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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「キラーフィッシュ」 Killer Fish (1979)

「キラーフィッシュ」 Killer Fish  (1979)_f0367483_23445664.jpg
監督:アンソニー・M・ドーソン(アントニオ・マルゲリティ)
製作:アレックス・ポンティ
脚本:マイケル・ロジャース
撮影:アルベルト・スパニョーリ
特殊効果撮影:リカルド・パロッティーニ
音楽:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
出演:リー・メジャース
   カレン・ブラック
   ジェームズ・フランシスカス
   マーゴ・ヘミングウェイ
   マリサ・ベレンソン
   ゲイリー・コリンズ
   アンソニー・ステファン
   ロイ・ブロックスミス
   ファビオ・サバグ
   フランク・ペッシ
   ダン・ペストリーニ
   チャールズ・ガーディーノ
イタリア・ブラジル・フランス合作/100分/カラー作品




<あらすじ>
南米ブラジルの山奥にある鉱山が窃盗団の一味に襲撃される。犯人はリーダーのラスキー(リー・メジャース)に紅一点のケイト(カレン・ブラック)、潜水の名人ハンス(ダン・ペストリーニ)、そして血気盛んなロイド(チャールズ・ガーディーノ)とウォーレン(フランク・ペッシ)のグイド兄弟だ。一行は採掘工場を爆破してパニックを引き起こし、その隙に倉庫から大量のエメラルドやダイヤモンドを強奪する。
この襲撃計画の黒幕は、採掘会社の元役員ポール(ジェームズ・フランシスカス)。健康上の問題で会社を辞めさせられた彼は、その報復も兼ねて宝石を強奪したのだ。ラスキーたちは盗んだ宝石を貯水ダムに沈める。地元警察による犯人捜索がひと段落するのを待ってから、全員で山分けしようというのだ。
ひとまず、60日後に再び集まることを約束して解散する一味。その頃、ホテルにはアメリカからファッション誌の撮影隊が到着する。人気モデルのガブリエル(マーゴ・ヘミングウェイ)に女性編集者アン(マリサ・ベレンソン)、カメラマンのオリー(ロイ・ブロックスミス)などなど。ランスキーはナンパしたガブリエルといい仲になり、ポールの愛人でありながら彼にも想いを寄せるケイトは胸中複雑だ。
その頃、宝石を自分たちだけで山分けしようと考えたグイド兄弟だったが、ダムへ潜った兄ロイドがピラニアに食い殺されてしまう。ウォーレンから話を聞いたランスキーは信用しなかったが、続いてハンスまでもが犠牲になってしまった。実は、裏切者が出た時のことを考えて、ポールがダムに大量のピラニアを解き放っていたのだ。
そのことを知ったランスキーが宝石を独り占めにするに違いないと考えたポールは、ケイトを連れて先回りして宝石の入った化粧箱を回収する。すると、にわかに天候が悪化してハリケーンが近づいてきた。たまたま、ガブリエルら撮影隊を連れて湖に停泊していた自然ガイド、マックス(アンソニー・ステファン)のボートに助けられた2人は、そこにラスキーが同乗していて驚く。彼らが先回りすることはすっかり見抜かれていたのだ。
やがて巨大なハリケーンが襲来。あまりの激しさにダムが決壊し、大量のピラニアが湖へと流れ込んでしまう。しかも、嵐のせいで一行の乗ったボートは故障。船底にも穴が開いてしまった。人喰いピラニアがうようよする湖のど真ん中に取り残されてしまった人々。果たして、彼らは無事に生きて岸へたどり着くことが出来るのか…?

