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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「資金源強奪」 Gambling Den Heist (1975)

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監督:深作欣二
企画:日下部五朗
   杉本直幸
脚本:高田宏治
撮影:赤塚滋
編集:市田勇
音楽:津島利章
出演:北大路欣也
   太地喜和子
   梅宮辰夫
   室田日出夫
   川谷拓三
   山城新伍
   小泉洋子
   渡辺やよい
   芹明香
   安部徹
   天津敏
   北村英三
   今井健二
   名和宏
   成瀬正孝
友情出演:松方弘樹
日本映画/91分/カラー作品




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<あらすじ>
暴力団・羽田組に所属するチンピラ清元武司(北大路欣也)は、羽田組長(安部徹)の命令で幹部・国吉(名和宏)らと敵対する暴力団を襲撃し、相手の組長を射殺して有罪判決を受ける。それから8年後、刑務所を釈放された清元を待っていたのは、国吉の情婦となった恋人・静子(太地喜和子)。本来なら組を挙げて出迎えねばならないところだが、この間に暴力団の勢力図も大きく変わっており、同盟組織の先代組長を殺した清元はむしろ組にとってお荷物だったのだ。
自分がいては羽田組に迷惑がかかるからと、堅気になることを国吉に申し出る清元。しかし、それは表向きの芝居だった。刑務所で知り合った元銀行強盗の熊吉(室田日出夫)に鉄也(川谷拓三)のコンビと手を組んだ清元は、覆面武装して羽田組の主催する賭博大会を襲撃。まんまと3億5000万円を強奪する。自分が組織の捨て駒に過ぎないことを分かっていた彼は、警察に被害届を出せない組の資金を最初から狙っていたのである。
面目をつぶされたのは羽田組長。なにしろ、奪われたのは自分たちの金だけではない。仲間の組の金も含まれていたのだ。そこで、国吉は停職中の汚職刑事・能代(梅宮辰夫)を100万円の報酬で雇い、犯人グループを探して現金を奪い戻すよう命じる。親子ほど年の離れた若い女・洋子(渡辺やよい)と結婚したばかりの能代は、贅沢好きな妻を繋ぎとめておくため金が必要だった。
一方、清元は当座の報酬を熊吉と哲也に支払い、後の現金はほとぼりが冷めるまで隠すことにする。熊吉と鉄也にも足が付くから金遣いには気を付けるよう注意するが、しかし我慢できない鉄也が競馬やクラブで遊びほうけたことから、能代に捕まって羽田組に差し出されてしまう。それを知った清元が鉄也を救出しようとアジトへ向かうと、一足先に覆面武装した能代がアジトを急襲し、鉄也を連れ去ってしまった。清元が主犯だと気付いた能代は、妻にせがまれた高級マンションの購入資金を手に入れるため、鉄也に清元から金を奪って山分けしようと持ち掛ける。しかし清元に気付かれて作戦は失敗し、偽札を掴まされた熊吉はトラックに轢かれて死亡する。
その頃、静子を捨てて九州へ高飛びするつもりだった清元だが、犯人であることがバレて国吉らに捕らわれてしまう。そこへ鉄也が乱入。国吉らを殺害して逃亡した彼は、駅のコインロッカーから現金を持ち出そうとしたところ、待ち伏せしていた能代に奪われてしまった。3億円余りの現金を羽田組長に届けた能代。ところが、いちゃもんをつけられ約束の報酬は手に出来なかった。そこで、今度は清元と能代がコンビを組み、再び羽田組から金を奪おうとする…。
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『仁義なき戦い』シリーズで一世を風靡していた深作欣二監督が、同シリーズの『広島激闘篇』('73)と『完結篇』('74)に起用した北大路欣也を主演に迎えた東映アクション。所属する暴力団から都合のいい捨て駒にされたチンピラの若者が、組織の重要な資金源、つまり裏金をごっそり強奪してその鼻をあかす。一見したところ実録路線風のやくざ映画と思わせておいて、その実、洋画を彷彿とさせる王道的な泥棒映画として仕上げられている。
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まずは北大路欣也演じる主人公・清元のキャラクターが魅力的だ。どこまでもドライでシニカルで合理主義的な一匹狼。義理だ人情だの余計な感情には流されず、常に相手の一歩先を読んで組織やライバルをまんまと出し抜いていく知性派だ。もともとは拳銃の扱いもろくに知らない未熟なチンピラ。敵対組織の組長を殺したのも偶然みたいなものだったが、恐らく8年間の刑務所生活で学ぶことが多かったのだろう。
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出所後の組織からのあからさまな冷遇も、服役中に兄貴分の情婦になった恋人・静子の裏切りも、実は彼にとって全てが想定の範囲内。別に驚きもしない。そりゃ、8年も経っていれば組織だって人間だって変わっているはずだ。ただし、臭い飯を食わせた分の代償はきっちりと支払ってもらう。それが「資金源強奪」計画の発端だ。
