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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「I Eat Your Skin」 (1964)

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監督:デル・テニー
製作:デル・テニー
脚本:デル・テニー
撮影:フランソワ・ファルカス
編集:ラリー・キーティング
音楽:ロン・E・ノーマン
出演:ウィリアム・ジョイス
   ヘザー・ヒューイット
   ウォルター・コイ
   ダン・ステイプルトン
   ベティ・ハイアット・リントン
   ロバート・スタントン
アメリカ映画/92分/モノクロ作品





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<あらすじ>
プレイボーイの人気ミステリー作家トム・ハリス(ウィリアム・ジョイス)は、新作のギャラを前払いで受け取ったものの、滞在先のマイアミで女遊びにうつつを抜かすばかりで、一向に執筆が進まない。しびれを切らした出版者ダンカン(ダン・ステイプルトン)は、無理矢理トムをホテルから連れ出してジェット機に乗せる。
行き先はカリブ諸島の小さな島。通称ヴードゥー島と呼ばれるその島では、未だに住民たちが熱心にヴードゥー教を信仰しており、物騒な噂も絶えない。邪悪な教祖によって人身御供の儀式が行われ、生ける屍=ゾンビが生み出されているというのだ。ここならば、さすがのトムも遊びかまけることもないだろうし、新作のアイディアやヒントにも事欠かないだろう。ダンカンはそう考えたのである。
かくして、ジェット機でヴードゥー島へと向かったトムとダンカン、そしてダンカンのお気楽な愛妻コーラル(ベティ・ハイアット・リントン)。島では所有者の大富豪チャールズ・ベントリー(ウォルター・コイ)が彼らを待っていた。
ところが、ジェット機の故障で一行は島の砂浜へ不時着。助けを求めてジャングルに分け入ったトムは、そこで不気味なゾンビに襲われる。逃げる途中でベントリーに救われた彼は、ゾンビの存在を問いただすものの、ベントリーは原住民の不満分子が暴れたに違いないと一笑に付す。
ベントリーの案内で彼の豪邸に招き入れられたトムたち。そこでトムは、若く美しい女性ジャニーン(ヘザー・ヒューイット)と知り合い一目惚れする。ジャニーンはベントリーのもとでガン治療の研究を行っているビラドゥー博士(ダン・ステイプルトン)の娘だった。
新作の執筆を始めつつも、ジャニーンと急接近していくトム。だが、そんな彼らにヴードゥー教を信仰する原住民の魔手が迫る。ゾンビを使ってジャニーンを誘拐しようとする教団。その目的を探るトムやダンカンは、やがて島に隠された恐ろしい秘密を知る。実は、ゾンビを生み出していたのは他でもないビラドゥー博士だったのだ。
教祖に逆らう住民たちに、ヘビの猛毒から作った特殊な薬を投与してゾンビに変えてしまう博士。その背後には教団や博士を裏で操る謎の人物の存在があった…。
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'60年代半ばに突如として現れ、あっという間に消えたZ級ホラー映画監督デル・テニーの迷作である。折からのドライブイン・シアター・ブームやハリウッドのスタジオ・システムの崩壊、さらには観客層の低年齢化なども手伝って、'50~'60年代にかけてのアメリカでは、それまで一般の配給網には乗りづらかったインディペンデントの低予算娯楽映画の需要が高まっていた。その最たるものがアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ、通称AIPであろう。一連のエドガー・アラン・ポー物などで次々とヒットを飛ばすAIPの勢いに便乗する形で、有象無象の独立系スタジオや自主制作作家たちが、B級~C級~Z級のホラー映画、モンスター映画、アクション映画、SF映画などを、主に若年層の観客をターゲットにして送り出した。デル・テニー監督もその1人だったのである。
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もともとはハリウッドの売れない役者だったテニー監督。まるで芽が出ないことからニューヨークへ活路を求め、レストランのウェイターから私立探偵まで様々なバイトをしながら舞台に立つも、やっぱり全く売れないので制作側へ転向する。アングラのエロ映画で助監督を務めて経験を積んだ彼は、ヒッチコックの『サイコ』('60)に影響された自主制作映画『Violent Midnight』('63)でノークレジットながらも監督デビュー。続くモンスター映画『The Horror of Party Beach』('64)とゴシック・ホラー映画『The Curse of the Living Corpse』('64)の2本立ては、なんと20世紀フォックスの配給で全米公開された。そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの時期に作られたのが、この『I Eat Your Skin』だったというわけだ。
