人気ブログランキング |

なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

「雪の悪魔」 La morte viene dal paineta Aytin (aka Snow Devils) (1966)

f0367483_12523496.jpg
監督:アンソニー・ドーソン(アントニオ・マルゲリティ)
製作:ジョセフ・フライド
   アンソンー・マルゲリティ(アントニオ・マルゲリティ)
共同製作:ウォルター・マンリー
     アイヴァン・レイナー
原案:オーブリー・ワイズバーグ
脚本:チャールズ・シンクレア
   ウィリアム・フィンガー(ビル・フィンガー)
   アイヴァン・レイナー
撮影:リチャード・ポールトン(リカルド・パロッティーニ)
特殊効果:ヴィクター・サントラー(エウクリデ・サントーリ)
編集:エンジェル・コリ(オテロ・コランゲリ)
音楽:アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ
出演:ジャック・スチュアート(ジャコモ・ロッシ・スチュアート)
   アンバー・コリンズ(オンブレッタ・コッリ)
   ルネ・ボールドウィン(レナート・バルディーニ)
   ウィルバート・ブラッドリー
   ハリーナ・ザレウスカ
   エンゾ・フィエルモンテ
   フレディ・アンガー(ゴッフレード・ウンゲル)
   イサルコ・ラヴァイオーリ
イタリア・アメリカ合作/90分/カラー作品