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自分がいたら組織の迷惑になるので堅気になる、と宣言して組織の幹部を丸め込み、秘かに仲間と強盗を計画する清元。狙うは組織が元締めとなった違法賭博大会だ。覆面武装したうえに催涙ガスを撒いて、まんまと3億5000万円の現金をせしめる清元と仲間たち。だが、大金を手にしたからといって、すぐに使うわけにはいかない。まあ、深く考えるまでもないだろう。急に羽振りが良くなれば、それだけ目立って足が付くからだ。
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ひとまず最低でも1年は現金を寝かせておくつもりだった清元だが、唯一の計算外は強盗仲間に引き入れた熊吉と鉄也の愚かさ。欲が深いだけで頭の悪い2人は、清元にさんざん注意されたにもかかわらず、手に入れたあぶく銭を派手に使って周囲の目を引いてしまう。
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一方、強奪されたのが組織の裏金ゆえ、警察に通報することも出来ない羽田組。しかも、そこには同盟組織の提供資金も含まれていたのだが、奴らは他人の不幸に乗じて被害金額を水増し請求してきやがる。やくざの仁義もクソもない。そこで、彼らは停職中の汚職刑事・能代に犯人の捜索と現金奪還を命じる。報酬はたったの100万円なのだが、安月給の能代にとっては有難い小遣い稼ぎ。なにしろ、親子ほど年の離れた若い女と結婚した能代にとって、浪費家の妻を繋ぎとめるため現金は幾らでも必要だったからだ。
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で、裏社会の情報網を駆使して鉄也をマークした能代は、主犯の清元から現金を奪って山分けしようと持ち掛ける。羽田組からの報酬よりも、よっぽどそっちの方が美味しい。もちろん、最終的には自分が独り占めする算段なのだが、既に報酬を使い切ってしまったアホな熊吉と鉄也はまんまと話に乗せられる。3億余りの現金を巡って繰り広げられる、組織と能代、熊吉&鉄也、そして清元による4つ巴の争奪戦。欲の皮の張った連中を次々と出し抜いていく清元だったが、しかし土壇場で能代に裏をかかれてしまう。そこはさすが、腐っても鯛ならぬ腐っても刑事。能代もなかなか計算高くて抜け目ない。
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しかし、その能代も羽田組にまんまと騙され、結局は骨折り損のくたびれ儲けに。そこへ、転んでもタダでは起きない清元が接触し、2人して組織の鼻をあかそうとする。全編を通してスピーディかつ無駄のない本作だが、ここからクライマックスにかけての展開は、実にスタイリッシュでクールで軽妙洒脱。反権力的なピカレスクロマンの香りは深作監督らしいとも言えるが、しかしこのハリウッド的な後味の良さはなかなか異色だと言えよう。
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若い奥さんにメロメロで、悪人だけどどこか憎めないオッサン刑事・能代を演じる梅宮辰夫も好演。やはり彼は、こういう三枚目寄りの芝居をさせた方が似合っている。その幼な妻を演じる渡辺やよいの、自由奔放でキュートな天然小悪魔ぶりも魅力だ。男社会の力関係に振り回される極道の女・静子を演じる太地喜和子はさすがの貫禄だが、しかし女の哀しい情念を漂わせた純和風な佇まいは、残念ながら本作においてはちょっと異質で浮いているような印象を受ける。
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また、時として北大路欣也や梅宮辰夫を食うほどの存在感を発揮するのが、口はデカいが気は小さい熊吉役の室田日出夫と、喧嘩っ早いだけで知恵の足りない鉄也役の川谷拓三。漫才みたいなボケと突っ込みを凄まじいテンションで演じてインパクト強烈だ。また、出番こそ僅かだがラストのカギとなる美女を演じる小泉洋子(別名・沢野火子)、いつもながらの憎々しい小悪党役で安定感抜群の名和宏、金子信夫とは違った意味で上司に持ちたくないダメ組長役が得意な安部徹なども印象的。さらに、松方弘樹と山城新伍が、お遊び的なチョイ役で顔を出しているのも見逃せない。
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惜しむらくは、津島利章によるいかにもやくざ映画的な泥臭い音楽スコアだろう。本作の内容からして、大野雄二的な洋楽風のジャズ・ファンク辺りがしっくりと来る。ちょっとミスマッチに感じられることは否めないだろう。
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評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:2/時間:91分/発売元:東映ビデオ
特典:フォトギャラリー/予告編



by nakachan1045 | 2018-04-04 15:37 | 映画 | Comments(0)

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