なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
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「リバイアサン」 Leviathan (1989)

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監督:ジョルジ・パン・コスマトス
製作:ルイジ・デ・ラウレンティス
   アウレリオ・デ・ラウレンティス
脚本:デヴィッド・ウェブ・ピープルズ
   ジェブ・スチュアート
撮影:アレックス・トムソン
特殊効果:スタン・ウィンストン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ピーター・ウェラー
   リチャード・クレンナ
   アマンダ・ペイズ
   ヘクター・エリゾンド
   ダニエル・スターン
   アーニー・ハドソン
   マイケル・カーマイン
   リサ・アイルバッハー
   メグ・フォスター
アメリカ映画/98分/カラー作品




<あらすじ>
大西洋の海底16000フィート。大企業トライ・オーシャニックの資源採掘基地では、地質学者ベック(ピーター・ウェラー)をリーダーに8人の男女クルーが働いていた。およそ2か月に及ぶ長い作業期間も残り2日となったある日、作業員の1人シックスパック(ダニエル・スターン)が、海底の奥底に沈んでいるソビエト船「リバイアサン」を発見する。
船内から回収した資料を見たベックと船医ドック(リチャード・クレンナ)は驚く。「リバイアサン」クルーが短期間に次々と死んでいたのだ。船長のビデオ日誌には謎めいたメッセージが。さらに、よくよく船体を確認したところ、故意に沈没させたような形跡があった。いったい「リバイアサン」で何があったのか?
一方、シックスパックは「リバイアサン」船内で見つけたロシア製ウォッカをちょろまかして飲んでいた。それを見つけたボウマン(リサ・アイルバッハー)にもおすそ分けする。すると、その翌朝シックスパックが体調不良を訴え、数時間後に死亡してしまう。もしかすると感染症かもしれない。「リバイアサン」クルーの死因もこれではないか。そう考えたベックとドクは、シックスパックの死を隠したままクルー全員の検査を行うが異常はない。
この不測の事態を受けて、本社重役マーティン(メグ・フォスター)に緊急避難を要請するベック。だが、ハリケーンが近づいているため救助作業は12時間後になるという。そうこうしているうちに、今度はボウマンの体調が悪化する。たまたまシックスパックの無残な遺体を見つけた彼女は、自分の運命を悟って自殺を遂げた。
シックスパックとボウマンの遺体を保管して対策を練るクルーたち。すると、医療室から奇妙な物音が聞こえる。駆け付けたベックとドクは、シックスパックとボウマンの死体が変形して合体しているのを発見。慌ててクルー全員で廃棄しようとするが、死体は急速に成長して怪物化する。なんとか基地の外へ怪物を押し出すが、その際に脚が千切れて残ってしまった。誰にも気づかれないまま、千切れた脚は成長・巨大化して動き出す。
死んだ2人がこっそりウォッカを飲んでいたらしいことが判明。どうやら、「リバイアサン」では海底生物の遺伝子を使った人体実験が行われていたようだ。恐らく、ウォッカの中に突然変異原を混ぜてクルーに飲ませたのだろう。その実験が結果的に失敗したことから、ソビエトは船体ごと海へ沈めて証拠隠滅を図ったものと思われた。それを我々が見つけてしまったのだ。
その頃、猛スピードで巨大化した怪物はデヘスース(マイケル・カーマイン)を殺害。残されたのはベックとドク、ウィリー(アマンダ・ペイズ)、ジョーンズ(アーニー・ハドソン)、コッブ(ヘクター・エリゾンド)の5人。彼らは血清を使って怪物をおびき寄せ、基地の外へ追い出そうとするのだったが…。

忘れもしない、1989年は時ならぬ「深海アドベンチャー映画ブーム」の年だった。その火付け役となったのは、ジェームズ・キャメロン監督の超大作『アビス』('89)である。当時のキャメロンといえば、『ターミネーター』('84)と『エイリアン2』('86)を立て続けに大ヒットさせ、文字通りハリウッドの注目の的だった。その彼が次回作として深海を舞台にしたSFアドベンチャーを準備しているという情報は、かなり早い段階から映画業界内外に広まっていた。間違いなく大ヒットするはず、この流れに便乗しない手はない、と多くの映画製作者が考えたとしても不思議ではないだろう。その結果、合計で6本もの深海アドベンチャー映画が立て続けに製作されたのである。

まず先手を打ったのは、'89年1月に全米公開された『ザ・デプス』('89)。3月には『リバイアサン』が封切られ、4月にはロジャー・コーマン製作の『マンタ』('98)も劇場公開。7月にはビデオ・スルー扱いの『エル・ディアボロ/カリブに棲む悪魔』('89)がリリースされ、9月には本命の『アビス』が全米でお披露目された。さらに、翌年の春からはスペイン映画『新リバイアサン/リフト』が世界各地で公開されている。もちろん、日本の配給会社が勝手にタイトル付けしただけで、『リバイアサン』とは全く関係がない作品だ。