f0367483_14422364.jpg
<あらすじ>
21世紀の近未来。ヒマラヤ山脈の気象観測所が突然襲撃され、遠隔監視カメラによって所長であるハリス中尉(レナート・バルディーニ)以外の全員が死体で発見される。いったいヒマラヤで何が起きたのか、ハリス中尉はどこへ消えたのか。ノートン将軍(エンゾ・フィエルモンテ)はジャクソン指揮官(ジャコモ・ロッシ・スチュアート)と相棒のパラスキー大尉(ゴッフレード・ウンゲル)に調査を命じた。
データによると北極圏で温暖化現象が起きているという。しかも、それは人為的なものである可能性が高かった。ヒマラヤ山脈の麓へと赴くジャクソンとパラスキー。ところが、何者かによってジェットヘリが爆破されてしまう。仕方なく、現地人のガイド、シャルー(ウィルバート・ブラッドリー)の案内で雪山を登る一行だったが、予期せぬ人物が紛れ込んでいた。ハリス中尉の恋人リサ(オンブレッタ・コッリ)だ。最愛の人の安否を心配するあまり、勝手について来てしまったのである。
気象観測所へと続く洞窟へ足を踏み入れたジャクソンたち。ところが、そこで彼らは毛むくじゃらの野人の集団に襲われる。ヒマラヤの伝説に語り継がれる雪男イェティだった。ところが、連れていかれた場所は未知の機械が並ぶ巨大施設。一行の前に姿を現したイェティのリーダーは、自分たちは異星人であると告げる。
彼らの故郷は雪と氷で覆われた極寒の惑星アティア。しかし、軌道のズレによって環境が破壊されたことから住めなくなり、新天地として地球への移住を計画したのだという。しかし、彼らが住めるのは北極圏だけ。そこで、特殊な装置によって地球を温暖化させて陸地を水没させ、人類を皆殺しにしたうえで、改めて地球全体を冷却化させて自分たちのものにしようと考えていたのだ。
牢屋にはハリス中尉が捕らわれていた。再会を喜ぶリサとハリス中尉。一行は牢屋を脱出して毒ガスでイェティたちを皆殺しにする。だが、彼らは単なる先発隊に過ぎない。宇宙のどこかからか送られてい来るエネルギーによって、温暖化/冷却化の装置は動かされている。その秘密基地を特定して破壊しない限りは、人類の危機を救うことは出来ない。そこでジャクソンとパランスキーは宇宙ステーション、ガンマ第1号へと赴き、サンチェス中尉(ハリーナ・ザレウスカ)の協力で、エネルギー発信源の特定を急ぐのだったが…。
f0367483_14423941.jpg
イタリアの娯楽職人アントニオ・マルゲリティ監督が、'60年代半ばに発表した特撮SF映画「ガンマ第1号」シリーズの最終作。ヒマラヤ山脈に棲むとされる伝説の雪男イェティが実はエイリアンだった!しかも秘かに地球侵略を目論んでいた!という突拍子もないアイディアが全てのたわいないB級映画だが、手作り感満載のチープな特撮はどこか憎めなくてチャーミング。まあ、口が裂けても名作・秀作などとは呼べないものの、古き良き時代の低予算娯楽映画の素朴な味わいは魅力だ。
f0367483_14430578.jpg
そもそも「ガンマ第1号」シリーズというのは、アメリカのMGMがイタリアに発注して作らせたもの。当初はテレビ映画として企画されていたのだが、その仕上がりが予想以上に良かったことから、一転して劇場公開される運びとなったのである。全作に渡って演出を務めたのは、『SOS地球を救え』('60)や『地球最終戦争』('61)でSF映画の実績があったアントニオ・マルゲリティ監督(クレジットではアンソニー・ドーソン名義)だ。
f0367483_14430998.jpg
シリーズは合計で4本。『惑星からの侵略』('65)、『SF惑星大戦争』('65)、『さまよえる惑星』('65)、そしてこの『雪の悪魔』('66)。ストーリーはそれぞれの作品で完全に独立しているが、「ガンマ第1号」と呼ばれる宇宙ステーションが全作共通で登場する。撮影自体も実は'64年に全作ぶっ続けで行われたらしく、ミニチュア・セットやコスチュームなども各作品で使い回しされている。予算をなるべく抑えるための秘策だ。製作規模こそだいぶ違う(ってか雲泥の差)けど、やっていることは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズと同じですな。
f0367483_14431680.jpg
さて、作品の前半は秘境アドベンチャー風味。ヒマラヤの気象観測所が破壊され、その真相を突き止めるためにジャクソン指揮官率いる調査団(といっても案内人のシェルパを含めて4人だけ)が送り込まれるものの、突如として現れた伝説の雪男イェティの集団に捕らわれる。彼らは極寒の惑星アティアから来た異星人で、故郷が軌道変動によって住めなくなってしまったことから、地球を侵略して移住すべく100年前から着々と準備を進めていたというのだ。
f0367483_14433760.jpg
そのやり方は、特殊装置によってまず地球を温暖化し、世界中の陸地を水没させて人類を抹殺。その上で、改めて今度は地球全体を冷却して凍らせることで、自分たちに適した環境にして住み付こうというわけだ。なるほど。真面目に考えると突っ込みどころだらけの地球侵略計画だけど、まあ、アイディアとしては奇想天外で面白い。
f0367483_14431906.jpg
で、敵の隙を見てイェティ軍団を皆殺しにして脱出した主人公たち。しかし、特殊装置は宇宙のどこかからか遠隔操作されているため止めることが出来ない。そこで、彼らは宇宙ステーション「ガンマ第1号」へ向かい、イェティの秘密基地を探して敵を壊滅させようとする。
f0367483_14433421.jpg
ということで、作品後半は宇宙を舞台にした惑星アドベンチャー。ただし、『スター・ウォーズ』以降のSF映画に比べると、スケールは極端に小さい。ほとんど近所の裏庭レベルである。しかもこの作品、一連の「ガンマ第1号」シリーズの中でも特に予算がかかっていないらしく、恐らく4作品中で最も特撮の見せ場が少ない。前半ではそれなりにアクションも見せてくれるが、宇宙を舞台にした後半は全体的にとても地味な印象だ。ただ、役者をワイヤーで吊るしながら遠近法でスケール感を出そうと努力した宇宙遊泳シーンは、なんだか学芸会みたいではあるものの、お金も技術もない代わりに知恵を絞ったんだなあ…と思わず微笑ましくなる。
f0367483_14431223.jpg
ちなみに、脚本に参加しているビル・フィンガーとは、ボブ・ケインとのコンビで『バットマン』を生み出したアメコミ界のレジェンド。なぜ彼がこの映画に関わったのかは定かでないが、恐らくMGMの強力な働きかけがあったのだろう。共同でクレジットされているチャールズ・シンクレアは、人気ドラマ『サンセット77』の脚本をフィンガーと一緒に手掛けたことがあり、その後テレビ版『バットマン』の脚本家チームに起用された。本作はそのテレビ版『バットマン』以前に撮影されているわけだが、やはりMGMとしてはアメコミ的なポップさを本作に期待したのかもしれない。その点に関しては、マルゲリティ監督ではちょっと役不足だったように思う。
f0367483_14432583.jpg
主演はシリーズ前作『さまよえる惑星』に引き続いて、ジャック・スチュアートことジャコモ・ロッシ・スチュアート。'90年代にイタリアで一世を風靡したイケメン俳優キム・ロッシ・スチュアートのお父さんだ。彼自身もハンサムではあったものの、どこか影が薄くて線が細いこともあって、いまひとつ大成しなかった。ただ、母親がイギリス人だったことから英語が堪能で、しかもニューヨークのアクターズ・スタジオで勉強したことがあったため、イタリアで撮影されるハリウッド映画にはよく顔を出していた。
f0367483_14433034.jpg
そんなこんなで、「ガンマ第1号」シリーズの中では最も内容的に地味な作品だが、それでも興行的にはそこそこ儲かったのだろう。アメリカ側の製作者ウォルター・マンリーとアイヴァン・レイナーはシリーズ継続を模索し、今度は日本の東映と契約を結ぶことになる。それが、ガンマ第1号によく似た宇宙ステーションを舞台にした、深作欣二監督の『ガンマー第3号 宇宙大作戦』('68)だったというわけだ。
f0367483_14432254.jpg
評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)※オンデマンドDVD-R
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:90分/発売元:Warner Archives
特典:オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-04-07 14:46 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

「ディメンシャ13」は廉..
by cary1959 at 04:30
中沢様はベテランのブロッ..
by Y. Kubota at 03:05
すいません!その通りです..
by nakachan1045 at 13:12
直人の子分に曽根晴美とあ..
by Django at 02:25
いまみると、北斗の拳のバ..
by ドゴラ at 14:14
昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「華麗なる賭け」 The T..
at 2019-04-15 02:50
「スパイ戦線」 Carve ..
at 2019-04-14 02:03
「Snow White(白雪..
at 2019-04-12 20:53
「ディメンシャ13」 Dem..
at 2019-04-09 14:21
「ストリッパー殺人事件」 S..
at 2019-04-08 01:44

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター