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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ローズマリー」 The Prowler (1981)

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監督:ジョセフ・ジトー
製作:ジョセフ・ジトー
   デヴィッド・ストレイト
脚本:グレン・レオポルド
   ニール・F・バーベラ
撮影:ラウール・ロマス(ホアオ・フェルナンデス)
特殊メイク:トム・サヴィーニ
音楽:リチャード・アインホーン
出演:ヴィッキー・ドーソン
   クリストファー・ガウトマン
   ファーリー・グレンジャー
   ローレンス・ティアニー
   シンディ・ワイントローブ
   リサ・ダンシャース
   デヴィッド・セダーホルム
   ブライアン・イングランド
   ドナ・デイヴィス
   カールトン・カーペンター
アメリカ映画/88分/カラー作品




<あらすじ>
第二次世界大戦中、ローズマリーという若い女性が戦地へ赴いた恋人へ宛てて別れの手紙を書く。貴方を待つのは疲れた、新しい恋人と幸せになりたいから許してと。それから暫く経った1945年6月28日。カリフォルニアの静かで平和な町アヴァロン・ベイで、プリッチャー大学の卒業プロムパーティが華やかに開催される。だがその晩、ローズマリーと恋人ロイが、何者かによって熊手で刺殺される。死体のそばにはバラの花が一凛置かれていた。
それから35年後の1980年6月28日、ローズマリー殺人事件以来、長いこと封印されていたプリッチャー大学の卒業プロムパーティが開かれることとなった。パーティを仕切る女子大生パム(ヴィッキー・ドーソン)は、恋人の保安官補マーク(クリストファー・ガウトマン)から近隣で発生した殺人事件の犯人がアヴァロン・ベイ方面に逃走していることを聞いて不安がよぎる。しかも、そんな時に限ってフレイザー保安官(ファーリー・グレンジャー)が休暇で出かけてしまう。
その晩、身支度を整えてパーティへ向かうパム。ルームメイトのシェリー(リサ・ダンシャース)はシャワーを浴びていたが、そこへ彼氏のカール(デヴィッド・セダーホルム)がやって来る。すると、物陰に隠れていた何者かが銃刀でカールの脳天を突き刺し、シャワールームのシェリーを熊手で刺し殺してバラの花を一凛置いていった。
その頃、友人のリサ(シンディ・ワイントローブ)やその恋人ポール(ブライアン・イングランド)らとパーティを楽しんでいるパムだったが、フルーツパンチをドレスにこぼしてしまい、着替えのために女子寮へ戻る。誰もいないはずの女子寮でうごめく怪しげな人影。怖くなったパムは急いで逃げ出すが、途中で車いすに乗った老齢のチャザム少佐(ローレンス・ティアニー)に捕まってしまう。
マークと合流したパムは、チャザム少佐の自宅を調べることに。しかし、少佐の姿はなかった。そこで彼女は35年前に殺されたチャザム少佐の一人娘ローズマリーの写真を発見する。犯人はいまだ見つかっていなかった。その頃、プールで泳いでいたリサ、彼女を探しに行った女教師アリソン(ドナ・デイヴィス)が相次いで殺される。
例の逃亡した殺人犯が徘徊しているものと考え、学生たちに警告しようとするパムとマーク。ところが、犯人は既に拘束されているという報告が保安官事務所に入る。35年前の犯人が再び動き出したことに気付く2人だったが…。

『13日の金曜日』('80)の爆発的な大ヒットをきっかけに、一気に沸き上がった'80年代のスラッシャー映画ブーム。そのピークは1981年だったと考えて間違いないだろう。『血のバレンタイン』に『バーニング』、『ファンハウス』、『誕生日はもう来ない』、『ヘルナイト』などなど、ブームを代表する名作の多くが'81年に封切られている。『13日の金曜日』と『ハロウィン』、それぞれの第2弾が公開されて大ヒットを記録し、スラッシャー映画のフランチャイズ化が始まったのも'81年だった。そんな記念すべき年に誕生したスラッシャー映画の一つが『ローズマリー』である。

玉石混合のジャンルにあって比較的良くできた作品との評価を受け、今ではスラッシャー映画ブームの代表作の一つにも数えられている本作。日本でも劇場公開時はかなり話題となり、全く関係のない映画が『ローズマリー2』('87)として配給されるほどだったが、40年近くが経った今見直してみると、正直なところ残酷シーンの特殊メイク以外はこれといって見るべきものはない。ごくごく平均的な猟奇殺人ホラーである。

