みのベテラン名優ばかり出ているが、しかしいずれも基本的にはギャラの安い脇役俳優だ。つまり、知名度の高い役者は揃ったものの、集客力のある旬のスターが1人もいないのである。

とはいえ、恐らく本作の最大の弱点はロナルド・ニームの演出ではないかと思う。『ポセイドン・アドベンチャー』での実績を買われての起用であることは想像に難くないが、名作『オデッサ・ファイル』('74)以来4年ぶりの仕事となる本作では、すっかり往時の精彩を欠いてしまっている。ドラマ部分の弱さを指摘されることの多い本作だが、『パットン大戦車軍団』('70)のエドマンド・H・ノースと『コレクター』('65)のスタンリー・マンが手掛けた脚本の出来はそれほど悪くない。確かに全体的なストーリーの流れは意外性に乏しいものの、東西冷戦時代の核兵器開発競争を背景にした米ソの愚かな駆け引きを巧みに織り込んでいるところは面白いし、国家のイデオロギーを超えて共鳴し合う東西の科学者同士の友情に希望の光を見出す筋書きもベタではあるが共感できる。ただ、緊張感のない平坦なロナルド・ニームの演出が、全てを台無しにしているように思えてならないのだ。しかし、本作の後に彼はウォルター・マッソー主演で『ホプスコッチ』('80)というスパイ・コメディの名作を手掛けている。なので、必ずしも年を取って腕が鈍ってしまったわけではないはずだ。そう考えると、そもそも本作は彼にとってあまり気乗りのしない企画だったのかもしれない。

ちなみに、実は本作はアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(A.I.P.)と香港のショウ・ブラザーズの合作映画。もともとドライブイン・シアターやグラインドハウス向けに低予算映画を制作・配給して成功したA.I.P.だが、そのビジネスモデルも大作主義の復活しつつあった当時のハリウッドは通用しづらくなっていたようだ。そんな彼らにとって本作はある種の賭けだったのではないかと想像するのだが、先述したように残念ながら興行的には大失敗。そのせいばかりではないと思うが、翌年にA.I.P.は大手製作会社フィルムウェイズに買収され、約四半世紀の歴史にピリオドを打つこととなったのである。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:108分/発売元:Kino Lorber/20th Century Fox
特典:オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2017-11-09 20:19 | 映画 | Comments(0)

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