なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
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「賞金稼ぎ」 Shokin kasegi (1969)

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監督:小沢茂弘
企画:俊藤浩滋
   松平乗道
脚本:高田宏冶
   伊上勝
撮影:山岸長樹
美術:矢田精治
音楽:八木正生
出演:若山富三郎
   片岡千恵蔵
   野川由美子
   真山知子
   天津敏
   高橋昌也
   睦五郎
   宇佐美淳
   三島雅夫
   潮健児
   汐路章
   藤岡重慶
特別出演:鶴田浩二
日本映画/89分/カラー作品




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<あらすじ>
時は宝暦2年(西暦1752年)。オランダ船ロッテルダム号が現在の神奈川沖に現れ、最新式のゲーベル銃1000挺を安価で提供する代わりに無条件和親条約を結ぶよう徳川幕府に要求する。しかし、時の将軍・徳川家重(鶴田浩二)がこれを断固拒否したため、ロッテルダム号は九州の薩摩藩に取引を持ち掛けた。
薩摩藩と言えば幕府が最も恐れる有力な外様大名。オランダとの取引が成立して薩摩藩がゲーベル銃を手にすれば、幕府に対して謀反を起こして再び日本が戦乱の世となりかねない。最悪の事態を恐れた幕府は、すぐさま薩摩藩江戸家老・伊集院右京(片岡千恵蔵)を国許へと差し向け、両者の取引を阻止するよう命じる。その一方で、将軍家重は信頼する蘭方医で凄腕の賞金稼ぎでもある錣(しころ)市兵衛(若山富三郎)を秘かに呼び寄せ、右京の助太刀として薩摩へ差し向けた。
小田原で薩摩藩の刺客に襲われた右京を救った市兵衛は、川止めとなった大井川で武術の心得のある美女・陽炎(野川由美子)と知り合う。実は彼女、薩摩藩の取り潰しを狙う老中・牧野豊後守(柳永二郎)が、謀反の証拠を掴むため派遣した隠密だった。また、どこからともなく現れた浪人風の風来坊・曲垣藤九郎(潮健児)が市兵衛を兄貴と慕い、なにかにつけて後をついてくる。このお調子者で憎めない藤九郎も、実は市兵衛を助けつつ幕府の隠密を見張るよう右京に命じられた隠し目付だった。
薩摩藩の関所へと差し掛かった3人は、所々に散らばった幕府隠密の無残な死体を発見する。厳重な警備体制が敷かれていた。そこで、市兵衛は逆に正々堂々と正面から関所を強行突破。その足で、薩摩藩大目付・掟堂二階堂(天津敏)が頭領を務める武装集団・山嶽党の本拠地である桜島へ向かう。そこで敵の内部情報を探ろうというのだ。
山嶽党の一員である若い娘・茜(真山知子)に案内され、二階堂と面会する市兵衛だったが、すぐに正体を見破られてしまう。初めて女として見てくれた市兵衛に心惹かれる茜の助けで脱走した彼は、辛うじて逃げ延びて藤九郎と合流する。
一方、薩摩に潜伏する隠密仲間の与藤次(睦五郎)のもとに身を隠した陽炎だったが、妻子を守るため薩摩藩に寝返った与藤次の裏切りで二階堂に捕らえられてしまう。その様子を目撃した市兵衛と藤九郎は敵陣を襲撃し、瀕死の陽炎を救い出すのだった。
その頃、右京は薩摩藩主・島津重年(高橋昌也)にオランダ船との取引を思い止まるよう説得。その言葉に一度は考えを改めようとする重年だったが、結局は幕府を信用しない桑島織部(宇佐美淳)ら家老たちに説き伏せられ、ゲーベル銃を購入して和親条約に調印することを決める。それを知った右京は、そうとなったらお国のため、自ら薩摩藩側の大使としての務めを引き受けることに。何も知らない市兵衛は右京に捕らえられてしまう…。
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後にテレビドラマ化もされた、若山富三郎主演の時代劇『賞金稼ぎ』シリーズの第1弾。9代目徳川将軍・家重から直々に雇われた無敵の賞金稼ぎ・市兵衛が、日本の平和を脅かす薩摩藩とオランダの武器取引および和平条約を阻止するべく、人並外れた剣術の腕前と自ら開発した秘密道具の数々を駆使して大暴れする。予告編では堂々と「007 プラス マカロニ・ウエスタン!」と謳われているが、まさに読んで字のごとく。マカロニ風の荒々しいバイオレンスをたっぷり詰め込んだ、荒唐無稽かつ痛快なスパイ・アクションとして仕立て上げられている。
