なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「地底王国」 At The Earth's Core (1976)

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監督:ケヴィン・コナー
製作:ジョン・ダーク
原作:エドガー・ライス・バローズ
脚本:ミルトン・サボツキー
撮影:アラン・ヒューム
特殊効果監修:イアン・ウィングローヴ
プロセス撮影:チャールズ・スタッフェル
美術デザイン:モーリス・カーター
音楽:マイク・ヴィッカーズ
出演:ダグ・マクルーア
   ピーター・カッシング
   キャロライン・マンロー
   サイ・グラント
   ゴッドフリー・ジェームズ
   ショーン・リンチ
イギリス・アメリカ合作/90分/カラー作品




<あらすじ>
19世紀末のイギリス。天才科学者ペリー博士(ピーター・カッシング)は、巨大なドリルを装着した地底探検ロケット、アイアン・モールを完成させる。アメリカ人の裕福な出資者デヴィッド・イネス(ダグ・マクルーア)と共にアイアン・モールへ乗り込んだペリー博士は、地球内部の構造を調べるべく、大勢の人々に見送られて初めての冒険旅行へ出発。順調に地中奥深くへと掘り進めていくが、途中で操縦桿のコントロールが利かなくなってしまう。
やがて突然止まったアイアン・モール。地上へ戻ってしまったのか?デヴィッドとペリー博士が恐る恐る外へ出てみると、そこには摩訶不思議な光景が広がっていた。あり得ない進化を遂げた樹木や植物の数々、不自然な色をした空。ペリー博士はここが巨大な地底空間であることに気付く。
異様な物音に気付いた2人が振り返ると、恐竜のような巨大モンスターがこちらへ迫ってくる。慌てて逃げ出すデヴィッドとペリー博士。間一髪のところで、彼らはサゴス族なる類人猿の種族に捕らえられてしまう。よく見ると、他にも捕虜となった人間が大勢いる。彼らによれば、この地底空間はペルシダー王国と呼ばれ、メーハー族という爬虫類に似た鳥人種族によって支配されていた。言葉を持たない暴力的なサゴス族は彼らの手下であり、テレパシーによって命令を受けている。人類は言葉を持つが武器を持たないため、最下層の奴隷種族として虐げられていたのだ。
地下人類の王様ガーク(ゴッドフリー・ジェームズ)の娘、つまりお姫様のディア(キャロライン・モンロー)と恋に落ちたデヴィッド。一行はメーハー族の要塞へと連れていかれる。そこで肉体労働に駆り出されたデヴィッドは、隙を見て脱走することに成功。外へ出た彼はラー(サイ・グラント)という青年と知り合う。彼から奴隷になった人々が最終的にはメーハー族の餌となって食い殺されることを知ったデヴィッドは、ラーの協力でディアたちを救出しようと決意する。
要塞へと戻ったデヴィッドとラーは、機を見て奴隷たちの反乱を扇動し、彼らを脱出させることに成功。地下人類をメーハー族の支配から解放するべく、デヴィッドとペリー博士は彼らに武器の作り方や使い方を教え、大規模な襲撃計画を実行に移すのだったが…。

アミカス・プロ製作、ケヴィン・コナー監督、ダグ・マクルーア主演による空想アドベンチャー映画シリーズは合計3本が製作されたが、本作は『恐竜の島』('75)に続くシリーズ第2弾。前作同様、エドガー・ライス・バローズの冒険小説(『地底の世界ペルシダー』)を原作に、ユニークな巨大モンスターが次々と登場する賑やかな作品に仕上がっている。

まずはストーリーの展開が滅茶苦茶スピーディ。冒頭から余計な前置き説明などほどほどに、いきなり冒険の旅がスタートするところが良い。ありきたりな映画であれば、例えば主人公のアメリカ人大富豪デヴィッドと天才科学者ペリー博士がどのように出会い、なぜ地底探検旅行を計画し、どうやって巨大な掘削ロケットを開発したのかを説明しそうなものだが、本作ではそうした序章的要素がごっそりと省かれている(原作に存在するのかは分からないけど)。辛うじて掘削ロケットの性能が簡単に解説される程度だ。

で、ロケットに乗った彼らがたどり着いたのは、広大な地底空間に広がる王国ペルシダー。そこでは爬虫類に似た鳥人メーハー族が支配者として君臨し、類人猿の醜くて凶暴なサゴス族がその手下として働き、武器を持たない人類が奴隷として過酷な重労働を課せられている。しかも、最終的にはメーハー族の餌として食い殺されてしまうのだ。そんな悲惨な状況を知ったデヴィッドとペリー博士は、地底人類に武器の作り方や使い方を教え、彼らを解放するために立ち上がる…というわけだ。

