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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「モンスター・イン・ザ・クローゼット」 Monster in the Closet (1986)

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監督:ボブ・ダーリン
製作:ピーター・L・バークイスト
   デヴィッド・レヴィ
製作総指揮:ロイド・カウフマン
      マイケル・ハーツ
脚本:ボブ・ダーリン
撮影:ロナルド・W・マクリーシュ
特殊メイク:ロン・ワイルド
音楽:バリー・ガード
出演:ドナルド・グラント
   デニス・デュバリー
   クロード・エイキンス
   ハワード・ダフ
   ヘンリー・ギブソン
   ドナルド・モファット
   ポール・ドゥーリー
   ジョン・キャラダイン
   ジェシー・ホワイト
   フランク・アシュモア
   ポール・ウォーカー
   ステラ・ファーガソン(ファーギー)
   ケヴィン・ピーター・ホール
特別出演:ステラ・スティーヴンス
アメリカ映画/89分/カラー作品




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<あらすじ>
カリフォルニアの平穏な町チェスナット・ヒルズで奇妙な連続殺人事件が発生する。犠牲者はいずれもクローゼットの中で息絶えており、その死体には動物に噛まれたような跡があった。人々はモンスターの犯行を噂するが、もちろんマスコミは真面目に取り合わない。サンフランシスコの某新聞社では、手持ち無沙汰の負け犬記者クラーク(ドナルド・グラント)に、暇つぶしを兼ねて取材させることにする。
現地のチェスナット・ヒルズへ赴いたクラークは、そこで巨大ヘビによる犯行を主張する女性生物学者ダイアン・ベネット教授(デニス・デュバリー)と知り合う。はじめはドン臭いクラークを煙たがったダイアンだが、幼い息子プロフェッサー(ポール・ウォーカー)と意気投合する彼の素直な性格に好感を抱く。なにより、メガネを外したクラークの美男子ぶりに思わずボーッとしてしまうのだった。
ある晩、ダイアンの自宅へ夕食に招かれたクラーク。すると近所が突然騒がしくなる。クローゼットからモンスターが現れたというのだ。ケッチェム保安官(クロード・レインズ)率いる警官隊も現場に到着。すると、世にも恐ろしげな姿をしたモンスターが人々の前に現れ、保安官を殺害して再び姿を消した。
かくしてモンスターの出現は大々的に報道され、軍隊が出動するほどの騒ぎとなる。いけ好かない花形記者スクープ(フランク・アシュモア)に担当を横取りされたクラークは本社へ戻ろうとするが、軍のオブザーバーを務めるダイアンはクラーク以外のマスコミ取材は受けないと彼を引き留める。そんな時、ダイアンの恩師ペニーワース博士(ヘンリー・ギブソン)が思いがけないことに気づく。録音されたモンスターの鳴き声を調べてみると、特定の音階を繰り返しているのだ。
軍隊の分析によって、モンスターが次に出現する場所が小学校であると判明する。プロフェッサーが危ない!クラークやダイアンたちは慌てて小学校へ向かい、間一髪のところでプロフェッサーを救う。さらに、軍隊が小学校へ到着。ターンブル将軍(ドナルド・モファット)の反対を押し切ったペニーワース博士が、鉄琴で例の音階を奏でながらモンスターに近づき、コミュニケーションを図ろうとするものの失敗。軍隊は一斉に攻撃するものの、モンスターはビクともせず夜の闇に消えていった。
不可解な言葉を残して死んでしまったペニーワース博士。住民も軍隊も一斉に町から避難する中、博士の言葉を手掛かりにモンスターの撃退法を考えたダイアンとクラークは、電力を使った特殊な罠を仕掛けてモンスターをおびき出そうとするのだったが…。
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『悪魔の毒々モンスター』('84)や『カブキマン』('90)などの、バカバカしいを遥かに通り越したウルトラ・ナンセンスなC級カルト映画で有名な、ニューヨークのインディーズ映画会社トロマが製作したモンスター・コメディである。日本でも一時期トロマの映画はそこそこ人気あったため、本作も'87年に日本公開されているのだが、当時は殆ど話題になることなく消えてしまった。'83年に製作されたものの暫くお蔵入りしていたということもあって、まあ、トロマの映画だしクソみたいな映画なんだろうな…と思っていたら、これがなんと、予想に反してなかなか面白いパロディ映画だった。
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基本的なノリは古き良きホラー映画やモンスター映画、SF映画へのオマージュ。特別ゲストの'60年代アイドル女優ステラ・スティーヴンスが崩れかけた熟女ヌードを披露するシャワーシーンはヒッチコックの『サイコ』('60)だし、口の中から凶暴なミニヘッドが飛び出すモンスターの造形は『エイリアン』('79)だし、『キングコング』('33)や『宇宙大戦争』('53)などからのセリフの引用も随所に散りばめられている。ペニーワース博士がモンスターの鳴き声を解析して、特定の音階を使ってコミュニケーションを試みるという展開はまるっきり『未知との遭遇』('78)。メガネを取ると超イケメンな、主人公の冴えない新聞記者クラークの元ネタが、『スーパーマン』のクラーク・ケントであることも一目瞭然だろう。