こうやって振り返ってみると、ブーム本家の『アビス』がさながら深海版『未知との遭遇』と呼ぶべきファンタジーだったのに対し、それ以外の便乗映画が全て『エイリアン』('79)の系統に属するクリチャー・ホラーだったことは興味深い。なつーか、発想が安直(笑)。まあ、B級ホラー映画ファンとしては大歓迎だし、事実当時の筆者は『アビス』よりも一連の便乗映画群の方が好きだったし。そういう人、意外に少なくなかったんじゃないかな…と思うのだが(笑)。

で、そんな「なんちゃって『アビス』映画」の中でも最も予算と時間をかけて作られた、いわばAクラスのB級映画とも呼ぶべき作品がこの『リバイアサン』だ。海底基地の密室空間で未知のモンスターがクルーを次々と襲う、というストーリーはまんま深海版『エイリアン』。さらに、人間の体を乗っ取った物体が、突然変異と合体を繰り返しながら巨大化するという、ドロドログチャグチャのクリーチャー・エフェクトは『遊星からの物体X』('82)さながらだ。『エイリアン』×『遊星からの物体X』。この夢のようなコンビネーションに、当時の筆者は映画館の暗闇でワクワクさせられたもんだ。

ま、モンスターの最終的な完成形がアレなのにはちょっとズッコケたけど。だって、ポール・ブレイズデルの『原子怪獣と裸女』('55)や『怪物の女性/海獣の霊を呼ぶ女』('56)と大して変わらないんだもん(笑)。一応、深海生物を使った遺伝子実験によって生まれたモンスターという設定を踏まえ、実際に様々な深海生物の要素を取り入れながらデザインされたらしいのだけど、むしろあまり設定にこだわることなく自由に作ってしまった方が良かったのかもしれない。

特殊効果を担当したのは故スタン・ウィンストン率いるSFX工房。ウィンストンと言えば、『ターミネーター』に『エイリアン2』、『ターミネーター2』、『アバター』('09)でジェームズ・キャメロンとガッツリ組んだ盟友だが、なぜか『アビス』のオファーは断ったと言われている。そんな彼のもとには当時、『ザ・デブス』と『リバイアサン』両方のオファーが舞い込んでおり、弟子たちは『ザ・デプス』の方を希望したらしいのだが、ウィンスト自身の判断で『リバイアサン』を選んだのだそうだ。

監督は良くも悪くも大味な娯楽大作で知られるギリシャ出身のジョルジ・パン・コスマトス。なにかと映画通からはバカにされがちな人ではあるものの、彼の持ち味である大胆さや豪快さは嫌いじゃないし、臆面もなくセンセーショナリズムに訴える手法も実は好み。むしろ、それこそが商業用映画の醍醐味ではないかと思うのだが。また、南欧出身者らしいキツめな色彩センスも魅力で、それは本作の幻想的な海底シーンでも存分に発揮されている。

オールスターを揃えたキャスト陣もなかなか魅力的。『ロボコップ』('87)のピーター・ウェラーを筆頭に、『ランボー』('81)シリーズのリチャード・クレンナ、『ビバリーヒルズ・コップ』('84)のリサ・アイルバッハー、『ゴーストバスターズ』('84)のアーニー・ハドソン、『アメリカン・ジゴロ』('80)のヘクター・エリゾンドなど、'80年代当時一世を風靡した大ヒット映画で顔を知られた役者を配している。また、ヒロインのアマンダ・ペイズに悪役のメグ・フォスターと、SF&ホラーのジャンルでお馴染みの女優を起用している点も、よく分かっていらっしゃるという感じだ。

とはいえ、劇場公開当時は興行的に全くの惨敗。おかげでコスマトス監督は3年以上新作を撮れなかった。まあ、それも分からないではない。そこそこ金がかかっていて、そこそこ派手な見せ場があって、そこそこ仕上がりも面白い。後の『ザ・グリード』('98)みたいに、もっとえげつなくカルトなB級路線を打ち出せばよかったのだろうが、下手にご立派な大作風を吹かせたのが裏目に出たのかもしれない。それでもなお、筆者にとっては愛すべき'80年代SFホラー映画の1つであるのだけど。



評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:98分/発売元:Shout Factory/MGM
特典:メイキング・ドキュメンタリー「Leviathan - Monster Melting Pot」('14年制作・約40分)/ヘクター・エリゾンド インタビュー('14年制作・約12分)/アーニー・ハドソン インタビュー('14年制作・約15分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-08-09 09:43 | 映画 | Comments(0)

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