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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「邪悪の女王」 Seizure (1974)

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監督:オリヴァー・ストーン
製作:ギャラード・グレン
   ジェフリー・キャペルマン
原案:オリヴァー・ストーン
脚本:エドワード・マン
   オリヴァー・ストーン
撮影:ロジャー・ラシネ
音楽:リー・ギャノン
出演:ジョナサン・フリッド
   マルティーヌ・ベスウィック
   エルヴェ・ヴィルシェーズ
   ジョー・シローラ
   クリスティナ・ピックルス
   アン・ミーチャム
   ロジャー・デ・コーヴェン
   トロイ・ドナヒュー
   メアリー・ウォロノフ
   リチャード・コックス
   ヘンリー・ジャド・ベイカー
アメリカ・カナダ合作/94分/カラー作品




<あらすじ>
有名なホラー作家エドマンド・ブラックストーン(ジョナサン・フリッド)は、このところ毎晩奇妙な悪夢に悩まされていた。それは、新作小説に出てくる邪悪なキャラクターによって、最愛の妻ニコール(クリスティナ・ピックルス)や幼い息子ジェイソン(ティモシー・オージー)が襲われるというもの。夢とは思えないほどリアルだった。
そんなある週末、エドマンドは郊外の森と湖に囲まれた自宅へ友人たちを招く。成金のビジネスマン、チャーリー(ジョー・シローラ)とその若い妻ミッキー(メアリー・ウォロノフ)、年配のロシア人セルジュ(ロジャー・デ・コーヴェン)と妻ユーニス(アン・ミーチャム)、そしてプレイボーイのマーク(トロイ・ドナヒュー)だ。
とはいえ、粗暴で横柄なチャーリーの態度がせっかくの週末ムードを台無しに、女好きのマークはミッキーや若いベビーシッターに手を出す。夕食のテーブルも気まずい空気が漂っていた。そこへ、エドマンドの夢に出てきた3人の魔物が姿を現す。
妖艶でサディスティックな邪悪の女王(マルティーヌ・ベスウィック)、小さな体に似合わず怪力で残忍な小人スパイダー(エルヴェ・ヴィルシェーズ)、そして巨大な斧を手にした大柄な黒人の処刑人ジャッカル(ヘンリー・ジャド・ベイカー)。既に彼らはマークを殺害していた。
たちまちダイニングルームはパニックに。騒ぎを聞きつけたエドマンドは、誤って妻の弟ジェラルド(リチャード・コックス)を射殺してしまう。3人の魔物たちは人々の弱みや悩みにつけ込み、お互いを蹴落とし合う危険なゲームを仕掛け、一人また一人と血祭りにあげていく。残されたエドマンドとニコールは、せめて息子ジェイソンだけは助けようとするのだったが…。

巨匠オリヴァー・ストーン監督の処女作として知られるホラー映画。ご存知の通り、かつてB級ホラーは無名の新人監督にとって登竜門のようなジャンルだった。フランシス・フォード・コッポラもスティーブン・スピルバーグも、そしてジェームズ・キャメロンもサム・ライミも、みんな低予算のホラー映画で実績を積んでメジャー監督へとのし上がった。社会派映画で鳴らしてきたオリヴァー・ストーンも例外ではなかったのである。

もともとニューヨークの裕福な株式仲買人の息子として育ち、名門イェール大学で学んだ(ただし中退)ストーン監督は、ベトナム戦争に従軍して数々の武勲を立てた後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶものの、暫くは全くの鳴かず飛ばずだった。タクシー運転手からメッセンジャーボーイまで、当時は生活のために様々な仕事をこなしていたらしいが、そんな折に知り合ったのがニューヨークを基盤にする独立系映画監督セオドア・ガーシュニー。日本ではZ級ホラー『聖し血の夜』('74)で知られる人物だ。そのガーシュニーのもとで助手や雑用のアルバイトをするようになったストーン監督は、恩師の代表作としてアメリカではカルト的人気を誇る映画『Sugar Cookies』('73)の製作者コンビ、ギャラード・グレンとジェフリー・キャペルマンのプロデュースで、念願の長編映画監督デビューを飾ることになる。それが本作だったわけだ。