『ジョーズ』('75)を筆頭とする'70年代の動物パニック映画ブームは、アメリカのみならず世界中で便乗パクリ映画を生み出したわけだが、イタリアの娯楽映画職人アントニオ・マルゲリティ監督がブラジルで撮影した本作もその一つ。ただし、よくある「なんちゃって『ジョーズ』映画」群と一線を画するのは、そのやみくもな寄せ集め感にあると言えよう。

動物パニックに自然災害パニック、スパイ&泥棒アクションに大自然アドベンチャーなどなど、様々なジャンルの要素を盛り込んだ幕の内弁当映画…といったところか。ただし、一つ一つのメニューは安上がりなジャンク・フード。それでも種類が多ければ豪華に見えるし、とりあえず満腹にだってなるだろう。そういう意味では、良く出来たB級エンターテインメント映画のお手本のような作品だ。

冒頭からいきなり『007』ばりの潜入アクションが展開。黒づくめの窃盗団が鉱山の採掘工場を爆破し、その隙に忍び込んで宝石を盗み出そうというのだ。そういえばこの作品、どこかロジャー・ムーア版『007』シリーズを彷彿とさせるノリの軽さがあり、そこが個人的に憎めないポイントだったりする。リー・メジャース演じる、切れ者だけど女好きが玉に瑕の軟派な窃盗団リーダーは、さながらムーア版ジェームズ・ボンド。ボンド・ガールばりの美女も揃っている(カレン・ブラックは微妙なとこだけど)。トロピカルな高級リゾート・ホテルのプール付きレストランやカジノ、BGMで流れるディスコティックなラウンジ・ミュージックも'70年代的『007』感が満載。こういうベタなセンス、なにげに大好きなんだよなー(笑)。

それはともかく、大掛かりな集団窃盗シーンにおけるフロントプロジェクションを使った原始的な特撮合成は見るからにチープだが、その一方でマルゲリティ監督お得意のミニチュアセットをフル稼働した採掘工場のド派手な大爆破はなかなかの迫力。さらに、ヘリコプターによる空撮を用いたカーチェイス・シーンのオマケまで付いてくる。ま、スタントそのものはグダグダだけどね(汗)。

ちなみに、この冒頭のミニチュア特撮シーン、マルゲリティ監督の前作『宝石泥棒大逆転』('78)にそっくりなシーンがあるので、恐らくそちらのフィルムを流用したものと思われる。どっちもカルロ・ポンティが出資した作品(本作は息子のアレックス・ポンティが製作を担当)だしね。そもそも、お金のかかる特撮シーンの二次使用・三次使用は、ロジャー・コーマンの昔から低予算映画のお約束だ。

で、まんまと鉱山の採掘工場から大量の宝石を盗み出した一味は、警察による捜索のほとぼりが醒めるまで、エメラルドやダイヤを隠した化粧箱を貯水ダムに沈めておくことにするのだが、なにしろそこは犯罪者ばかりの集団。当然ながら、抜け駆けしようとする奴が出てくる。そこで予め対策を講じていたのが、強盗計画の黒幕である採掘会社の元役員ポールである。どういうことかというと、宝石を沈めたダムに大量のピラニアを放流していたのだ。

次々とポールの罠にかかって、ピラニアに食い殺される窃盗団のメンバーたち。さらには、折からの大規模なハリケーンによってダムが決壊。ピラニアの大群が広大な湖に解き放たれてしまい、ファッション誌の撮影隊や窃盗団一味の乗り合わせたボートが取り残されてしまう。しかも、ボートのエンジンが故障して身動きできず、さらには船底に穴まで開いてしまった。沈没するのも時間の問題だ。しかし、泳いで岸へ逃げ出そうにも、周りはピラニアの大群がウヨウヨ。しかも湖の周辺は広大なジャングルが広がっており、すぐに捜索隊がやって来るとは思えない。かくして、生存者たちそれぞれの思惑が交錯する決死の脱出劇が展開していく…というわけだ。

そんなこんなで、低予算映画にしてはキャストがやたらと豪華だし、ストーリーの展開は無駄なくスピーディだし、先述したようにミニチュア特撮の出来栄えも上々。所詮はB級エンターテインメント、と割り切って見れば十分に楽しめる映画だ。そこは、どれだけ製作上の悪条件が揃っていても、一定水準以上のクオリティに仕上げるマルゲリティ監督の職人技の賜物。イタリア産娯楽映画にまだそれなりの勢いがあった時代のおかげもあろう。まあ、それも'80年代半ば頃までの話になるのだが。

