なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

「ブラニガン」 Brannigan (1975)

f0367483_16531814.jpg
監督:ダグラス・ヒコックス
製作:アーサー・ガードナー
   ジュールズ・レヴィ
製作総指揮:マイケル・ウェイン
原案:クリストファー・トランボ
   マイケル・バトラー
脚本:クリストファー・トランボ
   マイケル・バトラー
   ウィリアム・P・マクギヴァーン
   ウィリアム・ノートン
撮影:ジェリー・フィッシャー
音楽:ドミニク・フロンティア
出演:ジョン・ウェイン
   リチャード・アッテンボロー
   ジュディ・ギーソン
   メル・フェラー
   ジョン・ヴァーノン
   ダニエル・ピロン
   ラルフ・ミーカー
   ジョン・ストライド
   ジェームズ・ブース
   レスリー・アン・ダウン
   キャスリン・リー・スコット
アメリカ・イギリス合作/112分/カラー作品




<あらすじ>
シカゴ警察のはみ出し刑事ブラニガン警部補(ジョン・ウェイン)は、大物マフィアのベン・ラーキン(ジョン・ヴァーノン)を追っていたが、あと一歩のところで取り逃がしてしまう。上司モレッティ警部(ラルフ・ミーカー)からラーキンがイギリスへ逃亡し、ロンドン警察に身柄を拘束されたことを知らされた彼は、犯罪人引渡のため一路ロンドンへ向かうこととなった。
一方、ロンドンにいるラーキンは警察の監視下に置かれつつも、側近の弁護士フィールズ(メル・フェラー)やボディガードを従えて、優雅なセレブ生活を満喫している。今日も行きつけの高級ホテルのサウナでマッサージを受けていたのだが、そこに突如現れた2人組の男によって拉致されてしまう。
その頃、ロンドンのヒースロー空港にブラニガン警部補が到着。お目付け役の女性警官ジェニファー(ジュディ・ギーソン)の案内で市内の紳士クラブへ向かった彼は、スコットランドヤードの警視監スワン卿(リチャード・アッテンボロー)の歓待を受けるが、そこにラーキン誘拐の一報がもたらされた。
誘拐犯グループの要求通り、5つの封筒に古い紙幣を5万ポンドづつ用意したフィールズ弁護士。それを11時35分きっかりに、ピカデリーサーカスの郵便ポストへ投函しろというのだ。フィールズ弁護士の通報を受けた警察は、郵便物の配達経路をマークして犯人にたどり着こうとするものの、実は郵便ポストに細工が施されており、まんまと身代金を奪われてしまった。
ひとまず滞在先のアパートへ戻ったブラニガン警部補だったが、何者かによって部屋に罠が仕掛けられていた。実は、ラーキンに雇われた凄腕の暗殺者ゴーマン(ダニエル・ピロン)が彼を狙っていたのだ。仕方なく彼はジェニファーの自宅近隣のアパートへ移ることとなるのだが、そこもまたゴーマンに嗅ぎつけられ、あやうくジェニファーが巻き添えの犠牲になるところだった。
一方、ロンドン警察には切り落とされたラーキンの指が送られてくる。その上で、犯人グループはさらに35万ポンドの身代金を要求してきた。警察に通報した罰だというのだ。ブラニガン警部補とスワン卿が共同で捜査を進めた結果、犯人グループの一人がチャーリー・ケイン(ジェームズ・ブース)であることを突き止める。さらに、弁護士を務める息子からある情報を入手したブラニガン警部補は、事件の真相を暴くためにある秘策を思いつく…。

アメリカの国民的西部劇スター、ジョン・ウェインが、『マックQ』('74)に続いて挑んだ刑事アクション。前作はクリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』('71)に影響を受けた部分が多かったわけだが、今回のストーリーは同じくイーストウッドが主演した『マンハッタン無宿』('68)を彷彿とさせる。

主人公はシカゴの名物ベテラン刑事ブラニガン。宿敵であるマフィアのボス、ラーキンの身柄を引き受けるためロンドンへやって来た彼が、現地でのカルチャーギャップに面喰いながらも、「あんたらには悪いが俺はアメリカ流でやらせて頂くぜ!」とばかりにリボルバー片手に大暴れする。大都会ニューヨークへ殺人犯の身柄を引き受けに来た、田舎の一匹狼保安官を描く『マンハッタン無宿』と基本設定はほぼ同じだ。ただし、イーストウッド演じるクーガンが殺人犯を護送中に逃げられてしまうのと違い、こちらは謎の誘拐犯グループによってラーキンを拉致されてしまう。スコットランドヤードの協力を得ながら、いかにしてラーキンの身柄を確保してアメリカへ連れ戻すのか?という点が見どころだ。