ホラー作家の悪夢から抜け出してきた3人の魔物が、週末を一緒に過ごすため集まった友人や家族を次々と虐殺していく。これは、ベトナム戦争のトラウマによる悪夢に悩まされた、ストーン監督自身の体験をもとにしたストーリーとも言われている(メアリー・ウォロノフ談)。魔物たちが仕掛ける弱肉強食のサバイバル・ゲームには、人間の本能的な残酷さや資本主義の浅ましさも投影されているのだが、とはいえ映画自体の出来栄えはお世辞にも良いとは言えない。カメラは不安定だし編集も乱雑。ストーリーの流れも悪い。最後のオチだって極めて凡庸。なんとなく『ヘルレイザー』を彷彿とさせる魔物たちのキャラは面白いが、結局は中途半端なスラッシャー映画という印象だ。ストーン監督自身によると本作の撮影は相当に厳しい経験だったらしいが、恐らく本人としても不本意な仕上がりだったのかもしれない。

ちなみに、共同脚本としてクレジットされているのは、『血に飢えた島』('66)や『悪魔の植物人間』('74)の脚本家エドワード・マン。彼もまた、ニューヨークをベースにアングラ演劇やインディペンデント映画を制作していたらしいので、ストーン監督ないしプロデューサー陣と何かしらの付き合いがあったのだろう。なお、allcinemaのデータベースにはフランス映画『モナリザの恋人』('65)もフィルモグラフィーに含まれているが、そちらのエドワード・マンはイタリア人脚本家オッタヴィオ・ポッジの変名であり、全くの別人である。

主演はティム・バートン監督が映画リメイクした往年の人気ドラマ『Dark Shadows』の吸血鬼バーナバス・コリンズ役で有名なジョナサン・フリッド。邪悪の女王役には『恐竜100万年』('66)や『紀元前3万年の女』('67)、『ジキル博士とハイド嬢』('71)などのハマー・プロ作品でカルトな人気を誇るセクシー女優マルティーヌ・ベスウィックが扮している。エキゾチックでユニークな顔立ちがまさにはまり役。本作にとって最大の売り要素だ。彼女の妖艶で邪悪な怪演を見るだけでも一見の価値はあるだろう。

その手下スパイダーを演じているのが、『007/黄金銃を持つ男』('74)の悪役として強烈なインパクトを残した小人俳優エルヴェ・ヴィルシェーズ。さらに、『デスレース2000年』('75)や『フライパン殺人』('82)、『テラービジョン』('86)などのカルト映画で有名な個性派女優メアリー・ウォロノフも出ている。実は彼女、当時はストーン監督の恩人セオドア・ガーシュニー監督の奥さんで、下積み時代の彼をなにかと世話していたらしい。ストーン監督の無名時代を支えた最初の奥さんとも親しかったそうだ。その後、ハリウッドの大物となったストーン監督と何度か再会しているが、残念ながら無視されてしまったという。

また、'50年代から'60年代にかけて青春映画のスーパー・スターだったトロイ・ドナヒューも登場。当時は既に過去の人だったせいか、キャストクレジットではその他の扱いだし、本編でも早々に殺されてしまう。なんとも寂しい限り。主人公の妻ニコールを演じているのは、『ロミオ&ジュリエット』('96)でディカプリオのお母さん役をやったクリスティナ・ピックルス。大人気ドラマ『フレンズ』のロスとモニカの母親役として記憶している人も多いだろう。その弟ジェラルド役には、ウィリアム・フリードキン監督作『クルージング』('80)の犯人役で有名になるリチャード・コックス。これが映画デビュー作だったが、まだどことなく少年っぽさを残す美青年ぶりが印象的だ。こうやって見ると、キャスト陣は意外にも豪華である。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-D Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:94分/発売元:Scorpion Releasing
特典:メアリー・ウォロノフのインタビュー(約15分)/リチャード・コックスのインタビュー(約23分)/オリジナル劇場予告編




by nakachan1045 | 2017-11-15 00:02 | 映画 | Comments(0)

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