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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「赤い野獣」 Black Zoo (1963)

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監督:ロバート・ゴードン
製作:ハーマン・コーエン
脚本:ハーマン・コーエン
   エイベン・カンデル
撮影:フロイド・クロスビー
音楽:ポール・ダンラップ
出演:マイケル・ガフ
   ジーン・クーパー
   ロッド・ローレン
   ヴァージニア・グレイ
   ジェローム・コーワン
   イライシャ・クック・ジュニア
   マリアンナ・ヒル
   エドワード・プラット
アメリカ映画/85分/カラー作品




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<あらすじ>
私設動物園「コンラッドの動物王国」を経営するマイケル・コンラッド(マイケル・ガフ)は、表向きこそ温厚で親切な中年紳士を装っているが、その陰では周囲の家族やスタッフに絶対服従を強要し、ライオンやトラ、ヒョウなどの猛獣に異常なほどの愛情を注いでいた。もともとチンパンジーの調教師だった妻エドナ(ジーン・クーパー)、言葉を喋れない前妻との息子カール(ロッド・ローレン)も、暴力的なマイケルを恐れて言いなりになっている。さらに、彼は猛獣を崇拝するカルト教団を結成し、己の意にそぐわない人間は猛獣を使って殺害していた。
そんなある日、土地開発業者ステングル(ジェローム・コーワン)が動物園の事務所に現れ、土地を高額で譲ってくれないかと申し出る。近ごろ流行りの高級住宅地を建設しようというのだ。コンラッドが頑なに断り続けると、ステングルは脅迫めいたことを言い出す。話し合いのためステングルの自宅を訪れたコンラッドは、ライオンを使って彼を食い殺させた。
さらに、動物たちに餌をやっていた雑務係のジョー(イライシャ・クック)がトラのバロンに襲われ、身の危険を感じた彼は拳銃でバロンを射殺。これに激怒したコンラッドは、息子カールに命じてジョーをライオンの檻へ放り込んで殺害する。バロンの葬儀を厳かに行う一方で、ジョーの遺体は闇に葬り去られた。
日増しに常軌を逸していく夫に悩むエドナ。そんな彼女のもとへ、人気調教師時代のエージェントで大親友のジェニー(ヴァージニア・グレイ)がやって来る。大手サーカス団との専属契約のオファーだった。夫が絶対に許してはくれないといったんは断るエドナだったが、ジェニーの熱心な説得で引き受けることにする。だが、その会話を物陰で聞いていたマイケルは、ジェニーの自宅にゴリラを差し向けて彼女を惨殺する。
連続して起きた不可解な殺人事件に頭を悩ませる警察のリヴァース警部(エドワード・プラット)は、現場に残された毛が全て猛獣のものだという鑑識の報告を受け、何者かが動物を調教して殺人を行わせていることに気づく。一方、ジェニーの死を知ったエドナは犯人がマイケルであると察し、カールを連れて家を出て行こうとするのだが…。
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一部で熱狂的なファンを持つカルト・ホラー『黒死館の恐怖』('59)の製作者ハーマン・コーエンと主演俳優マイケル・ガフが再びコンビを組んだ作品。『黒死館の恐怖』では頭のいかれたミステリー作家が助手に催眠術をかけて人殺しをさせたが、本作では頭のいかれた動物園の園長が調教した猛獣を使って人殺しをさせる。どちらもハーマン・コーエンが原案を書いているのだが、基本的な発想はほぼ同じだと言えよう。
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夜道を一人で歩く若い女性が何者かに後をつけられ、気が付くとそれがトラだった…というオープニングはオリジナル版『キャット・ピープル』('42)のパクリ。猛獣を殺人の道具に使うというアイディアは悪くないものの、しかし実際に人間がライオンやトラに襲われるシーンは、スタントマンの調教師が猛獣とじゃれあっているだけなのが見え見えで全く怖くない。血しぶきが飛び散るわけでもなく、ましてや猛獣が肉を食らうわけでもないため、残酷シーンを期待すると完全に肩透かしだ。って、'63年のホラー映画にそこまで期待するのも酷というもんか(笑)。
