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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「孤独な関係」 From the Terrace (1960)

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監督:マーク・ロブソン
製作:マーク・ロブソン
原作:ジョン・オハラ
脚本:アーネスト・リーマン
撮影:レオ・トーヴァー
衣装デザイン:トラヴィーラ
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ポール・ニューマン
   ジョアン・ウッドワード
   マーナ・ロイ
   アイナ・バリン
   レオン・エイムズ
   エリザベス・アレン
   バーバラ・イーデン
   ジョージ・グリザード
   パトリック・オニール
   フェリックス・エイルマー
   ハワード・ケイン
アメリカ映画/144分/カラー作品




<あらすじ>
時は1946年、戦争から帰った若者アルフレッド・イートン(ポール・ニューマン)は、久しぶりにフィラデルフィア近郊の実家へと戻るものの、その表情はあまり浮かない。父親サミュエル(レオン・エイムズ)は鉄鋼会社を経営する大富豪の実業家だが、仕事人間で家族を顧みない威圧的な独裁者だ。特に、溺愛していた跡継ぎの長男が13年前に死んでからというもの、サミュエルは以前にも増して家庭内のことに無関心となり、孤独を募らせた妻マーサ(マーナ・ロイ)は酒浸りの日々を送っていた。
そんな母親がやくざ者と浮気していることを知ってショックを受けるアルフレッド。さらに、父親が勝手に自分に工場を継がせようと計画していることにも反発する。挙句の果てに、長男ではなくお前が死ねばよかった、と父親から言われた彼は、親友レックス(ジョージ・グリザード)と共に飛行機会社を立ち上げるべく実家を出ていく。
レックスの裕福な伯父から融資を受けるため、とある社交界のパーティに出席したアルフレッドは、そこで上流階級の令嬢メリー(ジョアン・ウッドワード)と知り合う。美人で鼻っ柱が強く自信に溢れたメリーに一目惚れするアルフレッド。一方のメリーも、ハンサムで大胆で野心家のアルフレッドに惹かれる。だが、彼女には医者のジム(パトリック・オニール)という婚約者があった。しかも、メリーは東海岸の由緒正しい名門の出身。彼女の両親は、成り金の息子であるアルフレッドを蔑むのだった。
とはいえ、そんなことで諦める2人ではない。最終的にはメリーの父親も頑固な2人に折れて結婚を認める。結婚式の当日に父サミュエルの訃報が入ったものの、アルフレッドが実家に戻ることはなかった。いよいよ飛行機会社も立ち上がるが、しかしレックスが品質にこだわるあまり機体の開発は遅れ、そのことにアルフレッドは苛立ちを募らせる。
そんなある冬の日、アルフレッドとメリーは、氷が割れて池に落ちた少年を救う。少年は全米屈指の投資家マクハーディ(フェリックス・エイルマー)の孫だった。アルフレッドの野心と向上心を気に入ったマクハーディは、自分がニューヨークで経営する投資会社の営業ポストに彼を誘い、飛行機会社に不満を持っていたアルフレッドもその申し入れを引き受ける。
仕事熱心に全米各地を飛び回るアルフレッドは着実に業績を上げ、マクハーディもそんな彼を高く評価するのだが、しかし家を留守にしてばかりの夫にメリーが不満を募らせる。やがて彼女は元婚約者ジムと浮気するようになり、パーティ三昧の自堕落な暮らしぶりは社交界でも悪評となった広まった。
そんな折、アルフレッドは市場調査のため訪れた田舎町で、炭鉱会社社長の娘ナタリー(アイナ・バリン)と知り合う。妻メリーとは正反対の純情で控えめで心優しいナタリーに惹かれるアルフレッド。そんな彼にナタリーも心を寄せるが、しかし妻帯者であることから決して一線を越えようとはしなかった。
ナタリーへの想いを残してニューヨークへ戻ったアフレッドを待っていたのは、共同経営者にならないかというマクハーディからの誘いだった。これに焦ったのは、マクハーディの娘婿ダフィー(ハワード・ケイン)。彼はアルフレッドの身辺を調べて罠を仕掛けようとする。一方、我がままな妻の乱行に手を焼いていたアルフレッドは、たまたまニューヨークを訪れたナタリーと再会してしまう…。

名匠マーク・ロブソンが20世紀フォックスで撮った大河メロドラマ…といえば、映画ファンなら誰もが『哀愁の花びら』('67)を思い浮かべるに違いない。もちろん、下り坂だった大女優ラナ・ターナーのキャリアを見事に復活させた『青春物語』('57)も忘れてはならないだろう。どちらもスキャンダラスな内容で劇場公開当時は全米に衝撃を与えた映画だが、その両者の間に挟まれる形で埋もれてしまった作品がある。それが、この『孤独な関係』だ。

原作はエリザベス・テイラーに初のオスカーをもたらした『バタフィールド8』('60)や、ゲイリー・クーパーが老いらくの恋を演じた『秘めたる情事』('58)などで知られる、アメリカのベストセラー作家ジョン・オハラが'58年に発表した長編小説。上流階級やビジネス界、芸能界など華やかな世界を舞台に、愛と欲望と裏切りの渦巻くセンセーショナルな物語を描いてアメリカの一般大衆に愛されたオハラだが、それゆえ存命中は文壇における評価も低かった。いわゆる通俗小説として片づけられたのだろう。ただ、近年は「美しき理想の国アメリカの醜い裏側を赤裸々に暴いた作家」として高く評価する向きもあり、その傾向は本作からも読み解くことが出来る。

