なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
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「The Monster Club」 (1981)

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監督:ロイ・ウォード・ベイカー
製作:ミルトン・サボツキー
原作:R・チェットウッド・ヘイズ
脚本:エドワード・エイブラハム
   ヴァレリー・エイブラハム
撮影:ピーター・ジェサップ
美術デザイン:ピーター・カーティス
主題歌:B・A・ロバートソン
出演:ヴィンセント・プライス
   ドナルド・プレザンス
   ジョン・キャラダイン
   スチュアート・ホイットマン
   リチャード・ジョンソン
   バーバラ・ケラーマン
   ブリット・エクランド
   サイモン・ワード
   アンソニー・ヴァレンタイン
   パトリック・マギー
特別出演:アンソニー・スティール
イギリス映画/98分/カラー作品




<あらすじ>
夜道を歩いていた人気ホラー小説家R・チェットウィンド=ヘイズ(ジョン・キャラダイン)は、腹をすかせたヴァンパイア、エラムス(ヴィンセントイ・プライス)に血を吸われる。空腹を満たしたエラムスは、御礼の印として妖怪御用達の会員制ナイトクラブ「モンスター・クラブ」へチェットウィン=ヘイズを招待することに。そこには、あらゆる種類のモンスターたちが集まり、音楽にダンス、酒に食事を楽しんでいる。チェットウィン=ヘイズの大ファンだというエラムスは、とっておきの妖怪話を語り始めた。
「第1話」
恋人ジョージ(サイモン・ワード)が怠け者で働かないため、仕事を探していた女性アンジェラ(バーバラ・ケラーマン)は、とある大豪邸にたった一人で暮らす裕福な男性レイヴン(ジェームズ・ローレンソン)の秘書となる。見るからに不気味なレイヴンの容姿にショックを受け、一度は辞めようとしたアンジェラ。しかし、ジョージにけしかけられ屋敷へ戻る。というのも、2人は金目の物を探して盗もうと計画していたのだ。
醜い容姿とは裏腹に心優しいレイヴン。やがてアンジェラは彼に同情するようになり、盗みをためらい始める。それでもジョージにプレッシャーをかけられ、レイヴンからの求婚を受け入れるふりをして金庫の暗証番号を探り、婚約パーティを抜け出して盗みを謀るアンジェラ。だが、その現場をレイヴンに見つかってしまう。実は彼、吸血鬼や狼人間の血を引くハイブリッド・モンスター、シャドモックだった…。
「第2話」
自らの少年時代を映画化した吸血鬼の映画製作者リントム・ブソツキー(アンソニー・スティール)。幼少期のリントム(ウォーレン・サイア)は虚弱体質で、学校ではいじめられっ子だった。昼間ずっと地下室で眠っている父親(リチャード・ジョンソン)は、夜になるとどこかへ出かけてしまい、一緒に過ごす時間が殆どない。リントムは寂しさを募らせていた。
そんなある日、母親(ブリット・エクランド)が買い物に行っている間、そっと地下室に忍び込んだリントムは、棺桶の中で眠る父親を発見する。そう、父親の正体は吸血鬼だったのだ。そこへ、ピッカリング(ドナルド・プレザンス)率いる吸血鬼ハンターの一味が現れ、父親を退治しようとするのだが…。
「第3話」
新作ホラー映画のロケ地を探していた映画監督サム(スチュアート・ホイットマン)は、辺り一面を霧に包まれた怪しげな村、ラフヴィルに迷い込む。宿屋の主人(パトリック・マギー)に一泊していくことを勧められ、部屋へ通されたサム。村人たちの古めかしい服装に疑問を持った彼は、宿屋の娘ルナ(レスリー・ダンラップ)にそのことを尋ねると、村人は村の外へ出ることが出来ないため、土から掘り起こした「箱」の中から服や食料を得ているのだという。よく見ると、村の墓場は荒らされ放題だった。
村人が自分を「食事」にするつもりだと気付いたサムは、ルナに言われるがまま廃墟となった教会に避難する。聖なる場所に村人は入れないのだ。そこで牧師の古い日記を発見した彼は、かつて村に紛れ込んだ人喰い妖怪グールを牧師が助けたばかりに、押し寄せたグールの集団によって村が侵略されたことを知る。現在の村人たちは、人間とグールのハイブリッドだったのだ…。