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脚本も無理やりなこじつけ感が強い。そもそも、猛獣を崇拝するカルト教団ってのが意味不明で、何をするかと言ったら「赤ん坊のトラに死んだトラの魂を憑依させる儀式」を行うくらいのもの。だからそれがどうした!としか言いようがない。とりあえず、どう見たってバカ丸出しですけど、地下室でこっそりやってる分には構いませんので、どうぞご勝手にという感じだ。
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ライオンやトラ、ヒョウなどの中に一匹だけ、着ぐるみのゴリラが混じっているのも間抜けな光景だし、途中で出てくるチンパンジーの曲芸ショーにやたらと時間を費やすのも冗長に感じられる。結局、どれも「ネコ科の猛獣を使って人を殺す」という設定だけでは間が持たないため、いろいろと後付けで加えたものの不発に終わってしまった…というのが実際のところなのだろう。
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そんな中で恐らく唯一の見どころが、主演俳優マイケル・ガフの怪演だ。『バットマン』('89)シリーズの執事アルフレッド役や『スリーピー・ホロウ』('99)など、ティム・バートン監督作品の常連としてもお馴染みの名優。もともとはハマー・プロの『吸血鬼ドラキュラ』('58)のアーサー役で注目され、そのおかげで数々のホラー映画に主演したものの、残念ながらクリストファー・リーやピーター・カッシングほどのアイコンにはなれなかった。
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本作のコンラッドという人物は設定的に整合性が乏しい、つまり脚本の段階で欠陥のあるキャラクターなのだが、それをとにかく支離滅裂で触れたらヤバいサイコパスとして演じたのが吉と出たように思う。何を考えているのか分からない、何をしでかすのか分からない不気味な冷血漢。上品だけど慇懃無礼な英国紳士というガフのイメージが怖さを倍増させる。
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なお、コンラッドの妻エドナを演じているジーン・クーパーはアメリカの昼メロ女優で、映画『メジャー・リーグ』シリーズで有名な俳優コービン・バーンセンのお母さん。息子カール役のロッド・ローレンは当時の一発屋歌手だった。また、エドナの親友ジェニー役のヴァージニア・グレイは'40年代にMGM専属のスター候補女優だったが、当時からヒロインの親友など二番手的な役柄から脱することが出来ず、本作の当時はロス・ハンター製作のメロドラマ映画で社交界の御婦人をたびたび演じていた。
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土地開発業者ステングル役には『マルタの鷹』('41)でボギーの相棒を演じたジェローム・コーワン。そういえば、ライオンの餌にされる名脇役イライシャ・クック・ジュニアも『マルタの鷹』に出ていたっけ。カールと親しくなる美人女子大生オードリー役として、当時まだデビューしたばかりの女優マリアンナ・ヒルが顔を出しているものの、本筋にはほとんど絡まないまま終わってしまう。もうちょっと彼女の役回りを膨らましても良かったのではないだろうか。
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ちなみに、本作はアメリカでDVD化されているものの、ワーナー・アーカイブによるオンデマンドDVDのみのリリース。れっきとしたオフィシャル版だが、DVD-Rに焼かれているので抵抗感のある人もいるだろう。なので、そういう方にはイタリア盤DVDがおススメ。こちらはちゃんと工場でプレスされており、音声も英語トラックが収録されている。値段もアメリカ盤DVD-Rより安いしね。
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評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(イタリア盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語・イタリア語/字幕:イタリア語/地域コード:ALL/時間:85分/発売元:Sinister Film/Profondo Rosso
特典:Profondo Rosso代表ルイジ・コッツィによる作品解説(イタリア語・5分)



by nakachan1045 | 2018-08-20 11:06 | 映画 | Comments(0)

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