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もともとは『Zombie』というタイトルで、'64年にマイアミ近郊の町キー・ビスケインで撮影された本作。ところが、そのまま劇場公開されることなくお蔵入りとなってしまい、デル・テニー監督も30年以上に渡って映画製作の第一線から姿を消してしまう。ようやく陽の目を見たのは'70年のこと。エクスプロイテーション映画の名物ディストリビューター、ジェリー・グロスが、自ら製作を手掛けたホラー映画『処刑軍団ザップ』('70)の同時上映作品を探していたところ、埋もれたままだった本作を発掘して配給権を手に入れたのだ。それにしても、なぜ6年間に渡ってお蔵入りしていたのか。それは本編を見ればなんとなく想像がつくだろう。
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というのも、とにかく出来栄えがショボいのである(笑)。なにより、肝心要の売りであるゾンビの特殊メイクがひどい。手抜き仕事にもほどがあるだろ!と普通なら突っ込みたくなるレベルだ。とはいえ、例えば『惑星アドベンチャー』('53)のモグラ・エイリアンなどもそうだが、負けず劣らずチープなメイクは他にも少なからず存在するので、この手のクズ映画を見慣れたコアなマニアであれば、さほど目くじらを立てるほどのこともないのでは…?と思えるかもしれないけど。それに、よく見るとなんだか愛嬌があるし、でたらめな分だけインパクトもあるしね。これはこれで意外と憎めません。
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ストーリーは基本的にH・G・ウェルズの小説『モロー博士の島』のパクリ。そこにスパイ映画風の諜報サスペンスやプールサイドの水着美女、お洒落なカクテルにエキゾチックなラウンジ・ミュージックと、撮影当時の『007』ブームを明らかに意識した要素を盛り込み、能天気でゆるーいお気楽なエンターテインメント作品に仕上げている。そもそも、主人公のスーツに身を包んだ女好きでダンディなイケメン作家トムだって、イメージ的にはまるっきりジェームズ・ボンドみたいだしね。なので、一応はホラー映画であるにも関わらず、恐怖度は限りなくゼロに近い。なんだかとても中途半端な印象だ。
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かといって、全くつまらないわけじゃないんだよね。'60年代半ばのジェットセットなマイアミの雰囲気は魅力的だし、粋なユーモアを散りばめたコメディ・タッチも悪くない。レス・バクスター風のエキゾチカ音楽に乗せた原住民のダンス・シーンも、高級ナイトクラブのショータイムみたいで楽しい。まあ、これを見せられた'70年当時の観客は面食らっただろうけど。明らかにリアルタイムじゃないもんね。それに、同時上映作品『処刑軍団ザップ』の原題「 I Drink Your Blood」に因んで付けられた「I Eat Your Skin」というタイトルも羊頭狗肉。誰も人間の皮なんて喰いませんから。
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主演のウィリアム・ジョイスは主にテレビの西部劇ドラマで活躍したB級俳優。ウォーレン・ビーティ主演の『パララックス・ビュー』('74)では、冒頭で暗殺される大統領候補の上院議員を演じていた。ヴードゥー島の所有者ベントリー役のウォルター・コイも、『法律なき町』('56)や『捜索者』('56)などに出ていた西部劇俳優。ヒロインのジャニーンを演じているヘザー・ヒューイットは、ミス・アメリカ1957年大会のバーモント州代表だったらしい。
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なお、その後デル・テニーはウィリアム・カット監督の青春映画『エスケープ・フロム・タウン/どこか遠くへ』('99)のプロデューサーとして復活し、『キャサリン・ハイグルの血まみれのドレス』('03)で39年ぶりに監督を手掛けている。
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評価(5点満点):★★☆☆☆
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参考DVD情報(アメリカ盤)※スペイン映画『The Swamp of the Ravens』とカップリング
モノクロ/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:92分/発売元:VCI Entertainment
特典:なし



by nakachan1045 | 2018-01-06 01:35 | 映画 | Comments(0)

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