加えて、ラーキンの差し向けた殺し屋の影もブラニガンに忍び寄る。こいつが狙った獲物は決して逃がさないという凄腕。演じるカナダ人俳優ダニエル・ピロンのクールな佇まいがカッコ良く、黒のジャガーを乗り回す姿もサマになっている。タクシーを奪ったブラニガンとロンドン市内で繰り広げるカーチェイスは中盤のハイライト。ロンドン名物タワーブリッジ(当時はまだ今のようにペンキで色付けされていない)でロケされたクラッシュ・シーンも見ものだ。

また、主人公ブラニガンと現地警察とのカルチャーギャップもユーモラスで面白い。中でも、いかにも上流階級の英国貴族然としたスワン卿とのやり取りは大きな見どころ。西部の荒くれ男そのもののブラニガンとは水と油なのだが、そんなブラニガンの暴れん坊ぶりに頭を悩ませつつも、実は意外と面白がっていたりするスワン卿。ブラニガンを参考人ドレクセルに近づけるため、パブでわざと乱闘騒ぎを引き起こすわけだが、一番ノリノリで楽しんでいるのがスワン卿だったりする(笑)。このなんとも憎めないチャーミングな英国紳士を演じているのが名優リチャード・アッテンボロー。杓子定規な官僚主義者のように見えて、実は人一倍熱くて人間臭い男というのは、名作『バタシの鬼軍曹』('64)のイメージそのままだと言えよう。

ちなみに、ロンドンへ到着したブラニガンがスワン卿と初めて会うのは、実在する伝統的な紳士クラブ「ギャリック・クラブ」。本来イギリスの紳士クラブというのは極めて閉鎖的で、映画のロケ撮影に使用を許可することなどあり得ないのだが、本作の場合はリチャード・アッテンボローが同クラブのベテラン会員であったことから特別に許可が下りたのだとか。そのほか、先述したような改装される前のタワーブリッジ、同じく改装される前のトラファルガー広場郵便局など、古き良きロンドンの街並みを楽しめるのも魅力の一つだ。

さらに、ブラニガンと女性警官ジェニファーの、まるで父親と娘といった感じの疑似親子的な名コンビぶりも微笑ましい。というか、不自然な年の差ロマンスみたいにしなかったことは大正解。ジェニファーを演じるジュディ・ギーソンがまた抜群にキュートなんだよね。この頃までが、いわば彼女にとっての全盛期。その後徐々に失速してしまい、『悪魔の受胎』('81)みたいなC級映画に出るようになってしまう。

そんなこんなで見どころは結構あるのだけれど、肝心の脚本がいまひとつといったところ。誘拐犯グループと警察の駆け引きはダラダラとして面白みに欠けるし、捜査も形ばかりで事件解決に何ら役立たないまま尻つぼみだし、最後に明かされる事件のからくりも「わざわざそこまでする意味あるか?」といった感じだし。どうにも行き当たりばったり感が否めないのだ。アクション映画の名匠ダグラス・ヒコックスの無駄を削ぎ落したスリリングな演出は悪くないし、ドミニク・フロンティアによるタイトでファンキーな音楽スコアもすこぶるカッコいいだけに惜しまれる。

なお、宿敵ラーキン役には『ダーティハリー』でサンフランシスコ市長を演じたジョン・ヴァーノン。これって、やっぱり意識しているんですかね(笑)?あと、この時期イタリアへの出稼ぎでB級ホラーに出ることの多かったメル・フェラーが、悪徳弁護士フィールズ役として久しぶりにメジャー映画の仕事をしているのも興味深い。そのほか、まだ売れっ子になる前の美人女優レスリー・アン・ダウンが娼婦ルアナ役、ノワール映画で有名な往年のタフガイ俳優ラルフ・ミーカーがシカゴ警察のモレッティ警部役、伝説のテレビシリーズ『Dark Shadows』('66~'71)のマギー役などで知られるキャスリン・リー・スコットがブリティッシュ航空のCA役で顔を出している。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:112分/発売元:Kino Lorber/MGM/20th Century Fox
特典:映像作家スティーヴ・ミッチェルと映画史家ナサニエル・トンプソンによる音声解説/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-02-05 01:08 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

すいません!その通りです..
by nakachan1045 at 13:12
直人の子分に曽根晴美とあ..
by Django at 02:25
いまみると、北斗の拳のバ..
by ドゴラ at 14:14
昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「細雪」 The Makio..
at 2018-09-18 21:20
「離愁」 Tomorrow ..
at 2018-09-17 10:53
「ビッグ・ボス」 Capon..
at 2018-09-16 09:11
「悪魔の密室」 De Lif..
at 2018-09-13 07:16
「超人アーゴマン」 Come..
at 2018-09-10 13:21

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター