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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「殺し屋人別帳」 Killer's Black List (1970)

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監督:石井輝男
企画:岡田茂
   天尾完次
脚本:石井輝男
   掛札昌裕
撮影:古谷伸
編集:神田忠男
音楽:鏑木創
主題歌:渡瀬恒彦
出演:渡瀬恒彦
   伊吹吾郎
   吉田輝雄
   佐藤充
   田崎潤
   嵐寛寿郎
   小池朝雄
   荒木一郎
   中谷一郎
   賀川雪絵
   太田ナオミ
   小川ローザ
   藤田佳子
   由利徹
日本映画/93分/カラー作品




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<あらすじ>
北九州支配を目論む暴力団組長・浦波(沢彰謙)は、殺し屋人別帳で探した殺し屋・黒岩(田崎潤)と宇野木(小池朝雄)を雇い、各都市の組長を暗殺して自分の支配下に収める。残るは長崎の竜神一家のみだが、ここは先代が死んだばかりで現組長は若い。捻りつぶすのは簡単だから殺し屋は必要ない。そう考えた浦波は黒岩と宇野木を始末しようとして、逆に殺される。さらに、宇野木を射殺した黒岩は、浦波の組を乗っ取って黒岩組と改名させた。
それから暫くの後、長崎に真一(渡瀬恒彦)という流れ者がやって来る。彼は港で知り合った若い娘・ミッチー(小川ローザ)と遊んでいたところ、その喧嘩の強さと拳銃の腕前を黒岩に認められ、黒岩組の客人として迎えられる。ミッチーは黒岩が溺愛する実の娘だったのだ。黒岩組は竜神一家を本格的に潰すため、長崎へと乗り込んできていた。彼らは、さらにモンマルトルの鉄(佐藤充)という腕利きの殺し屋も雇う。
その竜神一家は、先代の遺言を守って堅気となり、海運業に精を出していた。黒岩組からの執拗な嫌がらせや脅迫に、秀(荒木一郎)ら若い衆は苛立ちを募らせていたが、家長の統一(吉田輝雄)は一切の反撃や報復を許さず、若い衆から慕われる統一の右腕・木口(中谷一郎)がしっかりと一家を支えていた。
そこへ、黒岩組と揉めて先代から勘当された若者・詩郎(伊吹吾郎)が戻って来る。だが、彼は竜神一家に迷惑がかかると考えて姿を見せず、たまたま再会した統一の妻・久美(藤田佳子)にも口止めを頼んだ。
一方、黒岩組の客人として腰を落ち着けた真一だが、余計な喧嘩や揉め事は性に合わない。適当に誤魔化してのんびり気ままに過ごす彼は、脚に障害を持つ少女・ナオミ(太田ナオミ)と親しくなり、次第に惹かれていくようになった。彼女が東京で手術を受けるため、コツコツと働いて貯金していることを知った真一は、自分が助けてやろうと考える。
いよいよ竜神一家に対する黒岩組からの妨害工作が激しくなる。窮地に追い込まれた統一は、黒岩とサイコロ勝負で決着を付けることになった。一度は負けた統一だが、久美が自分の体を差し出すことを申し出て再勝負に出ることとなる。それを見た黒岩組のスパイである壺振り師の女が同情し、いかさまをしなかったことから統一が勝利した。
腹を立てた黒岩は、壺振り師の女と彼女をかばおうとした木口を殺害。たまたま現場に居合わせたナオミも拉致されるが、普段からナオミを守る伝説の殺し屋・八人殺しの鬼寅(嵐寛寿郎)によって救い出される。
木口の遺体を前に復讐を誓う竜神一家。もはや黙っておれないとばかりに、統一は武器をもって立ち上がることにする。そこへ、一文字組の組長だった父親を黒岩に殺された娘・佐知子(賀川雪絵)と詩郎も加わり、黒岩組との最終決戦の火ぶたが切られる…。
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撮影当時25歳だった渡瀬恒彦の映画デビュー作にして初主演作である。しかも、演出は『ギャング』シリーズや『網走番外地』シリーズを大ヒットさせた東映の看板監督・石井輝男。当時、既に東映異常性愛路線のエログロ映画を大量生産していた石井監督だが、本作では久しぶりに『網走番外地』路線の正統派任侠アクション映画に挑戦している。
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…というか、ストーリーは基本的に『網走番外地 望郷篇』('65)の焼き直し。九州の長崎を舞台に、やくざ稼業から足を洗って堅気の事業に乗り出した一家と、彼らの縄張りを奪おうとする一家の抗争劇が主軸となる。渡瀬恒彦演じる主人公の名前も『網走番外地』シリーズと同じ真一だし、アラカンこと嵐寛寿郎演じる大正琴を弾く流しの老人の名前も「八人殺しの鬼寅」ときたもんだ。同シリーズのファンならニンマリとするネタがあちこちに散りばめられている。
