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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「モンスター・ドッグ」 Monster Dog (1985)

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監督:クライド・アンダーソン(クラウディオ・フラガッソ)
製作:カルロス・アウレド
製作総指揮:ヘレン・サールイ
      エドゥアルド・サールイ
脚本:クライド・アンダーソン(クラウディオ・フラガッソ)
   ロッセラ・ドゥルディ
撮影:ホセ・ガルシア・ガリステオ
特殊効果:カルロス・デ・マルキス
音楽:フルーポ・ディチョトミー
挿入歌:アリス・クーパー
出演:アリス・クーパー
   ヴィクトリア・ヴェラ
   カルロス・サントゥリオ
   ペピータ・ジェームス
   エミリオ・リンデル
   ホセ・サルサ(ペパ・サルサ)
   チャーリー・ブラヴォ
   B・バルタ・バリ(バルタ・バリ)
   リカルド・パラシオス
イタリア・スペイン合作/84分/カラー作品




<あらすじ>
人気ロックスター、ヴィンス・レイヴン(アリス・クーパー)は、最新のミュージックビデオを撮影するため、スタッフを連れて生まれ故郷の田舎町へと車を走らせる。実家に戻るのは20年ぶり。メンバーはヴィンスの恋人でビデオ監督のサンドラ(ヴィクトリア・ヴェラ)、カメラマンのジョーダン(エミリオ・リンデル)、メイク担当のマリルー(ペパ・サルサ)、雑用係のフランク(カルロス・サントゥリオ)、そしてモデルのアンジェラ(ペピータ・ジェームス)の5人だ。
その頃、雪に覆われたヴィンスの実家では管理人ジョスが、一行を出迎える準備をしていたが、屋敷を取り囲む野犬の集団に襲われて殺される。一方、吹雪の中を車で進むヴィンスの一行。いよいよ故郷へと近づいたところ、地元のモリソン保安官(リカルド・パラシオス)と助手が検問所を設けていた。保安官によると、「再び犬の群れが人間を襲い始めた」という。どうやら20年前にも同様の事件があった模様。訝しげな表情を浮かべるサンドラたちだったが、ヴィンスもモリソン保安官も言葉を濁す。
検問所をパスしたヴィンスたちだったが、その直後に保安官と助手が巨大なモンスター・ドッグに襲われ殺される。さらに、ヴィンスの車が飛び出してきた野犬をひき殺してしまう。すると、血だらけの怪しげな老人(バルタ・バリ)が物陰から現れ、ヴィンス以外の全員が殺されるだろうと警告して姿を消す。その後を追ったヴィンスとサンドラは、茂みの中で動くモンスター・ドッグを目撃する。
逃げるようにしてヴィンスの実家へと到着した一行。しかし、管理人ジョスの姿が見えない。一行は冷蔵庫に用意されていたサンドイッチを頬張り、そのまま疲れた体を休めることにする。その晩、アンジェラは狼人間になったヴィンスに襲われるという悪夢を見る。悲鳴を上げて飛び起きたアンジェラだが、その話を聞いた仲間たちは苦笑い。しかし、ヴィンスだけは神妙な面持ちだった。
というのも、20年前に野犬の群れが近隣住民を襲撃した際、ヴィンスの父親が犯人として怒り狂った地元自警団に殺されたのだが、目撃者の証言によるとヴィンスの父親は狼人間だったというのだ。その話を初めて聞かされたサンドラは、狼人間なんて愚かな迷信だと言ってヴィンスを慰める。
その翌日、ミュージックビデオの撮影中にジョスの死体が発見され、パニックに陥ったアンジェラが雪深い森へと逃げ出してしまう。その後を追って連れ戻そうとするヴィンス。すると、そこへ町の自警団がやって来てスタッフを人質にする。彼らはヴィンスもまた父親と同じ狼人間だと信じていた。犬たちは狼人間に操られている。つまり野犬の襲撃は彼のせいだというのだ。
ヴィンスを血祭りにあげようと待ち構える自警団。やがて戻ってきたヴィンスとの銃撃戦が始まり、どこからともなく野犬の大軍団が集まってくる。その中には巨大なモンスター・ドッグの姿もあった…。

イタリアの誇る(?)悪名高きC級ゴミクズ映画監督ブルーノ・マッテイ(akaヴィンセント・ドーン)の愛弟子、クラウディオ・フラガッソ(akaクライド・アンダーソン)の手掛けたモンスター・パニック映画である。師匠がC級なら弟子もまたC級。巨根ゲイポルノ男優ジェフ・ストライカー主演の『ゾンビ4』('88)はまだマシな方で、『トロル2』('90)なんぞはあまりにも出来がクソ過ぎて、逆に珍品カルト映画と化してしまったわけだが、そういう意味で本作は凡庸というか、フツーに出来損ないのC級ホラーに仕上がっている。

とりあえず、最大の売りはハードロック界の大御所アリス・クーパーが主演を務めていること。というか、そもそもそれ以外に見どころなど殆どない。肝心のモンスター・ドッグは最後までハッキリと画面に映らないし、『ハウリング』('82)を参考にしたであろうトランスフォーメーションの特殊メイクも思わず苦笑いするような酷さ。『スラッグス』('88)や『ザ・リフト』('90)のカルロ・デマルキスがSFXを担当しているものの、巨匠カルロ・ランバルディの右腕としてあるまじきショボさである。