あくまでも青少年向けの空想アドベンチャー。地底人が普通に英語を喋るなど、ご都合主義的な突っ込みどころは多々あるものの、そういうものとして受け入れれば大して気にはならないだろう。それよりも、次々と登場するモンスターやクリーチャー、危機また危機のスリリングなアドベンチャーを素直に楽しむのが肝心。一切の出し惜しみをしないケヴィン・コナー監督の演出は、『恐竜の島』や『続・恐竜の島』('77)よりも遥かにサービス精神が旺盛だ。

その巨大モンスターたちが、日本の怪獣映画と同じく着ぐるみであることも親しみが沸く。捕獲した人間を取り合って、巨大モンスター同士が血みどろのバトルを繰り広げるシーンもまずまずの迫力。まあ、口にくわえた人間がいかにも機械仕掛けの人形なのはご愛敬だけど。個人的にお気に入りなのは、火を噴くカエル・モンスター。まるで微動だにしない置物みたいな奴なんだけど、そのポンコツぶりがなんとも微笑ましいのだよね。鳥人種族メーハーの凶悪なクリーチャー・デザインもなかなかクール。子供向けにしては意外と怖い。そもそも、どことなく怪奇幻想的なホラー・ムードが全体に漂っており、そこは数多のお子様向け娯楽映画と一線を画する点だと言えよう。

また、フロントプロジェクションとリアプロジェクションを使い分けた、スクリーン・プロセスによる特撮合成も全体的に自然な仕上がり。ジャングルでデヴィッドとペリー博士が巨大モンスターに追いかけられるシーンで絶大な効果を発揮している。担当したのは『2001年宇宙の旅』('68)や『007』シリーズ、『エイリアン』('79)などを手掛けた、スクリーン・プロセスの第一人者チャールズ・スタッフェル。『恐竜の島』と『続・恐竜の島』も彼の仕事だ。

さらに、全編に渡ってスタジオ撮影にこだわったのも良かった。『恐竜の島』や『続・恐竜の島』では屋外ロケを多用しているため、特撮用ミニチュアセットとの雰囲気の違いなど如実に出てしまったが、本作の場合は一貫してスタジオ内に建設された巨大セットで撮影されているので、その空想科学的な世界観がしっかりと統一されている。確かに非現実的で作り物然としているものの、それがかえってオモチャ箱をひっくり返したような冒険譚の楽しさを盛り上げるのだ。

そのセットデザインおよびクリーチャーデザインを担当したのは、『ベケット』('64)と『1000日のアン』('69)でアカデミー賞候補になった美術デザイナー、モーリス・カーター。ミニチュア特撮やメカデザインには、『ダーク・クリスタル』('82)のメカニカル効果や『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』('11)の第2班特殊効果を手掛けたイアン・ウィングローヴが参加している。彼は『サンダーバード』の特撮助手を務めていたことがあり、それゆえなのか、アイアン・モールのデザインは『サンダーバード』の地底戦車ジェットモグラを彷彿とさせる。

今回はキャスティングの魅力もずば抜けている。まあ、主演のダグ・マクルーアはいつも通りの古典的な冒険ヒーローといった按配だが、その相方として登場する名優ピーター・カッシングの、飄々としたおトボケ科学者ぶりがなんともチャーミング!ホラー映画俳優のイメージとは真逆のコミカルな演技を披露しているカッシングだが、しかしもともと若い頃にヴォードヴィルのお笑い芸人として生計を立てていたこともあるので、実は意外とコメディもお手のものだったのだろう。

そして、なによりもキャロライン・マンローである。『シンドバッド黄金の航海』('73)や『吸血鬼ハンター』('73)、『スタークラッシュ』('78)など、'70年代のジャンル系B級映画で大活躍したカルト女優にして、かつてのオタク少年たちにとって最大のセックス・シンボル。本作でも『恐竜100万年』('66)のラクエル・ウェルチも顔負けの原始ビキニ姿を披露し、エキゾチックな美貌とグラマラスなボディを存分に堪能させてくれる。当時はハマー・フィルムやAIPの映画にたびたび出演していた彼女だが、意外にもアミカス・プロ作品への出演はこれ一本きりだった。

評価(5点満点):★★★★☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:90分/発売元:Kino Lorber/20th Century Fox/MGM
特典:キャロライン・マンローのインタビュー('14年製作・約29分)/ケヴィン・コナー監督のインタビュー('14年製作・約22分)/プロモ用メイキング映像('76年製作・約6分)/ケヴィン・コナー監督による音声解説/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-03-18 07:46 | 映画 | Comments(0)

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