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ただし、なんたって主演は拝一刀こと若山富三郎。ジェームズ・ボンドばりのオシャレでスマートなスパイってわけにゃあいかない。むしろバリバリに破天荒でワイルドな野獣系。しかし、それがいいんだよね。ちょっとばかりスケベだけど、愛嬌があって憎めないクマさんみたいなオッサン。それでいて、人並外れた腕力を持つ武術の達人で、仕事はキッチリとクールに決める。若山先生お得意の宙返りなどの軽業的アクションも盛りだくさん。ここぞという時の眼光鋭さはゾクゾクするくらいカッコいい。蘭方医ということで医学の知識にも長けており、ただの暴れん坊ではなく優れた戦術家でもある。さすが、天下の徳川将軍が全幅の信頼を寄せるわけだ。
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そんな主人公・市兵衛と行動を共にするのが、鉄砲玉のおぎんこと野川由美子演じる幕府隠密・陽炎。これがね、めっぽう気が強くて男勝りのいい女なんですわ。やんちゃでお転婆な役の多かった野川由美子には抜群のはまり役。しかも、それでいて情にもろくて一本気で、市兵衛にさりげなく優しくされたりすると、ついポロっと女の顔をのぞかせるところが可愛い。いわば007映画におけるボンドガール的な役どころで、市兵衛に負けじと秘密道具を使って大暴れしたかと思えば、妖艶な踊り子に化けて伝統舞踊を披露したりするシーンも用意されている。これがまた色っぽいのなんのって。こういう目の覚めるようなハッキリとした顔立ちの美人女優、今ではすっかりいなくなってしまった。
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とまあ、そんな具合に主人公2人のキャラがだいぶ立っている本作。ほかにも、地獄大使こと潮健児がコミカルに演じる隠し目付の藤九郎、甲賀幻妖斉こと天津敏が憎々しげに演じる山獄党頭領の二階堂、汐路章が扮するいかにも怪しげな中国人の殺し屋・徐東山などなど、どいつもこいつもコッテコテに濃すぎるメンツばかり(笑)。かなり劇画タッチのクレイジーなキャラ造形が目立つのは、さすが東映だよね!といったところだろうか。しかし、そこに正統派時代劇のベテラン大御所、片岡千恵蔵が重厚感たっぷりに絡むことで全体がキリッと締まる。終盤の若山富三郎との一騎打ちも気迫満点だ。徳川家重役でミスター東映、鶴田浩二も特別出演しているが、さすがにこれだけ重量級の強面が揃うと、出番の少なさも相まって少々影が薄い。
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監督は鶴田浩二主演の任侠映画や千葉真一主演の『殺人拳』シリーズでお馴染みの娯楽職人・小沢茂弘。細かいことなど気にせず、勢いでグイグイと突っ走るのは小沢監督ならではと言えよう。まあ、さすがに『殺人拳』シリーズほど滅茶苦茶に狂ってはいないけど(笑)。あえて言うと、そこが物足りないと言えば物足りないかも。市兵衛が駆使するガジェットも、もうちょっと奇想天外に遊んでも良かったんじゃないかなあ。その点は同じ若山先生主演の『子連れ狼』シリーズの方がはっちゃけていたように思う。
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脚本は『まむしの兄弟』シリーズや『殺人拳』シリーズ、『極道の妻たち』シリーズの高田宏冶と、『仮面の忍者 赤影』や『仮面ライダー』シリーズの伊上勝。なるほど、やっぱりね!といった感じだ。日本の平和と安全を外国に売り渡してなるものかという、当時盛り上がっていた70年安保闘争を如実に意識したところは、恐らく高田先生の持ち味なのだろう。とはいえ、政治的なメッセージ性はそれほど強くなく、全体的には爽快な楽しさを追求した純粋な娯楽活劇。「やったぞベイビー!」という予告編の最後を締める若山先生の決めゼリフが、この映画の真髄を的確に言い表していると思う。
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評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:2/時間:89分/発売元:東映ビデオ株式会社
特典:予告編/フォトギャラリー




by nakachan1045 | 2017-11-14 11:11 | 映画 | Comments(0)

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