フラガッソ監督によれば、クリーチャー・デザインはもともとアントネッロ・ゲレングが素晴らしいアイディアを出しており、そのデザイン案をロケ地スペイン在住のイタリア人、デ・マルキスに託したのだが、まるで似ても似つかない代物が出来上がってしまったのだとか。デ・マルキスは本人の言うほど才能がない、と一刀両断するフラガッソ監督だが、そのほかのデ・マルキスの仕事と見比べてみると、むしろ本作の予算条件なり制作環境なりが相当悪かったんじゃないか?と思えてくる。

ただ、製作費自体は意外と潤沢だったようだ。本作の企画立案者は、アメリカのB級映画会社トランス・ワールド・エンターテインメントの社長だったエドゥアルド・サールイ。ちょうど師匠マッテイと共同で『ラッツ』('83)を監督したフラガッソに、「ネズミが撮れるんだったら犬も撮れるだろう?」と声をかけてきたのだとか(笑)。で、このサーレイという人物、イタリアとオランダとアメリカを拠点に手広くビジネスを展開していたらしく、実は銀行のオーナーでもあったのだそうだ。

なので、お金はたんまり持っている。実際、本作を製作するにあたってロケ地のスペインで新たに会社を設立し、デラン・サラフィアン監督の処女作『エイリアン・プレデター』('86)と2本同時に撮影を行ったらしい。フラガッソは映画監督の先輩としてサラフィアンにいろいろとアドバイスをしたと豪語しているのだが、なるほど、だからあんな酷い映画になっちゃったのね、と違う意味で大いに納得(笑)。それと、なぜサラフィアンが『サンゲリア2』('88)に出ていたのか長いこと疑問だったのだが、本作の撮影舞台裏でフラガッソと知り合っていたからなのだということが分かってスッキリした。そう考えると、よくぞ『ブルージーン・コップ』('90)や『ターミナル・ベロシティ』('94)を撮るまでに成長したもんだと感心させられる。

で、アリス・クーパーを引っ張て来たのもエドゥアルド・サーレイ。フラガッソ監督にとってはサーレイ様様といったところだろうか。冒頭ではクーパーの楽曲に合わせたミュージック・ビデオを挿入しているのだが、ジェームズ・ボンドやジェシー・ジェームズ、シャーロック・ホームズに扮したクーパーの七変化…じゃなくて三変化が見どころとなっている。「ミュージック・ビデオをこういう形で映画に使ったのは、これが初めてだったんじゃないかな」と再び自慢げに豪語するフラガッソ監督だが、どうやらブライアン・デ・パルマ監督の『ボディダブル』('84)をご存じないらしい。誰かちゃんと教えてあげないと、またどこかで同じような自慢をして赤っ恥かくぞ。

それはそうと、アリス・クーパーが演じるのは自身をモデルにしたような人気ロックシンガー、ヴィンス。新曲のプロモーションビデオを撮るため、忌まわしい記憶の残る故郷へスタッフを連れて20年ぶりに戻ったところ、巨大なモンスター・ドッグの率いる狂犬軍団に襲われることとなる。さらには、アメリカの田舎にゴロゴロしていそうなレイシストのレッドネックたちも暴力集団と化して参戦。激しい殺し合いが始まるわけだけど、ストーリーの交通整理がいい加減なので、スリルもサスペンスも盛り上がらない。まあ、フラガッソ監督作品としては通常営業といった感じだけど。

狼と犬の区別もいまいちついていないため、ラストの種明かしもにわかには納得できず。あと、アメリカが舞台なのにスペインにしか見えないのは仕方ないにしても、いくら低予算のミュージックビデオとはいえ、監督以外の現場スタッフが3人だけというのは物理的に無理があるだろう。実際、劇中で行われるビデオ撮影の光景を見ていると、絶対にあともう1~2人はスタッフがいるよね、としか思えないのだが、一体どうなっているのやら(笑)。

そんなわけで、出来損ないのC級ホラーでもそれなりに楽しめちゃう心の広いホラー映画マニアか、もしくは熱狂的(ここが大事)なアリス・クーパー・ファンでない限りはおススメしづらい代物。ちなみに、フラガッソ監督がインタビューで語った自慢話を最後にもう一つ。「当時はちょっとイカレていた」というフラガッソ監督は、撮影の本番でしくじったスチル・カメラマンにいたく腹を立て、実弾入りのライフル銃を天井に向けてバンバン撃ちながら、怯えるスチル・カメラマンを追いかけ回したのだそうだ。もちろん現場はパニックになったとのこと。「昔はストレス発散のため撮影現場でショットガンを撃ちまくったもんさ」って、それ「ちょっとイカレていた」どころの話じゃないと思うんですが。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Aduio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:84分/発売元:Scorpion Releasing/Kino Lorbe/20th Century Fox
特典:メイキングドキュメンタリー「Lord of the Dogs」(約43分)/オリジナル劇場予告編集(3種類)/スチル・ギャラリー



by nakachan1045 | 2018-02-16 11:22 | 映画 | Comments(0)

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