主人公は大富豪の御曹司アルフレッド。父親は一代で財を成した鉄鋼王で、傍から見れば何不自由なく幸せに暮らしているようだが、しかしその実態は極めて複雑だ。父サミュエルは家庭のことなど顧みず、金と権力に憑りつかれた仕事人間で、周囲を力で従わせようとする独裁者。孤独を募らせた母マーサは、心の隙間埋めるためアルコールと不倫に走って身を持ち崩している。しかも、両親が溺愛していた跡継ぎの長男は13年前に死亡。広い大豪邸に住んでいながら、そこに次男坊アルフレッドの居場所はないに等しい。父親からの抑圧、母親に対する幻滅。全てに嫌気のさした彼は、裸一貫から立身出世して父親を見返してやろうと家を飛び出す。

そんなアルフレッドの前に立ち塞がるのが、見えない階級の壁と上流階級のしきたりだ。大富豪の御曹司とはいえ、所詮は新興成金の息子。オールド・マネーが支配する東海岸の社交界では、一つも二つもランクが下に見られてしまう。そんな中、自由奔放で我がままな名門一族の令嬢メリーと恋に落ちたアルフレッドは、彼女との結婚によってニューヨーク社交界に迎え入れられ、さらには全米屈指の大物投資家の右腕として働くチャンスを得る。

男なら地位と財産を得てこそ一人前とばかりに、寝る暇も惜しんで仕事に打ち込むアルフレッド。しかも、当時のアメリカ社会においてビジネスは男の世界であるがゆえ、長期出張での妻の同行は会社が許さない。やがて広がっていく夫婦の溝。アルフレッドは殆ど家庭のことを顧みなくなり、不満や怒りを抱えた妻メリーは寂しさを紛らわせるため、不倫とアルコールとパーティ三昧の日々に溺れる。結局、あれほど憎んでいた父親と同じ道を歩んでしまうという皮肉。さながらアメリカン・ドリームの成れの果てだ。

そんなある時、アルフレッドは清純で可憐な若い娘ナタリーと知り合い、かつての夢や理想を思い出してハッと我に返る。メリーと別れてナタリーと人生をやり直したい。しかし、それは今までの血の滲むような努力を全て無駄にすることを意味する。なぜなら、ニューヨーク社交界では不倫や乱行は大目に見られても、離婚は決して許されないからだ。

世間体のため臭い物に蓋をするのが大人の流儀。それが嫌ならば会社も辞めなくてはいけない。折しも、念願だった出世のチャンスが舞い込んだアルフレッドは大いに悩む。しかし、その出世を阻もうとするライバルの策略が明るみとなり、愛するナタリーが巻き込まれてしまったことから、彼は人生最大の決断を下すことになる…というわけだ。

野心溢れる若者の立身出世ドラマを通して、虚飾に満ちたアメリカ社交界の偽善に斬り込んだ作品。といっても、ノリとしては完全にソープ・オペラである。大仰なまでにドラマチックなゴージャス感で描かれるドロドロの愛憎劇。ギリギリのところで品位を保っているのがマーク・ロブソン監督ならではだが、しかし『青春物語』に比べるとメロドラマとしての繊細な抒情性やロマンティシズムに欠け、かといって『哀愁の花びら』ほど下世話でキャンプな方面に振り切れているわけでもない。そのため、いまひとつ中途半端な印象は否めないだろう。要するに、パンチが足りないのである。なので、今となっては半ば忘れられてしまったことも不思議ではあるまい。

主演はこれが3度目の夫婦共演だったポール・ニューマンとジョアン・ウッドワード。ラナ・ターナーさながらの美しきビッチぶりが際立つウッドワードは大熱演で、後半のヒステリックにわめき散らしながら毒を吐きまくる様子は見ていて痛快だ。これには、さすがのニューマンも押され気味。ウッドワードのために大御所デザイナー、トラヴィーラが手掛けたコンサバな上流階級ファッションも見どころ。これぞハリウッド・メロドラマの醍醐味!という感じだ。

さらに、アメリカの理想の父親像を体現し続けた名優レオン・エイムズが今回はアルフレッドの暴君のような父親、同様に良妻賢母の代表格だった大女優マーナ・ロイが不倫に溺れるアル中の母親と、大物ベテラン勢に従来のイメージとは真逆の役柄を演じさせているのも面白い。当時売り出し中だった清純派女優アイナ・バリンの美しさも要注目。また、後にテレビ『かわいい魔女ジニー』で大ブレイクする女優バーバラ・イーデンが、ダンスパーティでポール・ニューマンを逆ナンする女の子として顔を出している。



評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)※3000枚限定プレス
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:ALL/時間:144分/発売元:Twilight Time/20th Century Fox
特典/音楽トラック独立再生機能/FOXムービーニュース(約1分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-08-11 12:05 | 映画 | Comments(0)

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