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そうしたパロディ・ネタを総動員しつつ、昔ならではのジャンル映画のお約束を笑い飛ばすユーモアのセンスは結構秀逸。しかも徹底的にバカに徹しているところがいい。『キングコング』以来の定番である「美女と野獣」の図式を覆すラストの展開も捻りが効いている。ちゃんと伏線も生きているしね。あ、なるほど!ここでこう使うつもりだったのね!と思わず笑いながら膝を打ってしまった。ことコメディ映画というのは、「頭が良くなけりゃバカは出来ない」ものだと思うのだが、本作などはその好例の一つであろう。
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興味深いのは、本作の監督と脚本を兼ねるボブ・ダーリンが、あの巨匠ロバート・アルトマンの助監督だったということだろう。実際、ラストのクレジットロールではアルトマンの息子たちが「スペシャル・サンクス」に名を連ねているし、師匠アルトマン自身も『ショート・カッツ』('90)で本作のワンシーンを劇中のテレビで流している。愛弟子への目くばせといったところだろうか。キャストに名を連ねる豪華なベテラン名優たちも、その多くがアルトマン作品に縁のある人ばかり。いずれもご祝儀的な出演だったに違いない。劇場公開当時は、なぜこれだけの名優がこんな無名監督の低予算映画に!?と首を傾げたものだったが、なるほど、そういう繋がりがあったのである。
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そんな人物がどういう経緯で本作を作ることになったのかは定かでないものの、製作サイドが相当楽しみながら悪乗りしていることは本編を見てもよく分かる。撮影監督には現アカデミー協会会長でもある名カメラマン、ジョン・ベイリーの助手を長年務めたロナルド・W・マクリーシュ、モンスタースーツのデザインは有名なファンタジー系イラストレーターで当時は『プレデター』('87)などのクリーチャー・デザインに参加していたウィリアム・スタウト、特殊効果監修にはその後VFX制作会社フラッシュ・フィルムワークスを設立して『地球が静止する日』('08)や『ジオストーム』('17)を手掛けるウィリアム・メサなど、当時ハリウッドで地味に下積みを続けていた有能なスタッフが参加しており、それぞれが好き勝手にやりたいことをやっているという感じがして微笑ましい。
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主演のドナルド・グラントという俳優は詳細不明で、本作以外の出演作もかなり限られているのだが、ヒロインやモンスターが思わず見とれてしまうのも納得の端正な男前。これだけのイケメンが、大して活躍することもなく消えてしまったのはちょっと不思議だ。対する女性生物学者ダイアンを演じるデニス・デュバリーも、好感度が高くて親しみやすいタイプの女優さんだが、結局ハリウッドではテレビ・スターの域を出ることがなく、その後はマーケティング会社を設立して大成功したようだ。
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脇役で印象的なのは、なんといってもペニーワース博士役のヘンリー・ギブソンであろう。アルトマンの『ナッシュビル』('75)の愛国カントリー歌手や『ブルース・ブラザーズ』('80)のナチ司令官役で有名な喜劇緋勇だが、本作での桁違いなすっとぼけっぷりは傑作だ。冒頭で大暴れする盲目の老人役のジョン・キャラダインにもニンマリするし、アルトマン映画には欠かせない常連中の常連ポール・ドゥーリーが一瞬でモンスターの餌食になるのも洒落が効いている。あ、もちろん、お色気シーンを一手に引き受けたステラ・スティーヴンスもね(笑)。
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また、本作で見逃せないのは、子役時代のポール・ウォーカーがヒロインの息子役を演じていることだろう。これがなんとも愛くるしいオタクなメガネっ子。芝居はまだちょと素人臭いのだけど、そこがまたキュートなのだよね。さらにさらに要注目のなのが、冒頭でモンスターに殺されるクソ生意気な女の子を、後にブラック・アイド・ピーズのリード・ボーカリストとして大成するファーギーが演じていること。本作では本名のステイシー・ファーガソン名義でクレジットされている。
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評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/ちいきコード:ALL/時間:89分/発売元:Troma Team Video
特典:オリジナル予告編/フォトギャラリー/トロマ・スタジオ・ツアー/トロマIQテスト/トロマ短編ビデオ集



by nakachan1045 | 2018-08-17 13:14 | 映画 | Comments(0)

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