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ただし、『望郷篇』で高倉健が演じた真一に当たるのは、ここでは伊吹吾郎扮する竜神一家の若者・詩郎であろう。本作の真一は、たまたま長崎を訪れた氏素性不明の流れ者。縁あって長崎に進出してきた黒岩組の用心棒となるものの、結局は彼らに縄張りを狙われる竜神一家に肩入れすることとなる。といっても、ラストの全面戦争で竜神一家側にちょっとばかり拳銃で加勢するだけ。それも、「あれ?手許が狂っちまったよ」とか言い訳しながら(笑)。まあ、基本的には狂言回し的なポジションの傍観者だ。
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タイトルの『殺し屋人別帳』とは、裏社会に出回っているという殺し屋紳士録のこと。そんなものが実在するのかどうかはさておき、映画の設定としてはけっこう美味しい。いくらでも応用が効くからだ。なので、続く『監獄人別帳』に設定が持ち越されなかったのは勿体ない。共通項は『網走番外地』ネタと主要キャストの顔ぶれだけだもんね。ていうか、そもそもあまり深いこと考えずにバンバン撮ってたんだろうな、当時の石井監督って。
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本作だって、よーく考えると脚本は結構いい加減。行き当たりばったりでご都合主義的な展開が少なくない。登場人物が多くて賑やかなのはいいのだけど、各キャラクターの描き込みは大雑把で浅い。ある意味、質より量ですな(笑)。ただし、どいつもこいつもインパクトだけは強烈。なんというか、マンガ的なんだよね。なので、キャラ設定も詳しい説明の必要がないくらい分かりやすい。やたらと血糊の量ばかり多いバイオレンス描写も含めて、ほぼノリと勢いだけで突っ走るような印象だ。
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でも、本作は多分それでいいのだと思う。だいたい、冒頭で黒岩に裏切られて殺された相棒・宇野木の断末魔のセリフが「そっかぁ~…と驚くタメゴロウ」だからね(笑)。そもそもふざけた映画なわけですよ。義理人情・復讐仇討ちのコッテコテなストーリーに、これまたベタな設定の登場人物をごっそりと大量投入し、大袈裟で大真面目な芝居をさせておきながら、平気で人を食ったようなギャグを散りばめる。ある意味、東映任侠映画のセルフ・パロディとも言えるだろう。
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というわけで、新人・渡瀬恒彦を取り囲むのは石井輝男作品の常連組を中心としたクセモノ俳優たち。中でも、竜神一家の若旦那・統一役の吉田輝雄は、渡瀬とどっちが主演なんだか分からないくらいの大活躍で、カッコいいところをガッツリさらっていく。悪玉・黒岩を演じる名優・田崎潤もさすがの貫禄だし、フランスかぶれの殺し屋モンマルトルの鉄を演じる佐藤充のニヒルなキザっぷりも秀逸。アラカンも中谷一郎も小池朝雄も荒木一郎も、それぞれにここぞという見せ場が用意されている。
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そんな中で一見すると分が悪いように思える渡瀬だが、しかしどことなくまだ少年の面影を残すヤンチャっぷりは新鮮で、既にもうスターとしてのカリスマ性は十分備えている。確かに、まだ演技にぎこちなさはあるものの、若さと活きの良さで経験不足をカバーしているという印象だ。
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一方、女優陣は全体的にちょっと弱いかな。ヒロイン的な役割を担うのは、松葉杖の少女ナオミ役の太田ナオミなのだけど、モデル出身ということで顔立ちは綺麗なんだけど演技は完全にド素人。黒岩組のヤンキー娘ミッチー役として、テレビCMの「Oh!モーレツ」で当時一世を風靡していた小川ローザが出ているものの、彼女もいわゆる客寄せパンダ以上でも以下でもない感じだ。石井監督の「異常性愛路線」映画に欠かせない賀川雪絵はゲスト出演的な扱い。竜神一家の統一を内助の功で支える女将さん役の藤田佳子は、しっとりとした雰囲気のいい女なのだけど、女優としての華に欠けることは否めない。まあ、やっぱり基本的に男の映画なんだよね。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:2/時間:93分/発売元:東映ビデオ
特典:予告編



by nakachan1045 | 2017-12-17 13:00 | 映画 | Comments(0)

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