アミカス・プロの元社長ミルトン・サボツキーがプロデュースを手掛けたアンソロジー・ホラーである。アンソロジー・ホラーとは、分かりやすく言うならばオムニバス・ホラーのこと。列車に乗り合わせた人たちがお互いに恐ろしい体験談を語る、お化け屋敷を訪れた人々に司会者が怪談を紹介するなど、フレームとなるシチュエーションの中で複数の短編ストーリーを描くというのが基本パターン。そんなアンソロジー形式のホラー映画で一時代を築いたのが、イギリスの映画会社アミカス・プロダクションだった。

一時期は、ブリティッシュ・ホラーの殿堂ハマー・フィルムの最大のライバルとも呼ばれたアミカス。アメリカ人の製作者コンビ、ミルトン・サボツキーとマックス・ローゼンバーグによって、'62年に創設された同社は、アンソロジー・ホラー映画の古典『夢の中の恐怖』('45)にインスパイアされた『テラー博士の恐怖』('64)の大ヒットで注目され、以降も『残酷の沼』('67)や『ブラッド・ゾーン』('70)、『魔界からの招待状』('72)など、数々の名作アンソロジー・ホラーを生み出した。しかし、多額の負債を抱えて'77年に倒産。ローゼンバーグと袂を分かったサボツキーは、カナダへ拠点を移して引き続きホラー映画の製作を続けた。

そんなサボツキーが、久々に古巣のイギリスで製作した本作。彼はアミカス倒産後も、カナダで『地獄のキャッツ・アイ/呪いの爪』('77)、アメリカでスティーブン・キング原作の『キャッツ・アイ』('84)と、2本のアンソロジー・ホラー映画を作っているが、本作では『アサイラム/狂人病棟』('72)や『墓場にて/魔界への招待・そこは地獄の始発駅』('73)など、アミカス製作のアンソロジー・ホラーを手掛けたベテラン監督ロイ・ウォード・ベイカーを起用している。アミカスの夢よ今一度…といった感じだったのだろうか。

各短編エピソードの原作はイギリスの有名なホラー作家、R・チェットウィン=ヘイズ。彼の短編小説はアミカス時代のアンソロジー作『墓場にて』('74)のほか、アメリカのテレビシリーズ『四次元への招待状』('69~'73)や『ナイトビジョン』('01~'02)でも取り上げられている。本作は名優ジョン・キャラダイン演じるチェットウィン=ヘイズが、ホラーの帝王ヴィンセント・プライス扮するヴァンパイアと遭遇し、妖怪たちが夜な夜な集ってパーティを繰り広げる会員制ナイトクラブ「モンスター・クラブ」に招待されるというユニークな設定。そこで彼は、大ファンだというヴァンパイアから新作小説のネタにということで、妖怪にまつわる3つの物語を教えてもらうことになるのだ。

第1話に登場する妖怪は、ヴァンパイアや狼人間などが異種交配を重ねた末に生まれたシャドモック。普段は大人しくて人間に危害など加えないが、しかし一旦彼らを怒らせると大変だ。シャドモックの武器は口笛。彼らの吹く口笛は、対象相手を燃やしてしまう力があるのだ。で、何も知らない男女カップルがシャドモックから盗みを働こうとしたところ、とんでもないしっぺ返しを食らうことになってしまう。

続く第2話は、人間社会で暮らすヴァンパイアのお話。製作者ミルトン・サボツキーの名前をアナグラム化した、リントム・ブソツキーなる映画プロデューサーが、自らの少年時代を再現した短編映画という設定だ。ヴァンパイアの父親と人間の母親の間に生まれたリントム少年は、父親の正体を知らないまま育っている。昼間はずっと地下室で寝ていて、夜になるとどこかへ出かけていく父親。親子のコミュニケーションは少ない。寂しさを募らせるリントム少年の前に、吸血鬼ハンターの集団が現れたことから、彼はようやく父親がヴァンパイアであることを知ることとなる。

そして第3話に出てくる妖怪がグール。日本語で言うと「餓鬼」が相応しいだろうか。墓を荒らして人間の死体を喰らうハイエナのようなモンスターだ。で、新作のロケ地を探すホラー映画監督が、濃い霧で外界から遮断された小さな村へ迷い込んだところ、そこは人間と交配した新種グールたちの棲み処だった。自分が彼らの「食事」にされると気付いた監督は、人間界に憧れる無垢な少女の手助けで脱出を図る。サボツキーがアミカス時代に製作した『死霊の町』('60)にちょっと似た話だ。

