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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」 The Chinese Boxer (1970)

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監督:ジミー・ウォング
製作:ラミー・ショウ
脚本:ジミー・ウォング
撮影:トン・シユヤン
編集:チアン・シンロン
音楽:ワン・フーリン
出演:ジミー・ウォング
   ロー・リエ
   ワン・ビン
   チャオ・ション
   ファン・ミエン
   チェン・レイ
   チェン・シン
   カン・ホア
   ワン・クアンユー
   ツァイ・ノー
香港映画/90分/カラー作品




<あらすじ>
中国の小さな町。師範リー・チュンハイ(ファン・ミエン)が国術を教える忠義武館に、世間の悪評高い柔道家タオ・アル(チャオ・ション)が道場破りのためやって来る。10年前にリー師匠に敗れた復讐だった。リー師匠の愛弟子レイ・ミン(ジミー・ウォング)やチャン・ターロン(チェン・レイ)が見守る中、またもやリー師匠に倒されてしまったタオは、「今度は空手家を連れてくる」と言い残して去っていく。
それから1カ月後、タオは沖縄から来た凶暴な空手家・北島(ロー・リエ)とその手下・田中(ワン・チュン)に石原(チェン・シン)を連れて町へ舞い戻る。そのことを知った忠義武館の若い門下生スン・トン(ワン・クアンユー)は、4人が密談をする料理店を偵察するものの、その場で彼らに殺されてしまう。
突然運ばれてきたスンの遺体に驚く忠義武館の面々。そこへ北島らを引き連れたタオが乗り込んで来る。怪物的な力を持つ北島によってリー師匠は惨殺され、若い門下生たちも大半が殺されてしまった。その結果、忠義武館は閉鎖されることに。町を牛耳ったタオと北島は、空手道場と賭博場を開いて荒稼ぎし、高利貸しをして庶民を苦しめる。
一方、大怪我を負いながらも生き残ったレイ・ミンは、リー師匠の愛娘で婚約者シャオリン(ワン・ピン)の手厚い介護で回復する。師匠や仲間の敵討ちをしたいが、しかし一人だけではとても勝ち目がない。愛するシャオリンのことも考えた彼は、このまま彼女と2人でひっそりと静かに暮らすことを選ぶ。
ところが、隣人の青年リン・ホン(ツァイ・ノー)が賭博場でイカサマの濡れ衣を着せられ捕らえられ、彼を救い出そうとした妻がタオに強姦されてしまう。夫婦は人生を悲観して自殺してしまった。もはや黙っておれなくなったレイ・ミンは、師匠の言葉を思い出して空手に対抗する技・鉄沙掌と軽功の鍛錬に励み、タオと北島一味を倒すことを決意する。
かくして、無敵の武道家へと成長したレイ・ミンは町で悪事を働くタオの部下たちを次々と倒していく。そこで、北島は日本から剣道の達人・鹿村(カン・ホア)と久米(ワン・チン)を呼び寄せる。町が緊張感に包まれる中、レイ・ミンは賭博場を襲撃してタオの部下100人を倒し、いよいよ雪山での決戦を迎える…。

武侠映画『片腕必殺剣』シリーズでスターダムにのし上がったジミー・ウォングの初監督作品。香港映画として初めて興行収入200万ドルを突破した本作は、それまで日本映画の影響を受けたチャンバラ主体の武侠映画が主流だった香港映画界において、マーシャル・アーツ=格闘技に重点を置いたカンフー映画の新たな潮流をもたらした。その後のブルース・リーやジャッキー・チェンの映画も本作があったからこそ。カンフー映画の原点と呼ばれる所以だ。

ストーリーの基本は中国拳法VS日本武道。日本から来た空手家一味に師匠や仲間を殺された主人公が、過酷な修行を積んだ末に復讐を果たす。同じくジミー・ウォングが監督・主演を務めた『片腕ドラゴン』('71)の原型であり、その後もたびたび香港カンフー映画でコピーされていくことになる設定だ。『片腕ドラゴン』に出てきた空手家・二谷太郎は牙が生えたバケモノという強烈過ぎるキャラだったが、本作の宿敵・北島はとりあえず見た目的にはわりと普通。とはいえ、保毛尾田保毛尾男みたいな青ひげ顔はどうかと思うし、飛びあがって屋根とか壁を突き破っちゃう怪力ぶりは十分にバケモノ級ではあるのだが(笑)。っていうか、それってもはや空手でもなんでもないよね。

そんな香港映画特有のやり過ぎ感もご愛敬な本作。役者陣のテンション高めな過剰演技も極めてマンガ的だ。ただ、意外なのはジミー・ウォング監督のダイナミックで洗練された演出である。画面の構図やカット割りなど細部まで巧みに計算されており、躍動感溢れる流麗なカメラワークも見事。芸術的レベルの高さはキン・フー監督にも全く引けを取らない。これは相当に勉強や研究を重ねたはずだ。また、ありえないほど大量の血糊を使ったバイオレンス描写は、当時の石井輝男作品をお手本にしたのではないかとも思われる。『徳川女刑罰史』('68)とか『やくざ刑罰史 私刑(リンチ)!』('69)とか。まあ、たまたま偶然似たようなことしてただけかもしれないけど。

とりあえず、中盤の見せ場である「100人斬り」ならぬ「100人殴り蹴り」シーンの大乱闘は圧巻の一言。立ち回りの見事な振り付けといい、スピード感満点の編集といい、さすが『キル・ビル』('03)でタランティーノが再現しただけのことはある。ラストの雪山での決闘もスタイリッシュでカッコいい。アクション演出のセンスの良さは抜群だ。

ただし、ジミー・ウォングのカンフー・アクション自体は相変わらず弱い。まだあどけなさの残る顔立ちは可愛いけど、なんというか、やっぱり全然強そうに見えないのだよね。上半身裸になった姿も、やけに貧弱と言うか、鍛え抜かれた感が全くないし(笑)。本作をアメリカの映画館で観たブルース・リーが、こんなのカンフーじゃない!と憤慨して香港映画復帰を決意したとも伝えられるが、なるほどそれでも納得。本物の格闘家であるブルース・リーとは実力のレベルが違い過ぎる。まあ、おかげでブルース・リーの諸作が生まれたと考えれば、十分すぎるくらいの役割は果たしたとも言えよう。そういう意味でも、一見の価値のある作品だ。

ちなみに、『片腕ドラゴン』では『黒いジャガー』のテーマ曲を無断使用していたジミー・ウォングだが、本作では007シリーズのサントラをこっそりと引用している。いや、こっそりじゃないか(笑)。

評価(5点満点):★★★★☆

参考ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:北京語/字幕:日本語/地域コード:ALL/時間:90分/発売元:ツイン/パラマウントジャパン
特典:オリジナルトレーラー/ニュートレーラー/海外版予告編素材



by nakachan1045 | 2017-12-20 06:37 | 映画 | Comments(0)

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