主演のリー・メジャースはご存知、大ヒットしたテレビシリーズ『600万ドルの男』でブレイクしたテレビ・スター。当時はちょうど同番組の放送が終了したばかりだった。ゴージャスな'70年代モードを次々と着こなす、峰不二子的な女泥棒をカレン・ブラックが演じるのには賛否両論あるかと思うが、それもまた非常に'70年代っぽい。こういう個性的なマスクが好まれる時代だったのだ。

その代わりと言ってはなんだが、マーゴ・ヘミングウェイにマリサ・ベレンソンと、トップ・モデル出身の美人女優が色添え的に脇を固める。文豪ヘミングウェイの孫娘としても有名なマーゴは、レイプ被害者の復讐劇を演じた『リップスティック』('76)でセンセーションを巻き起こしたが、本作を見ても分かる通り演技力が決定的に乏しかったため、女優として大成することなく42歳の若さで自殺を遂げた。欧米社交界の花形としても有名なベレンソンは、ヴィスコンティやキューブリック、イーストウッドなど巨匠の映画ばかりに出演していた人で、本作のような低予算のジャンル系映画に顔を出すのはかなり珍しい。

さらに、本作の憎まれ役を一手に引き受けるのがジェームズ・フランシスカス。彼もまたリー・メジャース同様にテレビ出身の人気スターだったが、ダリオ・アルジェントの『わたしは目撃者』('71)以降イタリア映画にもたびたび出演しており、イタリア版『ジョーズ』と呼ぶべき『ジョーズ・リターンズ』('81)にも主演している。そういえば、当時の彼は『シティ・オン・ファイア』('79)などオールスター・パニック映画の常連でもあった。そういう意味で、本作に出るべくして出た俳優とも言えるだろう。

また、'60年代末から'70年代初頭にかけて活躍したB級マカロニ映画スター、アンソニー・ステファンがブラジル現地の自然観光ガイド役を演じているのも要注目。もともと彼はブラジル出身なので呼ばれたのかもしれない。ファッション雑誌のオカマっぽい巨漢のカメラマンを演じているのは、後に『トータル・リコール』('90)や『アラクノフォビア』('90)の名わき役として親しまれるロイ・ブロックスミス。本作の当時はまだ若いので同一人物と気付くのに若干時間がかかる(笑)。あと、窃盗団の一員でマッチョなイケメン、ハンス役のダン・ペストリーニは、当時アメリカで有名だったアメフトのスター選手。その後、女性向けアダルト雑誌「プレイガール」でヌードグラビアを飾ったことでも話題となった。

ちなみに、タイトルバックとエンディングに流れる主題歌を歌っているのは、当時ドアーズの『ハートに火をつけて』のディスコ・カバーで全米ナンバー・ワンを獲得した女性歌手エイミー・スチュアート。その後、アメリカで下火となった彼女はイタリアへ活動の拠点を移し、現在に至るまで根強い人気を誇っている。

日本では劇場未公開に終わった本作だが、かつては深夜の地上波洋画番組でたびたび放送されていた記憶があるし、CBS/FOXからリリースされた日本盤VHSもあちこちのレンタル店に置いてあった。その後、本国イタリアを皮切りに各国でDVD発売されたものの、いずれもスタンダードサイズに映像カットされたトリミング版。'14年にアメリカで発売されたブルーレイが、ビデオソフトとして今のところ唯一のワイドスクリーン収録である。オリジナルのインターポジから2Kリマスターされた映像は、100点満点とは言えないまでも十分な高画質だ。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0c DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/時間:100分/発売元:Scorpion Releasing
特典:俳優フランク・ペッシのインタビュー(2014年制作・53分)/オリジナル劇場予告編(英語版)




by nakachan1045 | 2018-06-14 20:21 | 映画 | Comments(0)

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