そもそもストーリーが穴だらけ。ジョセフ・ジトー監督自身が、はじめから殺人ミステリーとしての整合性を全く考慮に入れていなかったと明かしている。なるほど、確かに辻褄の合わない点や意味不明な展開はとても多い。戦時中に恋人ローズマリーから一方的にフラれた若者が、除隊してから彼女とその新しい恋人を腹いせにプロムパーティで殺害する…というのは理解できる。戦争のPTSDで頭がおかしくなっちゃっているだろうしね。しかし、それから35年も経ってプロムパーティの復活を引き金に再び凶行に走る、しかも今回は無差別の連続殺人、というのはちょっと理屈が通らない。っていうか、あまりにも唐突だ。

あと、殺されたローズマリーの父親であるチャザム少佐も中途半端な扱われ方。ただの薄気味悪い隠居老人でしかなく、ぶっちゃけストーリーの上では居ても居なくて全く変わらない。彼が理由もなくヒロインのパムを捕まえようとするシーンなんて、どう考えたってただの尺伸ばしだからなあ(笑)。そう、全体的に上映時間を稼ぐための無駄なシーンが多い。だからといって、殺人犯の異常心理に迫るわけでもなく、ただのボディ・カウント映画に終始してしまっている。非常に薄っぺらいのだ。

しかも、最後に明かされる犯人の正体にこれっぽっちの意外性もない。いやあ、絶対にあの人しかあり得ないよね、と思ってたらその通りだった(笑)。まあ、覆面ミリタリー・ルックはそれなりにインパクトあるけれどね。最後のダメ押し的な『キャリー』風クライマックスも不完全燃焼だ。

ただ、先述したように残酷シーンの特殊メイクだけはとてもよく出来ている。さすが、当時売れっ子だった特殊メイクマン、トム・サヴィーニのスケジュールが空くまで撮影を待ったというのも納得。有名な銃刀による脳天貫通シーンは今見ても十分にショッキングだ。カッと見開いた犠牲者の眼が真っ白!というのもインパクト強烈。また、プールで泳いでいたリサの喉を掻っ切るシーンも、シンプルな特殊メイクながら非常に完成度が高い。特に、水中で切り裂かれた喉仏からドバドバと血が広がり、さらに空気の泡まで漏れ出すという芸の細かさにはほとほと感心する。なにしろCGなんかない時代だからね。

監督のジョセフ・ジトーは本作を機に『13日の金曜日・完結篇』('84)に起用され、さらに『地獄のヒーロー』('84)や『レッド・スコルピオン』('88)などのB級アクション映画で活躍するようになる。脚本のニール・F・バーベラは、『チキチキ・マシン猛レース』などでお馴染みのアニメ監督ジョセフ・バーベラの息子。共同脚本のグレン・レオポルドは、バーベラとコンビでテレビ・アニメの脚本を書いていた。また、撮影監督のホアオ・フェルナンデスはジトー監督作品の常連組だが、本作では途中参加だったことから、ラウール・ロマスという変名でクレジットされている。

主要キャストはいずれも無名の若手ばかりだが、リサ役のシンディ・ワイントローブは『モンスター・パニック』('80)でダグ・マクルーアの奥さん役を演じていた。また、マーク役のクリストファー・ガウトマンは、後に昼メロドラマのプロデューサーになったそうだ。さらに、当時のB級ホラー映画では落ちぶれた往年の名優が小遣い稼ぎのために脇役で出演することが多かったが、本作でもヒッチコックやヴィスコンティなどの巨匠に愛された美形俳優ファーリー・グレンジャー、ギャング映画のタフガイスターだったローレンス・ティアニーが顔を出している。

なお、アメリカ盤ブルーレイはDVD時代と同じブルー・アンダーグランド社からリリースされているが、使用されている本編マスターはDVDと違うHDリマスター版。恐らく、日本盤DVDも同じマスターを使用しているはずだ。全体的にフィルム・グレインが濃厚なのは当時のアメリカ映画の特徴。気になる人は気になると思うが、元のフィルムがそうなので仕方あるまい。その一方で、画面全体が明るくなった分だけ細部のディテールも鮮明で、ブルーレイの高画質は十分に実感できるはずだ。音声も7.1chのDTS-HD MAと5.1chドルビー・サラウンド、2.0chのオリジナル・モノラルと3種類が用意されている。まあ、さほど音響効果に凝った映画でもないのだけどね(笑)。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:7.1ch DTS-HD Master Audio・5.1ch Dolby Digital Surround・2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:ALL/時間:88分/発売元:Blue Underground
特典:ジョセフ・ジトー監督とトム・サヴィーニによる音声解説/トム・サヴィーニの特殊メイク・メイキング映像(約10分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-04-20 11:17 | 映画 | Comments(0)

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