全体的な印象としては、ファミリー層向けのマイルドなホラー・コメディといったところ。実際、主演のヴィンセント・プライスも、劇場公開当時にイギリスのデイリー・メイル紙に掲載されたインタビューで「子供向けの楽しい映画」と述べている。「モンスター・クラブ」に集う妖怪たちだって、ゴム製のチープなモンスター・マスクを頭に被っただけで、ほとんどハロウィンの仮装パーティと変わらない感じ。なんというか、子供向けバラエティ番組のハロウィン企画みたいなものだ。

各短編エピソードも恐怖指数はかなり低い。まあ、とりあえず第3話だけはわりと本格的なホラー・ストーリーに仕上がっており、ラヴクラフト的なおどろおどろしい雰囲気も悪くないと思うのだが、しかし怖いかというと微妙なところ。不気味ではあっても怖くはない。いずれにせよ、このポップでライトなノリにガッカリするホラー映画ファンは少なくないかもしれない。

監督のロイ・ウォード・ベイカーは、もともとハリウッドでマリリン・モンロー主演の『ノックは無用』('55)を撮ったり、イギリスに戻ってスペクタクル大作『SOSタイタニック/忘れえぬ夜』('58)なんかを撮っていた人なのだが、'60年代半ばからハマー・フィルムでSFやホラーなどのジャンル系映画を専門にするようになった。『火星人大襲撃』('67)や『ヴァンパイア・ラヴァーズ』('71)、『ジキル博士とハイド嬢』('71)といった秀作を残している。ただ、テレンス・フィッシャーやジョン・ギリングのように確固たるスタイルや美学があるわけではなく、良くも悪くも職人肌の映画監督であったことも否定できない。

もともと本作はヴィンセント・プライスやジョン・キャラダイン、ドナルド・プレザンスのほかに、クリストファー・リーやピーター・カッシング、クラウス・キンスキーを揃えた6大ホラー映画スターの競演を考えていたらしいのだが、後の3人にはオファーを断られてしまった。クリストファー・リーなどは、タイトルを聞いただけで脚本も読まずに却下したのだとか(笑)。その代わり、ハリウッドのベテラン・タフガイ俳優スチュアート・ホイットマンや、ジェームズ・ボンド役の候補にも挙がったダンディな英国俳優リチャード・ジョンソン、『戦争と冒険』('72)のサイモン・ワードなどのスターが各エピソードに登場。ブリット・エクランドやパトリック・マギーは、かつてアミカス作品にも出たことがあった。

とまあ、基本的には子供だましの中途半端なアンソロジー・ホラーではあるが、ヴィンセント・プライスやジョン・キャラダイン、ドナルド・プレザンスが、コミカルな役柄をとぼけた味わいで楽しそうに演じているのは微笑ましい。ストリッパーが服だけでなく皮まで脱いで、最終的に骨だけになる(ただしシルエット・アニメーション)というギャグも嫌いじゃない。とりあえず、あまり真剣に受け取らず軽いノリで見るのが正解だろう。

なお、「モンスター・クラブ」のライブシーンには複数のアーティストが登場。中でも、史上初のロック・オペラ「S.F.Sorrow」で有名なザ・プリティ・シングスの出演はロック・ファンにとって興味深いだろう。ほかにも、当時イギリスで人気だったニューウェーブ系シンガー・ソングライターのB・A・ロバートソンや、'70年代に全米トップ40ヒットを幾つか出した米西海岸のロック・バンド、ナイトなどのパフォーマンスが楽しめる。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:98分/発売元:Scorpion Releasing/ITV Studios
特典:俳優ヴィンセント・プライスと映画評論家デヴィッド・デル・ヴァルのテレビ番組対談(1987年製作・約62分)/俳優ヴィンセント・プライスのオーディオ・インタビュー(約41分)/映画評論家デヴィッド・デル・ヴァルのインタビュー(約10分)/オリジナル劇場予告編/カトリーナ・ウォルターズによる作品解説/音楽&SEトラック独立再生機能/ライナーノート



by nakachan1045 | 2018-03-12 08:14 | 映画 | Comments(0)

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